Solaris のシステム管理

履歴ログ

LP 印刷サービスは、lpschedrequests という 2 つのログファイルに印刷サービスの履歴を記録します。これらのログファイルは、/var/lp/logs ディレクトリに入っています。これらのログ内の情報を使用し、印刷の問題を診断して解決できます。次の例は、/var/lp/logs ディレクトリの内容を示します。

# cd /var/lp/logs
# ls
lpsched.1    requests    requests.2
lpsched     lpsched.2    requests.1
# 

接尾辞 .1.2 が付いているファイルは、前日のログのコピーです。毎日、lp cron ジョブは lpsched ログファイルと requests ログファイルを消去して、2 日分のコピーを保管します。requests ログを消去する cron ジョブを変更するためのヒントについては、crontab ファイルの作成と編集」を参照してください。

問題の解決に最も重要なのは、ローカル印刷要求に関する情報が入っている lpsched ログです。

requests ログには、完了して印刷待ち行列から消去された印刷要求に関する情報が入っています。印刷要求が終了すると、/var/spool/lp ログファイル内の情報が組み合わされ、/var/lp/logs/requests ログに追加されます。

requests ログの構造は単純なので、共通の UNIX シェルコマンドを使用してデータを抽出できます。要求は、出力された順番に要求 ID を示す行で区切って表示されます。区切り行の下の各行には、その行に入っている情報の種類を識別する 1 文字が付いています。各文字は、空白文字 1 つでデータから区切られます。

次の例は、requests ログの内容を示しています。

# pwd
/var/lp/logs
# tail requests.2
= slw2-20, uid 200, gid 200, size 5123, Tue Jun 17 10:16:10 MDT 1997
z slw2
C 1
D slw2
F /etc/motd
P 20
t simple
U irving
s 0x0100
#

表 45-4 は、文字コードとそれに対応する LP requests ログ内の行を示しています。

表 45-4 LP requests ログ内の文字コード

文字 

行の内容 

=

区切り行。ユーザーの要求 ID、ユーザー ID (UID)、グループ ID (GID)、元の (フィルタを通す前の) ファイルサイズ、および要求が待ち行列に入れられた時刻が入っている 

C

印刷部数 

D

出力先のプリンタかクラス、または any

F

印刷されたファイル名。この行は印刷されたファイルごとに区切られ、各ファイルは表示された順序で印刷される 

f

使用されたフォーム名 

H

特殊処理 resumehold、または immediate

N

印刷要求が正常に完了したときに使用された警告のタイプ。ユーザーが電子メールで通知を受けた場合は M タイプ、端末へのメッセージで通知を受けた場合は W タイプ

O

プリンタ依存の -o オプション (nobanner など)

P

印刷要求の優先順位 

p

印刷されたページのリスト 

r

ユーザーがファイルの「raw」処理を要求した場合 (lp コマンドの -r オプション) に含まれる 1 文字の行

S

使用された文字セット、印字ホイール、またはカートリッジ 

s

16 進数形式の各ビットの組み合わせで表される要求の結果。印刷サービスの内部では複数のビットが使用される。各ビットとその意味については表 45-5 を参照

T

バナーページに印刷されるタイトル 

t

ファイル内で見つかった内容形式 

U

印刷要求を出したユーザー名 

x

印刷要求に使用された低速フィルタ 

Y

要求の印刷に使用された印刷フィルタの特殊モードのリスト 

z

要求に使用されたプリンタ。要求がプリンタまたはプリンタクラスの待ち行列に入れられた場合や、要求が別の出力先に移動された場合は、このプリンタは出力先 (D 行) とは異なる

表 45-5 は、LP requests ログ内の結果コードとその説明です。

表 45-5 LP requests ログ内の結果コード

結果コード 

説明 

0x0001

要求は保留され再開を待機中 

0x0002

低速フィルタを実行中 

0x0004

低速フィルタを正常に完了 

0x0008

要求はプリンタ上にある 

0x0010

印刷を正常に完了 

0x0020

要求は保留されユーザーによる変更を待機中 

0x0040

要求は取り消し済み 

0x0080

要求は次に印刷される 

0x0100

フィルタ処理または印刷要求に失敗 

0x0200

要求はリモートプリンタに転送中 (現在は使用されない) 

0x0400

ユーザーに通知 

0x0800

通知が動作中 

0x1000

リモートシステムが要求を受け付け済み (現在は使用されない) 

0x2000

管理者が要求を保留した 

0x4000

プリンタのフィルタを変更しなければならなかった 

0x8000

要求は一時的に停止された