表 8-1 に、この章で説明するブート方法について要約します。
表 8-1 SPARC: ブート方法の説明
システムのブート方法 |
このブート方法が必要な場合 |
参照先 |
---|---|---|
実行レベル 3 (NFS 資源を共有するマルチユーザー状態) |
システムを停止するか、またなんらかのシステムハードウェアの保守作業を行なった後。これはデフォルトのブートレベルで、すべての資源が利用でき、そしてユーザーがシステムにログインできる。 | |
実行レベル S (シングルユーザー状態) |
ファイルシステムのバックアップなどのなんらかのシステム保守作業を行なった後。このレベルでは、一部のファイルシステムだけがマウントされ、ユーザーはシステムにログインできない。 | |
対話方式でブート |
テストのために、システムファイルまたはカーネルを一時的に変更した後。このブート方法を使えば、システムファイルまたはカーネルに問題がある場合、プロンプトが表示されたときに、これらのファイルに対して別のパス名を指定すれば簡単に復元できる。他のシステムプロンプトにデフォルトの設定を使う。 | |
ローカル CD-ROM またはネットワークからブートして復元する |
システムの正常なブートを妨げている重要なシステムファイルを修復する。また、この形式のブートはオペレーティングシステムの新しいリリースをインストール (あるいは、アップグレード) するのにも使用する。 | |
kadb を使ってブート |
オペレーティングシステムのコアダンプを保存して、システムの障害を追跡する場合。 |
システムの電源を切ってから入れ直すと、マルチユーザーのブートシーケンスが開始されます。このあとに示す手順では、ok PROM プロンプトからさまざまな状態でブートする方法を説明します。
who -r コマンドを使って、システムが指定した実行レベルになっていることを確認します。
実行レベルの説明については、第 6 章「実行レベルとブートファイルの手順」を参照してください。
ok boot
自動ブート処理では、一連のスタートアップメッセージ表示して、システムを実行レベル 3 にします。
システムが実行レベル 3 になっていることを確認します。
ブートプロセスが正常に終了すると、ログイン画面か、ログインプロンプトが表示されます。
hostname console login:
次に、システムを実行レベル 3 にするメッセージの例を示します。
ok boot Resetting ... SPARCstation 10 (1 X 390Z50), Keyboard Present ROM Rev. 2.14, 32 MB memory installed, Serial #number. Ethernet address 8:0:20:1f:21:be, Host ID: number. Rebooting with command: Boot device: /iommu/sbus/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@3,0 File and args: SunOS Release 5.6 Version [UNIX(R) System V Release 4.0] Copyright (c) 1983-1997, Sun Microsystems, Inc. configuring network interfaces: le0. Hostname: venus The system is coming up. Please wait. checking ufs filesystems /dev/rdsk/c0t3d0s7: is clean. /dev/rdsk/c0t3d0s5: is clean. NIS domainname is solar.com starting rpc services: rpcbind keyserv nis_cachemgr kerbd done. Setting netmask of le0 to 255.255.255.0 Setting default interface for multicast: add net 224.0.0.0: gateway venus syslog service starting. volume management starting. The system is ready. venus console login:
boot -s コマンドを使って、システムを実行レベル S にします。
ok boot -s
次のメッセージが表示されたら、root パスワードを入力します。
INIT: SINGLE USER MODE Type Ctrl-d to proceed with normal startup, (or give root password for system maintenance): xxx
who -r コマンドを使って、システムが実行レベル S になっていることを確認します。
# who -r . run-level S May 2 07:39 3 0 S
システム保守作業の後に、システムをマルチユーザー状態にするには、Control-d を押します。
次に、実行レベル S になるシステムの表示例を示します。
ok boot -s . . . SunOS Release 5.6 Version [UNIX(R) System V Release 4.0] Copyright (c) 1983-1997, Sun Microsystems, Inc. configuring network interfaces: le0. Hostname: mars INIT: SINGLE USER MODE Type Ctrl-d to proceed with normal startup, (or give root password for system maintenance): xxx Sun Microsystems Inc. SunOS 5.6 August 1997 # who -r . run-level S June 2 07:45 S 0 ? <保守作業を行う> # <Control-d を押す>
boot -a コマンドを使って、システムを対話方式でブートします。
ok boot -a
表 8-2 で説明するとおり、システムプロンプトに答えてください。
表 8-2 SPARC: 対話方式によるブート処理手順
表 8-2 の質問に答えるようなプロンプトが表示されない場合、boot -a コマンドを正しく入力していることを確認してください。
次の例では、利用できるデフォルトの選択例 ([]で囲まれています) を示します。
ok boot -a . . . Resetting ... Rebooting with command: -a Boot device: /iommu/sbus/espdma@f,400000/esp@f,800000/sd@3,0 File and args: -a Enter filename [kernel/unix]: Return Enter default directory for modules [/platform/SUNW,SPARCstation-10/kernel /kernel /usr/kernel]: Return SunOS Release 5.6 Version [UNIX(R) System V Release 4.0] Copyright (c) 1983-1997, Sun Microsystems, Inc. Name of system file [etc/system]: Return root filesystem type [ufs]: Return Enter physical name of root device [/iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/espdma@f,400000/esp@f,800000 /sd@3,0:a]: Return configuring network interfaces: le0. Hostname: earth The system is coming up. Please wait. . . . The system is ready. earth console login:
この手順は、/etc/passwd などの重要なファイルに、無効なエントリがあり正常にブートできない場合に必要です。
システムのデバイス名を調べたい場合は、第 20 章「デバイスへのアクセス」を参照してください。
Solaris 2.x インストール CD またはネットワークからブートしているかどうかによって、次のそれぞれの手順に従ってください。
ファイル内に無効なエントリがあるファイルシステムをマウントします。
# mount /dev/dsk/device-name /a
新しくマウントしたディレクトリに変更します。
# cd /a/directory
端末タイプを設定します。
# TERM=sun # export TERM
エディタを使って、ファイルから無効な入力を削除します。
# vi filename
ルート (/) ディレクトリに変更します。
# cd /
/a ディレクトリのマウントを解除します。
# umount /a
システムをリブートします。
# init 6
システムが実行レベル 3 になっていることを確認します。
ブートプロセスが正常に終了すると、ログイン画面かログインプロンプトが表示されます。
hostname console login:
次に、ローカル CD-ROM からブートした後、重要なシステムファイルを修復する例として、/etc/passwd を使用した場合を示します。
ok boot cdrom -s # mount /dev/dsk/c0t3d0s0 /a # cd /a/etc # TERM=sun # export TERM # vi passwd (無効なエントリを削除する) # cd / # umount /a # init 6
アボートキーシーケンスは、キーボードのタイプによって異なります。たとえば、Stop-A か L1-A を押します。端末では、Break キーを押します。
システムのアボートキーシーケンスを入力します。
モニターが ok PROM プロンプトを表示します。
ok
sync コマンドを使って、ディスクを同期させます。
ok sync
syncing file systems. . . というメッセージが表示されたら、システムのアボートキーシーケンスをもう一度押します。
該当する boot コマンドを入力して、ブートプロセスを起動します。
システムが指定した実行レベルになっていることを確認します。
# who -r . run-level 3 May 2 07:39 3 0 S
<Stop-a を押す> ok sync syncing file systems... <Stop-a を押す> ok boot
問題の解決のために、状況によっては、オペレーティングシステムのクラッシュダンプを保存しておく必要があります。savecore コマンドを使って、この機能を有効します。/etc/init.d/sysetup スクリプトを編集して、自動的に保存することができます。
savecore 機能とその設定方法は、第 69 章「システムクラッシュ情報の生成と保存」に記載されています。この節では、savecore 機能が有効な場合に、システムをリブートする方法だけを説明します。
システムのアボートキーシーケンスを入力します。アボートキーシーケンスは、キーボードのタイプによって異なります。たとえば、Stop-A または L1-A を押します。端末では、Break キーを押します。
モニターに ok PROM プロンプトが表示されます。
ok プロンプトで、sync コマンドを使ってディスクを同期させ、クラッシュダンプを書き出します。
> n ok sync
クラッシュダンプがディスクに書き出されると、システムはそのままリブートします。
クラッシュダンプがディスクに書き込まれた後、システムはリブートを続けます。
システムが実行レベル 3 になっていることを確認します。
ブートプロセスが正常に終了すると、ログイン画面かログインプロンプトが表示されます。
hostname console login:
<Stop-a を押す> ok sync
システムのアボートキーシーケンスを入力します。アボートキーシーケンスは、キーボードのタイプによって異なります。たとえば、Stop-A または L1-A を押します。端末では、Break キーを押します。
モニターに、ok PROM プロンプトが表示されます。
ok プロンプトで 、sync コマンドを使ってディスクを同期させ、クラッシュダンプを書き出します。
> n ok sync
syncing file systems. . .メッセージが表示されたら、もう一度システムのアボートキーシーケンスを入力します。
カーネルデバッガを使ってシステムをブートします。
ok boot kadb
ブートメッセージで、システムがカーネルデバッガ (kadb) を使用してブートしていることを確認します。
Rebooting with command: kadb Boot device: /iommu/sbus/espdma@4,800000/esp@4,8800000/sd@3,0 . . .
<Stop-a を押す> ok sync syncing file systems... <Stop-a を押す> ok boot kadb