スタンドアロンシステムでのソフトウェアの管理は、パッケージのインストール用ツールと規則を理解すれば、かなり簡単なものです。ソフトウェアパッケージをシステムのローカルディスクにインストールするだけで、そのソフトウェアを使用できるようになります。しかし、クライアントシステム上でソフトウェアを管理する方法は、これよりも難しくなります。ソフトウェアがサーバーとクライアントに分かれて置かれる場合には特に困難です。(たとえば、1 つのソフトウェアに、クライアントのルートファイルシステムにインストールされるファイルを持つパッケージと、クライアントが通常サーバーからマウントする /usr ファイルシステムにインストールされるファイルを持つパッケージがある場合などです。)
Solaris は、ディスクレスクライアントと Solstice AutoClient システムをサポートしています。ディスクレスクライアントと AutoClient システムでは、すべてのソフトウェアがサーバー上に置かれます。たとえば、ソフトウェアパッケージをディスクレスクライアントに追加する場合、ローカルディスクに記憶デバイスがないため、実際にはそのクライアントにパッケージをインストールしません。代わりに、サーバー、またはクライアントのルートファイルシステム (サーバー上にある)、あるいはこの両方にパッケージを追加します。ディスクレスまたは AutoClient システムのルートファイルシステムは、通常、サーバー上の /export/root/hostname です。
AutoClient システムには、ディスク領域がありますが、これはキャッシュのためにのみ使用されます。ソフトウェアはサーバー上に置かれます。(詳細は『Solstice AutoClient 2_1 Administration Guide』を参照してください。)
ディスクレスクライアントと AutoClient システムは、そのルートファイルシステムとサーバーの /usr (または他の共有ファイルシステム) に分かれてインストールされる場合があるため、ソフトウェアパッケージをこれらのクライアントに追加するときには、ソフトウェアパッケージがどのファイルシステムにインストールされるかを知る必要があります。
ディスクレスクライアントと AutoClient システムにパッケージを追加する場合は、これらのパッケージのファイルがどこにインストールされるかを知る必要があります。つまり、クライアントのルートファイルシステムか、サーバーの /usr ファイルシステム (またはクライアントと共有される他のいずれかのファイルシステム) のどちらかです。
Sun ソフトウェアパッケージの多くは、そのインストール場所を示すように命名されています。たとえば、SUNWvolr パッケージはルートファイルシステムにインストールされ、SUNWvolu パッケージは /usr ファイルシステムにインストールされます。「r」という接尾辞はルートを、「u」という接尾辞は /usr を表します。しかし、Sun パッケージのファイルのインストール場所を判断する最も確実な方法は、SUNW_PKGTYPE
パラメータを調べることです。これは、パッケージの pkginfo ファイルに設定されています。pkginfo ファイルを調べるためのインタフェースについては、「パッケージファイルのインストール場所を決定する方法」で説明します。
Sun パッケージの一部には、対応する SUNW_PKGTYPE
パラメタがありません。これらのパッケージは、通常、/opt にインストールされるように設定されています。Sun パッケージに SUNW_PKGTYPE
パラメタ値がないときは、それをインストールするときに、サードパーティパッケージとして扱ってください。(詳細については、「サードパーティパッケージをサーバーおよびクライアントへインストールする」を参照してください。)
ディスクレスクライアントまたはデータレスクライアントに Sun パッケージをインストールするときは、表 16-2 の一般的なガイドラインに従ってください。
表 16-2 クライアントへの Sun パッケージのインストール
パッケージファイルのインストール場所 |
パッケージのインストール場所 |
---|---|
クライアントまたはクライアントのルートファイルシステム |
|
サードパーティパッケージは、SUNW_PKGTYPE
パラメタを使用しません。このため、パッケージファイルのインストール場所を判断する簡単な方法はありません。最も確実な方法は、パッケージの pkgmap ファイルを調べることです。この情報に基づいて、表 16-2 のガイドラインに従いインストールを行うことができます。ただし、パッケージの pkgmap ファイルを調べる手間を省きたい場合は、次の手順に従ってください。これは、サードパーティパッケージをディスクレスクライアントおよび AutoClient システムにインストールするための最も安全な方法です。
サーバーにソフトウェアをインストールします。サーバーがクライアントと共有するすべてが更新されます。(これは、サーバーとクライアントが、同じバージョンの Solaris ソフトウェアを実行し、同じハードウェアプラットフォームで実行されていることを前提としています。たとえば、両方とも x86 システムであるか、両方とも SPARC システムであるなどです。)
ソフトウェアをクライアントにインストールします。使用しているのが pkgadd コマンドか Admintool のいずれであっても、これはクライアントに適したファイルだけをインストールします。pkgadd コマンドまたは Admintool は、サーバーからマウントされたファイルシステムで、すでに存在するソフトウェアはインストールしません。これは、そのソフトウェアが、クライアントによりすでに使用可能になっているためです。
次の場合には、クライアントとサーバーにおけるソフトウェア管理がさらに複雑になります。
サーバーが、クライアントと異なるリリースの Solaris を実行している場合。たとえば、サーバーが Solaris 2.5 を実行していて、Solaris 2.3 のディスクレスクライアントにサービスを提供している場合などです。
サーバーとクライアントのハードウェアプログラムプラットフォームが異なる場合。たとえば、サーバーが SPARC システムで、x86 システムであるディスクレスクライアントにサービスを提供している場合などです。
これらは異機種環境と呼ばれます。異機種環境のソフトウェアを管理する場合は、まずサーバーのクライアントに適した正しい Solaris とアーキテクチャサービスを追加する必要があります。これには、ホストマネージャを使用して、モニターに「サービスを追加」します (詳細については、第 4 章「サーバーとクライアントサポートの管理の手順」を参照してください)。
異機種環境でパッケージを追加する方法の詳細については、「異機種クライアント / サーバー環境でのパッケージの追加」を参照してください。