インストールプログラムを実行してソフトウェアをロードすることだけが SunOS 4.x を Solaris 2.6 に移行するときに必要な作業ではありません。通常は、SunOS 4.x のシステム内にデータが存在するので、それらのデータを Solaris 2.6 システムに転送しなければなりません。これらのデータとしては、/home のようにファイルシステム全体の場合や、/etc/hosts や /etc/passwd のように、ローカルごとにカスタマイズされたシステムファイルの場合があります。
データ転送についてどのような方法を計画する場合でも、インストールを始める前に、フルダンプを行なって全ディスクパーティションをバックアップしてください。Solaris 2.6 環境ではデバイス名の規則が変更されているため、誤認が発生して、Solaris 2.6 をインストールしたディスクを間違える可能性もあります。インストールを開始する前にファイルシステムをバックアップすることにより、このようなミスを未然に防ぐことができます。デバイス命名規則の詳細については、「デバイス命名規則」を参照してください。
ファイルシステムのフォーマットについて、次のことに注意してください。
Solaris 2.6 の Extended Fundamental Types (EFT) を使用していない場合、SunOS 4.x で使用されているファイルシステムフォーマットは、ソフトウェアで上位互換、または、場合によっては同じフォーマットになります。
QuickCheck や Backup CoPilotTM をインストールして SunOS 4.1.1 を実行している場合や、SunOS 4.1.2 を実行している場合は、ファイルシステムのフォーマットは同じです。
QuickCheck や Backup CopilotTM をインストールせずに SunOS 4.1.1 を使用している場合、または SunOS 4.0.x や SunOS 4.1 を使用している場合は、フォーマットはすべて同じとは限りませんが、上位互換と下位互換のフォーマットとなります。
インストールを開始する前に、システム内の既存のディスクパーティションのハードコピーを出力してください。このような情報をディスク上に保存すると、インストールの際に上書きされる可能性があります。Solaris 2.6 システムを構成するときに多くの決定を下す必要がありますが、既存のディスクパーティション情報を保存しておくと、決定を下す際の参考資料となります。ディスクパーティション情報を出力する方法の 1 つを説明します。
ディスクパーティション情報を保存します。
各ディスクにコード化された形で記録されているパーティション情報を調べるために、dkinfo(8) コマンドを使用します。この出力をプリンタへパイプにより接続します。または、他のシステムに保存するために、リダイレクト先のファイルを指定します。
このコマンドを使用した場合、構成が行われているパーティションの情報だけが得られます。構成が行われていないすべてのパーティションは、「No such device or address.」というメッセージとともに表示されます。
ファイルシステム名 (例: /usr、/home) とデバイス名 (例: /dev/sd0g) とのマッピングは、構成ファイル /etc/fstab に常駐しています。先に進む前に、/etc/fstab ファイルの印刷コピーを 1 部作成しておき、Solaris 2.6 ファイルの作成に役立ててください。
アンバンドル製品である SPARCserverTM Manager や Solstice DiskSuite を実行しているシステムをアップグレードする場合は、この節を読んでください (これらの製品は、複数のディスクのミラーリング、連結、ストライピングを行うために使用します)。
これらの製品を使用しないでシステムをアップグレードする場合、多重パーティションの構成を単一パーティションに変更しなければなりません。特に、連結やストライピングが行われていたファイルシステムは 1 つのディスクに再構成しなければなりません。また、多重パーティションで使用していたパーティションやミラーリング用のパーティションは使用できなくなります。
アップグレードを行いたいシステムで、SPARCserverTM Manager や Solstice DiskSuite を動作させている場合は、Solaris 2.6 ソフトウェアをインストールする前に、メタデバイスの構成情報を保存してください。こうすることにより、Solaris 2.6 ソフトウェアをインストールした後で、メタデバイスの状態を復元できるほか、システムに接続されるディスクのリストを作成する際に、参照することができます。
次の例のように metastat(8) コマンドを使用して、情報をプリンタに出力します。
# /etc/metastat -p | lpr |
たとえば、次のように入力します。
# /etc/metadb -i | lpr |
metadb の出力からは、状態データベースの構成情報がわかります。Solstice DiskSuite を再度インストールする場合は、状態データベースを再構築するために、この情報が必要になります。
バックアップして、Solaris 2.6 ソフトウェアのインストール後に復元したい SunOS 4.x ファイルとファイルシステムのリストを作成する必要があります。
既存の SunOS 4.x 環境にあるすべてのシステムコンポーネントのリストを作成して、ユーザのシステムにとって重要なものを決定します。次のことを考慮してください。
ローカルに開発されたアプリケーション
バンドルされていないすべてのソフトウェア製品
サードパーティのアプリケーション
サードパーティの周辺装置とドライバ (たとえば、8mm テープドライバおよび SBus カード)
次のガイドラインに従って、保存するファイルシステムのリストを作成してください。
ローカルに変更されたデータファイル、および管理データ用としてサーバが依存するファイルは、抽出して保存してください。後者の例としては、/etc/hosts などいくつかの /etc ファイル、エクスポートされたファイルシステム (exportfs コマンドでリスト表示可能)、/trtpboot ディレクトリなどが挙げられます。これらは安全のために保存すべきファイルです。
spool やユーザのホームディレクトリのような、ローカルに生成されたデータだけを持つファイルシステムは完全に保存してください。
SunOS 4.x クライアント用にサーバを移行している場合は、クライアントに関する情報を持つファイルシステムを保存してください。このようなファイルの代表例は /export です。
Solaris プラットフォーム用にマージしたり変換できる SunOS 4.x システム構成ファイルはたくさんあります。以下の例のリストを使って、バックアップしたいシステム構成ファイルの選択に役立ててください。
このリストには推奨されるファイルが含まれています。各項目をよく調べた上で、サイトの構成に応じて項目をリストに追加したり、リストから削除してください。たとえば、サードパーティのソフトウェアベンダのディレクトリに特殊なファイルが含まれている場合は、それを保存する必要があります。
システムが NIS マスタサーバの場合は、NIS マスタディレクトリ (例: /etc) に入っているファイルをすべて保存する必要があります。さらに、NIS に追加したその他のマスタファイルもすべて保存してください。バックアップするファイルとして、次のものを推奨します。
./.cshrc
./.profile
./.login
./.logout
./.rhosts
./etc (システムが NIS クライアントであるか、またはネームサービスを使っていない場合)
./var/spool/calendar
./var/spool/cron
./var/spool/uucp
./var/nis (システムが NIS マスタサーバである場合)
./tftpboot 内のブートプログラム
Solaris 2.6 アップグレードに移したいファイルシステムのディスク空間の所要量リストを作成します。Solaris 2.6 インストレーションプログラムの実行時に SunOS 4.x ファイルシステム用にディスク空間を区分できるため、Solaris 2.6 ソフトウェアをインストールする時にこのリストを参照してください。
ネットワークを移行するときは、ユーザにとって最も便利な状況を想定して、SunOS 4.x からSolaris 2.6 ソフトウェアをインストールするシステムの順序を決定します。たとえば、サーバのアップグレードを始める前に、すべてのクライアントをアップグレードしたいと考えることもあります。最初にアップグレードするシステムとして、CD-ROM ドライブがローカル接続されている、スタンドアロンのシステムを選択するようにしてください。
しばらくの間は、SunOS 4.x と Solaris 2.6 システムの両方が混在するネットワークを管理することになるでしょう。そのため、計画の一部として、どちらを優先するか決定しておくべきです。たとえば、1 つのドメインをアップグレードし、システム管理のテストや内部で開発されたアプリケーションの移植を行なった後、ネットワーク環境全体をアップグレードすることも考えられます。