Sun N1 Service Provisioning System ユーザーズガイド (OS Provisioning Plug-In 3.0)

前提条件

OS プロビジョニングプラグインを使用してオペレーティングシステムのプロビジョニングを行うには、システム管理とネットワーキングの基本を理解している必要があります。また、オペレーティングシステムのプロビジョニングには、マシン間で基本的な IP 接続が存在している必要があります。

基本的な OS プロビジョニング環境

基本的な OS プロビジョニング環境には、次の要件が必要です。


注 –

N1 SPS マスターサーバー、OS プロビジョニングサーバー、および Solaris ブートおよびインストールサーバーは、1 つの物理システムであることが可能です。ただし、1 つのシステムでこれら 3 つすべてのサーバーを実行すると、サーバーの負荷が増大し、またサーバーが処理しなければならないネットワークトラフィックが増大します。これらを分離することで、将来の高いスケーラビリティーが実現できます。


ターゲットホスト

OS プロビジョニング用のプロビジョニング可能なターゲットシステムを設定する必要があります。OS プロビジョニングサーバーは、MAC アドレス、GUID、遠隔管理接続、およびアクセス情報など、これらのターゲットに関する情報を認識する必要があります。ターゲットの定義については、第 9 章「OS プロビジョニング用ターゲットホスト」を参照してください。

ネットワーク

OS プロビジョニングプラグインは、幅広いネットワーク構成およびトポロジで動作するよう設計されています。そのため、プラグインはネットワークトポロジを規定したり、スイッチやルーターなどのネットワーク要素を操作したりする必要はありません。ただし、プラグインは次のネットワーク通信の存在に依存します。

ネットワークインフラストラクチャーに対するこれらの要件は、OS プロビジョニングサーバーの機能にとって中心的な 2 つのネットワークタイプのニーズによって課せられるものです。これらのネットワークタイプは制御ネットワークプロビジョニングネットワークです。


注 –

アクセスネットワークは、OS プロビジョニングサーバーとブートおよびインストールサーバーへのアクセスに使用されるネットワークです。アクセスネットワークの例としては企業内イントラネットがあります。このネットワークは、OS プロビジョニング機能には必要ありません。セキュリティーの観点から、アクセスネットワークを、制御ネットワークおよびプロビジョニングネットワークから分離する必要があります。


次の図に、ネットワーク環境を示します。

図 3–1 OS プロビジョニング用のネットワーク環境図

アクセスネットワーク、プロビジョニングネットワークおよび制御ネットワーク間の関係を示す図。文章による説明は、以降の節を参照してください。

プロビジョニングネットワーク

プロビジョニングネットワークは、OS プロビジョニングサーバーのプロビジョニングインタフェース、ターゲットプラットフォームのプロビジョニングインタフェース、および 1 つまたは複数のブートおよびインストールサーバーのプロビジョニングインタフェースから構成されています。プロビジョニングネットワークは 1 つまたは複数のサブネットから構成できます。OS プロビジョニングプラグインのインストールは、OS プロビジョニング用の複数のプロビジョニングネットワークの使用をサポートしています。ネットワークベースのプロビジョニングに必要なプロトコルとテクノロジにより、これらのプロビジョニングネットワークに関する次の要件が規定されます。要件は次の通りです。

制御ネットワーク

制御ネットワークは、主に次の 2 つの機能のために OS プロビジョニングサーバーにより使用されるネットワークです。

制御ネットワークは純粋な IP ネットワークを使用でき、またシリアル/端末サーバー要素を持つ場合もあります。OS プロビジョニングサーバーは、IP ネットワークでブートおよびインストールサーバーと通信します。同時に、ターゲットホストのネットワーク管理ポートとの通信が IP ネットワークまたはシリアルネットワークで行われる場合があります。制御ネットワークは数多くのサブネット上に存在することができます。制御ネットワークの要件は、ブートおよびインストールサーバーとターゲットネットワーク管理ポートが、OS プロビジョニングサーバーから到達可能であることのみです。

スイッチ型ネットワーク

スイッチ型ネットワークの要件は、スイッチを使用する環境では特別な意味を持ちます。スイッチ型ネットワークでは、スイッチ型接続はトランクまたはアクセス (非トランク) モードのいずれかを取ることが可能です。制御ネットワークの場合、OS プロビジョニングサーバーからの IP ルーティングが唯一の要件であるため、スイッチ型接続はアクセスモードになることができます。プロビジョニングネットワークは、プロビジョニングネットワークの設計に応じて、スイッチ型ポートをトランクモードとアクセスモードのいずれかにすることができます。

セキュリティー

OS プロビジョニングプラグインソフトウェアは N1 SPS セキュリティーモデルを利用します。異なるサーバー間でのほとんどの通信は、N1 SPS リモートエージェント (RA) を介して行われます。セキュリティー保護された通信を行うように RA を構成します。マスターサーバーと RA の間のセキュリティー保護された通信を有効にする方法の詳細については、ドキュメントを参照してください。

ターゲットの遠隔管理を行うため、OS プロビジョニングサーバーには暗号化されたパスワードが格納されます。パスワードの暗号化の詳細については、「パスワードの暗号化」を参照してください。

Windows ブートおよびインストールサーバーと通信するためには、RSH サービスまたは SSH サービスのいずれかを有効にする必要があります。OS プロビジョニングサーバーと Windows ブートおよびインストールサーバーの間の通信のセキュリティーを保護するには、SSH サービスを使用します。「Windows RIS サーバーを設定する」を参照してください。