この章では、スタンドアロンシステムに、あるいはサーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClientTM に Solaris 7 MU2 をインストールする方法について説明します。カスタマイズした JumpStartTM (自動インストール) プロセスの一環として Solaris 7 MU2 をインストールする場合は、『Solaris のインストール (上級編)』を参照してください。
ファイルシステムごとに必要なディスク容量は次の項目によって異なります。
バックアウトオプションを選択したかどうか
バックアウトデータを保存するときのバックアウトディレクトリの位置
ファイルシステムごとに利用可能なディスクパーティションおよびディスク容量と、それに対するファイルシステムごとに必要なパッチのディスク容量
システムのロケール
すでにいくつかの MU パッチがシステムにインストールされているかどうか
クライアント、サーバー、またはサービス領域のどれにパッチを適用するのか
install_mu スクリプトはファイルシステムごとに必要なディスク容量を算出して、その容量を報告します。可能であれば、バックアウトのディスク容量も報告します。容量の計算には数分かかります。
install_mu スクリプトは、1 つまたは複数のファイルシステムに容量が足りないと判断した場合、それ以上処理しません。パッチのインストールに必要な容量は正確に計算されますが、バックアウトデータに必要な容量は予測したものであり、実際に必要な容量よりも多く報告されることがあります。
パッチセット (および、必要であればバックアウトデータ) を適用するのに十分な容量があり、容量の計算を省略したい場合には、install_mu に -f オプションを付けて実行します。
パッチを適用せずに、利用可能なディスク容量と必要なディスク容量だけを報告させる場合は、install_mu に -D オプションを付けて実行します。
Solaris 7 MU2 は、Solaris 7 オペレーティング環境が稼動しているシステム上にのみインストールできます。サーバー/クライアント環境では、サーバー/クライアント共に Solaris 7 が稼動している場合のみ MU2 をクライアントにインストールすることができます。
Solaris 7 MU2 をインストールするには、install_mu を実行するシステムと対象となるシステムで Solaris 7 がすでに稼動していなければなりません。
MU2 はシステムライブラリにパッチを適用するため、MU2 をインストールする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU2 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU2 イメージが Solaris 7 Maintenance Update 2 CD (以降、MU2 CD とします) 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU2 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。
十分なローカルディスク容量がないため MU2 イメージをローカルにコピーできない場合や MU2 CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFSTM を使用して MU2 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
必ずオペレーティングシステムのバックアップをとった後、手順を進めてください。
システムがディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient とサービス領域を共有する場合は、システムに MU2 をインストールした後、そのサービス領域を使用しているクライアントごとに -R オプションを付けて install_mu を実行する必要があります。この操作を行わないと、パッチが正しく適用されず、クライアントが不安定になります。
Solaris 7 MU2 をインストールするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU2 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。
root のパスワードを入力します。
システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.7 Generic October 1998 # |
MU2 CD をマウントするには、MU2 CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom |
CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者にお問い合わせください。
install_mu を実行します。
MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./install_mu <任意のオプション> |
MU2 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom # ./install_mu <任意のオプション> |
以下のオプションがコマンド行で使えます。
表 2-1 install_mu のコマンド行オプション
オプション |
説明 |
---|---|
-u |
無条件のインストール。更新されるファイルが初期インストール状態から変更されているかどうかを検証しない |
-d |
パッチをバックアップしない。この引数を使うとソフトウェアのインストールに要する時間が短縮される。ただし、個々のパッチをバックアウトできなくなる。-B オプションと組み合わせて使うことはできない |
-p patchdir |
すべてのパッチが含まれているディレクトリを指定する |
-q |
install_mu の処理状況を示すドットの表示を無効にする |
-B backoutdir |
指定したディレクトリにバックアウトデータを保存する。-d オプションと組み合わせて使うことはできない |
-f |
十分なディスク容量があるかどうかをチェックせずに、パッチセットをインストールする。このオプションを使用すると時間が短縮される。ただし、このオプションを使用するときは、十分な容量があることを確認しておく。-D オプションと組み合わせて使うことはできない |
-D |
ドライ実行モード。パッチを適用せずに、必要なディスク容量を報告する。-f オプションと組み合わせて使うことはできない |
-R rootdir |
代替ルートディレクトリを指定する。クライアントのルート領域である rootdir 以下のディレクトリツリー内にあるパッケージシステム情報に MU2 を適用するときに使用する。-S オプションと組み合わせて使うことはできない |
-S servicedir |
代替サービス領域を指定する。Solaris のバージョンが異なる場合、またはサーバーとクライアントのアーキテクチャが異なる場合は、そのサービス領域に MU2 を適用するときに使用する。-R オプションと組み合わせて使うことはできない |
インストールが終了すると、次のメッセージが表示されます。
install_mu completed successfully. |
「special patch のインストール」を参照して、special patch をインストールする必要があるか確認し、必要があれば special patch をインストールします。
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ここでログインするように求められます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU2 をインストールした後に必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |
エラーが発生した場合は、詳細ログファイルでエラー情報がないかどうかを調べます。
パッチのインストール時に発生したエラーは、インストールが終了したあと一覧表示されます。詳細ログファイルを調べてインストールされなかったパッチやパッケージの追加情報がないかどうか確認します。
# more $ROOTDIR/var/sadm/install_data/Maintenance_Update_log.mu_version_name.date_time |
$ROOTDIR は、更新したシステムのルートディレクトリです。たとえば、ローカルシステムの場合、/ になり、ディスクレスクライアントの場合、/export/root/clientname になります。
mu_version_name は MU のバージョンを表します (MU2 の場合、Solaris_7MU2)。
date_time は date +%y%m%d%H%M%S からコピーされた指定日時 (yyyymmddHHMMSS) です。
$ROOTDIR/var/sadm/install_data/Maintenance_Update_log は最新の MU インストールログファイルへのシンボリックリンクです。
エラーコードの説明と対処方法については、付録 A を参照してください。
MU2 パッチの中には、Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに自動的にインストールされないものもあります。MU2 に含まれているパッチセットが完全に適用されるのは、Solaris 7 - 3/99 オペレーティング環境を稼動しているシステムのみです。Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに必要な MU2 パッチをすべて適用したい場合は、さらに special patch を適用する必要があります。
これらの special patch をシステムに適用する必要があるかどうかを判断するには、以下のコマンドを実行して /etc/release ファイルのリリースの日付を調べます。
# cat /etc/release |
画面に次に示す Solaris オペレーティング環境のバージョンが表示された場合は、special patch を適用する必要があります。
Solaris 7 s998_21al2b SPARC Copyright 1998 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved. Assembled 06 October 1998 |
画面に January 1999 と表示された場合は、「MU2 のインストール」の 手順 10 に戻ります。
表 2-2 Solaris のリリースバージョン日付 | オペレーティング環境のバージョン | 以下の作業を実行します |
October 1998 | Solaris 7 | special_patches ディレクトリ内の special patch セットを適用します |
January 1999 | Solaris 7 - 3/99 | special_patches ディレクトリ内の special patch は適用しないでください |
次のように入力して、special_patches ディレクトリへ移動します。
MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
MU2 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
platform には sparc または i386 を指定します。
次のコマンドを実行して special patch をインストールします。
# patchadd -M . patchlist |
SPARCTM 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107612-01 | SunOS 5.7 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -ow のハングに対するパッチ |
107616-01 | SunOS 5.7 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107693-01 | SunOS 5.7 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107707-01 | SunOS 5.7 | WOS メッセージの更新パッチ |
Intel 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107613-01 | SunOS 5.7_x86 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -cde および -ow のハングに対するパッチ |
107617-01 | SunOS 5.7_x86 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107694-01 | SunOS 5.7_x86 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107708-01 | SunOS 5.7_x86 | WOS メッセージの更新パッチ |
「MU2 のインストール」の 手順 10 ヘ戻り、インストールを完了します。
Solaris 7 MU2 のパッチは、セットとしてインストール時にパッチの検査を行なっているため、安定性を最大限にするためバックアウト時もセットで使用してください。パッチのどれかを削除する必要がある場合は、Solaris 7 MU2 のインストール時に install_mu の -d オプションを使用しないでください。
個々のパッチをバックアウトする手順は、それぞれのパッチのディレクトリにあります。パッチのディレクトリは $ROOTDIR/var/sadm/patch/ にあります。
install_mu の -d オプションを使用した場合、MU 全体をバックアウトすることはできません。
システムがディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient とサービス領域を共有する場合は、システムに MU2 をインストールした後、そのサービス領域を使用しているクライアントごとに -R オプションを付けて backout_mu を実行する必要があります。この操作を行わないと、パッチが正しくバックアウトされず、クライアントが不安定になります。
MU2 をバックアウトする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU2 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU2 イメージが MU2 CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU2 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。
十分なローカルディスク容量がないため MU2 イメージをローカルにコピーできない場合や MU2 CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU2 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
MU2 が提供する backout_mu スクリプトを使用すると、MU 全体をバックアウトできます。Solaris 7 MU2 をバックアウトするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU2 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。
root のパスワードを入力します。
システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.7 Generic October 1998 # |
システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「special patch のインストール」の手順に従って special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に 「special patch のバックアウト」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。
MU2 CD をマウントするには、MU2 CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom |
CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者にお問い合わせください。
backout_mu を実行します。
MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./backout_mu <任意のオプション> |
MU2 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom # ./backout_mu <任意のオプション> |
オプション |
説明 |
---|---|
-T tooldir |
パッチツールディレクトリの位置を指定する |
-q |
backout_mu 処理中を示すドット表示を無効にする |
-B backoutdir |
パッチが保存されている代替ディレクトリを指定する |
-R rootdir |
代替ルートディレクトリを指定する |
-S servicedir |
代替サービス領域を指定する |
バックアウトが完了すると、次のメッセージが表示されます。
backout_mu completed successfully. |
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ここでログインするように求められます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU2 をバックアウトした後に必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |
エラーが発生した場合は、詳細ログファイルでエラー情報がないかどうかを調べます。
パッチのバックアウト時に発生したエラーは、バックアウトが終了したあと一覧表示されます。詳細ログファイルを調べてバックアウトされなかったパッチやパッケージの追加情報がないかどうか確認します。
# more $ROOTDIR/var/sadm/install_data/MU_Backout_log.mu_version_name.date_time |
$ROOTDIR は、更新したシステムのルートディレクトリです。たとえば、ローカルシステムの場合、/ になり、ディスクレスクライアントの場合、/export/root/clientname になります。
mu_version_name は MU のバージョンを表します (MU2 の場合、Solaris_7MU2)。
date_time は date +%y%m%d%H%M%S からコピーされた指定日時 (yyyymmddHHMMSS) です。
$ROOTDIR/var/sadm/install_data/MU_Backout_log は最新の MU バックアウトログファイルへのシンボリックリンクです。
エラーコードの説明と対処方法については、付録 A を参照してください。
special_patches ディレクトリへ移動し、各 special patch に対して次のコマンドを実行します。
# patchrm patch_id Checking installed packages and patches... Backing out patch patch_id... |
patch_id には、バックアウトする special patch の ID を指定します。
「バックアウト」の 手順 7 に戻り、バックアウトの手順を完了します。
マルチユーザーモードで、サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient に Solaris 7 MU2 をインストールできます。ただし、クライアントを追加しないと install_mu を実行できません。Solstice AdminSuiteTM の使用方法の詳細は、『Solaris 7 インストールライブラリ (SPARC 版)』、または『Solaris 7 インストールライブラリ (Intel 版)』を参照してください。
Solaris 7 MU2 をクライアントサーバー環境にインストールする場合、admclientpatch と install_mu のどちらを使用するかを決定する必要があります。次の表を参照して、どちらの方法を使用するかを決定します。
表 2-4 admclientpatch と install_mu の違い
admclientpatch |
install_mu |
|
---|---|---|
パッチを適用する速さ |
遅い |
速い |
サービス領域の処理 |
自動 |
手動 |
パッチの適用しやすさ |
複雑 |
簡単 |
AdminSuite との統合 |
完全 |
なし |
admclientpatch は、AdminSuite のユーティリティで、管理対象のクライアント群にパッチコレクションのインストールまたは削除を行うツールです。install_mu により MU パッチセットを適用すると、AdminSuite のパッチ管理プロセスが省略されるため、複数のクライアントで共有するパッチセットを後で管理するのが難しくなります。これは、クライアント数が多い場合や、MU セット以外のパッチがインストールまたは削除されている場合に問題になります。
admclientpatch はクライアントのサービス領域に自動的にパッチを適用します。install_mu を使用する場合、まず、クライアントごとに -R オプションでパッチを適用し、次にサービス領域ごとに -S オプションを付けて install_mu を実行しなければなりません。1 つのサービス領域を複数のクライアントが共有している場合、install_mu に -S オプションを付けて 1 回実行するだけでかまいません。この手順に従えば、クライアントのサービス領域とルート領域の整合性が保たれます。
install_mu を使用すると、より速くクライアントにパッチを適用できます。これは、admclientpatch パッチ管理プロセスが省略され、また、admclientpatch の場合には新しいパッチを適用する前に古いリビジョンのパッチが削除されるためです。クライアント数とサービス領域の数が少ない環境でクライアントとサービス領域にパッチを適用するには、install_mu の方が便利です。
install_mu は MU2 パッチをセットとして認識するため、簡単に使用できます。MU2 パッチディレクトリには、パッチの必要条件を考慮して、適用するすべてのパッチを正しい順序でリストしたファイル (.order) が入っています。admclientpatch でクライアントにパッチを適用するには、.order ファイルを読み取り、admclientpatch スプール領域にパッチを適用し、次に admclientpatch を実行してクライアントにパッチをインストールするようなスクリプトを作成します。-D (ドライ実行) オプションを付けて install_mu を実行すると、.order ファイルの位置がわかります。
クライアントとパッチの管理についての詳細は、http://docs.sun.com にある『Solstice AutoClient 2.1 管理者ガイド』を参照してください。
install_mu は、サーバー/クライアント環境へのインストールをサポートしています。install_mu はサーバー自身、そしてサーバーのディスク上にあるクライアントのルート領域に MU2 をインストールすることができます。またサーバーのディスク上にある SPARC または x86 クライアント内のサービス領域内に MU2 をインストールすることができます。MU2 をインストールできるサーバー/クライアント環境は以下のとおりです。
サーバーが SPARC、クライアントが SPARC
サーバーが SPARC、クライアントが x86
サーバーが x86、クライアントが SPARC
サーバーが x86、クライアントが x86
MU2 をインストールできるのは、Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムのみです。クライアント/サーバー環境では、クライアントとサーバーの両方が Solaris 7 オペレーティング環境を稼動している場合にのみ、MU2 をクライアントにインストールすることができます。
install_mu を使用してサーバーからディスクレスクライアントまたは AutoClient へ Solaris 7 MU2 をインストールするには、次の手順に従います。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient を停止します。
サーバー上で、次のようにクライアントのルートディレクトリを引数として指定して、MU2 のディレクトリにある install_mu スクリプトを実行します。
クライアントのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./install_mu -R /export/root/client_name |
client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
MU2 CD から実行するには、MU2 CD をマウントし、次のように入力します。
# cd /cdrom/s7_maintenance_update_2_platform # ./install_mu -R /export/root/client_name |
platform にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のアーキテクチャである sparc または x86、client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
対象となるディスクレスクライアントまたは AutoClient ごとにこの手順を繰り返します。
Solaris 7 MU2 をサーバーのサービス領域にインストールします。サーバーのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./install_mu -S Solaris_2.7 |
サービス領域をサーバーと共有している場合は、サーバーのルート領域に同じ MU のパッチセットも適用する必要があります。適用しないと、パッチが正しく適用されず、サーバーが不安定になります。
「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」を参照して、special patch をインストールする必要があるか確認し、必要がある場合は special patch をインストールします。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient をブートします。
MU2 パッチの中には、Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに自動的にインストールされないものもあります。MU2 に含まれているパッチセットが完全に適用されるのは、Solaris 7 - 3/99 オペレーティング環境を稼動しているシステムのみです。Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに必要な MU2 パッチをすべて適用したい場合は、さらに special patch を適用する必要があります。
これらの special patch をシステムに適用する必要があるかどうかを判断するには、以下のコマンドを実行して /etc/release ファイルのリリースの日付を調べます。
# cat /export/root/client_name/etc/release |
画面に次に示す Solaris オペレーティング環境のバージョンが表示された場合は、 special patch を適用する必要があります。
Solaris 7 s998_21al2b SPARC Copyright 1998 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved. Assembled 06 October 1998 |
画面に January 1999 と表示された場合は、「install_mu によるインストール」の 手順 6 に戻ります。
表 2-5 Solaris のリリースバージョン日付 | オペレーティング環境のバージョン | 以下の作業を実行します |
October 1998 | Solaris 7 | special_patches ディレクトリ内の special patch セットを適用します |
January 1999 | Solaris 7 - 3/99 | special_patches ディレクトリ内の special patch セットは適用しないでください |
次のように入力して、special_patches ディレクトリへ移動します。
MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
MU2 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
platform には sparc または i386 を指定します。
それぞれ次のコマンドを実行して special patch をインストールします。
各クライアントのルート領域にインストールする場合
# patchadd -R /export/root/client_root -M . patchlist |
サービス領域にインストールする場合
# patchadd -S Solaris_2.7 -M . patchlist |
SPARC 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107612-01 | SunOS 5.7 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -ow のハングに対するパッチ |
107616-01 | SunOS 5.7 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107693-01 | SunOS 5.7 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107707-01 | SunOS 5.7 | WOS メッセージの更新パッチ |
Intel 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107613-01 | SunOS 5.7_x86 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -cde および -ow のハングに対するパッチ |
107617-01 | SunOS 5.7_x86 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107694-01 | SunOS 5.7_x86 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107708-01 | SunOS 5.7_x86 | WOS メッセージの更新パッチ |
「install_mu によるインストール」の 手順 6 に戻り、インストールを完了します。
backout_mu を使用してサーバーからディスクレスクライアントまたは AutoClient 上にある Solaris 7 MU2 をバックアウトするには、次の手順に従います。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient を停止します。
システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」の手順に従ってディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient に special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient にインストールした special patch をバックアウトする」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。
サーバー上で、次のようにクライアントのルートディレクトリを引数として指定して、MU2 のディレクトリにある backout_mu スクリプトを実行します。
クライアントのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
MU2 CD から実行するには、MU2 CD をマウントし、次のように入力します。
# cd /cdrom/s7_maintenance_update_2_platform # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
platform にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のアーキテクチャである sparc または x86、client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
対象となるディスクレスクライアントまたは AutoClient ごとにこの手順を繰り返します。
システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」の手順に従ってサーバーのサービス領域に special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に 「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient にインストールした special patch をバックアウトする」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。
サーバーのサービス領域にある Solaris 7 MU2 をバックアウトします。サーバーのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
x86 クライアントを持つ SPARC サーバー上のサーバーのサービス領域から MU2 をバックアウトする場合は、「バックアウトに関するバグ」の bug ID 4228999 を必ず参照してください。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./backout_mu -S Solaris_2.7 |
サービス領域をサーバーと共有している場合は、サーバーのルート領域から同じ MU のパッチセットも削除する必要があります。削除しないと、パッチが正しく適用されず、サーバーが不安定になります。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient をブートします。
special_patches ディレクトリへ移動し、バックアウトする必要がある各 special patch に対して次のコマンドを実行します。
# patchrm -R /export/root/client_name patch_id Checking installed packages and patches... Backing out patch patch_id ... |
patch_id には、バックアウトする special patch の ID を指定します。
「backout_mu によるバックアウト」の 手順 3 に戻り、クライアントのバックアウト手順を完了します。
special_patches ディレクトリへ移動し、バックアウトする必要がある各 special patch に対して次のコマンドを実行します。
# patchrm -S Solaris_2.7 patch_id Checking installed packages and patches... Backing out patch patch_id ... |
patch_id には、バックアウトする special patch の ID を指定します。
「backout_mu によるバックアウト」の 手順 6 に戻り、サーバーのサービス領域のバックアウト手順を完了します。
Solaris 7 MU のバージョンを確認するには、次のように実行します。
# cat /etc/release |