電子メールサービスの設定と維持は複雑な作業ですが、どちらもネットワークの日々の運用に必要不可欠です。ネットワーク管理者は、既存のメールサービスを拡張したり、新規のネットワークやサブネットワークにメールサービスを設定する必要があります。メールサービスに関する各章では、ネットワークでメールサービスを計画したり設定したりするために必要な情報を提供します。この章では、sendmail の新機能および参考資料を紹介します。この章ではまた、メールサービスを確立するために必要なソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントの概要を説明します。
第 25 章「メールサービス (手順)」では、メールサービスの設定および管理方法の手順を説明します。詳細は、メールサービス (作業マップ)を参照してください。
第 26 章「メールサービス (リファレンス)」では、メールサービスのコンポーネントについて詳しく説明します。また、この章では、メールサービスのプログラムとファイル、メールルーティング処理、ネームサービスを使った sendmail の対話型操作についても説明します。
今回の Solaris 9 リリースには sendmail のバージョン 8.12 が含まれています。第 27 章「メールサービスの新機能 (リファレンス)」では、すべての新機能について説明します。以下に、sendmail の重要な変更点の一部を紹介します。
第 27 章「メールサービスの新機能 (リファレンス)」では、上記以外の次の変更点についても説明します。
次に、上記以外の sendmail 関連の参考資料を示します。
『sendmail, Second Edition 』Costales、Bryan 著、O'Reilly & Associates, Inc.、1997
sendmail 関連のホームページ – http://www.sendmail.org
sendmail 関連の FAQ – http://www.sendmail.org/faq
新しい sendmail 構成ファイルの README – http://www.sendmail.org/m4/readme.html
sendmail の最新 Sun バージョン 8.* への移行ガイド – http://www.sendmail.org/vendor/sun/
メールサービスを確立するためには、多くのソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントが必要になります。次の節ではこれらのコンポーネントとその説明に使用されるいくつかの用語について簡単に説明します。
最初の節 ソフトウェアコンポーネントの概要では、メール配信システムのソフトウェア部分を説明するのに使用する用語を定義します。その次の節 ハードウェアコンポーネントの概要では、メール構成におけるハードウェアシステムの機能について取り上げます。
次の表にメールシステムのソフトウェアコンポーネントを示します。ソフトウェアコンポーネントすべてに関する完全な説明については、ソフトウェアのコンポーネントを参照してください。
コンポーネント |
説明 |
---|---|
.forward ファイル |
ユーザーのホームディレクトリ内で設定して、メールを自動的にリダイレクトしたり、プログラムに送ったりすることができるファイル |
メールボックス |
メールサーバー上にあり、電子メールメッセージの最終受信先であるファイル |
メールアドレス |
メールメッセージが配信される受信者とシステムの名称を含むアドレス |
メール別名 |
メールアドレス内で使用されている代替名 |
メールキュー |
メールサーバーによる処理を必要とするメールメッセージの集まり |
ポストマスター |
メールサービスについての問題を報告し質問を出すために使用される特別なメール別名 |
sendmail 構成ファイル |
メールのルーティングに必要なすべての情報の入ったファイル |
メール構成では次の 3 つの要素が必要ですが、これらは同じシステムで組み合わせることも、別のシステムで提供することもできます。
メールホスト – 解釈処理が困難なメールアドレスを扱うように構成されたシステム
少なくとも 1 台のメールサーバー – 1 つまたは複数のメールボックスを保持するように構成されたシステム
メールクライアント – メールサーバーからメールにアクセスするシステム
ユーザーがドメイン外のネットワークと通信をするためには、4 番目の要素であるメールゲートウェイを追加する必要があります。
図 24–1 には、一般的な電子メール構成を示しますが、ここでは基本的な 3 つのメール要素とメールゲートウェイが使用されています。
各要素については、ハードウェアコンポーネントを参照してください。