Solaris 2.x への移行

マニュアルページの構成の変更

マニュアルページの構成は、SVR4 構成と互換性を持つように変更されました。その結果、一部の節は名前が変更されています。たとえば、man(8)man(1M) になっています。

表 6-4 は、SunOS 5.6 のマニュアルページのディレクトリを示します。

表 6-4 SunOS 5.6 マニュアルページディレクトリ

/man ディレクトリ

内容 

接尾辞 

man1

ユーザコマンド 

1B - SunOS/BSD 互換コマンド 

 

 

1C - 通信コマンド 

 

 

1F - FMLI コマンド 

 

 

1S - SunOS コマンド 

man1M

システム管理コマンド 

 

man2

システムコール 

 

man3

ライブラリ関数 

3B - SunOS/BSD 互換ライブラリ 

 

 

3C - C ライブラリ関数 

 

 

3E - ELF ライブラリ関数 

 

 

3G - C ライブラリ関数 

 

 

3I - ワイド文字関数 

 

 

3K - カーネル VM ライブラリ関数 

 

 

3M - 数学関数 

 

 

3N - ネットワーク関数 

 

 

3R - RPC サービス関数 

 

 

3S - 標準入出力関数 

 

 

3T - スレッドライブラリ関数 

 

 

3X - その他のライブラリ関数 

man4

ファイル形式 

4B - SunOS/BSD 互換ファイル形式 

man5

ヘッダ、テーブル、マクロ 

 

man7

特殊ファイル 

 

man9

DDI/DKI 

 

man9E

DDI/DKI エントリポイント 

 

man9F

DDI/DKI カーネル関数 

 

man9S

DDI/DKI データ構造 

man コマンド検索パスのカスタマイズ

SunOS 4.x ソフトウェアでは、個々の man ディレクトリを、あらかじめ決められた順序に従って検索していましたが、 SunOS 5.6 ソフトウェアではユーザが検索パスを決めます。man コマンドは、man ページ構成ファイル man.cf に設定されたパスを使用します。

MANPATH 環境変数の各構成部分に、異なる man.cf ファイルを入れることができます。man.cf を変更して、検索の順序を変更することができます。たとえば、3c の前に 3b を検索するように指定できます。/usr/share/man ディレクトリ用の構成ファイルを次に示します。

#
# Default configuration file for the on-line manual pages.
#

MANSECTS=1,1m,1c,1f,1s,1b,2,3,3c,3s,3x,3i,3t,3r,3n,3m,3k,3g, ¥
3e,3b,9f,9s,9e,9,4,5,7,4b,6,l,n

MANSECTS に指定している引数は、利用できる man サブディレクトリの、man の次に付いている文字です。サブディレクトリの数は、各サブセクションに独自のディレクトリがあるため、このリリースでは大幅に増えています。この新しい構造は、man コマンドの性能を向上させ、検索パスをより細かく制御します。次の 2 つの図は、2 つのリリースのマニュアルディレクトリを比較したものです。

sunos4.1% ls /usr/share/man
man1/   man2/   man3/   man4/   man5/   man6/   man7/   man8/  
manl/   mann/

sunos5.6% ls /usr/share/man
man.cf  man1f/  man3/   man3g/  man3n/  man3x/  man6/   man9f/
man1/   man1m/  man3b/  man3i/  man3r/  man4/   man7/   man9s/
man1b/  man1s/  man3c/  man3k/  man3s/  man4b/  man9/   manl/
man1c/  man2/   man3e/  man3m/  man3t/  man5/   man9e/  mann/

whatis データベースと windex データベース

SunOS 4.x では、マニュアルページの目次とキーワードのデータベースを whatis と呼んでいましたが、SunOS 5.6 ソフトウェアでは、この情報は windex ファイルにあります。どちらのリリースでもデータベースの作成には catman コマンドを使用し、データベースを利用するには manapropos および whatis コマンドを使用します。

また次に示すように windex ファイルのフォーマットも whatis ファイルとは少し異なっています。

sunos4.1% man -k tset
tset, reset (1)    - establish or restore terminal characteristics

sunos5.6% man -k tset
reset  tset (1b)   - establish or restore terminal characteristics
tset   tset (1b)   - establish or restore terminal characteristics

man コマンドの使用

表 6-5 は、 SunOS 5.6 の man コマンドにさらに検索オプションがあることを示しています。

表 6-5 新しい man コマンドオプション

オプション 

説明 

-a

file name に一致するマニュアルページをすべて表示する。ページは見つかった順に続けて表示される。

-l

file name に一致するマニュアルページをすべて一覧表示する。このコマンドの出力で確認すれば、-s オプションでセクション番号を指定できる。

-s section-number

file namesection-number を検索する。SunOS 4.x ソフトウェアの man コマンドでは、オプションでセクション番号を指定することができたが、このリリースではセクション番号を -s に続けて指定しなければならない。

-F

file name で指定したファイルが見つかるまで man コマンドにすべてのディレクトリを検索させる。このオプションは windex データベースと man.cf ファイルの設定を無効にする。

SunOS 5.6 の man のコマンドの詳細については、man(1) のマニュアルページを参照してください。