次の表に、サポートされる Sun Java System Application Server のアップグレードを示します。この表では、PE は Platform Edition、EE は Enterprise Edition を表します。
表 2–1 サポートされるアップグレードパス
元のインストール |
8.2 Platform Edition |
8.2 Enterprise Edition |
---|---|---|
7.X PE |
サポートされていない |
O |
7.XSE |
- |
O |
7.XEE |
- |
O |
8.0PE |
O |
O |
8.1PE |
O |
O |
8.1EE |
- |
O |
8.2PE |
- |
O |
8.1 SE から 8.2 EE へのアップグレードでは、HADB パッケージのインストールのみを行います。アップグレードツールを使用する必要はありません。
アップグレードツールを起動するには、asupgrade コマンドを発行するか、Application Server インストーラの「アップグレード」オプションを選択します。
このツールは、コマンド行インタフェース (CLI) または GUI を介して使用できます。
アップグレードツールを GUI モードで使用するには、オプションを付けずに asupgrade コマンドを発行します。
アップグレードツールを CLI モードで実行するには、--c/--console オプションを指定して asupgrade コマンドを起動します。アップグレード CLI は、対話型モードまたは非対話型モードで実行できます。コンソールで asupgrade を起動するときに必要な引数をすべて指定した場合は、非対話型モードでアップグレードが実行され、それ以上の入力は必要ありません。asupgrade のオプションの完全なリストについては、表 2–2 を参照してください。--c/--console オプションのみを指定してツールを起動すると、ツールは対話型 CLI モードになり、ユーザーは一連の入力を求められます。
アップグレード処理に関する重要な用語を次に示します。
ドメインルート: ドメインが作成されるディレクトリ。このディレクトリは、デフォルトでは asenv.conf に AS_DEF_DOMAINS_PATH として指定されている場所です。
ドメインディレクトリまたは domain-dir: 特定のドメインに対応する (ドメインルート内の) ディレクトリ。ドメインに関係するすべての設定データやその他のデータは、このディレクトリ内にあります。
管理ユーザー名: サーバーを管理するユーザー名。この用語は、アップグレードする Application Server インストールの管理ユーザーを指します。
パスワード: アップグレードする Application Server インストールのドメイン管理サーバー (DAS) にアクセスするための、管理ユーザーのパスワード (8 文字以上)。
マスターパスワード: ドメイン管理サーバーの起動などの操作に使用される SSL 認証データベースのパスワード。この用語は、アップグレードする Application Server インストールのマスターパスワードを指します。
アップグレードツールは、設定、配備されたアプリケーション、および認証データベースを Application Server の以前のバージョンから最新バージョンに移行します。アップグレードツールでは、Application Server のバイナリはアップグレードされません。バイナリのアップグレードはインストーラで実行します。データベースの移行や変換もこのアップグレード処理の範囲外です。
Sun Java System Web Server 固有の機能を使用しないインスタンスのみがシームレスにアップグレードされます。HTTP パス、CGI バイナリ、SHTML、および NSAPI プラグインに関する設定ファイルは、アップグレードされません。
アップグレード処理を開始する前に、ソースサーバー (アップグレードする元のサーバー) とターゲットサーバー (アップグレードする先のサーバー) の両方が停止していることを確認します。
Application Server 7.x/8.0 環境に配備されているアプリケーションアーカイブ (EAR ファイル) とコンポーネントアーカイブ (JAR ファイル、WAR ファイル、および RAR ファイル) は、何も変更せずに Application Server 8.2 上で実行できます。
ソースサーバーに配備されているアプリケーションとコンポーネントは、アップグレード時にターゲットサーバーに配備されます。ターゲットサーバーに正常に配備されないアプリケーションは、Migration Tool または asmigrate コマンドを使用して移行し、手動で再配備する必要があります。移行ツールを使用したアプリケーションの移行については、第 6 章「Application Server 6.x/7.x からの移行」を参照してください。
配備されているアプリケーションに関する情報がドメインに含まれており、インストール済みのアプリケーションコンポーネントがその設定情報と一致しない場合、不正な設定は再設定されずにそのまま移行されます。
Application Server 7.x でクラスタを含む設定をアップグレードするときは、1 つ以上のクラスタファイルまたは clinstance.conf ファイルを指定します。Application Server 8.x では、クラスタが domain.xml ファイルで定義されるため、個々のクラスタを指定する必要はありません。もう 1 つの大きな違いとして、Application Server 8.x では、クラスタ内のすべてのインスタンスが同じドメイン内にあり、したがって同じ domain.xml ファイル内にあります。Application Server 7.x では、1 つのクラスタを形成するインスタンスが複数のドメインにまたがっている可能性があります。
アップグレードツールは、ソース証明書データベースからターゲットに証明書を転送します。このツールは、JKS 証明書から NSS 証明書への変換をサポートします。このツールは、セキュリティーポリシー、標準のファイルベースレルムのパスワードファイル、およびカスタムレルムクラスを転送します。認証データベースのパスワードを指定する際の具体的な要件については、「アップグレードの前に」を参照してください。
アップグレードログには、アップグレードのアクティビティーが記録されます。アップグレードログファイルは、upgrade.log という名前で、アップグレードが行われるドメインのルートに作成されます。