Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)

問題の解決方法

ここでは、Java ES のインストールおよびアンインストール時に、問題の原因を分析して特定するためのガイドラインを紹介します。

ここで説明する内容は、次のとおりです。

インストールログファイルの検証

インストールまたはアンインストール中に問題が発生した場合は、発生した問題に関する情報を確認するために、最初にインストールログを調べます。ユーザーの選択、パッケージの操作、インストールまたはアンインストールの手順などの操作のあとには、情報メッセージ、警告メッセージ、およびエラーメッセージが発行されます。インストール、アンインストール、およびインストール時に行なった設定に関するメッセージは、ソースログファイルに収集されます。各メッセージに表示される情報は、日時、ログレベル、モジュール ID、およびメッセージテキストで構成されます。パスワードが出力されることはありません。

ログファイルの形式

インストールまたはアンインストールの情報が収集されるログファイルには、次の 4 種類のファイルがあります。

ログメッセージは、ULF (Unified Logging Format) と呼ばれる Sun 標準形式で格納されます。ULF を読みにくい場合は、Java ES ログビューアを使ってログメッセージを表示することもできます。

ソースログファイルは、テキストエディタを使って編集できます。次の表は、ソースログファイルの形式を示しています。

表 9–1 ログファイルの形式

ログに記録される内容 

ログファイル名の形式 

インストーラ 

Java_Enterprise_System_5_install.Atimestamp

Java_Enterprise_System_5_install.Btimestamp

JavaES_Install_log.timestamp

Java_Enterprise_System_5_Summary_Report_install. timestamp

アンインストーラ 

Java_Enterprise_System_5_uninstall.Atimestamp

Java_Enterprise_System_5_uninstall.Btimestamp

JavaES_UnInstall_log.timestamp

Java_Enterprise_System_5_Summary_Report_uninstall. timestamp

アンインストールが完了すると、アンインストーラはインストーラ、ログビューア、およびアンインストーラ自体を削除します。ただし、ソースログファイルは削除されず、次の場所に格納されます。

Procedureログファイルによるトラブルシューティング

  1. サマリーファイルを調べます。例:

    Java_Enterprise_System5_Summary_Report_install. timestamp

    問題が発生した場合は、どのコンポーネントが問題の原因であるかを確認します。複数の問題が発生したかどうかを確認します。必要に応じて、詳細ログのいずれかまたは両方のファイルを調べる必要があります。

  2. 詳細ログを調べます。例:

    JavaES_Install_log timestamp

    最初に発生したエラーまたは警告を探して、解決します。1 つのエラーを解決すると、関連性がないように見える後続の多数のエラーも解決することがよくあります。

ログビューアの使用

Java ES ログビューアは、JavaES_Install_log.timestamp ファイルまたは JavaES_UnInstall_log.timestamp ファイルの ULF ログメッセージを表示するための、グラフィカルな画面です。ログファイルを表示するには、ログビューアメインページの「ファイル」メニューから「Open」を選択します。指定するファイルがすでに存在する場合または書き込み権限で開けない場合には、ログビューアエラーが発生し、ログビューアメインページに戻ります。インストーラがソースログを記録するために使用するディレクトリに、そのようなファイルを置くことはできません。

「Search」ボタンをクリックすると、フィルタ条件に一致するメッセージが 1 つのログテーブルに表示されます。ログテーブルが表示されたあとに、ログテーブルの各行を選択すると、その詳細が表示されます。複数行の形式で表示されることもあります。

フィルタのしくみ

ログ出力を調整するには、ULF ログファイルを選択したあとに、ログビューアメインページで表示設定と検索条件を指定します。「Display Preferences」には、選択内容を表示する言語と、検索したレコードの表示に適用する制限を指定します。

メッセージをフィルタで検索するときには、重要度の高いものまたは目的に合っているものから表示されるように、3 つの方法が用意されています。ログレベル別、ロガー別、および内容別の表示方法があります。

一般的な検索条件をいくつか紹介します。

Procedureログビューアの実行

ログビューアは読み取り専用モードで動作するため、複数のユーザーが同時にログビューアを実行できます。

  1. コマンド行で、ログビューアの場所に移動します。

    • Solaris SPARC の場合: /var/sadm/prod/SUNWentsys5i/Solaris_sparc

    • Solaris x86 の場合: /var/sadm/prod/SUNWentsys5i/Solaris_x86

    • Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-entsys5i/Linux_x86

    • HP-UX の場合: /var/sadm/prod/sun-entsys5i/HPUX_PA-RISC

  2. ログビューアを起動します。


    ./viewlog

    ログビューアのメインページが表示されます。

  3. 「ファイル」メニューで、表示するログファイルを選択します。

    選択したファイルが ULF でない場合は、選択したファイルが ULF でないため選択できないというメッセージが表示されます。ログビューアを使って表示できるのは、ULF ファイルだけです。

    利用できる ULF ログファイルがない場合は、インストールまたはアンインストールがまだ完了していない可能性があります。しばらく待ってから、もう一度やり直してください。

  4. 目的に合わせて「Display Preferences」と「Search Criteria」を選択します。

  5. 「検索」をクリックします。

    フィルタ条件に一致するレコードがログテーブルに表示されます。

製品の依存関係の検証

多数の製品コンポーネントに、インストール時の相互依存関係があります。1 つの製品コンポーネントに影響を与える問題は、別の製品コンポーネントにも影響を与える可能性があります。まず、『Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド』で説明されている内容をよく理解してください。

製品コンポーネントの依存関係のほかに、一部の製品コンポーネントは Solaris パッケージがホストにインストールされているかどうかにも依存しています。パッケージが存在していない場合は、それが原因でインストールが失敗することがあります。詳細については、リリースノートの「ソフトウェア要件」の節を参照してください。

製品コンポーネントの起動時に問題が発生する場合は、その製品コンポーネントのログファイルを調べてください。多くの製品コンポーネントのログファイルの場所については、「製品コンポーネントのトラブルシューティングのためのヒント」を参照してください。

リソースと設定のチェック

次のホストレベルの問題は、インストール時に問題を引き起こす可能性があります。

インストール後の設定のチェック

製品コンポーネントの起動時に問題が発生する場合は、第 6 章「インストール後の設定の実行」に記述されている手順に正しく従っていたか確認します。

配布メディアのチェック

DVD または CD からのインストールでは、メディアの汚れや損傷を調べます。ディスクに汚れがあると、インストール時に問題が発生する可能性があります。

Directory Server の接続性チェック

Directory Server に依存する製品コンポーネントをインストールする場合、次のいずれかの問題によって問題が発生する可能性があります。

Web Server のファイルおよびディレクトリの削除

編集済みの設定ファイルなど、カスタマイズされたファイルの上書きを防ぐために、そのファイルが格納されるディレクトリには Web Server をインストールできません。

Web Server を再インストールする場合、インストールディレクトリをチェックして、それが空であることを確認します。空ではない場合は、どこか別の場所にファイルをアーカイブしてからインストールを再試行します。

パスワードの確認

インストーラは、製品コンポーネントごとにパスワードの入力を求めます。複数のホストに複数の製品コンポーネントをインストールする場合、各ホストで正しいパスワードを入力することが重要です。

パスワードの問題を解決するには、いったんアンインストールしてから再インストールすることが必要となる場合があります。アンインストールに失敗した場合は、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。

製品コンポーネントのインストール状態の検証

製品コンポーネントをインストールしたものの問題があり、再インストールまたはアンインストールを実行できない場合は、Solaris の pkginfo コマンド、Linux の rpm コマンド、または HP-UX の swlist コマンドを使用して、インストールしたコンポーネントパッケージを調べます。その結果を、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」に記載されている Java ES パッケージと比較します。追加のトラブルシューティング情報については、「アンインストール時に残されたファイルによるインストールの失敗」を参照してください。


ヒント –

Solaris 9 と Solaris 10 では、製品レジストリ (prodreg ツール) を使用することもできます。このツールは、グラフィカルインタフェースを提供し、pkg ユーティリティーの代わりに、各コンポーネントおよびそのパッケージへの索引付けをします。製品レジストリを起動するには、コマンドプロンプトで prodreg を入力します。詳細については、prodreg(1) のマニュアルページを参照してください。


アンインストールするための管理者アクセスの確認

「アンインストーラ用の管理者アクセス権の付与」で説明されているように、アンインストール時に管理者アクセス権をアンインストーラに付与しなければならないことがあります。