マルチユーザーモードで、サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient に Solaris 7 MU2 をインストールできます。ただし、クライアントを追加しないと install_mu を実行できません。Solstice AdminSuiteTM の使用方法の詳細は、『Solaris 7 インストールライブラリ (SPARC 版)』、または『Solaris 7 インストールライブラリ (Intel 版)』を参照してください。
Solaris 7 MU2 をクライアントサーバー環境にインストールする場合、admclientpatch と install_mu のどちらを使用するかを決定する必要があります。次の表を参照して、どちらの方法を使用するかを決定します。
表 2-4 admclientpatch と install_mu の違い
admclientpatch |
install_mu |
|
---|---|---|
パッチを適用する速さ |
遅い |
速い |
サービス領域の処理 |
自動 |
手動 |
パッチの適用しやすさ |
複雑 |
簡単 |
AdminSuite との統合 |
完全 |
なし |
admclientpatch は、AdminSuite のユーティリティで、管理対象のクライアント群にパッチコレクションのインストールまたは削除を行うツールです。install_mu により MU パッチセットを適用すると、AdminSuite のパッチ管理プロセスが省略されるため、複数のクライアントで共有するパッチセットを後で管理するのが難しくなります。これは、クライアント数が多い場合や、MU セット以外のパッチがインストールまたは削除されている場合に問題になります。
admclientpatch はクライアントのサービス領域に自動的にパッチを適用します。install_mu を使用する場合、まず、クライアントごとに -R オプションでパッチを適用し、次にサービス領域ごとに -S オプションを付けて install_mu を実行しなければなりません。1 つのサービス領域を複数のクライアントが共有している場合、install_mu に -S オプションを付けて 1 回実行するだけでかまいません。この手順に従えば、クライアントのサービス領域とルート領域の整合性が保たれます。
install_mu を使用すると、より速くクライアントにパッチを適用できます。これは、admclientpatch パッチ管理プロセスが省略され、また、admclientpatch の場合には新しいパッチを適用する前に古いリビジョンのパッチが削除されるためです。クライアント数とサービス領域の数が少ない環境でクライアントとサービス領域にパッチを適用するには、install_mu の方が便利です。
install_mu は MU2 パッチをセットとして認識するため、簡単に使用できます。MU2 パッチディレクトリには、パッチの必要条件を考慮して、適用するすべてのパッチを正しい順序でリストしたファイル (.order) が入っています。admclientpatch でクライアントにパッチを適用するには、.order ファイルを読み取り、admclientpatch スプール領域にパッチを適用し、次に admclientpatch を実行してクライアントにパッチをインストールするようなスクリプトを作成します。-D (ドライ実行) オプションを付けて install_mu を実行すると、.order ファイルの位置がわかります。
クライアントとパッチの管理についての詳細は、http://docs.sun.com にある『Solstice AutoClient 2.1 管理者ガイド』を参照してください。
install_mu は、サーバー/クライアント環境へのインストールをサポートしています。install_mu はサーバー自身、そしてサーバーのディスク上にあるクライアントのルート領域に MU2 をインストールすることができます。またサーバーのディスク上にある SPARC または x86 クライアント内のサービス領域内に MU2 をインストールすることができます。MU2 をインストールできるサーバー/クライアント環境は以下のとおりです。
サーバーが SPARC、クライアントが SPARC
サーバーが SPARC、クライアントが x86
サーバーが x86、クライアントが SPARC
サーバーが x86、クライアントが x86
MU2 をインストールできるのは、Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムのみです。クライアント/サーバー環境では、クライアントとサーバーの両方が Solaris 7 オペレーティング環境を稼動している場合にのみ、MU2 をクライアントにインストールすることができます。
install_mu を使用してサーバーからディスクレスクライアントまたは AutoClient へ Solaris 7 MU2 をインストールするには、次の手順に従います。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient を停止します。
サーバー上で、次のようにクライアントのルートディレクトリを引数として指定して、MU2 のディレクトリにある install_mu スクリプトを実行します。
クライアントのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./install_mu -R /export/root/client_name |
client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
MU2 CD から実行するには、MU2 CD をマウントし、次のように入力します。
# cd /cdrom/s7_maintenance_update_2_platform # ./install_mu -R /export/root/client_name |
platform にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のアーキテクチャである sparc または x86、client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
対象となるディスクレスクライアントまたは AutoClient ごとにこの手順を繰り返します。
Solaris 7 MU2 をサーバーのサービス領域にインストールします。サーバーのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./install_mu -S Solaris_2.7 |
サービス領域をサーバーと共有している場合は、サーバーのルート領域に同じ MU のパッチセットも適用する必要があります。適用しないと、パッチが正しく適用されず、サーバーが不安定になります。
「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」を参照して、special patch をインストールする必要があるか確認し、必要がある場合は special patch をインストールします。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient をブートします。
MU2 パッチの中には、Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに自動的にインストールされないものもあります。MU2 に含まれているパッチセットが完全に適用されるのは、Solaris 7 - 3/99 オペレーティング環境を稼動しているシステムのみです。Solaris 7 オペレーティング環境を稼動しているシステムに必要な MU2 パッチをすべて適用したい場合は、さらに special patch を適用する必要があります。
これらの special patch をシステムに適用する必要があるかどうかを判断するには、以下のコマンドを実行して /etc/release ファイルのリリースの日付を調べます。
# cat /export/root/client_name/etc/release |
画面に次に示す Solaris オペレーティング環境のバージョンが表示された場合は、 special patch を適用する必要があります。
Solaris 7 s998_21al2b SPARC Copyright 1998 Sun Microsystems, Inc. All Rights Reserved. Assembled 06 October 1998 |
画面に January 1999 と表示された場合は、「install_mu によるインストール」の 手順 6 に戻ります。
表 2-5 Solaris のリリースバージョン日付 | オペレーティング環境のバージョン | 以下の作業を実行します |
October 1998 | Solaris 7 | special_patches ディレクトリ内の special patch セットを適用します |
January 1999 | Solaris 7 - 3/99 | special_patches ディレクトリ内の special patch セットは適用しないでください |
次のように入力して、special_patches ディレクトリへ移動します。
MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
MU2 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom/Solaris_7_MU2/platform/Patches/special_patches |
platform には sparc または i386 を指定します。
それぞれ次のコマンドを実行して special patch をインストールします。
各クライアントのルート領域にインストールする場合
# patchadd -R /export/root/client_root -M . patchlist |
サービス領域にインストールする場合
# patchadd -S Solaris_2.7 -M . patchlist |
SPARC 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107612-01 | SunOS 5.7 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -ow のハングに対するパッチ |
107616-01 | SunOS 5.7 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107693-01 | SunOS 5.7 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107707-01 | SunOS 5.7 | WOS メッセージの更新パッチ |
Intel 版 MU2 の special_patches ディレクトリに含まれている special patch は、次のとおりです。
107613-01 | SunOS 5.7_x86 | dtlogin 画面が表示される前の koi8-R -cde および -ow のハングに対するパッチ |
107617-01 | SunOS 5.7_x86 | ヨーロッパ言語版の更新パッチ |
107694-01 | SunOS 5.7_x86 | SUNW* を SUNW*os 599 に修正する、l10n_euro メッセージの更新パッチ |
107708-01 | SunOS 5.7_x86 | WOS メッセージの更新パッチ |
「install_mu によるインストール」の 手順 6 に戻り、インストールを完了します。
backout_mu を使用してサーバーからディスクレスクライアントまたは AutoClient 上にある Solaris 7 MU2 をバックアウトするには、次の手順に従います。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient を停止します。
システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」の手順に従ってディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient に special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient にインストールした special patch をバックアウトする」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。
サーバー上で、次のようにクライアントのルートディレクトリを引数として指定して、MU2 のディレクトリにある backout_mu スクリプトを実行します。
クライアントのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
MU2 CD から実行するには、MU2 CD をマウントし、次のように入力します。
# cd /cdrom/s7_maintenance_update_2_platform # ./backout_mu -R /export/root/client_name |
platform にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のアーキテクチャである sparc または x86、client_name にはディスクレスクライアントまたは AutoClient のホスト名を指定します。
対象となるディスクレスクライアントまたは AutoClient ごとにこの手順を繰り返します。
システム上で Solaris 7 オペレーティング環境を稼動していて、「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient へ special patch をインストールする」の手順に従ってサーバーのサービス領域に special patch をインストールしている場合は、以下の backout_mu を実行する前に 「サーバーからディスクレスクライアントまたは Solstice AutoClient にインストールした special patch をバックアウトする」に記載されている手順に従って個々の special patch をバックアウトする必要があります。
サーバーのサービス領域にある Solaris 7 MU2 をバックアウトします。サーバーのプラットフォームに対応する MU2 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
x86 クライアントを持つ SPARC サーバー上のサーバーのサービス領域から MU2 をバックアウトする場合は、「バックアウトに関するバグ」の bug ID 4228999 を必ず参照してください。
# cd <MU2 が格納されているローカルディレクトリ> # ./backout_mu -S Solaris_2.7 |
サービス領域をサーバーと共有している場合は、サーバーのルート領域から同じ MU のパッチセットも削除する必要があります。削除しないと、パッチが正しく適用されず、サーバーが不安定になります。
ディスクレスクライアントまたは AutoClient をブートします。
special_patches ディレクトリへ移動し、バックアウトする必要がある各 special patch に対して次のコマンドを実行します。
# patchrm -R /export/root/client_name patch_id Checking installed packages and patches... Backing out patch patch_id ... |
patch_id には、バックアウトする special patch の ID を指定します。
「backout_mu によるバックアウト」の 手順 3 に戻り、クライアントのバックアウト手順を完了します。
special_patches ディレクトリへ移動し、バックアウトする必要がある各 special patch に対して次のコマンドを実行します。
# patchrm -S Solaris_2.7 patch_id Checking installed packages and patches... Backing out patch patch_id ... |
patch_id には、バックアウトする special patch の ID を指定します。
「backout_mu によるバックアウト」の 手順 6 に戻り、サーバーのサービス領域のバックアウト手順を完了します。