Solaris のシステム管理

第 56 章 システム情報の確認と変更

この章では、最も一般的なシステム情報を確認および変更するために必要な手順を示します。

コマンドを使用したシステム情報の表示

表 56-1 で、一般システム情報を表示できるコマンドのマニュアルページと説明を示します。

表 56-1 システム情報表示用コマンド

コマンド 

表示できるシステム情報 

showrev(1M)

ホスト名、ホスト ID 番号、リリース、カーネルアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、ハードウェアプロバイダ、ドメイン、およびカーネルのバージョン。 

uname(1)

オペレーティングシステム名、リリース、バージョン、ノード名、ハードウェア名、プロセッサタイプ 

hostid(1)

ホスト ID 番号 

prtconf(1M)

インストールされているメモリー量 

date(1)

日時 

システムとソフトウェアのリリース情報を表示する方法

特定のシステムとソフトウェアのリリース情報を表示するには、showrev コマンドを使用します。

$ showrev [-a]

-a

利用できるすべてのシステムのリリース情報を表示する。 

例 - システムとソフトウェアのリリース情報を表示する

次の例は、showrev コマンドの出力を示しています。

$ showrev -a
Hostname: pluto
Hostid: 5721864d
Release: 5.6
Kernel architecture: sun4cm
Application architecture: sparc
Hardware provider: Sun_Microsystems
Domain: solar.com
Kernel version: SunOS 5.6 Generic August 1997

OpenWindows version:
OpenWindows Version 3.6 January 1997
No patches are installed
$ 

一般システム情報を表示する方法 (uname)

システム情報を表示するには、uname コマンドを次のように入力します。

$ uname[-a] 

-a

オペレーティングシステム名の他に、システムノード名、オペレーティングシステムのリリース、オペレーティングシステムのバージョン、ハードウェア名、プロセッサタイプも表示する。 

例 - 一般システム情報を表示する

次は uname コマンドからの出力例です。

$ uname
SunOS
$ uname -a
SunOS pluto 5.6 Generic sun4m sparc SUNW,SPARCstation-5
$

システムのホスト ID 番号を表示する方法

ホスト ID 番号を 16 進形式で表示するには、次のように hostid コマンドを使用します。

$ hostid

例 - システムのホスト ID 番号を表示する

次は hostid コマンドからの出力例です。

$ hostid
7725ac42

システムにインストールされているメモリーを表示する方法

システムにインストールされているメモリー量を表示するには、次のように prtconf コマンドを使用します。

$ prtconf [| grep Memory]

grep Memory

このコマンドからの出力の表示をメモリー情報だけに限定する。 

例 - システムにインストールされているメモリーを表示する

次は prtconf コマンドからの出力例です。

# prtconf | grep Memory
Memory size: 56 Megabytes

日時を表示する方法

システムクロックに従った現在の日時を表示するには、次のように date コマンドを使用します。

$ date

例 - 日時を表示する

次は date コマンドからの出力例です。

$ date
Thu Mar  6 09:06:52 MST 1997
$

コマンドを使用したシステム情報の変更

表 56-2 で、一般システム情報を変更できるコマンドのマニュアルページと説明を示します。

表 56-2 システム情報変更用コマンド

コマンド 

対象システム情報とコマンドの機能 

rdate(1M)

日時を別のシステムの日時に合わせる 

date(1)

日時を自分の指定に合わせる 

これらのコマンドを使用することにより、システムの日時を設定して、サーバーなど別のシステムの日時と同期させることができます。または、新しい日時を指定して、システムの日時を変更できます。

本日のメッセージ (MOTD) 機能のメッセージは /etc/motd にありますが、それらのメッセージを使用して、システムのすべてのユーザーにログイン時に通知や問い合わせを送ることができます。ただし、この機能の利用は控え目にして、このファイルを定期的に編集して無用になったメッセージを削除するようにしてください。

/etc/system ファイルを編集することにより、次のことが可能です。

他のシステムの日時に同期させる方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 日時を設定し直して別のシステムに同期させるには、次のように rdate コマンドを使用します。

    # rdate other-system-name
    

    other-system-name

    別のシステム名 

  3. rdate を使用してシステムの日時の設定が変更できたことを確認するには、date コマンドを使用してシステムの日時を調べます。

    出力は同期させた別のシステムの日時に一致するはずです。

例 - 他のシステムの日時に同期させる

次の例は、どのように rdate を使用してシステムの日時を別のシステムに同期させるかを示しています。この例では、数時間遅れていたシステム neptune の日時の設定が変更されてサーバー pluto の日時と一致しています。

neptune$ date
Thu Mar  6 09:07:34 MST 1997
neptune$ rdate pluto
Thu Mar  6 09:08:29 1997
neptune$ date
Thu Mar  6 09:08:32 MST 1997

システムの日時を手作業で設定する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のように新しい日時を入力します。

    # date mmddHHMM[[cc]yy]
    

    mm

    月。2 桁を使用。 

    dd

    日。2 桁を使用。 

    HH

    時。2 桁で 24 時間制を使用。 

    MM

    分。2 桁を使用。 

    cc

    世紀。2 桁を使用。 

    yy

    年。2 桁を使用。 

  3. オプションを指定しないで date コマンドを使用してシステムの日時をチェックすることによって、システムの日付が正しくリセットされていることを確認します。

    出力は、他のシステムと同じ日時を示すはずです。

例 - システムの日時を手作業で設定する

次の例は、どのように date を手作業で使用してシステムの日時を設定するかを示しています。

# date
Thu Mar  6 09:10:20 MST 1997
# date 030609121997
Thu Mar  6 09:12:00 MST 1997

本日のメッセージを設定する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. エディタを使って、/etc/motd ファイルをオープンします。

  3. テキストを編集して、スペース、タブ、復帰改行を含めて、ユーザーログインプロセスの一部として表示されるメッセージを挿入します。

  4. ファイルをクローズして変更結果を保存します。

  5. /etc/motd の内容を表示することによって、変更を確認します。

    $ cat /etc/motd
    Welcome to the UNIX Universe.           Have a nice day.

例 - 本日のメッセージを設定する

デフォルトの本日のメッセージは、Solaris ソフトウェアのインストール時に提供されます。メッセージの内容は次のような SunOS バージョン情報です。

$ cat /etc/motd
Sun Microsystems Inc   SunOS 5.6    Generic     August 1997

次に編集後の /etc/motd ファイルの例を示します。このファイルは、ログインする各ユーザーに対してシステムの利用度に関する情報を提供します。

$ cat /etc/motdThe system will be down from 7:00 a.m to 2:00 p.m.on
Saturday, August 5, for upgrades and maintenance.
Do not try to access the system during those hours.
Thank you...

ユーザー当たりのプロセス数を設定する方法

  1. エディタを選んで、/etc/system ファイルをオープンします。

  2. /etc/system ファイルに次の行を追加します。

    set maxuprc=value
    

    value

    1 人のユーザーが同時に実行できるプロセス数 

  3. /etc/system ファイルをクローズして、変更結果を保存します。

  4. maxuprc 値の変更を確認します。

    # grep maxuprc /etc/system
    set maxuprc=100

    
    
    

  5. システムをリブートします。

例 - ユーザー当たりのプロセス数を設定する

次の例は、各ユーザーが 100 プロセスを実行できるようにする場合に /etc/system ファイルに追加する行を示しています。

set maxuprc=100

疑似 tty 数を増加する方法

  1. エディタを選んで、/etc/system ファイルをオープンします。

  2. /etc/system ファイルに次の行を追加します。

    set pt_cnt=value
    set npty=same_value_as_pt_cnt
    set sad_cnt=2_times_pt_cnt valueset nautopush=same_value_as_ pt_cnt

    set pt_cnt

    System V の疑似 tty 数を設定する。 

    set npty

    BSD の疑似 tty 数を設定する。 

    set sadcnt

    STREAMS のアドレス可能デバイス数を設定する。 

    set nautopush

    STREAMS の自動プッシュエントリ数を設定する。この数は、sadcnt の値の 2 倍になる。

  3. /etc/system ファイルをクローズして変更結果を保存します。

  4. pt_cnt 値の変更を確認します。

    # grep pt_cnt /etc/system
    set pt_cnt=256
  5. 次のように入力して、リブート時にシステムを再構成するようにシステムに指示します。

    $ touch /reconfigure
    
  6. システムをリブートします。

例 - 疑似 tty 数を増加する

次の例は、疑似 tty 数を 128 に増加しています。

set pt_cnt=128
set npty=128
set sadcnt=256
set nautopush=128

ロック要求数を増加する方法

デフォルトでは、同時に発生する可能性のあるロック要求数は、512 です。ログアウトするとき、ユーザーは、ファイル (utmp を含む) をロックします。512 人より多いユーザーが同時に (数秒のうちに) ログアウトする場合、許可されるファイルロック数を増やさなければなりません。

  1. エディタを選んで、/etc/system ファイルをオープンします。

  2. /etc/system ファイルに次の行を追加して、ロック要求の数を増やします (デフォルトは 512)。

    set tune_t_flckrec=value
    
  3. /etc/system ファイルをクローズして変更結果を保存します。

  4. tune_t_flckrec 値の変更を確認します。

    # grep tune_t_flckrec /etc/system
    set tune_t_flckrec=value
    
  5. システムをリブートします。

例 - ロック要求数を増やす

次の例は、ロック要求数を 1024 に増加させます。

set tune_t_flckrec=1024

共有メモリーセグメント数を増加する方法

  1. エディタを選んで、/etc/system ファイルをオープンします。

  2. 次の変数を追加して、共有メモリーセグメントを増やします。

    set shmsys:shminfo_shmmax=value
    set shmsys:shminfo_shmmin=value
    set shmsys:shminfo_shmmni=value
    set shmsys:shminfo_shmseg=value
    set semsys:seminfo_semmap=value
    set semsys:seminfo_semmni=value
    set semsys:seminfo_semmns=value
    set semsys:seminfo_semmsl=value
    set semsys:seminfo_semmnu=value
    set semsys:seminfo_semume=value
    
    shmsys:shminfo_shmmax

    共有メモリーセグメントの最大サイズ 

    shmsys:shminfo_shmmin 

    共有メモリーセグメントの最小サイズ 

    shmsys:shminfo_shmmni 

    共有メモリー識別子数 

    shmsys:shminfo_shmseg 

    プロセスごとのセグメント数 

    semsys:seminfo_semmap 

    セマフォマップ中のエントリ数 

    semsys:seminfo_semmni 

    セマフォ識別子数 

    semsys:seminfo_semmns

    システム中のセマフォ数 

    semsys:seminfo_semmsl

    ID ごとの最大セマフォ数 

    semsys:seminfo_semmnu 

    undo 機能を使用するプロセス数

    semsys:seminfo_semume

    プロセスごとの最大 undo 構造数

  3. /etc/system ファイルをクローズして変更結果を保存します。

  4. 共有メモリー値の変更を確認します。

    # grep shmsys /etc/system
    
  5. リブートします。

例 - 共有メモリーセグメントを増加する

次の共有メモリー値は、大きなデータベースアプリケーションを実行する、多量のメモリー (たとえば 128 M バイト) を持つシステムに対応させます。

set shmsys:shminfo_shmmax=268435456
set shmsys:shminfo_shmmin=200
set shmsys:shminfo_shmmni=200
set shmsys:shminfo_shmseg=200
set semsys:seminfo_semmap=250
set semsys:seminfo_semmni=500
set semsys:seminfo_semmns=500
set semsys:seminfo_semmsl=500
set semsys:seminfo_semmnu=500
set semsys:seminfo_semume=100