この節では、AnswerBook2 のサーバーのソフトウェアをインストールする前に必要な条件と決定しておく事項について説明します。
この節は、文書サーバーシステムの管理者のみを対象としています。AnswerBook2 のクライアントの場合は、インストール作業は必要ありません。
この製品には、クライアントレベルのアクセス制御機能はありません。クライアントマシンから文書サーバーの URL にアクセスできる場合は、そのサーバー上の文書を表示できます。
この節の構成は、次のとおりです。
文書サーバーの管理方法の詳細については、文書サーバーソフトウェアをインストールしてから、AnswerBook2 インタフェースから利用できるオンラインヘルプを参照してください。
インストールを開始する前に、システムが 「ハードウェアとソフトウェアの要件」を満たしていることを確認し、「インストール形態の選択」で説明する、ソフトウェアのインストール先を決めてください。
インストールを開始する前に、AnswerBook2 サーバーソフトウェアのインストール先となるシステムが、表 9-2 と 表 9-3 のハードウェアおよびソフトウェアの要件を満たしていることを確認してください。
表 9-2 ハードウェアとソフトウェアの要件
構成要素 |
要件 |
---|---|
文書サーバーシステムのハードウェア |
SPARCstation 2 以上 (SPARCstation 5 を推奨) x86 ベースのコンピュータ |
オペレーティングシステム |
Solaris 2.6 (SPARC または Intel 版) |
Admin GUI と AnswerBook2 のクライアントのビューア |
HotJava、Netscape Navigator、Lynx などの HTML 3.2 対応ブラウザ |
表 9-3 ディスク容量の要件
ディレクトリパス |
説明 |
領域 |
---|---|---|
/usr/lib/ab2/ |
製品インタフェース用の実行可能ファイル、サーバーの処理ファイル、ライブラリファイル、およびグラフィックスと文書のソースファイルが入っています。 |
19.5M バイト |
/var/log/ab2/ |
カタログファイルと、ログ機能が有効になっている場合はログファイルが入っています。 |
0.01M バイト (サーバーへのアクセス量に応じて増加) |
/etc/init.d/ab2mgr |
サーバーの起動ファイル |
0.01M バイト |
また、実際のブックファイル用に、ある程度のディスク容量を確保する必要があります。必要量は、コレクションごとに異なります。
AnswerBook2 サーバーのソフトウェアをインストールする前に、インストール形態を検討する必要があります。
すべてを 1 つのシステムにインストールする方法
AnswerBook2 サーバーのソフトウェアと文書コレクションは、Solaris 2.6 Documentation CD に入っています。このサーバー製品の内容すべてを同一のシステムにインストールした場合、インストール処理が終了するとサーバーが起動し、すべての文書をクライアントに提供する準備ができます。詳細は、「ソフトウェアをインストールする」を参照してください。
サーバーと文書を別々のシステムにインストールする方法
あるシステムに文書サーバーのソフトウェアをインストールし、物理的に別なシステムに置かれた文書コレクションを参照するように設定することができます。この方法は、サーバーシステム上の使用可能なディスク容量が少ない場合や、他のシステム上に従来のコレクションが存在する場合に選択できます。この方法では、各コレクションをサーバーのデータベースに明示的に追加する必要がありますが、「ローカルにインストールされたコレクションを検出」機能では、これらのコレクションは検出されません。詳細は、「ソフトウェアをインストールする」を参照してください。
CD から実行する方法
ネットワークに接続されていない環境 (スタンドアロン) で作業している場合、または、オンライン文書をときどき表示するだけの場合、Solaris 2.6 Documentation CD から直接 AnswerBook2 サーバーを実行できます。次の手順に従ってください。
スーパーユーザーでログインしていることを確認します。
% su - |
ディレクトリ /cdrom/Solaris_2.6_Doc/ へ移動します。または、ファイルマネージャを起動して、そこへ移動します。
このディレクトリには 3 つのディレクトリと、1 つの実行可能スクリプト (ab2_cd) があります。
ここで cdrom は CD-ROM のマウントポイントです。
次のコマンドを実行します。
# ./ab2_cd |
http://localhost:8888 という URL を指定して文書サーバーにアクセスします。
ここで localhost は、CD ドライブが接続されているマシン名です。
CD からのサーバーの実行を停止するには、次のコマンドを入力します。
# /cdrom/Solaris_2.6_Doc/ab2_cd stop |
CD から直接文書サーバーを実行すると、速度が遅くなります。他のユーザーもこの文書サーバーにアクセスする場合には、この方法は推奨できません。
Solaris 2.6 Beta リリース以降で文書コレクションとサーバーソフトウェアが変更されているため、新しい文書サーバーソフトウェアや文書コレクションパッケージをインストールする前に、2.6 Beta 文書のコレクションパッケージを文書サーバーから削除する必要があります。
ab2admin -o del_coll を実行するか、Admin GUI で「リストからコレクションを削除」を使って、これらのコレクションを文書サーバーのデータベースから削除します。次に、新しいパッケージをインストールする前に、pkgrm を使ってパッケージをサーバーから削除します。
AnswerBook2 サーバーのソフトウェアをインストールするには、次の手順に従ってください。
Solaris Documentation CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
文書サーバーのマシンに root でログインし、ディレクトリをインストールするパッケージのある位置に変更します。
たとえば、SPARC 用のサーバーの場合、サーバーソフトウェアのパッケージへのパスは次のようになります。
# cd cdrom/Solaris_2.6_Doc/sparc/Product/ |
この場合、cdrom は CD-ROM ドライブのマウントポイントです。
pkgadd ユーティリティまたは swmtool ユーティリティを使って、次のサーバーソフトウェアのパッケージを選択します。
SUNWab2r (0.02M バイト) - ルートパーティションにインストールされ、構成ファイルと起動用のファイルが入っています。
SUNWab2s (0.21M バイト) - 文書処理を実行するための共有ファイルが入っています。
SUNWab2u (21.02M バイト) - サーバーと管理機能のための実行可能ファイルとバックエンド処理用のファイルが入っています。
サーバーパッケージをデフォルト以外のディレクトリにインストールするには、# pkgadd -d . -a none コマンドを使用します。このコマンドを実行すると、pkgadd ユーティリティから、ソフトウェアをインストールするディレクトリの指定を求めるプロンプトが表示されます。
必要であれば、サーバーを起動します。
パッケージをインストールすると、サーバーがデフォルトのポート番号 8888 を使用するように起動されます。起動しない場合は、次のコマンドを使って起動します。
# /usr/lib/ab2/bin/ab2admin -o start |
ブックコレクションをインストールします。
文書サーバーは、処理対象の文書がインストールされていなければ機能しません。コレクションは、Solaris 2.6 Documentation CD、または既存の文書コレクションや他の製品に添付のコレクションなど、他の位置からインストールできます。表 9-4 に、Solaris 2.6 Documentation CD で利用できる文書コレクションを示します。
表 9-4 Solaris 2.6 Documentation CD に含まれるブックパッケージ
パッケージ名 |
コレクションのタイトル |
---|---|
SUNWabe |
Solaris 2.6 User Collection |
SUNWAxg |
Solaris XGL 3.3 AnswerBook |
SUNWAxi |
Solaris XIL 1.3 AnswerBook |
SUNWapex |
PEX AnswerBook |
SUNWaman |
Reference Manual AnswerBook |
SUNWabsdk |
Solaris 2.6 Software Developer Collection Vol 1 |
SUNWaadm |
Solaris 2.6 System Administrator Collection Vol. 1 |
SUNWabadm |
Solaris 2.6 System Administrator AnswerBook Vol 2 |
SUNWakcs |
KCMS AnswerBook |
SUNWdtad |
Solaris Common Desktop Environment Developer AnswerBook |
SUNWabdev |
Solaris 2.6 Software Developer AnswerBook Vol 2 |
SUNWjabe |
Solaris 2.6 ユーザー Collection Vol. 1 (日本語) |
SUNWabeja |
Solaris 2.6 ユーザー AnswerBook Vol. 2 (日本語) |
SUNWjaadm |
Solaris 2.6 システム管理 Collection Vol. 1 (日本語) |
SUNWaadja |
Solaris 2.6 システム管理 AnswerBook Vol. 2 (日本語) |
SUNWamaja |
Solaris 2.6 リファレンスマニュアル AnswerBook (日本語) |
SUNWjabsd |
Solaris 2.6 ソフトウェア開発 Collection Vol. 1 (日本語) |
SUNWasdja |
Solaris 2.6 ソフトウェア開発 AnswerBook Vol. 2 (日本語) |
SUNWjdad |
Solaris 2.6 共通デスクトップ環境 1.2 開発者用 AnswerBook (日本語) |
pkgadd ユーティリティまたは swmtool ユーティリティを使って、新しいブックコレクションをサーバーにインストールします。
文書コレクションのパッケージは、Solaris 2.6 Documentation CD の次のディレクトリに入っています。
# cd cdrom/Solaris_2.6_Doc/common/Product/ |
この CD から文書コレクションのパッケージをインストールすると、各コレクションは pkgadd プロセスの実行中に文書サーバーのデータベースに自動的に追加されます。コレクションパッケージを他の位置からインストールする場合は、Admin GUI の「リストにコレクションを追加」機能または ab2admin -o add_coll コマンドを使って、これらのコレクションを文書サーバーのデータベースに追加する必要があります。
コレクションのパッケージがすでにシステムにインストールされている場合は、サーバーの「ローカルにインストールされたコレクションを検出」機能または ab2admin -o scan コマンドを使って、各コレクションを自動的に検出させ、サーバーの文書データベースに追加できます。
この機能は、ローカルにインストールされたパッケージに対してだけ有効です。
他のシステム上にある文書コレクションを提供するには、「リストにコレクションを追加」機能または ab2admin -o add_coll コマンドを使って、ab_cardcatalog または collinfo ファイルへの絶対パス名を指定します。たとえば、文書サーバーが imayoyo で、システム elsewhere 上のマニュアルコレクションを提供したい場合は、次のコマンドを使います。
# ab2admin -o add_coll -d /net/elsewhere/books/SUNWdtad |
(オプション) サーバーを登録します。
文書サーバーを他のユーザーにフェデレーテッド・ネーミング・サービス (FNS) 経由で自動検出させたい場合は、サーバーを登録する必要があります。サーバーを登録するには、次のコマンドを使います。
# /usr/lib/ab2/bin/ab2regsvr server_url |
上記の server_url は、このサーバーにアクセスするための完全修飾 URL です (たとえば、imayoyo.eng.sun.com:8888)。詳細は、「文書サーバーを登録する」を参照してください。
文書サーバーをサイトのサーバー群に組み入れるか、ユーザーが複数の文書サーバーから選択できるようにするには、フェデレーテッド・ネーミング・サービスを使ってサーバー名を登録できます。登録されていない文書サーバーの場合も、その URL がわかっていればアクセスできます。
サーバーを登録するには、ab2regsvr コマンドを使います。ab2regsvr コマンドを実行すると、システムの構成が検査され、使用中のネーミングサービスに応じて適切なサーバー用のネームスペースが設定されます。
サーバーを登録するには、次のコマンドを使います。
# /usr/lib/ab2/bin/ab2regsvr server_url |
この場合、server_url は、このサーバーにアクセスするための完全修飾 URL です (たとえば、imayoyo.eng.sun.com:8888)。
どのサーバーが現在登録されているかを調べるには、次のコマンドを使います。
% fnlookup -v thisorgunit/service/answerbook2 |
次のように登録されているサーバーリストが表示されます。
Reference type: onc_answerbook2 Address type: onc_addr_answerbook2 length: 19 data: 0x68 0x74 0x74 0x70 0x3a 0x2f 0x2f 0x61 0x6e 0x73 http://ans 0x77 0x65 0x72 0x73 0x3a 0x38 0x38 0x38 0x38 wers:8888 |
この例で、登録されているサーバーは answers:8888 です。
次のような応答が表示される場合は、登録されている文書サーバーはありません。
Lookup of 'thisorgunit/service/answerbook2' failed: Name Not Found: 'answerbook2' |
Solaris 環境には、次の 3 つの主要なネームサービスがあります。
NIS+ (Network Information Service Plus)
NIS+ は、Solaris 2.6 に使われる主要なネームサービスであり、クライアントサーバー環境の最近の発展を考慮して再設計された NIS の新しいバージョンです。NIS+ は、SunOS 5.0 (Solaris 2.0) リリースで採用されました。システムで NIS+ が使われている場合は、文書サーバー上で ab2regsvr を実行できます。これにより、thisorgunit/service/answerbook2 というエントリが作成されます。
NIS (Network Information Service)
NIS は、SunOS 4.x (Solaris 1.x) 環境の標準ネームサービスでした。システムで NIS が使われている場合は、NIS 管理者に連絡し、NIS マスターシステム上で ab2regsvr を実行して AnswerBook2 サーバー用のネームスペースを設定するように依頼する必要があります。
ファイルシステム
NIS も NIS+ も実行しないように選択しても、AnswerBook2 製品はすべての名前をデータファイルに手作業で入力するファイルシステム定義のネーミングシステムで機能します。この場合、これらのファイルはディレクトリ /var/fn に格納する必要があります。サーバーは、このディレクトリをエクスポートする必要があり、このサーバー上の文書へのアクセスを必要とするクライアントは、このディレクトリをマウントする必要があります。
上記のネームサービスを使って文書サーバーを検索する代わりに、環境変数 AB2_DEFAULTSERVER を使ってデフォルトの AnswerBook2 サーバーを定義できます。たとえば、.cshrc ファイルに次の行を挿入できます。
setenv AB2_DEFAULTSERVER http://imayoyo.eng.sun.com:8888 |
環境変数を定義していない場合は、AnswerBook2 をデスクトップから起動すると、fnlookup thisorgunit/service/answerbook2 コマンドが実行され、使用可能な文書サーバーが検索されます。次に、検出されたサーバーのいずれかが選択され、URL にそのサーバーの名前を使って AnswerBook2 ブラウザが起動されます。