Sun ONE ロゴ      前へ      目次      索引      次へ     

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition サーバーアプリケーションの移行および再配備

第 1 章
移行に関する注意事項

この章では、SunTM Open Net Environment (ONE) Application Server で利用可能な機能に加え、Enterprise Edition で拡張された機能の概要についても説明しています。


移行理由

Sun ONE Application Server は、最新の Java テクノロジを開発者向けに使いやすくパッケージ化した製品です。Application Server は、高度なスケーラビリティを備えたアプリケーションサーバー技術を実現したいという Sun の専門家たちの 6 年以上におよぶ開発努力の成果です。本製品により、JavaServer Pages (JSPTM) テクノロジ、JavaTM Servlet、Enterprise Java BeansTM (EJBTM) テクノロジをベースにした堅牢なアプリケーションを迅速に開発できます。本製品のテクノロジは、小規模な部門アプリケーションからエンタープライズ規模のミッションクリティカルなサービスまで、広い範囲のビジネス要件をカバーしています。

J2EE 仕様は、アプリケーションに対する要求を幅広くカバーしていますが、その一方で標準として進化を続けています。これは、アプリケーションのある面をカバーしていない、または実装の詳細をアプリケーションプロバイダに任せているということではありません。

これらの製品の実装に依存する面は、アプリケーションサーバーの構成方法の違い、およびアプリケーションサーバー上への J2EE コンポーネントの配備方法の違いとして明らかになります。使用可能な構成の配列、および特定のアプリケーションサーバー製品で使用する配備ツールも、製品実装の差異の原因となります。

仕様が進化すること自体が、アプリケーションプロバイダにとっては課題になります。各コンポーネント API は別々に進化します。このため、製品ごとに統一性の度合いが異なります。特に、Sun ONE Application Server などの新しく開発された製品は、他の確立されたアプリケーションサーバープラットフォームに配備された J2EE アプリケーションコンポーネント、モジュール、およびファイルの違いに対処しなければなりません。このような違いに対処するには、ファイル命名規則、メッセージ構文など、J2EE 標準以前の実装詳細間でのマッピングが必要になります。

さらに、製品プロバイダは通常、製品に追加機能とサービスをバンドルしています。これらの機能は、カスタムの JSP タグや、専用の Java API ライブラリとして利用できます。ただし、このような専用機能を使用すると、アプリケーションを移植できなくなります。


Sun ONE Application Server 7 の利点

Sun ONE Application Server 7 は、開発および運用環境を拡張する新しい機能を多数提供しています。

これらの新機能は、製品のすべてのエディションで利用できます。

開発機能

Sun ONE Application Server 7 には、次の開発機能があります。

運用機能

Sun ONE Application Server 7 には、次の運用機能があります。

詳細は、『Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition プラットフォームの概要』を参照してください。


Enterprise Edition の追加機能

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition には、Standard Edition にはない次の機能があります。

クラスタリングによる高度なスケーラビリティ

Sun ONE Application Server では、複数のインスタンスを 1 つのマシンに追加できることから、システム全体の性能の低下なしに、容量を増加できます。特に、Application Server のインスタンスは、複数のマシンに分散できることから、効率的な管理のために、「クラスタ」によるグループ化をサポートしています。

ロードバランス機能によるパフォーマンスの向上

複数のインスタンス、またはクラスタ内の個々のインスタンスの動的ロードバランスにより、Sun ONE Application Server と J2EE アプリケーションのパフォーマンスが最適化されます。ロードバランス設定は動的に再読み込みされるため、サービスを中断することなくクラスタにインスタンスを追加できます。

フェイルオーバーによる高可用性の実現

Sun ONE Application Server 7, Enterprise Edition は、ロードバランスと高度なフェイルオーバー機構を利用して、信頼性の高い高可用性ソリューションを提供します。

また、バンドル版高可用性データベースには、HTTP/S セッション情報を安全に格納できます。

これらの拡張機能と高可用性データベースサーバーにより、J2EE アプリケーションを 24 時間 365 日連続して稼動できます。


ユーザーが使用できる機能は、製品のインストール時に合意したライセンス契約によって決定します。『補足条項』より使用できる機能を確認してください。Sun ONE Application Server 7 は、Sun のまったく新しいアプリケーションサーバー製品です。本製品は、iPlanet Application Server でサポートされていた AppLogic 形式のアプリケーションはサポートしていません。



移行方法

この節では、移行が必要なアプリケーションコンポーネントについて説明します。移行プロセスの詳細については、第 5 章「iBank アプリケーションの移行手順」を参照してください。ハードウェアとソフトウェアの要件の計画については、第 4 章「インストール、管理、および配備」を参照してください。

移行を必要とする要素

移行のために、J2EE アプリケーションは次のファイルカテゴリで構成されています。

配備記述子 (XML ファイル)

配備は、EJB (ejb-jar)、フロントエンド Web コンポーネント (war)、およびエンタープライズアプリケーション (ear) のそれぞれに対する配備記述子 (DD) を指定して行います。配備記述子は、J2EE コンポーネントおよびアプリケーションのすべての外部依存関係の解決に使用されます。DD の J2EE 仕様はすべてのアプリケーションサーバー製品で共通です。ただし、製品の実装に依存するアプリケーション関連コンポーネントの配備に関する面で、仕様が規定されていない部分があります。

独自の API を含む JSP ソースファイル

J2EE では、カスタムタグ追加による JSP 拡張方法を指定しています。一部の製品には開発者のタスクを単純化する JSP 拡張が含まれています。ただし、これらの専用カスタムタグを使用すると、JSP ファイルを移植できなくなります。また、JSP では別の Java ソースファイルで定義されているメソッドも同様に呼び出せます。JSP で専用の API を使用している場合は、移行前にその部分を変更する必要があります。

独自の API を含む Java ソースファイル

Java ソースファイルはサーブレット、EJB、または他のヘルパークラスのいずれかです。サーブレットおよび EJB は標準 J2EE サービスを直接呼び出せます。また、ヘルパークラスで定義されたメソッドも呼び出せます。Java ソースファイルは、EJB などのビジネスレイヤのアプリケーションのエンコードに使用します。ベンダーはそれぞれの製品にいくつかのサービスおよび専用 Java API をバンドルしています。このような専用 Java API を使用すると、アプリケーションが移植できなくなります。J2EE は標準として進化し続けているため、製品が変わればサポートしている J2EE コンポーネント API のバージョンが変わります。このような点についても移行で対応します。

上記のファイルカテゴリ内のファイルは、Sun ONE Application Server に移行する必要があります。上記のファイルカテゴリの各ファイルの移行方法の詳細は、「Sun ONE Application Server 6.x から 7 への移行に関する問題」を参照してください。

再配備

再配備とは、以前のバージョンの Sun ONE Application Server や、これまで配備されていた移行済みのアプリケーション、また競合するアプリケーションサーバープラットフォームから、以前に配備されていたアプリケーションを再び配備することです。

アプリケーションの再配備は、『Sun ONE Application Server 管理者ガイド』に示されている標準的な配備概要に従って行います。



前へ      目次      索引      次へ     


Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved.