プリンタを設定し終わった後に、何も印刷されないことがあります。また、若干は処理されるものの、何か印刷しても正しく出力されない、または読みづらいなど、期待どおりの結果が得られないことがあります。このような問題が発生すると、他にも次のような問題が発生することがあります。
LP コマンドがハングする
プリンタがアイドル状態になる
ユーザーが矛盾したメッセージを受け取る
この章の推奨事項の多くはパラレルプリンタに関連しますが、より一般的なシリアルプリンタにも当てはまります。
Solaris 2.6 リリースをインストールした後 Admintool を使用してリモートプリンタへのアクセスを追加しようとすると、次のメッセージが表示される場合があります。
Admintool: Error add remote printer failed
この場合は、SunSoft 印刷クライアントソフトウェアがネットワークにインストールされていて、リモートプリンタがすでに利用できる可能性があります。プリンタを追加する前に lpstat -t コマンドを使用して、プリンタが利用できるかどうかを確認してください。
何も印刷されないときは、次の部分をチェックします。
プリンタハードウェア
ネットワーク
LP 印刷サービス
バナーページは印刷されるのに、他には何も印刷されない場合は、不正な出力の特殊ケースです。「出力が正しくない場合の解決方法」を参照してください。
ハードウェアは、最初にチェックすべきポイントです。文字どおり、プリンタが電源に接続され、電源がオンになっているかどうかを確認してください。また、ハードウェア付属のマニュアルを参照して、ハードウェアの設定値を調べてください。コンピュータによっては、プリンタポートの特性を変更するハードウェアスイッチが付いているものがあります。
プリンタハードウェアには、プリンタ、コンピュータへの接続ケーブル、ケーブルの先端を接続するポートが含まれます。一般的なアプローチとしては、プリンタからコンピュータへと順番に調べてください。まず、プリンタをチェックします。次に、ケーブルがプリンタに接続される箇所をチェックします。次に、ケーブルをチェックします。最後に、ケーブルがコンピュータに接続されている箇所をチェックします。
よく問題が発生するのは、印刷クライアントから印刷サーバーに送られるリモート印刷要求です。印刷サーバーと印刷クライアント間でネットワークアクセスが使用可能になっているかどうかを確認してください。
ネットワークがネットワーク情報サービスプラス (NIS+) を実行している場合は、システム間のアクセスを使用可能にする方法について、『NIS+ と FNS の管理』を参照してください。ネットワークがネットワーク情報サービス (NIS) または NIS+ を実行していない場合は、印刷サーバーと印刷クライアントを設定する前に、各クライアントシステムのインターネットアドレスとシステム名を、印刷サーバー上の /etc/hosts ファイルに組み込んでください。また、印刷サーバーのインターネットアドレスとシステム名を、各印刷クライアントシステムの /etc/hosts ファイルに組み込まなければなりません。
正常に印刷するには、印刷サーバーと印刷クライアント上で LP スケジューラが動作していなければなりません。動作していない場合は、/usr/lib/lp/lpsched コマンドを使用して起動する必要があります。スケジューラの起動に問題がある場合は、「印刷スケジューラを再起動する方法」を参照してください。
スケジューラが動作していることの他に、出力を行う前にプリンタが使用可能になっていて、印刷要求を受け付けられる状態になっていなければなりません。LP 印刷サービスがプリンタへの要求を受け付けなければ、依頼した印刷要求は拒否されます。その場合、一般にユーザーは印刷要求を依頼すると警告メッセージを受け取ります。LP 印刷サービスがプリンタで使用可能になっていないと、印刷要求はプリンタが使用可能になるまでシステム上の待ち行列に残ります。
一般に、次のようにして印刷時の問題を分析してください。
手順ごとに印刷要求の経路を追跡します。
手順ごとに LP 印刷サービスの状態を調べます。
構成は正しいか
プリンタは要求を受け付けるか
プリンタは要求を処理できるか
要求が転送時にハングしている場合は、syslog.conf 内の lpr.debug を設定して、転送状況を表示します。
要求がローカルでハングしている場合は、プリンタデバイスエラー (障害) の通知を送らせ、プリンタを再度使用可能にします。
「印刷時の問題の解決」に掲載されている手順では、この方法を使用して LP 印刷サービスに関する各種の問題に対処する方法を説明します。
LP 印刷サービスの基本的な問題解決の手順で問題を解決できない場合は、当てはまる特定のクライアント/サーバーのケースごとに問題解決の手順を実行する必要があります。
SunOS 5.x 印刷サーバーを使用する SunOS 5.x 印刷クライアント (操作説明については、「SunOS 5.x クライアントから SunOS 5.x 印刷サーバーへの印刷をチェックするには」を参照)
SunOS 4.1 印刷サーバーを使用する SunOS 5.x 印刷クライアント (操作説明については、「SunOS 5.x クライアントから SunOS 4.1 印刷サーバーへの印刷をチェックするには」を参照)
SunOS 5.x 印刷サーバーを使用する SunOS 4.1 印刷クライアント (操作説明については、「SunOS 4.1 クライアントから SunOS 5.x 印刷サーバーへの印刷をチェックするには」を参照)
プリンタと印刷サービスソフトウェアが正しく構成されていない場合は、プリンタで印刷されても、期待どおりに出力されないことがあります。
LP 印刷サービスでプリンタを設定するときに間違ったプリンタタイプを使用すると、不適切なプリンタ制御文字がプリンタに送られる可能性があります。その結果は予測できません。何も印刷されない、出力が読みづらい、正しい文字セットやフォントで印刷されないなどの結果となります。
SunOS 5.x 印刷クライアントまたは SunOS 5.x 印刷サーバーで間違ったファイル内容形式を指定した場合、バナーページは印刷できますが、他には何も印刷されません。プリンタに指定されたファイル内容形式は、プリンタがフィルタなしで直接印刷できるファイル形式を示します。ユーザーがプリンタにファイルを送信すると、フィルタなしでファイルはプリンタに直接送信されます。プリンタが実際にその形式を処理できないときに、問題が発生します。
印刷クライアントの設定時には、ファイル内容形式が印刷サーバーと印刷クライアントの両方で正しくなければならないので、間違いをおかす機会が多くなります。推奨する方法は、印刷クライアントのファイル内容形式を any に設定することです。こうすると、ファイルはサーバーに直接送信され、フィルタが必要かどうかはサーバー側で決定されます。したがって、ファイル内容形式は、サーバー側だけで正しく指定すればよいことになります。
印刷クライアント側でファイル内容を指定し、フィルタリングの負荷をサーバーからクライアントに移すことができますが、内容の形式は印刷サーバー側でサポートしなければなりません。
デフォルトの stty (標準端末) 設定値がプリンタから要求される設定値と一致しないと、多数のフォーマット上の問題が生じる可能性があります。この後の節では、設定値の一部が間違っているときに発生する問題について説明します。
コンピュータのボーレート設定値がプリンタのボーレート設定値と一致しないときは、通常何らかの出力はありますが、希望する出力は得られません。特殊文字や不要なスペースが異常に混じったランダムな出力が表示されます。LP 印刷サービスのデフォルトは 9600 ボーレートです。
プリンタがパラレルポートで接続されている場合、ボーレート設定値は関係ありません。
プリンタによっては、パリティビットを使用して、印刷用に受け取ったデータに伝送中に誤りがなかったことを確認するものがあります。コンピュータとプリンタのパリティビットの設定値は一致しなければなりません。一致しない場合、文字によってはまったく印刷されないか、他の文字で置き換えられることもあります。その出力は、文字間隔が正しく、ほとんどの文字が正しい位置にあるので、一見正しいように見えます。LP 印刷サービスの場合、デフォルトではパリティビットは設定されません。
ファイルにタブが含まれていても、プリンタがタブを予期していなければ、印刷出力にはファイルの内容が完全に印刷されますが、テキストは右マージンに対して正確に配置されないことがあります。また、プリンタのタブ設定が間違っていると、テキストに左マージンがない、テキストがつながってしまう、テキストがページの一部分に集中する、間違ってダブルスペースになってしまうなどの問題が発生します。デフォルトでは、タブは 8 スペースごとに設定されます。
出力がシングルスペースのはずなのにダブルスペースになる場合は、プリンタのタブ設定値が間違っているか、プリンタが Return の後に 1 行追加されています。LP 印刷サービスは、改行の前に 1 つ Return を追加するので、その組み合わせによって 2 行の改行が発生します。
ジグザグに印刷される場合は、改行の前に Return を送る stty オプションの onlcr が設定されていません。stty=onlcr オプションはデフォルトで設定されますが、他の印刷問題を解決しようとしたときに、それをクリアした可能性があります。
lp コマンド (lpsystem、lpadmin、lpstat など) を入力しても何も発生しない (エラーメッセージ、状態情報、またはプロンプトが表示されない) 場合は、LP スケジューラに問題が発生した可能性があります。このような問題は、一般に LP スケジューラを停止して再起動すれば解決できます。操作手順については、「印刷スケジューラを停止する方法」と 「印刷スケジューラを再起動する方法」を参照してください。
プリンタが印刷要求を待ち行列に入れているのに、アイドル状態になっていることがあります。プリンタがアイドル状態になっている場合は、次の原因が考えられます。
現在の印刷要求にフィルタがかけられている
プリンタに障害がある
ネットワーク上の問題が原因で、印刷処理が中断されている
低速印刷フィルタは、プリンタを拘束しないようにバックグラウンドで実行されます。フィルタリングが必要な印刷要求は、フィルタリングが終わるまで印刷されません。
LP 印刷サービスが障害を検出すると、印刷はすぐにではありませんが自動的に再開されます。LP 印刷サービスは約 5 分間待機し、要求が正常に印刷されるまで試行し続けます。プリンタを使用可能にすると、すぐに再試行できます。
ネットワーク経由でファイルを印刷するときには、次の問題が発生することがあります。
印刷サーバーに送られた要求が、クライアントシステム (ローカル) の待ち行列で停止する
印刷サーバーに送られた要求が、印刷サーバー (リモート) の待ち行列で停止する
印刷サーバーに依頼された印刷要求は、次の原因でクライアントシステムの待ち行列で停止することがあります。
印刷サーバーがダウンしている
プリンタが印刷サーバー側で使用不可にされている
印刷クライアントと印刷サーバー間のネットワークがダウンしている
ベースになる SunOS 5.x ネットワークソフトウェアが適切に設定されていない
問題の原因を突き止めるときには、新しい要求を待ち行列に追加しないでください。詳細は、「プリンタへの印刷要求を受け付けるまたは拒否する方法」 を参照してください。
印刷要求が印刷サーバーの待ち行列で停止する場合は、プリンタが使用不可になっている可能性があります。プリンタが要求を受け付けても処理しないとき、その要求は印刷するために待ち行列に入れられます。プリンタを使用可能にすると、それ以外に問題がなければ、待ち行列内の印刷要求は印刷されます。
ユーザーが印刷要求を入力すると、クライアントシステムからは受け付けられたことが通知され、印刷サーバーからは印刷要求が拒否されたことを示すメールを受け取ることがあります。これらの矛盾したメッセージは、次の原因で発生することがあります。
印刷クライアントは要求を受け付けることができても、印刷サーバーは要求を拒否している場合
印刷クライアント側のプリンタの定義が、印刷サーバー側のプリンタの定義と一致しない場合。特に、フィルタ、文字セット、印字ホイール、フォームなど、印刷ジョブコンポーネントの定義が、クライアントとサーバーシステムの間で一致していない場合
ローカルユーザーが印刷サーバー上でプリンタにアクセスできるように、これらのジョブコンポーネントの定義が印刷クライアントと印刷サーバーの両方で登録されているかどうかを確認してください。