DR 操作を実行する前に、以下の作業を行う必要があります。
デバイスに関する必要条件の説明を読み、DR 切り離し操作を行う前にデバイスを構成する方法を理解する
十分なスワップ領域をドメインに用意していることを確認する
詳細については、ドメインへの十分なスワップ領域の割り当てを参照してください。
サードパーティ製デバイスドライバの適正確認の説明に従って、サードパーティ製デバイスドライバの安全性を確認する
DR では、DR 切り離し操作の対象となるボードに実装されているデバイスのドライバが、以下の条件を満たしていることが必要です。
切り離しに対して安全であること、または、ドライバが読み込まれていないこと
切り離しに対して安全なドライバは、デバイスドライバインタフェース (DDI) 機能 (DDI_DETACH) に対応しています。この機能により、他のデバイスをサービスしている別のドライバのインスタンスに影響することなく、指定したドライバのインスタンスを切り離すことができます。
切り離しに対して危険なドライバとは、DDI_DETACH 機能に対応していないドライバを指します。切り離しに対して危険なドライバを読み込んでいる場合は、DR 切り離し操作を行う前にそのドライバの読み込みを解除する必要があります。切り離しに対して危険なデバイスドライバの読み込みを解除する方法については、DR 切り離し操作の準備を参照してください。
一時停止に対して安全であること、または閉じていること
一時停止に対して安全なデバイスドライバは、ページング不可能な OBP またはカーネルメモリーを実装しているボードを切り離す場合、この操作中に行われる Solaris オペレーティング環境の休止 (一時停止) に対応しています。DR 切り離し操作が行えるようにするには、オペレーティング環境がすべての処理およびプロセッサとデバイスの動作を一時的に停止して、メモリーコンポーネントの構成を解除する必要があります。
一時停止に対して安全なデバイスは、DDI_SUSPEND/DDI_RESUME 機能に対応しています。この機能により、システムの休止時にデバイスを一時停止して、再開できるようになります。このようなドライバが管理しているデバイスは、一時停止が要求されたときにデバイスが開いていても、ドメインのセンタープレーンにアクセスしません (たとえば、デバイスはメモリーへのアクセスやシステムの割り込みを行いません)。休止はターゲットドメインに対してのみ影響し、他のドメインはこの影響を受けません。
ドライバが DDI_SUSPEND/DDI_RESUME 機能に対応していない場合、一時停止に対して危険なデバイスが存在すると、オペレーティング環境は休止することができないため、そのドライバは一時停止に対して危険なドライバと考えられます。DR 切り離し操作のためにシステムを休止させる場合は、一時停止に対して危険なデバイスを手動で停止させ、システムの休止が行えるようにすることが必要です。詳細については、一時停止に対して危険なデバイスを手動で停止するを参照してください。
Sun MicrosystemsTMからリリースされている一時停止に対して安全なドライバには、st、sd、isp、esp、fas、sbus、pci、pci-pci、qfe、hme (Sun FastEthernetTM)、nf (NPI-FDDI)、qe (Quad Ethernet)、le (Lance Ethernet)、SSA ドライバ (soc、pln、および ssd)、Sun StorEdge A5000 ドライバ (sf、socal、ses) があります。
ドメインのスワップ領域は、スワップデバイスと swapfs (メモリー) から構成されます。ドメインには、ページング可能なメモリーをフラッシュできるだけの十分なスワップ領域が必要です。たとえば、2 GB のドメインから 1 GB のメモリーを切り離す場合、負荷に応じて、1 GB のスワップ領域が必要です。スワップ領域が不足している場合、DR 操作を完了することができません。
ドメインのスワップ領域は、別々のボードがホストとなっているコントローラに接続されているディスク上に、複数のパーティションとして構成する必要があります。この種の構成では、スワップパーティションを動的に追加・削除できるので、特定のスワップパーティションに重要性が偏らなくなります (詳細については、swap(1M) に関するマニュアルページを参照してください)。
メモリー (swapfs) やディスク上のスワップ領域を切り離す場合は、現在実行中のプログラムに対応できるだけの十分なメモリーまたはスワップ領域がドメイン内に残っている必要があります。
ほとんどのサードパーティ製ドライバ (サン以外のベンダーから購入するドライバ) は、Solaris の modunload(1M) 標準インタフェースをサポートしていません。切り離しに対して危険なデバイスドライバや、一時停止に対して危険なデバイスドライバについては、このインタフェースを使用して、ドライバの読み込みを解除しています。通常の操作中にドライバ機能を呼び出す状況は頻繁にありません。また、機能が足りなかったり、正しく働かない場合もあります。サンでは、サードパーティ製デバイスの適正確認や実装を行う段階で、そのデバイスに添付されているドライバの機能を実際にテストすることを推奨しています。