この節には、次のトピックが含まれます。
データ複製を使用しない保護グループも作成できます。データ複製サブシステムを使用しない保護グループを作成するには、geopg コマンドを使用するときに、-d datareplicationtype オプションを省略します。geoadm status コマンドを実行すると、こうした保護グループの状態は「Degraded」と表示されます。
詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「データ複製を必要としない保護グループの作成」を参照してください。
保護グループを作成するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。
ローカルクラスタがパートナーシップのメンバーである。
既存の保護グループとこれから作成する保護グループが重複しない。
保護グループ名は Sun Cluster Geographic Edition のグローバルネームスペース内で一意です。同じシステム上にパートナーシップが 2 つ存在する場合、これらに同じ保護グループ名を付けることはできません。
保護グループの既存の構成は、リモートクラスタからローカルクラスタに複製することもできます。詳細は、「EMC Symmetrix Remote Data Facility 保護グループの構成をパートナークラスタに複製する」 を参照してください。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC についての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
geopg create コマンドを使用して、SRDF 複製を使用する新しい保護グループを作成します。
このコマンドを実行すると、ローカルクラスタのすべてのノードに、保護グループが 1 つずつ作成されます。
# geopg create -s partnershipname -o localrole -d srdf [-p property [-p...]] \ protectiongroupname |
パートナーシップの名前を指定します。
この保護グループのローカルクラスタでの役割を指定します (primary または secondary)。
EMC Symmetrix Remote Data Facility を使用して保護グループのデータを複製するように指定します。
保護グループのプロパティーを指定します。
次のプロパティーを指定できます。
Description – 保護グループについて説明する。
Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する。
Nodelist – 複製サブシステムの主クラスタになりえるマシンのホスト名を表示する。
Cluster_dgs – データが書き込まれるデバイスグループを表示する。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドについては、geopg(1M)のマニュアルページを参照してください。
この例では、cluster-paris 上に主クラスタとして設定される EMC Symmetrix Remote Data Facility 保護グループを作成します。
# geopg create -s paris-newyork-ps -o primary -d srdf \ -p cluster_dgs=dg1 srdfpg |
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは Oracle Real Application Clusters と EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェアの組み合わせをサポートしています。Oracle Real Application Clusters を構成するときは、次の要件を順守してください。
それぞれの CRS OCR と Voting Disk Location は、各クラスタ上の自身のデバイスグループに置く必要があります。
CRS やデータベースバイナリなどの静的データは、複製する必要はありません。ただし、両方のクラスタのすべてのノードから、このデータにアクセスできるようにする必要があります。
動的データベースファイルを保持しているデバイスグループの対応するリソースグループに、SUNW.ScalDeviceGroup リソースを作成する必要があります。このリソースグループと、クラスタウェア SUNW.ScalDeviceGroup リソースを保持しているリソースグループは別にする必要があります。
RAC インフラストラクチャーリソースグループを Sun Cluster Geographic Edition の管理外に置くには、両方のクラスタパートナーで、Sun Cluster Geographic Edition バイナリを実行し、RAC 保護グループ External_Dependency_Allowed を適切に true に設定する必要があります。
保護グループの cluster_dgs プロパティーに CRS OCR と Voting Disk デバイスグループを追加しないでください。
保護グループに RAC インフラストラクチャーリソースグループを追加しないでください。rac_server_proxy リソースグループと保護グループに複製されるデバイスグループのリソースグループだけを追加してください。また、rac_server_proxy リソースグループ、リソースグループ、および複製されるデバイスグループの auto_start_on_new_cluster リソースグループを適切に false に設定する必要があります。
たとえば、フラッシュ回復領域、警告、トレースログファイルといった Oracle RAC ファイルシステムにクラスタファイルシステムを使用する場合は、HAStoragePlus リソースを使用してこれらのファイルシステムをオンラインにするリソースグループを両方のクラスタ上で別々に手動で作成する必要があります。非クラスタウェア SUNW.ScalDeviceGroup リソースからこの HAStoragePlus リソースに対しては、強いリソース依存性を設定する必要があります。次に、この HAStoragePlus リソースグループを RAC 保護グループに追加します。
Oracle Real Application Clusters (RAC) の保護グループを作成する前に、次の条件が満たされていることを確認する必要があります。
「Oracle Real Application Clusters とデータ複製ソフトウェアをサポートするための要件」を参照してください。
保護グループのノードリストが RAC フレームワークリソースグループのノードグループと同じである必要があります。
一方のクラスタで RAC を実行しているノード数が他方のクラスタと異なる場合は、両方のクラスタのすべてのノードに同じリソースグループが定義されていることを確認します。
VERITAS Volume Manager クラスタ機能を使用してデータを管理している場合は、cluster_dgs プロパティー内のほかのデータボリュームにクラスタ機能のディスクグループおよび Sun Cluster デバイスグループを指定する必要があります。
クラスタおよび VERITAS Volume Manager クラスタ機能ソフトウェアを再起動すると、RAC フレームワークはクラスタが停止する前にすでにインポートされていたすべてのクラスタ機能デバイスグループをインポートしようとします。このため、デバイスグループを主クラスタにインポートしようとすると、失敗します。
主クラスタ上のクラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC についての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
geopg create コマンドを実行して新しい保護グループを作成します。
このコマンドを実行すると、ローカルクラスタのすべてのノードに、保護グループが 1 つずつ作成されます。
# geopg create -s partnershipname -o localrole -d srdf \ -p External_Dependency_Allowed=true [-p property [-p...]] protectiongroupname |
パートナーシップの名前を指定します。
ローカルクラスタ上でこの保護グループに primary というロールを指定します。
EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェアを使用して保護グループのデータを複製するように指定します。
保護グループのプロパティーを指定します。
次のプロパティーを指定できます。
Description – 保護グループについて説明する。
External_Dependency_Allowed - この保護グループ内のグループとリソースグループの間、およびこの保護グループ外のリソースとリソースグループの間に依存関係を許可するかどうかを指定します。RAC では、このプロパティーを true に設定します。
Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する。
Nodelist – 複製サブシステムの主クラスタになりえるマシンのホスト名を表示する。
Cluster_dgs – データが書き込まれる VERITAS Volume Manager クラスタ機能ディスクグループを指定します。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドについては、geopg(1M)のマニュアルページを参照してください。
EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループを保護グループに追加してください。
# geopg add-device-group [-p property [-p...]] protectiongroupname |
保護グループのプロパティーを指定します。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
保護グループに rac_server_proxy リソースグループと複製されたデバイスグループのリソースグループだけを追加します。
保護グループに RAC フレームワークリソースグループを追加しないでください。これを順守していれば、保護グループがノードで二次クラスタになったときに、フレームワークリソースグループが管理不能になりません。さらに、複数の RAC データベースがクラスタ化でき、データベースを Sun Cluster Geographic Edition の管理下に置くことも、置かないこともできます。
# geopg add-resource-group resourcegroup protectiongroupname |
保護グループに追加する、または保護グループから削除するリソースグループをコンマで区切って指定します。指定したリソースグループはすでに定義されている必要があります。
リソースグループを追加する前に、保護グループはオンラインである必要があります。geopg add-resource-group コマンドが失敗するのは、保護グループがオフラインであり、追加されるリソースグループがオンラインである場合です。
リソースグループを追加する時点で保護グループがすでに起動されている場合、リソースグループは管理されないままになります。geopg start コマンドを実行して、手動でリソースグループを起動する必要があります。
保護グループの名前を指定します。
この例では、RAC およびクラスタ機能を使用する保護グループ pg1 を作成します。
クラスタ機能のディスクグループ oracle-dg は、EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループ DG01 によって複製されるデータを制御します。RAC フレームワークリソースグループのノードリストは、クラスタのすべてのノードに設定されています。
クラスタ機能のディスクグループ racdbdg を使用して、主クラスタに保護グループを作成します。
# geopg create -s pts1 -o PRIMARY -d srdf -p cluster_dgs=racdbdg \ -p external_dependency_allowed=true pg1 Protection group "pg1" successfully created. |
EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループ DG01 を保護グループ pg1 に追加します。
# geopg add-device-group DG01 pg1 Device group "DG01" successfully added to the protection group "pg1". |
保護グループに rac_server_proxy_rg リソースグループと複製されたデバイスグループリソースグループ、つまり hasp4rac-rg と scaldbdg-rg を追加します。
# geopg add-resource-group rac_server_proxy-rg,hasp4rac-rg,scaldbdg-rg pg1 |
Sun Cluster Geographic Edition データ複製層は、EMC Symmetrix Remote Data Facility の RDF1 および RDF2 デバイスの構成に照らして、保護グループの複製の役割を検証します。構成が一致しない場合、この検証でエラーが返されます。
Cluster_dgs プロパティーが指定されている場合、データ複製層は、指定されたデバイスグループが有効な Sun Cluster デバイスグループであるかどうかを確認します。データ複製層はまた、そのデバイスグループが有効な種類であるかどうかも確認します。
Cluster_dgs プロパティーに指定されたデバイスグループへの書き込みは、保護グループに属するアプリケーションだけに限定する必要があります。このプロパティーには、保護グループ外のアプリケーションから情報を受信するデバイスグループを指定しないでください。
Sun Cluster 複製リソースグループは、保護グループの作成時に自動的に作成されます。
これらのリソースやリソースグループについては、変更、除去、オフライン化の操作は行わないでください。複製リソースグループおよび Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアで管理される内部エンティティーであるリソースの管理には、Sun Cluster Geographic Edition コマンドだけを使用してください。これらのエンティティーの構成または状態を SunCluster コマンドで直接変更すると、回復不能な障害が発生する可能性があります。
保護グループの構成を変更する前に、変更する保護グループがローカルに存在していることを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC についての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を変更します。
このコマンドは、ローカルクラスタ上の全ノードの保護グループのプロパティーを変更します。パートナークラスタ上に同じ名前の保護グループが含まれている場合、このコマンドは、パートナークラスタにも新しい構成情報を伝達します。
# geopg set-prop -p property [-p...] protectiongroupname |
保護グループのプロパティーを指定します。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドについては、geopg(1M)のマニュアルページを参照してください。
この例では、例 2–2で作成した保護グループの Timeout プロパティーを変更します。
# geopg set-prop -p Timeout=2700 srdfpg |
保護グループの検証中、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの EMC Symmetrix Remote Data Facility データ複製層は次のことを検証します。
SYMCLI が Nodelist プロパティーの各ノードにインストールされています。
指定されたデバイスグループは、有効な Sun Cluster デバイスグループです。Cluster_dgs プロパティーが指定されている場合、データ複製層は scstat -D コマンドを使用します。データ複製層はまた、そのデバイスグループが有効な種類であるかどうかも確認します。
プロパティーは、保護グループに追加された各 EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループに対して有効です。
geoadm status の出力で保護グループの Configuration 状態が Error と表示された場合、geopg validate コマンドを使用して構成を検証できます。このコマンドは、保護グループとそのエンティティーの現在の状態を検査します。
保護グループとそのエンティティーが有効であれば、保護グループの Configuration 状態は OK に設定されます。構成ファイル内にエラーが見つかると、geopg validate コマンドはそのエラーについてのメッセージを表示し、構成はエラー状態にとどまります。この場合、ユーザーは構成内のエラーを修正し、geopg validate コマンドをもう一度実行できます。
検証する保護グループがローカルにあり、パートナーシップの両方のクラスタのすべてのノードで共通エージェントコンテナがオンラインであることを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC についての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を検証します。
このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。パートナークラスタ上の保護グループ構成を検証するには、次のコマンドをパートナークラスタでもう一度実行します。
# geopg validate protectiongroupname |
単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します
この例では、保護グループを検証する方法を示します。
# geopg validate protectiongroupname |
保護グループをすべての場所から削除する場合、保護グループが存在する各クラスタで、geopg delete コマンドを実行する必要があります。
保護グループを削除するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。
削除する保護グループがローカルに存在する。
保護グループが、保護グループを削除するすべてのクラスタでオフラインになっている。
保護グループの削除中にアプリケーションリソースグループをオンライン状態に保持するには、保護グループからアプリケーションリソースグループを除去する必要があります。この手順の例については、例 2–9を参照してください。
主クラスタ (cluster-paris) のノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC についての詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループを削除します。
このコマンドは、ローカルクラスタから保護グループの構成を削除します。このコマンドはまた、保護グループの各 EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループの複製リソースグループも除去します。このコマンドは、EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループのペアの状態は変更しません。
# geopg delete protectiongroupname |
保護グループの名前を指定します
二次クラスタ上の保護グループも削除する場合は、手順 1 と手順 2 を cluster-newyork で繰り返します。
この例では、保護グループを両方のパートナークラスタから削除する方法を示します。両方のパートナークラスタ上で保護グループがオフラインになっています。
この例では、cluster-paris が主クラスタです。クラスタ構成の例を確認するには、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition クラスタ構成の例」を参照してください。
# rlogin phys-paris-1 -l root phys-paris-1# geopg delete srdfpg # rlogin phys-newyork-1 -l root phys-newyork-1# geopg delete srdfpg |
この例では、2 つのアプリケーションリソースグループ apprg1 と apprg2 をオンラインにしたまま、それらの保護グループ srdfpg を両方のパートナークラスタから削除します。保護グループからアプリケーションリソースグループを除去し、続いて保護グループを削除します。
phys-paris-1# geopg remove-resource-group apprg1,apprg2 srdfpg phys-paris-1# geopg stop -e global srdfpg phys-paris-1# geopg delete srdfpg phys-newyork-1# geopg delete srdfpg |