Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)

既存ホストの調査

インストールの前に、Java ES ソフトウェアをインストールしようとするホストにどのようなコンポーネントが存在するかを把握することが重要です。Java ES ソフトウェアがあらかじめ組み込まれている新しい Solaris システムを使用する場合、ホストの調査は不要です。ただし、既存のホストに Java ES コンポーネントがすでにインストールされている場合、新しい Java ES リリースの Java ES インストーラを実行する前に、ソフトウェアの一部をアップグレードするか、または削除する必要があるかもしれません。

ここで説明する内容は、次のとおりです。

Solaris OS に Java ES ソフトウェアが事前にロードされている場合

事前にソフトウェアがロードされた Sun Solaris ハードウェアシステムを使用する場合、Java ES ソフトウェアのインストールイメージは、すでにシステムにコピーされています。Java ES ソフトウェアがホストに事前にロードされている場合は、次のディレクトリが存在します。

/var/spool/stage/JES_06Q4_architecture /

architecture 変数は、SPARC または x86 など、システムのハードウェアのアーキテクチャーを示します。

このマニュアルで説明されているとおり、インストールイメージを展開し、Java ES インストーラを使用して、事前にロードされた Java ES ソフトウェアをインストールし、設定する必要があります。Java ES コンポーネントの中には、Solaris OS にバンドルされ、ホストに存在しているものもあります。この場合は、インストーラによってこれらのコンポーネントをアップグレードするオプションが表示されます。詳細は、「アップグレードのしくみ」を参照してください。


注 –

ロード済みの Java ES ソフトウェアが Solaris 10 システム上に存在している場合、インストールイメージを展開する前に 「Solaris 10 ゾーンの例」を参照してください。


互換性のないコンポーネントがインストールされている場合

インストーラはインストール時に、ホストにすでにインストールされている Java ES コンポーネントがインストールする Java ES のリリースと互換性があるかどうかをチェックします。コンポーネントの一部に互換性がない場合、互換性がないことを示すエラーメッセージが表示され、インスールが中断する場合があります。したがって、インストール済みのソフトウェアを調べ、必要なアップグレードを行なったあとで、Java ES ソフトウェアをインストールすることをお勧めします。

インストールを実行するときに、ホストにある互換性のないコンポーネントを確認できます。Application Server、Message Queue、または HADB をインストールする場合は、インストーラを使ってこれらのコンポーネントをアップグレードできます。その他の製品コンポーネントについては、インストーラを使用してアップグレードすることはできません。代わりに、『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』の手順に従って、それらの互換性のないコンポーネントを削除またはアップグレードする必要があります。

Java ES インストーラは、インストールする製品コンポーネントで必要となるすべての共有コンポーネントを、アップグレードまたはインストールします。

prodregpkginfo などの Solaris コマンド、Linux の rpm コマンド、または HP-UX の swlist コマンドを使用して、インストール済みのソフトウェアを調べることができます。次の表に、各 UNIX プラットフォームの基本的なパッケージコマンドの対応関係を示します。

表 1–2 UNIX のパッケージコマンドの対応関係

作業 

Solaris 

Linux 

HP-UX 

インストール済みパッケージの表示 

pkginfo

rpm –qa

swlist

パッケージのインストール 

pkgadd

rpm -i

swinstall

パッケージの削除 

pkgrm

rpm –e

swremove

また、インストーラそのものを使用して、この項で説明する手順に従って、パッケージベースのソフトウェアインストールを調べることもできます。


注 –

インストールされているソフトウェアに関する情報を得るために、Java ES インストーラだけを頼りにすることは、避けるべきです。インストール済みのソフトウェアについて、ホストを独自に調査して確認することも必要です。


Procedureグラフィカルインストーラをローカルディスプレイにアクセスさせるには

  1. DISPLAY 環境変数を設定します。

    リモートホストにログインしているときには、DISPLAY 環境変数がローカルディスプレイに適切に設定されていることを確認します。 DISPLAY 変数が正しく設定されていないと、インストーラはテキストベースモードで実行されます。

    • C Shell での例 (ホスト名は myhost):


      setenv DISPLAY myhost:0.0
    • Korn Shell での例 (ホスト名は myhost):


      DISPLAY=myhost:0.0
  2. 表示権限を付与します。

    ローカルディスプレイでインストーラを実行するには、表示権限の付与が必要になる場合があります。たとえば、次のコマンドを使用して、myhost から serverhost のルートユーザーに表示権限を付与することができます。


    myhost\> xauth extract - myhost:0.0|rsh -l root serverhost xauth merge -

    このような権限を安全に付与する手順については、『Solaris X Window System Developer's Guide』の「Manipulating Access to the Server」の章を参照してください。

Procedureアップグレードに関する問題の確認のためにインストーラを使用するには

  1. ソフトウェアをインストールしないことを示す -no オプションを指定してインストーラを起動します。

    グラフィカルインストーラの場合、次のとおり入力します。


    ./installer -no

    テキストベースのインストーラの場合、次のとおり入力します。


    ./installer -nodisplay -no
  2. コンポーネントの選択に進みます。

  3. このホストにインストールする製品コンポーネントを選択します。

    状態列は、選択した製品コンポーネントに必要な製品と、アップグレード可能なコンポーネントを示します。

  4. インストーラが選択可能な製品コンポーネントのバージョンに互換性がないことを検出した場合、互換性のないバージョンのアップグレードまたは削除が求められます。

    Solaris にバンドルされている Application Server、Message Queue、および HADB の場合は、インストーラを使ってアップグレードすることができます。詳細は、「アップグレードのしくみ」を参照してください。

    この問題を解決したら、選択リストを更新し、選択し、インストーラを先に進めます。

  5. インストーラが共有コンポーネントのバージョンに互換性がないことを検出した場合、アップグレードの必要がある共有コンポーネントのリストが表示されます。

    表示された各共有コンポーネントについて、「インストール済みのバージョン」と「必要なバージョン」を比較し、アップグレードする必要があるかどうかを確認します。新しい Java ES バージョンの共有コンポーネントと、ホスト上でその共有コンポーネントを使用するほかのアプリケーションとの間に互換性があるかどうかを確認する必要があります。

  6. 必要に応じてインストーラを終了し、必要なアップグレードを実行します。

  7. 各ホストに対して手順を繰り返します。


    注 –

    インストーラは Solaris OS によって配布される Directory Server のバージョンを調べ、この Solaris の配布の中に含まれている Directory Server のスクリプトの名前がインストーラによって変更されることを警告します。何の操作も必要ありません。