前述の説明では、インターネット上の経路指定は、データパケット発信元アドレスから独立したものと想定されています。しかし、中間ルーターは、トポロジとして正しい発信元アドレスを確認します。中間ルーターが確認する場合は、モバイルノードで逆方向トンネルを設定しなければなりません。モバイルノードの気付アドレスからホームエージェントへ逆方向トンネルを設定することで、IP データパケットについてトポロジとして正しいソースアドレスを確保することができます。逆方向トンネルのサポートは、外来エージェントとホームエージェントによって通知されます。モバイルノードは、登録時に外来エージェントとホームエージェントの間に逆方向トンネルを要求できます。逆方向トンネルは、モバイルノードの気付アドレスで始まり、ホームエージェントで終わるトンネルです。図 23–4 に逆方向トンネルを使用するモバイル IP トポロジを示します。
専用アドレスを持ち、インターネットを経由してグローバルに経路指定できないモバイルノードには、逆方向トンネルが必要です。Solaris モバイル IP は、専用アドレスを持つモバイルノードをサポートします。Solaris モバイル IP がサポートしない機能については、Solaris モバイル IP 実装の概要を参照してください。
外部との接続が必要でない場合、ネットワークでは専用アドレスを使います。専用アドレスは、インターネットを通る経路指定ができません。専用アドレスを持つモバイルノードは、データグラムをそのホームエージェントに逆方向トンネリングを設定することによって通信ノードとだけ通信できます。 通常、モバイルノードがホームにあるときにデータグラムが配信される場合でも、ホームエージェントはデータグラムを通信ノードに配信します。次の図は、専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードのネットワークトポロジを示します。その 2 つのモバイルノードは、同じ外来エージェントに登録されたときに同じ気付アドレスを使用します。
気付アドレスとホームエージェントの IP アドレスが公衆インターネットによって接続される異なるドメインに属する場合、それらのアドレスはグローバルに経路指定できるアドレスでなければなりません。
同じ外部ネットワーク上に、同じ IP アドレスを持つ、専用アドレスが指定された 2 つのモバイルノードを持つことは可能です。ただし、各モバイルノードが異なるホームエージェントを持っていなければなりません。さらに、各モバイルノードが共通の 1 つの外来エージェントの異なる通知サブネット上になければなりません。図 23–6 は、このような状況を表わすネットワークトポロジを示しています。