Solaris 9 マニュアルの概要

アプリケーションの開発

以下の表は、ソフトウェア開発に関連した機能と手順について説明したマニュアルを示しています。表のタイトルは、 Solaris 9 マニュアルセットのマニュアルが入っているコレクションの名前を示します。

表 3–11 Solaris 9 About What's New Collection - Japanese

マニュアル 

説明 

Solaris 9 オペレーティング環境の概要

Solaris 9 オペレーティング環境の新機能について詳しく説明しています。各章ではデスクトップユーザー、システム管理者、ソフトウェア開発者用に新機能の概要を説明しています。システム管理の章には Solaris 9 のインストール機能が含まれます。また、Java の新機能の概要も記載されています。 

表 3–12 Solaris 9 Software Developer Collection - Japanese

マニュアル 

説明 

Application Packaging Developer's Guide

パッケージの設計、構築、および検証を行う手順と、これらの作業に関連する情報を提供しています。また、パッケージを作成する際に役立つ高度なテクニックの情報や例も紹介しています。 

Federated Naming Service Programming Guide

複数の独立した命名 (ネーミング) システムを自由に組み合わせて単一のネーミングサービスへと再構成し、単一のシンプルなネーミングシステムインタフェースによって利用できるようにする方法を説明しています。 

GSS-API のプログラミング

開発者向けに、GSS-API (Generic Security Services Application Interface) を使用してネットワークベースのプログラムのセキュリティを向上させる方法を説明しています。GSS-API を利用すると、インストールされたセキュリティメカニズムや、認証、秘匿性、それらのデータ整合性機能などを使用してネットワーク上の伝送を保護する方法が得られます。GSS-API により、プラットフォームやメカニズムに固有のデータ転送プログラムを使用する必要がなくなります。 

国際化対応言語環境の利用ガイド

Solaris 9 オペレーティング環境における国際化機能について説明しています。このマニュアルには、Solaris 8 ソフトウェアを使用して、さまざまな言語や文化習慣をサポートするソフトウェア製品を構築するための重要な情報が入っています。このマニュアルには、Solaris 8 ソフトウェアを使用して、国際市場向けのアプリケーションを作成するための開発者向けのガイドラインが入っています。 

CSI (Codeset Independence)、キーボードサポート、多国語対応の Solaris 製品のローカライズ方法などのコンセプトと共にユーロ (Euro) の説明もなされています。ほかには、ヨーロッパおよびアジアの言語の印刷サポート、Unicode ロケールサポートなどについても取り上げています。 

Java 2 SDK 開発ガイド (Solaris 編)

開発者を対象に、Solaris 9 オペレーティング環境における Java プログラミング言語の使用についての情報を提供しています。このマニュアルでは、Solaris 向け Java 2 プラットフォームにおける新機能と改良された機能の概要と説明を、互換性問題についての注意と共に示しています。 

リンカーとライブラリ

このマニュアルは、Solaris リンカーと実行時リンカーの操作方法や作業対象となるオブジェクトの操作について説明しています。主に、リンカー ld(1)、実行時リンカー ld.so.1(1)、共用オブジェクト (共用ライブラリとも呼ばれる)、および ELF オブジェクトファイル形式について取り上げています。

マルチスレッドのプログラミング

POSIX および Solaris の各スレッド用 API、同期オブジェクトによるプログラミング、マルチスレッドプログラムのコンパイル、およびマルチスレッドプログラム用分析ツールの選び方について説明します。 

このマニュアルは、マルチスレッド化によってプロセスを複数の独立した実行スレッドに分割し、アプリケーションの性能と構造の改善を期待する開発者を対象とします。 

ONC+ 開発ガイド

Sun で開発された ONC+TM 分散サービスについて説明しています。 ONC+ は、さまざまな技術、サービス、およびツールから構成されています。技術としては、次のようなものがあります。

  • TI-RPC (Transport-Independent Remote Procedure Call) は、RPC アプリケーションをトランスポートに依存しないようにするために開発されました。

  • 外部データ表現 (XDR: External Data Representation) はアーキテクチャに依存しないデータ表現の仕様です。

  • NIS+ (Network Information Services Plus) は、Solaris 環境におけるエンタープライズネーミングサービスです。このサービスは、拡張性のあるセキュリティの高い情報基盤を提供します。

プログラミングインタフェース

共有メモリー、トランスポート選択、リアルタイム管理などの領域における Solaris 9 環境に特有のインタフェースについて説明しています。また、API/ABI 準拠に関連したアプリケーション (appcert など) についても説明しています。ネットワークインタフェースのより高度なレベルの説明は、『ONC+ 開発ガイド』を参照してください。

Solaris 64 ビット 開発ガイド

このマニュアルは、主にアプリケーション開発者向けに書かれており、32 ビットまたは 64 ビットのどちらの Solaris アプリケーションプログラミング環境を使用すべきかについて説明します。このマニュアルでは、32 ビットと 64 ビットのアプリケーション環境間の類似点と相違点について説明し、2 つの環境間で移植可能なコードを作成する方法について説明します。また、64 ビットアプリケーションの開発用にオペレーティングシステムが提供しているいくつかのツールについても説明します。 

Solaris DHCP サービス開発ガイド

このマニュアルは、Solaris DHCP サービスの情報を格納するための新しいデータサービスをサポートしたい開発者に必要な情報を提供します。 

Solaris モジューラデバッガ

Solaris オペレーティング環境の汎用デバッギングツールである Solaris モジューラデバッガ (MDB) について説明しています。MDB の主な特長は、その拡張性にあります。このマニュアルでは、複雑なソフトウェアシステムをデバッグする MDB の使用方法について、特に、Solaris カーネル、および関連するデバイスドライバ、モジュールなどをデバッグする場合に使用可能な機能に重点を置いて説明します。さらに、このマニュアルには、MDB 言語構文、デバッガ機能、および MDB モジュールプログラミング API についてのリファレンスと解説も記載されています。 

Solaris WBEM SDK 開発ガイド

このマニュアルは、 Sun WBEM Software Development Kit (SDK) のコンポーネントについて、およびそれらのコンポーネントを使用して WBEM 対応のアプリケーションやプログラムを開発する方法について説明します。 

X Window System 開発ガイド

Solaris X サーバーのアプリケーションを設計するソフトウェア開発者の参考となる詳しい情報を提供しています。このマニュアルでは、Solaris X サーバーの機能、DPS 画像システム、サポートされるディスプレイデバイスなどについて詳細に説明しています。また、サーバー接続用の認証スキーマとプロトコル、X Consortium のサンプルサーバーとの相違点および機能拡張されている点などについても述べられています。 

SPARC Assembly Language Reference Manual

SPARC システムで動作し、アセンブリ言語で書かれたソースファイルをリンク形式のオブジェクトファイルに変換するためのアセンブラについて説明しています。このマニュアルの内容は、Solaris 7 ソフトウェアにもとづいています。 

STREAMS Programming Guide

Solaris 環境の UNIX システム通信サービスの STREAMS 機能について記述しています。このマニュアルでは、アプリケーション開発者を対象として、ストリームの構築、使用、および除去、メッセージング、管理、STREAMS ベースのパイプと名前付きパイプの使用などの情報も記載しています。モジュール開発者やドライバ開発者向けとしては、STREAMS フレームワーク、メッセージング、ドライバ設計、モジュール設計、構成、マルチスレッド化、多重化などについて説明しています。 

ToolTalk ユーザーズガイド

ToolTalkTM サービスについて説明するとともに、ToolTalk メッセージの送受信を行うアプリケーションの変更方法について説明しています。このマニュアルは、ToolTalk サービスを使用してほかのアプリケーションと相互にやりとりするアプリケーションの作成や管理を行う開発者を対象としています。また、ワークステーションの設定を行うシステム管理者にとっても便利です。このマニュアルは、Solaris オペレーティング環境コマンド、システム管理者用コマンド、およびシステム用語に慣れていることを想定しています。

Writing Device Drivers

Solaris オペレーティング環境における文字型デバイス、ブロック型デバイス、SCSI ターゲットおよび HBA デバイス用のデバイスドライバを開発する方法について説明します。このマニュアルでは、Solaris DDI/DKI に準拠するすべてのアーキテクチャ用にマルチスレッド化された再入可能なデバイスドライバを開発する方法について説明します。また、プラットフォームに固有な問題 (エンディアンやデータの順番など) を気にせずにドライバを作成できる、共通ドライバプログラミングアプローチについて説明します。 

さらに、Solaris ドライバの 64 ビット環境への移植、クラスタ対応のドライバ、ドライバの自動構成、プログラミングされた I/O、DMA (Direct Memory Access)、電源管理などについても説明しています。また、デバイスコンテキスト管理、ドライバのコンパイル、インストール、およびテスト、ドライバのデバッグなどについても説明しています。 

表 3–13 Solaris 9 KCMS Collection

マニュアル 

説明 

KCMS Application Developer's Guide

Kodak Color Management SystemTM (KCMSTM) フレームワーク API について説明しています。KCMS フレームワークを使用すると、正確な再現が可能になり、デジタルカラーイメージをデスクトップコンピュータやその周辺機器に出力したときの見栄えが向上します。この API を使用すると、正しく色を変換および操作するアプリケーションを作成できます。

KCMS Calibrator Tool Loadable Interface Guide

動的にロードできるデバイスハンドラモジュール (ICC 形式のファイルを更新するためのカラー補正データを KCMS Calibrator Tool に供給するもの) を作成する方法について説明しています。このマニュアルでは、動的にロードできるモジュールと KCMS Calibrator Tool との間の相互作用についても概要を述べています。このマニュアルは、カラー管理技術で利用されるカラーモジュールを作成するドライバ開発者を対象としています。 

KCMS CMM Developer's Guide

KCMS カラー管理モジュール (CMM) の作成方法を説明しています。この中で、C++ で実装されるグラフィックス移植インタフェース (GPI) である KCMS 基本ライブラリの使用方法も述べられています。このインタフェースによって、KCMS ライブラリのデバイスに依存しない層をカラーモジュールとリンクし、アプリケーションからカラーモジュールへのデータフローを実現します。このマニュアルは、カラー管理技術で利用されるカラーモジュールを作成するドライバ開発者を対象としています。 

KCMS CMM Reference Manual

KCMS 基本ライブラリ内の各 C++ クラスについて説明します。このライブラリは、KCMS カラーモジュールを作成するために C++ で実装したグラフィック移植インタフェースです。このマニュアルは、カラー管理技術で利用されるカラーモジュールを作成するドライバ開発者を対象としています。 

KCMS Test Suite User's Guide

CMM のためのテスト用スクリプトおよびテスト機能について説明しています。このテスト環境を使って CMM 開発者は、作成した CMM が KCMS フレームワークに準拠しているかどうかを確認できます。このマニュアルは、KCMS フレームワークの開発と利用に関心があるユーザーにも役立ちます。