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Sun ONE Application Server 7 パフォーマンスチューニングガイド |
本書について概要
Sun ONE Application Server 7 は J2EE 1.3 仕様に準拠したアプリケーションサーバーで、Java Web サービス標準や、標準の HTTP サーバープログラミング機能に対応しています。本稼動環境と開発環境の両方に幅広く対応するため、次の 3 種類のアプリケーションサーバーが用意されています。
Platform Edition
Platform Edition は、Sun ONE Application Server 7 製品ラインの中核を成す製品です。J2EE 1.3 仕様に準拠した高性能かつ小型のランタイム環境を提供し、基本的な配置作業や、サードパーティアプリケーションの埋め込みに適しています。また、運用用途に限り、無料で利用できます。Platform Edition には Sun ONE Web Server、Sun ONE Message Queue、J2EE リファレンス実装で培われたテクノロジが搭載されており、Web サービスに直ちに利用できます。
Platform Edition の配備先は、単一アプリケーションサーバーインスタンスに限られています。このアプリケーションサーバーインスタンスは、Java プラットフォーム 用の仮想マシン、すなわち Java 仮想マシン (JVMTM) になります。Platform Edition では、複数層の配備トポロジがサポートされます。ただし、Web サーバー層のプロキシはロードバランスを行いません。さらに、管理ユーティリティを使用できるのは、ローカルクライアントに限定されています。
Platform Edition は、Solaris 9 に統合されています。
Standard Edition
Platform Edition の機能に加えて、拡張されたリモート管理機能が追加されています。拡張された管理機能、リモートコマンド行、および Web ベースの管理機能はすべて、Standard Edition に組み込まれています。また、Web サーバー層のプロキシにより Web アプリケーションのトラフィックを分割する機能もあります。Standard Edition では、1 台のマシンに複数のアプリケーションサーバーインスタンス (JVM) を設定できます。
Enterprise Edition
Enterprise Edition では、最も要求の厳しい J2EE ベースアプリケーションにも適応できるようにコアアプリケーションサーバープラットフォームの可用性を向上、ロードバランス機能、およびクラスタリング機能をさらに高めています。Standard Edition より高度な管理機能により、複数のインスタンスの配備、複数のマシンへの配備にも対応しています。
クラスタリング機能では、複数のアプリケーションサーバーインスタンスの複製をグループとして構成し、クライアント要求のロードバランスを行うことができます。Enterprise Edition では、外部ロードバランサとロードバランスを行う Web 層ベースのプロキシが両方ともサポートされます。Enterprise Edition には、HTTP セッション、ステートフルセッション Bean インスタンス、および Java Message Service (JMS) リソースフェイルオーバが含まれます。「Always On (常時配信)」という独自の高可用性データベーステクノロジを、高可用性 (HA) 持続ストアの基盤として採用しています。
製品の詳細については、http://wwws.sun.com/software/products/appsrvr/home_appsrvr.html にある Sun ONE Application Server のページを参照してください。
マニュアルの使用法
Sun ONE Application Server のマニュアルは、PDF 形式または HTML 形式でも入手できます。
次の表は、Sun ONE Application Server のマニュアルに記述されているタスクと概念を示しています。左の列はタスクと概念、右の列は対応するマニュアル名を示します。
マニュアルの表記規則
ここでは、このマニュアル全体に適用される表記規則について説明します。
一般的な表記規則
このマニュアルは、次の表記規則に従っています。
- ファイルとディレクトリのパスは、UNIX の形式で表記します (ディレクトリ名を「/」記号で区切って表記)。Windows バージョンでは、ディレクトリパスについては UNIX と同じですが、ディレクトリの区切り記号にはスラッシュではなく円記号を使用します。
- URL は次の書式で記述します。
http://server.domain/path/file.html
server はアプリケーションを実行するサーバー名、domain はユーザーのインターネットドメイン名、path はサーバー上のディレクトリの構造、file は個別のファイル名を示します。URL の斜体文字の部分は可変部分です。
- フォントは、次のように使い分けます。
モノスペースフォントは、サンプルコード、コードの一覧表示、API および言語要素 (関数名、クラス名など)、ファイル名、パス名、ディレクトリ名、および HTML タグに使います。
また、斜体文字は、変数および可変部分、およびリテラルに使われる文字にも使います。
太字は、段落の先頭またはリテラルに使われる文字の強調に使います。
- このマニュアルでは、ほとんどのプラットフォームのインストールルートディレクトリを install_dir と記述します。例外については、「ディレクトリ名の表記規則」を参照してください。
配布される各種製品のデフォルトの install_dir は次のとおりです。
Solaris 8 のパッケージベースでない評価バージョンインストール :
ユーザーのホームディレクトリ /usn/appserver7
Solaris にバンドルされていない非評価バージョンインストール :
/opt/SUNWappserver7
Windows のインストール :
C:¥Sun¥AppServer7
上記のプラットフォームで default_config_dir および install_config_dir は、install_dir と同義です。これ以外の説明と例外については、「ディレクトリ名の表記規則」を参照してください。
- このマニュアルでは、インスタンスルートディレクトリは、instance_dir と記述します。これは以下のパスの省略形式です。
default_config_dir/domains/domain/instance
- このマニュアルを通じて、特に明記のない限り、すべての UNIX 固有の表記は、Linux オペレーティングシステムにも適用されます。
ディレクトリ名の表記規則
Solaris 8 および 9 のパッケージに含まれる製品のインストール、および Solaris 9 バンドル版のインストールでは、アプリケーションサーバーのファイルはデフォルトで複数のルートディレクトリにまたがって保存されます。ここでは、これらのディレクトリについて説明します。
- Solaris 9 バンドル版のインストールでは、デフォルトのインストールディレクトリは次のように表記されます。
install_dir は /usr/appserver/ を示します。このディレクトリにはインストールイメージの静的な要素が保存されます。ユーティリティ、実行可能ファイル、およびアプリケーションサーバーを構成するライブラリは、すべてここに保存されます。
default_config_dir は /var/appserver/domains を示します。このディレクトリは、作成したドメインのデフォルトの保存場所です。
install_config_dir は /etc/appserver/config を示します。このディレクトリには、ライセンスなどのインストール全体に適用される設定情報や、このインストール用に設定した管理ドメインのマスターリストが保存されます。
- Solaris 8 および 9 パッケージベースのアンバンドルのインストール (評価バージョン以外) では、デフォルトのインストールディレクトリは次のように表記されます。
install_dir は /opt/SUNWappserver7 を示します。このディレクトリにはインストールイメージの静的な要素が保存されます。ユーティリティ、実行可能ファイル、およびアプリケーションサーバーを構成するライブラリは、すべてここに保存されます。
default_config_dir は /var/opt/SUNWappserver7/domains を示します。このディレクトリは、作成したドメインのデフォルトの保存場所です。
install_config_dir は /etc/opt/SUNWappserver7/config を示します。このディレクトリには、ライセンスなどのインストール全体に適用される設定情報や、このインストール用に設定した管理ドメインのマスターリストが保存されます。
製品サポート
ご使用のシステムに問題が発生した場合は、次のいずれかの方法でカスタマサポートにお問い合わせください。
- 次のオンラインサポート Web サイトをご利用ください。
- 保守契約を結んでいるお客様の場合は、専用ダイヤルをご利用ください。
サポートのご依頼の前に、次の情報を用意してください。サポート担当がお客様の問題を解決するために必要な情報です。
- 問題が発生した箇所や動作への影響など、問題の具体的な説明
- マシン機種、OS バージョン、および、問題の原因と思われるパッチやそのほかのソフトウェアなどの製品バージョン
- 問題を再現するための具体的な手順の説明
- エラーログやコアダンプ
このマニュアルは、Sun ONE Application Server の上級管理者を対象としています。ここでは、Sun ONE Application Server のパフォーマンスと信頼性を最大化するためのチューニングの方法が示されます。Sun ONE Application Server の設定を変更する前に、設定ファイルのバックアップをとっておくことをお勧めします。
マニュアルの内容
このマニュアルでは、Sun ONE Application Server に含まれるサブシステム、機能、ツールについて説明し、パフォーマンスと信頼性を最大化するために、これをチューニングする方法を紹介します。このマニュアルは、サーバー管理者、J2EE 開発者、ネットワーク管理者、評価担当者を対象としています。
前提事項
このマニュアルでは、次の項目について熟知していることを前提とします。
- インターネットおよび WWW (World Wide Web)
- Java プログラミング
- J2EE アプリケーションモデル
- アプリケーションサーバー
- SolarisTM または Windows NT/2000 オペレーティングシステム
マニュアルの構成
このマニュアルの構成は次のとおりです。
「Sun ONE Application Server について」では、Sun ONE Application Server の機能とコンポーネントについて概要を示します。
「Sun ONE Application Server のパフォーマンスについて」では、Sun ONE Application Server のチューニングに関連する技法とプロセスについて説明します。
「アプリケーションのチューニング」では、パフォーマンスを最大化するために、アプリケーションで利用できる設定と設定方法について説明します。
「Sun ONE Application Server のチューニング」では、必要に合わせてアプリケーションサーバーを設定する方法について説明します。「Java 実行システムのチューニング」では、Sun ONE Application Server のパフォーマンスを最適化するために Java 仮想マシンを設定する方法について説明します。
「オペレーティングシステムのチューニング」では、Sun ONE Application Server のパフォーマンスを最適化するためにオペレーティングシステムを設定する方法について説明します。
「パフォーマンスに関する一般的な問題」では、Sun ONE Application Server を従来の Web サーバーとして利用する場合に生じるパフォーマンス上の問題について説明します。パフォーマンスに関する主要事項を簡単に調べられるように、索引が用意されています。