Solaris 7 Maintenance Update 2 ご使用にあたって

バックアウト

Solaris 7 MU2 のパッチは、セットとしてインストール時にパッチの検査を行なっているため、安定性を最大限にするためバックアウト時もセットで使用してください。パッチのどれかを削除する必要がある場合は、Solaris 7 MU2 のインストール時に install_mu-d オプションを使用しないでください。

個々のパッチをバックアウトする手順は、それぞれのパッチのディレクトリにあります。パッチのディレクトリは $ROOTDIR/var/sadm/patch/ にあります。


注 -

install_mu-d オプションを使用した場合、MU 全体をバックアウトすることはできません。

システムがディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient とサービス領域を共有する場合は、システムに MU2 をインストールした後、そのサービス領域を使用しているクライアントごとに -R オプションを付けて backout_mu を実行する必要があります。この操作を行わないと、パッチが正しくバックアウトされず、クライアントが不安定になります。


MU2 をバックアウトする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU2 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。

シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU2 イメージが MU2 CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU2 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。

十分なローカルディスク容量がないため MU2 イメージをローカルにコピーできない場合や MU2 CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU2 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。

MU2 が提供する backout_mu スクリプトを使用すると、MU 全体をバックアウトできます。Solaris 7 MU2 をバックアウトするには、次の手順に従います。

  1. 重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。

  2. 現在のセッションを終了します。

    CDE ログイン画面が表示されます。

  3. 「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。

    ログインプロンプトが表示されます。

  4. ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。


    login: root
    password: root password
    
  5. シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。


    # reboot -- -s
    

    注 -

    shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU2 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。


  6. root のパスワードを入力します。

    システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。


    Entering System Maintenance Mode
    
    Sun Microsystems Inc. SunOS 5.7 Generic October 1998
    # 
  7. システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「special patch のインストール」の手順に従って special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に 「special patch のバックアウト」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。

    • MU2 CD から backout_mu を実行している場合、手順 8 に進みます。

    • MU2 イメージのローカルコピーから backout_mu を実行している場合、手順 9 に進みます。

  8. MU2 CD をマウントするには、MU2 CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。


    # mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom
    

    注 -

    CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者にお問い合わせください。


  9. backout_mu を実行します。

    • MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。


      # cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ>
      # ./backout_mu <任意のオプション>
    • MU2 CD から実行するには、次のように入力します。


      # cd /cdrom
      # ./backout_mu <任意のオプション>
    表 2-3 backout_mu のコマンド行オプション

    オプション 

    説明 

    -T tooldir

    パッチツールディレクトリの位置を指定する 

    -q

    backout_mu 処理中を示すドット表示を無効にする

    -B backoutdir

    パッチが保存されている代替ディレクトリを指定する 

    -R rootdir

    代替ルートディレクトリを指定する 

    -S servicedir

    代替サービス領域を指定する 

    バックアウトが完了すると、次のメッセージが表示されます。


    backout_mu completed successfully.
    • このメッセージが表示された場合は、手順 10手順 11 に進んでバックアウトを完了してください。

    • エラーが発生した場合は、手順 12 に進みます。

  10. 次のように実行してシステムをリブートします。


    # sync ; reboot
    

    ここでログインするように求められます。


    注 -

    ライブラリの衝突を防ぐために、MU2 をバックアウトした後に必ずシステムをリブートしてください。


  11. ログイン名とパスワードを入力します。


    login: login
    password: password
    
  12. エラーが発生した場合は、詳細ログファイルでエラー情報がないかどうかを調べます。

    パッチのバックアウト時に発生したエラーは、バックアウトが終了したあと一覧表示されます。詳細ログファイルを調べてバックアウトされなかったパッチやパッケージの追加情報がないかどうか確認します。


    # more $ROOTDIR/var/sadm/install_data/MU_Backout_log.mu_version_name.date_time
    
    • $ROOTDIR は、更新したシステムのルートディレクトリです。たとえば、ローカルシステムの場合、/ になり、ディスクレスクライアントの場合、/export/root/clientname になります。

    • mu_version_name は MU のバージョンを表します (MU2 の場合、Solaris_7MU2)。

    • date_timedate +%y%m%d%H%M%S からコピーされた指定日時 (yyyymmddHHMMSS) です。


    注 -

    $ROOTDIR/var/sadm/install_data/MU_Backout_log は最新の MU バックアウトログファイルへのシンボリックリンクです。


    エラーコードの説明と対処方法については、付録 A を参照してください。