『共通デスクトップ環境 プログラマ概要』は、共通デスクトップ環境の開発環境と開発者のドキュメンテーション・セットについて、高度な概要を提供するものです。アプリケーションの設計と開発を始める前に、まずこのマニュアルをお読みください。
このマニュアルでは、「共通デスクトップ環境」という用語と「デスクトップ」という用語を同義で使用します。
「はじめに」以外の部分では、共通デスクトップ環境の開発または実行環境用マニュアルを指すときの「共通デスクトップ環境」を省いています。たとえば、『共通デスクトップ環境 プログラマ概要』は『プログラマ概要』と表現します。
対象読者は次のとおりです。
新しく共通デスクトップ環境のアプリケーションを開発する、あるいは既存の OSF/Motif または OPEN LOOK アプリケーションをデスクトップへ統合するアプリケーション開発者
共通デスクトップ環境のデスクトップで実行するアプリケーションを含むプロジェクトの設計に関心のあるマネージャ、設計者、およびプロジェクトのリーダー
このマニュアルでは OSF/Motif は Motif と表記します。
このマニュアルは 2 つのパートから構成されています。パート I は、共通デスクトップ環境のアーキテクチャの概要で、実行時および開発時の環境の高度な情報を含んでいます。パート II ではアプリケーションの開発にあたって事前に知っておくと役立つ情報と、開発環境のコンポーネントを説明します。
次にこのマニュアルの章と付録について簡単に説明します。
共通デスクトップ環境アーキテクチャの概要を示します。
アプリケーションを開発する前に知っておくべき情報について説明します。
命名規則とそのガイドラインなど、共通デスクトップ環境アプリケーションの開発に固有の情報について説明します。
移植性があり保守性のあるアプリケーションを作成するときの問題点を説明します。
アプリケーションの起動方法を統合する (つまりデスクトップのアイコンをダブルクリックして起動する) 方法を説明します。
作成するアプリケーションを、他の共通デスクトップ環境のデスクトップ・アプリケーションと同じようなルック&フィールを持つものにし、相互に操作できるようにするための、すべてのコンポーネントの概要とガイドラインについて説明します。
追加した機能の必要性に応じてアプリケーションに組み込むコンポーネントの概要を示します。
Motif 1.2.3 と共通デスクトップ環境 Motif との相違点を説明します。
付録 B 「コンポーネントおよびガイドラインのリファレンス」
すべての開発環境コンポーネントとガイドラインを、対応するライブラリ、ヘッダ、ファイル、ドキュメントと共にアルファベット順に示します。
『OSF/Motif Programmer's Guide, Release 1.2』by Open Software Foundation, 11 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, published by PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632
(翻訳 : 株式会社 日立製作所ソフトウェア開発部訳、『OSF/Motif プログラマーズ・ガイド リリース 1.2』、株式会社トッパン、1993)
『OSF/Motif Programmer's Reference, Release 1.2』 by Open Software Foundation, 11 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, published by PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632
(翻訳 : 株式会社 日立製作所ソフトウェア開発部訳、『OSF/Motif プログラマーズ・リファレンス リリース 1.2』、株式会社トッパン、1993)
『OSF/Motif Reference Guide』 by Douglas A. Young, published by PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632
『OSF/Motif 1.2 Style Guide』 by Open Software Foundation, 11 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, published by PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632
(翻訳 : 株式会社 日立製作所ソフトウェア開発部訳、『OSF/Motif スタイル・ガイド リリース 1.2』、株式会社トッパン、1993)
『共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』は、共通デスクトップ環境の『CDE 2.1/Motif 1.2 Style Guide and Glossary』の拡張版です。
『OSF Application Environment Specification (AES) User Environment Volume, Revision C』 by Open Software Foundation, 11 Cambridge Center, Cambridge, MA 02142, published by PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632
POSIX の詳細は、IEEE Std 1003.1-1990 標準を参照してください。この標準は次の宛先までご注文ください。
IEEE Service Center 445 Hoes Lane P.O. Box 1331 Piscataway, NJ 08855
『Xlib Programming Manual for Version 11 (Volume 1)』 by Adrian Nye, published by O'Reilly & Associates, Sebastopol, CA, 95472
(翻訳 : 坂下 秀、荒井 美千子、西垣内 昌喜、藤井 裕史 監訳、『Xlib プログラマーズ・マニュアル』、ソフトバンク株式会社、1993)
『Xlib Reference Manual for Version 11 (Volume 2)』 published by O'Reilly & Associates, Sebastopol, CA, 95472
(翻訳 : 坂下 秀 監訳、『Xlib リファレンス・マニュアル』、ソフトバンク株式会社、1993)
『X Toolkit Intrinsics Programming Manual, (Volume 4)』 by Adrian Nye and Tim O'Reilly, published by O'Reilly and Associates, Sebastopol, CA 95472.
(翻訳 : 今泉 貴史 監訳、『X ツールキット・イントリンシクス・プログラミング・マニュアル』、ソフトバンク株式会社、1992)
『X Toolkit Intrinsics Reference Manual, (Volume 5)』 edited by Tim O'Reilly, published by O'Reilly and Associates, Sebastopol, CA 95472.
(翻訳 : 今泉 貴史 監訳、『X ツールキット・イントリンシクス・リファレンス・マニュアル』、ソフトバンク株式会社、1994)
ToolTalkTM の詳細は次のマニュアルを参照してください。
『The ToolTalk Service: An Inter-Operability Solution』published by Sun Microsystems Press and PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632, ISBN 0-13-088717-X
(翻訳 : サンソフト監修、データリンク訳、『The ToolTalk サービス リファレンスマニュアル』、アスキー出版局)
『ToolTalk and Open Protocols: Inter-Application Communication』by Astrid Julienne and Brian Holtz, published by Sun Microsystems Press and PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, NJ 07632, ISBN 013-031055-7
開発環境用のマニュアルは、このマニュアル以外に次のマニュアルがあります。
『Common Desktop Environment: Product Glossary』
オンライン・マニュアル・ページ
上記のマニュアルの詳細は、次節の 「開発環境用マニュアル」を参照してください。
オンライン・ヘルプ・ボリューム
『Solaris 共通デスクトップ環境 上級ユーザ及びシステム管理者ガイド』には、アプリケーションをデスクトップに統合するときに役立つ情報が説明されています。
この節では、このマニュアル以外の各開発者用マニュアルの概要を説明します。
『共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』は、アプリケーション設計スタイルのガイドラインと、共通デスクトップ環境のアプリケーション・レベルの認定の要件を説明します。これは Motif バージョン 1.2 の要件に共通デスクトップ環境固有の要件を追加したものです。
チェックリストはモデル・キーボードの形式を使用して、キーについて説明しています。チェックリストは英語ロケールで左から右へ書かれる言語を対象としたアプリケーションを設計することを前提としています。キーボード入力を示す箇所では、Motif モデル・キーボードの文字でキーが示されています。マウス・ボタンは、マウスのボタンの数に依存しない動作を示すために、仮想ボタン名称を使用して説明されています。
このマニュアルでは、アプリケーション設計者が一貫性のあるアプリケーションを開発し、アプリケーション内の動作に一貫性を持たせるために役立つ情報を提供しています。
共通デスクトップ環境アプリケーション・ビルダ (App Builder とも呼ばれます) は、共通デスクトップ環境アプリケーションを開発するための対話型ツールです。このツールはアプリケーションのグラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) の構築と、デスクトップの多くの便利なデスクトップ・サービス (ヘルプ、ToolTalk、ドラッグ&ドロップなど) の組み込みとを容易にする機能を提供します。『共通デスクトップ環境アプリケーション・ビルダ・ユーザーズ・ガイド』では、パレットから「オブジェクト」をドラッグ&ドロップしてインタフェースを作成する方法を説明します。また、インタフェース内のオブジェクト間の接続方法、アプリケーション・フレームワーク・エディタを使用してデスクトップ・サービスとの統合を簡単にする方法、C コードの生成方法、App Builder 出力にアプリケーション・コードを追加して最終的なアプリケーションを作成する方法についても説明しています。
このマニュアルは、3 つのパートから構成されています。各パートに、共通デスクトップ環境の各要素の詳しい説明、概念図、各要素の具体的な使い方の説明、コーディング例があります。
パート I 「基本的な統合方法」では、アプリケーション・レベルと印刷レベルの登録方法を説明します。
パート II 「推奨する統合方法」では、既存のアプリケーションを共通デスクトップ環境に統合する方法を説明します。
パート III 「オプションの統合方法」では、新しいアプリケーションをセッション・マネージャおよびドラッグ&ドロップと統合する方法を説明します。また、ロケールがログイン・マネージャ、ウィンドウ・マネージャ、および端末エミュレータに与える影響についても説明します。
これらの中でコンポーネントのアプリケーション・プログラム・インタフェース (API) の概要を、関連するマニュアル・ページと相互参照しながら説明しています。詳細はマニュアル・ページで説明しています。
『共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド(ヘルプ・システム編)』は、アプリケーション・ソフトウェアのためのオンライン・ヘルプの開発方法について説明しています。ヘルプ・トピックの作成方法と、オンライン・ヘルプを Motif アプリケーションに統合する方法も説明しています。
このマニュアルの対象読者は次のとおりです。
オンライン・ヘルプ情報の設計、作成、および表示する設計者
完全に統合されたヘルプ機能を提供するアプリケーション・ソフトウェアを作成する開発者
このマニュアルは、4 つのパートから構成されています。パート I ではアプリケーションのヘルプを設計するために設計者と開発者とが協力して行う役割について説明しています。パート II はオンライン・ヘルプを構成および記述する設計者に必要な情報を説明しています。パート III はヘルプ・システムのアプリケーション・プログラマのツールキットを説明しています。パート IV は、国際化対応環境向けのオンライン・ヘルプの作成について、設計者とプログラマに必要な情報を説明しています。
『共通デスクトップ環境 ToolTalk メッセージの概要』では、メディア交換およびデスクトップ・サービスのメッセージ・セット規則に準拠したアプリケーションを作成するための便利なルーチンとして提供される ToolTalk のコンポーネント、コマンド、およびエラー・メッセージについて説明しています。このマニュアルは ToolTalk サービスを使用して他のアプリケーションと相互運用するアプリケーションを作成または保守する開発者のためのマニュアルです。
『ToolTalk メッセージの概要』では、一般的な ToolTalk の機能については説明していません。ToolTalk サービスの詳しい説明は、『ToolTalk リファレンスマニュアル』を参照してください。ToolTalk をより簡単に使用するには、『ToolTalk and Open Protocols: Inter-Application Communication』を参照してください。いずれも 「関連マニュアル」にリストされています。
『共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド (国際化対応編)』は、アプリケーションを簡単にローカライズして、さまざまな言語と文化的規則を一貫したユーザ・インタフェースでサポートできるように、アプリケーションの国際化対応について説明しています。
特に、次の情報を提供しています。
開発者に対し、世界中で使用できるようなアプリケーションを書くためのガイドラインとヒントを提供しています。
デスクトップのさまざまな階層にまたがる国際化トピックの全体像を提供しています。
参考資料および詳細な記述のあるマニュアルを示しています。標準の規格文書を参照する場合もあります。
このマニュアルは、既存の参考資料または概念的なドキュメントの説明をそのまま掲載するのではなく、特定の国際化対応トピックに関するガイドラインと規則を説明するものです。国際化トピックに焦点を置くもので、オープン・ソフトウェア環境の特定のコンポーネントや階層について説明したものではありません。
『共通デスクトップ環境 Dtksh ユーザーズ・ガイド』では、デスクトップ Korn シェル (dtksh) スクリプトで Motif アプリケーションを作成する方法を説明しています。開発者が作業を始めるにあたって必要な基本的な情報に加え、徐々に複雑になるスクリプトの例を示します。
このマニュアルは特定の作業に適応したシェル形式のスクリプト環境を探している開発者を対象としています。Korn シェル・プログラミング、Motif、Xt イントリンシクスの知識と、Xlib についてのある程度の知識があることを前提としています。
このマニュアルは、アプリケーション開発のために Solaris の Motif を使用する方法と、OPEN LOOK または Motif アプリケーションを Solaris CDE へ移植する方法について説明します。
『Common Desktop Environment: Product Glossary』は、共通デスクトップ環境で使用する用語の包括的なリストです。この用語集はデスクトップのすべてのユーザにとって、ソースおよび参照の基本となります。この用語集の読者はエンド・ユーザ、開発者、移植者など多岐にわたるため、読者や、用語の由来や、グラフィカル・ユーザ・インタフェースでその用語を使用する共通デスクトップ環境コンポーネントについての情報も、用語定義の書式に含まれています。
専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。
http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索をおこなうこともできます。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 |
sun% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、英語環境での画面イメージを使っています。このため、実際に日本語環境で表示される画面イメージとこのマニュアルで使っている画面イメージが異なる場合があります。本文中で画面イメージを説明する場合には、日本語のメニュー、ボタン名などの項目名と英語の項目名が、適宜併記されています。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、Pentium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。