Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

ホストマネージャでできること

ホストマネージャは、ネットワークでサーバーとクライアントサポートを追加したり管理できるグラフィカルユーザーインタフェースです。NIS+ のようなネームサービスを使用すれば、システム情報を集中的に管理できるので、ホスト名などの重要なシステム情報をネットワーク上の各システムに重複して持つ必要がなくなります。

ホストマネージャにより次のことが行えます。

サポートの追加と管理

ホストマネージャによって、次のシステムタイプのサポートを追加または変更することができます。

表 3-3 に、Solstice AdminSuite 2.3 のホストマネージャがサポートするサーバーとクライアントの構成を示します。

表 3-3 サポートされるサーバーとクライアントの構成

システム 

追加できる OS サービスとサポート 

対象となるリリース 

Solaris 2.4 およびその互換バージョンが動作している x86 サーバー 

SPARC クライアント [AutoClient システムは、Solaris 2.4 とその互換バージョンでのみサポートされる。]

Solaris 2.3 およびその互換バージョン 

 

x86 クライアント 

Solaris 2.4 およびその互換バージョン 

Solaris 2.3 およびその互換バージョンが動作している SPARC サーバー 

SPARC クライアント1

SunOS 4.1 およびその互換バージョン、Solaris 2.3 およびその互換バージョン 

 

x86 クライアント 

Solaris 2.4 およびその互換バージョン 


注 -

SunOS 4.1 リリースおよびその互換バージョンは、Sun4、Sun4c、Sun4m プラットフォームグループの SPARC システムでのみサポートされます。


システムタイプの更新

ホストマネージャは最初に、すでにシステムに追加されているシステムタイプに、generic というマークを付けます。ただし、「ファイル (File)」メニューの「システムタイプの更新 (Update System Types)」を選択して、すでに追加されているシステムを調べ、自動的にそのシステムタイプを決定することもできます。ホストマネージャがシステムタイプを決定できない場合 (たとえば、システムが Solaris ソフトウェアを実行していない場合)、システムには generic というマークが付けられたままです。


注 -

ホストマネージャが自動的にシステムタイプを更新できるようにするには、Solaris 2.5 およびその互換バージョンを稼動しているすでに追加されているシステムに、Solstice AdminSuite がインストールされている必要があります。


システムタイプ情報は、ローカルの /etc またはネームサービスデータベース内の bootparams ファイルに格納されます。ホストマネージャは、既存の bootparams エントリを更新するか、たとえば次のような mars という Solaris スタンドアロンシステムを追加します。

mars boottype=:st

システムタイプの変換

ホストマネージャにより、あるシステムタイプを別のシステムタイプに変換できます。表 3-4 に実行できる変換を示します。

表 3-4 システムタイプの変換

変換できるシステム 

変換先のシステム 

スタンドアロンシステム 

AutoClient システム、または OS サーバー 

データレスシステム 

AutoClient システム、または OS サーバー 

AutoClient システム 

スタンドアロンシステム 

Generic システム 

スタンドアロンシステム、AutoClient システム、または OS サーバー 

スタンドアロンシステムから OS サーバーへの変換時、Solaris 7 またはその互換バージョンの OS サービスを追加できます。

OS サービスの追加

Solaris OS サーバーは、クライアントをサポートできるオペレーティングシステムサービスを提供するサーバーです。ホストマネージャを使用すれば、OS サーバーのサポートを追加するか、スタンドアロンシステムを OS サーバーに変換することができます。

サポートしたいプラットフォームと Solaris リリースごとに、特定の OS サービスを OS サーバーに追加しなければなりません。たとえば、Solaris 7 を実行している SPARC Sun4m システムをサポートするには、Sun4m/Solaris 7 OS サービスを OS サーバーに追加しなければなりません。また、Solaris 7 を実行している SPARC Sun4c システムまたは x86 システムをサポートするには、さらに OS サービスを追加する必要があります。これらのシステムは異なるプラットフォームグループに含まれるためです。

OS サービスを追加するには、適切な Solaris CD イメージを使用できなければなりません。


注 -

ホストマネージャを使用して、SunOS 4.0 またはその互換バージョンを実行するディスクレスクライアントのサポートを追加することはできますが、SunOS 4.0 およびその互換バージョの OS サーバーを追加することはできません。install4x コマンドを使って OS サーバーに OS サービスを追加し、それからホストマネージャを使って SunOS 4.0 またはその互換バージョンのクライアントのサポートを追加しなければなりません。


OS サービスにパッチが適用されているときに OS サービスをサーバーに追加する

OS サービスを OS サーバーに追加するときに、サーバー上で動作している OS のバージョンと、追加しようとしている OS との間に整合性がないというエラーメッセージが表示される場合があります。このメッセージは、インストールされている OS に、以前パッチを適用したパッケージが含まれており、追加しようとしている OS サービスには、パッチを適用したパッケージが含まれていないときに表示されます (これは、パッチがパッケージに統合されているためです)。

たとえば、Solaris 7 またはその互換バージョンを実行しているサーバーがあるとします。また、このサーバーには、以前パッチを適用した Solaris 2.6 SPARC Sun4m OS サービスを含む OS サービスもロードされているものとします。このサーバーに、Solaris 2.6 SPARC Sun4c OS サービスを CD-ROM から追加しようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。


Error: inconsistent revision, installed package appears to have been 
patched resulting in it being different than the package on your media. 
You will need to backout all patches that patch this package before 
retrying the add OS service option.

OS サービスの削除

OS サービスは、ホストマネージャを使用して、OS サーバーから削除できます。たとえば、Solaris 7 またはその互換バージョンを実行している SPARC Sun4m システムをサポートする必要がなくなった場合、ホストマネージャを使用してこれらの OS サービスをサーバーから削除できます。

リモートインストールサービスの設定

ホストマネージャを使用すれば、Solaris インストールサービスをネットワーク上の他のシステムに提供できるようにシステムを設定できます。次のタイプのインストールサービスをシステムに設定できます。


注 -

ブートサーバーとインストールサーバーは通常同じシステムを使用します。ただし、インストールするシステムがインストールサーバーと異なるサブネット上にある場合、ブートサーバーはインストール先のサブネット上になければなりません。


タスクを待ち行列に入れる

ホストマネージャを使用すれば、システムタイプの変換や OS サービスの追加などのタスクを待ち行列に入れることができます。これらのタスクを処理するには数分必要です。ホストマネージャを使用すれば、各タスクが完了するのを待たずに、タスクを実行するように設定できます。タスクの設定後、「ファイル (File)」メニューから「変更を保存 (Save Changes)」を選択します。ホストマネージャの進捗状況は、各タスクが処理されるごとに、ウィンドウの一番下にあるメッセージバーに表示されます。

root パスワードの設定

ホストマネージャを使用して Solstice AutoClient または Solaris ディスクレスクライアントを追加するときに、グループまたはユーザーのパスワードを設定するときと同じように GUI を使用して、root のパスワードを設定できます。

スクリプトの有効化

ホストマネージャを使用して Solstice AutoClient を追加する場合、AutoClient をサーバーに追加する前後にサーバーで実行するように、あるいは、キャッシュを AutoClient 上で構成する前後にクライアントで実行するようにスクリプトを有効にすることも可能です。

これらのスクリプトは、AutoClient システムの追加または削除をカスタマイズするために作成したスクリプトです。AdminSuite ソフトウェアが読み取るので、これらのスクリプトは /opt/SUNWadmd/Scripts ディレクトリになければなりません。

マルチホームホストの追加

ホストマネージャを使用すれば、複数のネットワークインタフェースを持つサーバー用に、マルチホームホストの別名を追加できます。たとえば、サーバーが複数のネットワーク上にあるために複数の IP アドレスを持っている場合、このサーバーは、マルチホームホストであると考えられます。ホストマネージャを使用すれば、複数の IP アドレスを 1 つのホストに指定して、そのホストをマルチホームホストとすることができます。