Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition 管理者ガイド |
第 19 章
cladmin コマンドの使用この章では、SunTM Open Net Environment (Sun ONE) Application Server 7, Enterprise Edition の一部である cladmin コマンドの使用について説明します。
この章には次の節があります。
cladmin コマンドについてcladmin コマンドによって、1 つのクラスタに含まれる全アプリケーションサーバーインスタンスに対し、asadmin コマンドを同時かつ均一に実行できます。たとえば、このコマンドを使用して、1 つのクラスタ内にあるすべてのインスタンスを起動することも、1 つのクラスタ内にあるすべてのインスタンスに Web アプリケーションを配備することもできます。これによって、クラスタの管理作業が簡略化されます。
注
「cladmin コマンドにサポートされる asadmin コマンド」に記載されている asadmin コマンドのみがテストおよびサポートされていますが、基本的にはその他の asadmin コマンドにも対応します。
1 つのクラスタ内でアプリケーションサーバーインスタンスを設定し、サポートされているすべての asadmin コマンドに対して cladmin コマンドを使用することをお勧めします。これにより、クラスタ内のすべてのアプリケーションサーバーインスタンスについて、設定の整合性が確保されます。
cladmin コマンドを実行するには、それ自体を機能させるための入力ファイルが必要です。アプリケーションサーバーインスタンスに関する情報は clinstance.conf ファイルに保存され、パスワードに関する情報は clpassword.conf ファイルに保存されます。入力ファイルを変更して、異なる設定に対応させることができます。これらの入力ファイルは、テキストファイルです。入力ファイルの詳細は、「cladmin コマンドの入力ファイル」を参照してください。
このコマンドは、一度に 1 つのインスタンスについて、そのインスタンスに固有の情報を clinstance.conf ファイルから読み込みます。ユーザーは引数の残りの部分を cladmin コマンドに入力します。cladmin コマンドは、clinstance.conf ファイルで指定された各インスタンスに、対応する asadmin コマンドを呼び出します。
このコマンドは install_dir/bin にあります。install_dir は Sun One Application Server のインストールディレクトリが置かれている場所です。入力ファイルは、Sun One Application Server の設定ディレクトリにあります。設定ディレクトリのデフォルトの場所は、/etc/opt/SUNWappserver7 です。
注
cladmin コマンドインタフェースは、不確定です。不確定なインタフェースは試験的または一時的なインタフェースであるため、次のリリースで互換性がなくなったり、削除されたり、または安定したインタフェースに置き換えられたりする場合があります。
この節では、次のトピックを取り上げます。
cladmin コマンドにサポートされる asadmin コマンド
次の表は、cladmin コマンドを使用して、1 つのクラスタ内にある各アプリケーションサーバーインスタンスに対して同時に実行できる asadmin コマンドの一覧です。この表では、左側の列に asadmin コマンド、および右側の列にコマンドの目的を示しています。
要件と制限事項
cladmin コマンドの使用に関し、ユーザーは次の重要事項に注意する必要があります。
cladmin コマンドの入力ファイルcladmin コマンドが機能するために必要な入力ファイルは、次のとおりです。
この節では、次のトピックを取り上げます。
clinstance.conf ファイル
cladmin コマンドを正しく実行するには、クラスタの一部であるすべてのアプリケーションサーバーインスタンスを clinstance.conf ファイルに定義しておく必要があります。
標準インストールの際に、インストールプログラムによって clinstance.conf ファイルと 2 つのインスタンスのエントリが作成されます。これらのエントリのデフォルト値については、「clinstance.conf ファイルのエントリ」を参照してください。
さらにいくつかのインスタンスをクラスタに追加する場合は、追加するインスタンスについての情報を clinstance.conf ファイルに追加する必要があります。
クラスタを作成する場合は、各クラスタ内のインスタンスについての情報を個々の clinstance.conf ファイルに指定する必要があります。
以下に、clisntance.conf ファイルの書式を示します。クラスタの一部であるインスタンスごとに、1 組のエントリが必要です。先頭に # という文字があるエントリは、コメントとして扱われます。
警告
clinstance.conf ファイルに表示される各エントリの順序は、重要です。以下に示す順序を変更しないでください。別のアプリケーションサーバーインスタンスについての情報を追加する場合は、追加するインスタンスのエントリを以下と同じ順序にしてください。
ただし、コメントについては、ファイル内のどこにでも追加できます。
次の表に、clinstance.conf ファイルで使用可能な各エントリ、および各エントリの意味とデフォルト値についての情報を示します。デフォルト値は、標準インストールの際に作成される 2 つのエントリに対してインストールプログラムから指定される値です。
次の表では、左側の列に clinstance.conf ファイルのエントリ、中央の列にエントリの定義、および右側の列にエントリのデフォルト値を示します。
2 つのインスタンスについての情報が記録されている clinstance.conf ファイルの例を以下に示します。
clpassword.conf ファイル
clpassword.conf ファイルには、管理サーバーのパスワードが保存されます。cladmin コマンドの実行時に、asadmin コマンドが必ず管理サーバーのパスワードを要求します。このとき、clpassword.conf ファイルに指定したパスワードを使用します。
clpassword.conf ファイルの書式は、次のとおりです。
password は、管理サーバーのパスワードです。
cladmin コマンドの実行cladmin コマンドを実行する前に、次の操作を実行してください。
cladmin コマンドの構文は次のとおりです。
各変数の意味は次のとおりです。
- instance_file_location は、入力ファイル clinstance.conf の保存場所
- password_file_location は、入力ファイル clpassword.conf の保存場所
- asadmin_command は、クラスタ内のアプリケーションサーバーインスタンス上で実行する asadmin コマンド
注
入力ファイル clinstance.conf および clpassword.conf は、「cladmin コマンドの入力ファイル」で指定した必須書式に準拠している必要があります。
入力ファイルが Sun ONE Application Server の設定ディレクトリ (デフォルトでは /etc/opt/SUNWappserver7) にある場合は、instancefile オプションおよび passwordfile オプションを省略して、次のコマンドを実行できます。
この場合、入力ファイルは Sun One Application Server の設定ディレクトリから読み込まれます。
例 : クラスタ内のすべてのインスタンスを起動する
入力ファイルの保存場所が指定されていないので、入力ファイルは Sun ONE Application Server の設定ディレクトリ (デフォルトでは /etc/opt/SUNWappserver7) から読み込まれます。
例 : 指定した場所の入力ファイルによってクラスタ内のすべてのインスタンスを起動する
例 : クラスタ内のすべてのインスタンスに対して CluJDBC という名前の JDBC 接続プールを作成する
./cladmin create-jdbc-connection-pool --user admin --datasourceclassname com.sun.hadb.jdbc.ds.HadbDataSource --isisolationguaranteed=true --isolationlevel repeatable-read --isconnectvalidatereq=true --validationmethod auto-commit --failconnection=false --property username=hadbuser:password=hadbpassword:serverList=exampleserver1.example.com¥:15100,exampleserver2.example.com¥:15120 CluJDBC
例 : クラスタ内のすべてのインスタンスにセッションの持続性を設定する
メッセージ
コマンドは、コマンドの実行状況に関する情報を得るうえで役立つ終了コードを返します。終了コードを取得するには、コマンド行から次のコマンドを実行します。
この操作は、cladmin コマンドの実行直後に行います。
次の表で、終了コードについて説明します。この表では、左側の列に終了コード、および右側の列に終了コードの説明を示しています。
cladmin コマンドのログファイル
ログファイルは cladmin.log という名前であり、ディレクトリ /var/tmp/cladmin.log に保存されます。
個々の実行が終了するたびに、ログファイルの保存場所が通知されます。個々の実行の終了後にログファイルをスキャンすることをお勧めします。
デフォルトでは cladmin コマンドは詳細モードで実行され、すべての情報がログファイルに記録されます。ログファイルのエントリの先頭と末尾には、タイムスタンプタグが付きます。コマンドの実行前の時点でログファイルが存在する場合、出力は既存のログファイルに追加されます。
複数のクラスタの実行中における cladmin コマンドの使用複数のクラスタを実行している場合、各クラスタに対して個別に clinstance.conf ファイルを指定する必要があります。
「cladmin コマンドの実行」で説明したとおり、特定のクラスタに対応する入力ファイルのパスを指定することによって、そのクラスタのインスタンス上で cladmin コマンドを実行できます。