SunOS 上の多くのコマンドは、複数バイト文字データを適切に処理できるよう国際化されています。この章では、代表的なコマンドをいくつか取り上げ、日本語環境での利用方法について説明します。
この章で説明されていない事項およびコマンドについては、それぞれのコマンドのマニュアルページなどを参照してください。複数バイト言語を対象として国際化されているコマンドのマニュアルページでは一般に、ENVIRONMENT (環境) の項に LC_* 環境変数に応じた動作の変化が記述されています。
vi は SunOS 上の標準的なテキストエディタです。ウィンドウ環境への依存性がなく、広範囲のファイルタイプに対応しているため、さまざまな端末で多目的に使いこなすことができます。
この節では、vi を例に SunOS で国際化されているコマンドの日本語環境での使い方を説明します。vi の機能全般については、『OpenWindows ユーザーズガイド (上級編)』および vi(1) のマニュアルページなどを参照してください。また、実際の日本語入力方法については、『Wnn6 ユーザーズガイド』、『ATOK8 ユーザーズガイド』、または『cs00 ユーザーズガイド』を参照してください。
この項の説明で "「xxx」を入力してください" という表現は、xxx が日本語の場合は日本語を入力し、無変換の状態に戻すまでを指します。
多くの SunOS コマンド同様、vi は日本語のファイル名をサポートします。例として、「コロンブスのジパング」という名前のファイルを vi で編集してみましょう。
sun% vi コロンブスのジパング |
「コロンブスのジパング」というファイルがすでにあれば、vi でそのファイルを開くことができます。この例ではファイルは存在しないものとします。
vi の編集画面が現われます。
_ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ "コロンブスのジパング" [新規ファイル] |
以降、vi の画面での下線マーク「 _ 」は、カーソルの位置を表します。
多くの SunOS コマンドと同様に vi は、"[新規ファイル]" のようにメッセージを日本語で表示できます (メッセージ自体は JFP が提供します)。JFP をインストールしたシステムでメッセージが日本語で表示されないときには、LC_CTYPE のロケールカテゴリが環境変数 LANG または LC_CTYPE を介して ja (japanese) または ja_JP.PCK に設定されていないか、環境変数 LC_MESSAGES が別の値に設定されていることが考えられます。正しく設定し直してください (詳細は、第 3 章「日本語対応 SunOS のユーザー環境設定」の「環境変数によるロケールの設定」を参照してください)。
vi に慣れるまでは、動作モードを表示する showmode という設定が役立ちます。showmode を設定するには、コマンドモードで次のように「:set showmode」と入力します。
_ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ :set showmode |
これで vi は、その時々の動作モードを画面最下行 (ステータス行) 右側に表示するようになります。たとえば、ここで i キーを入力すると vi は挿入 (insert) モードに入り、ステータス行は次のように変わります。
_ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ :set showmode 挿入モード |
JFP の提供する日本語入力機能などを利用して日本語のテキストを入力していくと、 vi はこれを編集画面に表示します。端末環境では一般に日本語の 1 文字は、ASCII の 2 文字 (2 カラム) 分の表示幅を持ちますが、vi は 1 行が画面の幅を越えたときにも画面の最後のカラムに日本語文字が入りきれるかどうかに応じて行の折り返し処理をします。
1492年、クリストファー・コロンブスは、スペイン女王イザベルの援助を受け、黄金に輝 く地、ZIPANGU(日本)を求めてスペインのパロスを出発した。3箇月後、西イン‾ ド諸島サンサルバドルに到着した彼は、ここが東洋であり、南にはジパングがあると信じ きっていた。 _ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ :set showmode 挿入モード |
上の例では、画面 2 行目の最後のカラムに「ド」の文字がかかりますが行内に納まりません。このような場合には「ド」の文字は次の行に回され、2 行目の行末の 1 カラムはスキップされ、それを示すために「‾」の文字が表示されます。行末のカラムのスキップを示す文字は、環境変数 MC_FILLER を使って「‾」から任意の ASCII 文字に変更できます。
本文では、現在のカーソル位置を全角文字の上にある場合は全角アンダースコア (_)、半角文字の上にある場合は半角アンダースコア (_) で表示していますが、これは使用する端末によって変わります。
たとえば、次のように設定します。
sun% setenv MC_FILLER ' ' |
この設定をしたあと、vi を立ち上げて同じテキストを入力すると、スキップを示す文字がスペースに変わります。
1492年、クリストファー・コロンブスは、スペイン女王イザベルの援助を受け、黄金に輝 く地、ZIPANGU(日本)を求めてスペインのパロスを出発した。3箇月後、西イン ド諸島サンサルバドルに到着した彼は、ここが東洋であり、南にはジパングがあると信じ きっていた。 _ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ :set showmode 挿入モード |
多くの SunOS コマンド同様、vi コマンドは 1 文字単位の処理を複数バイト文字にも適用できるよう国際化されています。置き換え、削除、大文字・小文字変換を例にとって見てみましょう。
まず、「3箇月後」の「3」( ASCII ) をコードセット 1 の「3」に置き換えてみます。Esc キーを入力してコマンドモードに移り、カーソルキーを使ってカーソルを「3」の位置に合わせます。次に r キーを入力すると、vi は 1 文字を置き換えるモードになります。
ここで「3」を入力すると、「3」はコードセット 1 の「3」に置き換えられ、vi はコマンドモードに戻ります。
次に「クリストファー」の最後の 1 文字「ー」を削除してみます。カーソルを削除したい「ー」に移動し x キーを入力すると、「ー」の 1 文字が削除され、画面は次のようになります。
さらに 2 行目の文字列、「ZIPANGU」の「IPANGU」を小文字に変換してみます。カーソルを「ZIPANGU」の「I」に移動して「6‾」と入力します。これにより、1 文字を大文字・小文字変換して次の文字に移動する操作が 6 回繰り返され、画面は次のように変わります (‾ キーを 6 回入力しても同じです)。
SunOS 上のいくつかのコマンドでは、単語間の区切りとして空白を使用しない言語用に拡張された、単語の識別処理がサポートされています。
vi では、コマンドモードで w (word) キーを入力することにより、カーソルが日本語の単語識別用文字分類に基づいて次の単語の先頭に移動します。同様に、b (back) キーは前にある単語の先頭に、e (end) キーは現在カーソルのある単語の末尾に、カーソルを移動します。
「スペイン女王」の「ス」にカーソルがある状態で w キーを 5 回入力すると、カーソルは日本語の単語識別用の文字分類に基づいて「女王」、「イザベル」、「の」、「援助」、「を」の単語の先頭に次々に移動します。
さらに b キーを 3 回入力すると、カーソルが 3 単語分戻り、「イザベル」の先頭に移動します。
ここで、カーソル以降の 1 単語を書き換える cw コマンドを実行してみましょう。「Zipangu」の「Z」にカーソルを移動して、cw と入力すると画面は次のようになり、vi は「Zipangu」に置き換わる単語の入力を待ちます。
「ジパング」と入力して Esc キーを入力すると、「Zipangu」が「ジパング」に置き換えられます。
同様に、このような単位の単語を削除することもできます。カーソルキーを使ってカーソルを「イザベル」の「イ」に移動し dw と入力すると、カーソル位置から現在の単語の最後の「ル」までが削除されます。
入力テキストの改行は、Return キーを入力することによって任意に行えますが、vi の set コマンドと wm オプションを使用すると、行の長さを自動的にコントロールできます。さらに、日本語環境では原則として日本語文字 1 文字が改行の単位とみなされます。たとえば、次の例では画面の幅が ASCII の 80 カラム分なので、コマンドモードで「:set wm=58」を入力することにより、画面右側に 58 カラムのマージン (余白) が確保され、行の長さは 80-58=22 カラム以下になるようにコントロールされます。
コマンドモードで o (open) キーを入力してオープンモードに移り、入力を次のように続けます。
「コロンブスは、その後もジパングをめざし、数回の航海でキューバ島やイスパニオラ島を発見した。しかし、最後までジパングを見つけることはできなかった。」
Return キーを入力せずに続けて入力しても、テキストは自動的に次のように改行されます。
ここで、「スパニオラ島を発見し」の行が次の行より 1 文字分短く改行されるのは、テキストを清書するときと同様に禁則処理が働いているためです。
次に行を連結してみましょう。Esc キーを入力してコマンドモードに移り、「コロンブス...」の行にカーソルを移動します。
ここで J (Shift-j) キーを入力すると、現在の「コロンブス...」の行に次の「ジパング...」の行が連結されます。
このように日本語文字の行の連結の場合には、英語の行の連結の場合とは違い、スペースが挿入されず、改行の場合と同様に自然な日本語処理が行えます。日本語固有のこれらの単語処理は、JFP の提供する各国語化によって実現されています。 [このような国際化された単語処理に慣じみのない既存の vi のユーザーは、これらの機能にとまどいを覚えるかも知れません。そのような場合には、環境変数 MB_CONSERVATIVE_EDIT を設定してください。テキストの清書に準じた日本語単語処理は vi に適用されなくなり、vi は日本語に対しても英語と同様の動作をするようになります。]
いくつかの SunOS コマンドと同様、vi でも日本語文字を含む文字列パターンの処理がサポートされます。コマンドモードで「/」キーを入力すると画面の最下行に「/」が表われ、検索する文字列を待つ状態になります。ここで、検索する文字列として「コロンブス」と入力してみましょう。
Return キーを入力すると、カーソルは先頭行の「コロンブス」の先頭に移動します。
n (next) キーを入力すると、カーソルは画面 2 段落目の最初の行の「コロンブス」の先頭に移動します。
次に、1 行目の ASCII の英数字を含む「1492年」の文字列をコードセット 1 の「1492年」に変更してみます。正規表現を使って「1492年」を「...2年」で指定することにし、「:%s/...2年/1492年/g」を入力します。
Return キーを入力すると文字列が置き換えられ、画面は次のようになります。
ファイルの編集後、コマンドモードで (動作モード表示は消えます)、: (コロン) に続けて w (write) キーを入力します。入力した「:w」の文字列は画面最下行 (ステータス行) に表示されます。ここで Return キーを入力すると、vi はファイル名、行数、バイト数を表示してファイルを保存します。
ファイルを変更していない状態またはファイルの保存後に vi を終了するときには、コマンドモードで : (コロン) キーのあとに q (quit) キーを入力します。ファイルの保存と同時に vi を終了するときには、wq を入力します。変更したファイルを保存せずに q キーを入力すると、次のような警告が出されます。
1. この行は反転表示されます。
このような場合、警告を無視して vi を終了するときには、q! または quit! と入力します。
SunOS 上では、国際化された man コマンドと nroff およびその関連コマンドにより、日本語のオンラインマニュアルページを参照できます [ただし、troff の国際化は行われていないため、man コマンドの -t オプションを日本語マニュアルページの troff 出力に使うことはできません。 ] 。日本語のオンラインマニュアルページおよびそのためのマクロパッケージは、JFP によって提供されます。
環境変数 LC_MESSAGES が日本語ロケール (ja または japanese) に設定されているか、LC_MESSAGES が設定されておらず LANG が日本語ロケールに設定されていれば、man コマンドで指定されたマニュアルページが日本語で存在している限り、日本語のマニュアルページが表示されます。例として、dumpcs(1) のマニュアルページを参照してみましょう。次のように入力します。
sun% man dumpcs マニュアルを清書中です。しばらくお待ちください... |
しばらくすると dumpcs(1) の日本語マニュアルページが表示されます。
マニュアルを清書中です。しばらくお待ちください... 終了 dumpcs(1) ユーザコマンド dumpcs(1) 【名前】 dumpcs - 現在のロケールのコードセット一覧表を表示 【形式】 dumpcs [ -0123vw ] 【機能説明】 dumpcs は、ユーザの現在のロケールに対応するコードセットの印 --継続--(9%) |
一時的に英文のマニュアルページを参照したい場合には、env(1) コマンドを使い、次のように「env LANG=C man dumpcs」と入力します。
sun% env LANG=C man dumpcs Reformatting page. Wait... |
和文と英文のマニュアルページを両方とも頻繁に参照する場合は、"env LANG=C man" の部分を C シェルの別名 (alias) として登録しておくとよいでしょう。
オンラインマニュアルは、システムの出荷時には nroff(1) または troff(1) のソース形式で提供されます。catman(1M) コマンドによって、これらのマニュアルページをあらかじめ清書しておくと、man(1) コマンドによる表示の際の清書作業にかかる時間を節約できます (ただし、これによってさらにディスクスペースが消費されることに注意してください)。
また、catman コマンドは、whatis(1) および apropos(1) コマンドによって検索されるシステム機能の要約情報のデータベースファイル windex を作成します。-n オプションを用いるとこのデータベースは作成されず、-w オプションを用いるとこのデータベースの作成のみを行います。catman コマンドは、ユーザーが現在使用しているロケール名のディレクトリがオンラインマニュアルぺージのルートディレクトリに存在すると、その下のマニュアルページだけを清書します (たとえば、/usr/share/man/ja/man* がある場合は ja/man* を清書します)。英語のマニュアルページに対して常に翻訳マニュアルが用意されているとは限りませんので、必要に応じて次の例のように、ユーザーの通常の作業環境のロケールと、それが C ロケールではない場合には C ロケールと、それぞれでスーパーユーザーになって catman を実行してください。
sun# setenv LANG C sun# catman 1 2 3 sun# setenv LANG ja sun# catman 1 2 3 |
コマンドの機能の要約文だけを見たい場合には、whatis コマンドを使います。環境変数 LC_MESSAGES が日本語ロケール ja、 ja_JP.PCK または ja_JP.UTF-8 に設定されているか、LC_MESSAGES が設定されておらず LANG が日本語ロケールに設定されており、whatis コマンドで指定されたマニュアルページが日本語で存在し、その情報を含む windex データベースが作られていれば、日本語のコマンド機能要約を次のように表示できます。
sun% whatis dumpcs dumpcs dumpcs (1) - 現在のロケールのコードセット一覧表を表示 sun% |
whatis とは逆に、コマンド機能要約文中のキーワードからコマンド名を探したいときには apropos コマンドを使用できます。環境変数 LC_MESSAGES が日本語ロケール ja、ja_JP.PCK または ja_JP.UTF-8 に設定されているか、LC_MESSAGES が設定されておらず LANG が日本語ロケールに設定されており、apropos コマンドで指定されたマニュアルページが日本語で存在し、その情報を含む windex データベースが作られていれば、日本語のコマンド機能要約を次のように表示できます。
sun% apropos コードセット一覧表 dumpcs dumpcs (1) - 現在のロケールのコードセット一覧表を表示 sun% |
JFP は、複数バイト言語国際化のために拡張された mailx (/usr/SUNWale/bin/mailx) を提供しています。以降、簡単な日本語メールの送受信を例にして、mailx の使い方とコード変換について説明します。
説明の中で、いくつかの mailx のコマンドと変数が登場しますが、それらの詳しい使い方については、国際化のために拡張された mailx(1) のマニュアルページまたは『OpenWindows ユーザーズガイド (上級編)』を参照してください。
まず、第 3 章「日本語対応 SunOS のユーザー環境設定」の「コマンド検索パスの設定」を参考にして、/usr/SUNWale/bin/mailx を起動するように設定します。以下に述べるコード変換は、LC_CTYPE のロケールが環境変数 LANG または LC_CTYPE を介してja または japanese に設定されている場合に行われます。また、環境変数 LC_MESSAGES が ja または japanese に設定されている場合は、mailx からの警告メッセージなどは日本語となります (メッセージ自体は JFP が提供します)。
メールを送るときは、mailx の引数に送り先のユーザー名を指定します。たとえば、grape というユーザーにメールを送る場合は、次のように指定します。
lemon% mailx grape Subject: |
mailx は Subject: の入力を要求してきます。Subject: にメールの用件を入力した後、メールのメッセージ本体を入力します。JFP の提供する日本語機能などを利用して日本語のメッセージを入力できます。
lemon% mailx grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 |
メッセージをテキストエディタを使って作成することもできます。次のように ‾v を実行すると vi が起動されます。起動されるエディタは VISUAL 変数で指定します。デフォルトは vi です。mailx の変数は mailx を起動中、または起動ファイル (通常、ユーザーのホームディレクトリにある .mailrc) 内で設定できます。シェルの変数としても設定できますが、mailx を起動中の値および起動ファイルの値が優先されます。
Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 ‾v |
‾v を実行すると、ただちに vi の画面に変わります。
To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ "/tmp/Re8570" 7 行、121 バイト |
ここで、日本語を追加入力してみます。
To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 会場は未定です。 檸檬 ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ ‾ :wq |
vi を終了すると元の mailx に戻ります。しかし、ここでは vi での編集イメージが画面に残っています。作成したメッセージを始めから見たい場合は、‾p を実行するとメッセージが再表示されます。メッセージのサイズが大きい場合は画面が流れてしまい、内容をゆっくり読むことができません。それを防ぐために crt 変数と PAGER 変数をあらかじめ設定しておき、ページごとに表示させる方法があります。たとえば、mailx コマンド起動中に以下を設定します。
? set crt=20 ? set PAGER=/usr/bin/more |
行頭の ? は mailx からのプロンプトです。
このような設定は、ユーザーのホームディレクトリにある .mailrc の中であらかじめ記述しておくと mailx 起動時に常に実行されるので便利です。
‾p ------- メッセージの内容: To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 会場は未定です。 檸檬 (つづく) |
作成したメールは、行の先頭での「 . 」(ピリオド) 入力または CTRL-D により送信されます。mailx は終了してシェルに戻ります。メールの作成は日本語 EUC で行われてきましたが、送信時は 7 ビット JIS コードに変換されてから送られます。
‾p ------- メッセージの内容: To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 会場は未定です。 檸檬 (つづく) . 作成終了 lemon% |
作成の途中でメール送信を中止したいときは、割り込みキー (通常、CTRL-C) を入力してください。その場合、1 回目の割り込みキー入力で本当に途中で中止してよいかどうか尋ねてきます。そこでもう一度割り込みキーを入力すると、作成は中止されシェルに戻ります。このとき、途中まで作成されていたメッセージの内容が、dead.letter と呼ばれるファイル (あらかじめ設定されていない場合はユーザーのホームディレクトリにある dead.letter) に日本語 EUC で確保されます。
lemon% mailx grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。^C (割り込み -- メッセージ送信をやめるにはもう一度) ^C"/home/garden/lemon/dead.letter" 4/63 lemon% |
送信に先立ち record 変数が設定されていると、送信するメッセージが record 変数で指定したフォルダに保存されます。record はデフォルトでは設定されていません。また、record 変数が設定されている場合に、mailx の変数 folderconv が設定されていると日本語 EUC で保存され、設定されていないと転送時の変換イメージ (7 ビット JIS コード) で保存されます。folderconv はデフォルトで設定されています。たとえば、record フォルダが ‾/.record の場合は以下のようにして、すでに送信したメッセージを参照できます。
行の先頭の ? は mailx からのプロンプトです。現在 2 個のメッセージがあります。先程転送したメール (Subject: Next Lecture) は 2 番目にあります。メッセージを読むコマンドはいくつかありますが、ここではメッセージ番号をそのまま入力する方法で実行します。
? 2 Message 2: From lemon Tue Sep 29 21:47:01 1992 To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 会場は未定です。 檸檬 ? lemon% |
今度は、先程送ったメールをユーザー grape 側から読んでみます。メールボックスに届いたメールを読むには、mailx を引数なしで起動します。メールボックスにメールが届いていると、次のように表示されます。なお、この場合も LC_CTYPE および LC_MESSAGES が環境変数 LANG、または LC_CTYPE および LC_MESSAGES を介して ja または japanese に設定されているものとします。
メッセージは日本語 EUC ではなく、7 ビット JIS コードに変換されて到着していますが、表示されるときには自動的に日本語 EUC にコード変換されます。
? 2 Message 2: From lemon Tue Sep 29 21:47 JST 1992 Date: Tue, 29 Sep 92 21:47:02 JST From: lemon (A.Lemon) To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は 10月1日(木) 午後2:00開始 に変更されました。 会場は未定です。 檸檬 ? |
この場合も「メッセージの作成」の項で行なったように、変数 crt および PAGER を設定しておくと、大きなサイズのメッセージも画面上で流れることなく、ページごとに見ることができます。
到着したメッセージを保存するために、いくつかの mailx のコマンドが用意されています。s (save)、c (copy)、w (write) コマンドは、変数 folderconv が設定されていると到着したメッセージを日本語 EUC にコード変換して保存します。save と copy はフォルダの形式でヘッダ情報をつけて保存します。write はメッセージ本体だけを保存します。また、save を実行するとそのメッセージはメールボックスから取り除かれますが、copy の場合は保存後もメールボックスに残ります。
? save 2 folder.1 "folder.1" [新規ファイル] 22/481 |
save コマンドにより、メッセージ番号 2 のメッセージは folder.1 に保存されました。このときは日本語 EUC にコード変換されています。到着したメッセージを変換しないでそのままフォルダに保存したいときは、nsave または ncopy コマンドを利用して保存します。
? nsave 2 folder.2 "folder.2" [新規ファイル] 22/523 |
nsave コマンドにより、メッセージ番号 2 のメッセージは folder.2 にコード変換されずに保存されました。
一度読んだメールは特に明示的に保存しないと、mailx 終了時に mbox と呼ばれるフォルダ (あらかじめ設定していない場合はユーザーのホームディレクトリにある mbox) に保存されるように設定されています (この設定は mailx の変数の値と終了コマンドの種類によって変わります)。mbox に保存される場合も、日本語 EUC にコード変換されてから保存されます。
? visual 2 |
v (visual) コマンドにより、到着したメッセージをテキストエディタを使って編集できます。起動されるエディタは VISUAL 変数で指定されます。デフォルトは vi です。このとき、編集するメッセージは日本語 EUC にコード変換された上でエディタが起動されます。
次のように、実際にメッセージを変更すると、変更後は日本語 EUC でメールボックスに保存されます。
「メッセージの読み取り」に戻り、返事を出してみます。
r コマンドを実行すると、自動的に差出人宛てのメールを作成する状態になります。ここからは「メッセージの作成」の項で示したとおりに、‾p、‾v などを利用してメッセージを作成できます。返事の中に、現在読んでいるメッセージまたは別のメッセージを挿入したいときは、‾m または ‾f を実行します。どちらの場合も、挿入メッセージが日本語 EUC にコード変換されて挿入されます。
? r To: lemon Subject: Re: Next Meeting ‾m メッセージ挿入: 2 (つづく) |
‾m の入力時に特にメッセージ番号を指定しなかったので、現在読んでいる 2 番のメッセージが挿入されました。つづいて vi を起動して (‾v コマンドの実行) 返事を書きます。
挿入したメッセージは、各行の先頭にタブが挿入され段落がつけられています。この自動的に挿入される文字列は、変数 indentfix で設定されます。デフォルトはタブです。また、この文字列の段落付けは ‾f でメッセージを挿入するときには適用されません。
:wq "/tmp/Re8580" 21 行、333 バイト (つづく) . 作成終了 ? |
「メッセージの作成」の項で示したとおりに作成を終了すると、メッセージは 7 ビット JIS コードに変換され送信されます。mailx 自身の終了には、 quit、コマンド行の先頭での CTRL-D、exit などのコマンドが用意されています。quit と CTRL-D は、既読のメッセージを mbox に保存して未読のメッセージをメールボックスに保存します。exit はメールボックスを変更せず、mbox に保存することなく mailx を終了します。mailx 終了の動作は、 hold などの変数を設定してカスタマイズできます。
ここでは、comsat を利用したメール到着の通知を紹介します。まず、到着した日本語メールが正しくコード変換して表示されるように、第 4 章「日本語対応 SunOS のシステム環境設定」「日本語対応 SunOS のシステム環境設定」の「in.comsat の設定」に従って inetd(1M) の構成を修正してください。
次に、biff(1B) でメール受信の通知を行うように設定します。
grape% biff y |
このように設定すると、7 ビット JIS コードに変換されている日本語メールが到着するときに、日本語 EUC にコード変換されて画面にはじめの数行が表示されます。
New mail for grape has arrived: ---- Date: Wed, 30 Sep 92 11:56:35 GMT From: lemon (A. Lemon - Garden Company) To: grape Subject: Next Lecture 葡萄さん: 次回の講習会は ...以下省略... |