Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

構成ファイルの新しい構成オプションと改訂された構成オプション、および関連トピック

この節では、構成ファイルの新しいオプションと改訂されたオプションについて、また次の関連トピックについて説明しています。

これらのオプションを宣言する場合は、次の構文のどれかを使用します。


O OptionName=argument          # 構成ファイル
-OOptionName=argument          # コマンド行
define(`m4Name',argument)     # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、sendmail の新しいオプションおよび改訂されたオプションについて説明しています。

表 27-2 sendmail の新しいオプションおよび改訂されたオプション

オプション 

説明 

BadRcptThrottle

m4 名: confBAD_RCPT_THROTTLE

引数 : 数値

この新しいオプションを使用して、受信者のしきい値が拒否された後、SMTP エンベロープ内の受信者を承認する率を制限する 

ClientPortOption

詳細については、新しい ClientPortOptions オプションを参照

ConnectionRateThrottle

m4 名: confCONNECTION_RATE_THROTTLE

引数 : number

ConnectionRateThrottle オプションを使用して、各デーモンへの合計接続数ではなく、1 秒あたりの接続数を制限する

ControlSocketName

m4 名: confCONTROL_SOCKET_NAME

引数 : ファイル名推奨ソケット名は /var/spool/mqueue/.smcontrol。セキュリティを向上させるために、この UNIX ドメインソケットを、root だけがアクセスできるディレクトリに置く

このオプションを設定すると、デーモン管理用の制御ソケットが作成される。このオプションを使用して、指定した名前のソケットを使って実行した sendmail デーモンの状態を、外部のプログラムから制御したり照会したりすることができる。このソケットは、INN ニュースサーバーに対する ctlinnd インタフェースに似ている。このオプションを設定しないと、制御ソケットは使用できない

DaemonPortOptions

詳細については、DaemonPortOptions オプションの変更点を参照

DataFileBufferSize

m4 名: confDF_BUFFER_SIZE

引数 : 数値

この新しいオプションを指定すると、ディスクベースのファイルを使用する前にメモリーに蓄積できるデータ (df) ファイルの最大サイズを、バイトで制御できる。デフォルトは 4096 バイト。Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

DeadLetterDrop

m4 名: confDEAD_LETTER_DROP

引数 : ファイル名

この新しいオプションを使用して、システム全体のファイル dead.letter の場所を定義する。前のバージョンでは、このファイルは /usr/tmp/dead.letter に固定されていた。このオプションを設定する必要はない

DelayLA

m4 名: confDELAY_LA

引数 : number

この新しいオプションに 0 より大きな値を設定すると、次のように動作する  

平均負荷率が指定値を超えると、接続を 1 秒ずつ遅らせる 

ほとんどの SMTP コマンドを 1 秒ずつ遅れて実行する 

デフォルト値が 0 であるため、このオプションを設定しないと sendmail の動作は変更されない

DeliverByMin

m4 名: confDELIVER_BY_MIN

引数 : 時間

この新しいオプションを使用して、クライアントは、FC 2852 の「Deliver By SMTP Service Extension」で指定されているように、電子メールメッセージを配信する際の最短時間を指定できる 

time を 0 に設定すると、時間は表示されない 

time を 0 より小さくすると、拡張は利用できない 

time を 0 より大きくすると、その拡張した時間が EHLO のキーワードである DELIVERBY の最短時間として表示される

DirectSubmissionModifiers

m4 名: confDIRECT_SUBMISSION_MODIFIERS

引数 : 修飾子

この新しいオプションにより、直接の実行依頼 (コマンド行) の ${daemon_flags} を定義する。このオプションを設定しない場合、${daemon_flags} の値はオプション -G を使用すると、CC f に、使用しないと c u になる

DontBlameSendmail

新たに、次の引数を使用できる 

引数 NonRootSafeAddr が追加された。sendmail.forward プログラムを実行したり、所有者としてそのファイルに配信する権限がない場合には、アドレスは「安全ではない」とマークされる。また、RunAsUser を設定すると、プログラムを使用したり、.forward プログラムのファイルに配信したりすることができない。これらの問題を解決するには、NonRootSafeAddr を使用する

DoubleBounceAddress

m4 名: confDOUBLE_BOUNCE_ADDRESS

引数 : アドレス。デフォルトは、postmaster

sendmail がエラーメッセージを送信する際にエラーが発生した場合には、sendmail は、このオプションの引数で指定したアドレスに、「double-bounced」エラーメッセージを送信する

FallBackMXhost

m4 名: confFALLBACK_MX

引数 : 完全指定ドメイン名 

このオプションを使用して、MX レコードを参照することができる。MX レコードを参照しない前のバージョンのオプションを使用するには、名前を角括弧で括って指定する 

FastSplit

m4 名: confFAST_SPLIT

引数 : 数値デフォルト値は 1

この新しいオプションを指定すると、次の動作を実行する 

このオプションを 0 より大きな値に設定する場合、アドレスをソートする場合、最初の MX 参照を行わない。そのため、エンベロープをより高速に分割できる 

メールをコマンド行から送信する場合は、この値により、エンベロープを配信するのに使用するプロセスの数を制限できる 

さらに多くのエンベロープが作成されると、それらはいったんキューに置かれ、キューが実行されると解釈処理される 

LDAPDefaultSpec

m4 名: confLDAP_DEFAULT_SPEC

引数 : 適切に定義されたクラス指定。たとえば、-hhost-pport-dbind DN など

この新しいオプションを使用して、LDAP マップのデフォルトのマップ仕様を指定できる。K コマンドを使って個別のマップ仕様を作成しないかぎり、ここで行われたデフォルトの設定が、すべての LDAP マップに使用される。このオプションを設定してから、LDAP マップを定義する

MailboxDatabase

m4 名: confMAILBOX_DATABASE

引数 : デフォルト値は pw。これは、getpwnam() を使用する。他の値を使用することはできない

この新しいオプションにより、ローカルな受信者を確認するのに使用されるメールボックスデータベースのタイプを指定できる  

MaxHeadersLength

m4 名: confMAX_HEADERS_LENGTH

引数 : 数値

このオプションにより、全ヘッダーの合計した最大の長さを指定できる。また、このオプションを使用して、サービス拒否害攻撃を防止できる。デフォルト値は 32768。16384 より小さい値を使用すると、警告が発行される。Solaris オペレーティング環境のデフォルト値を変更する必要はない  

MaxMimeHeaderLength

m4 名: confMAX_MIME_HEADER_LENGTH

引数 : number

このオプションにより、特定の MIME ヘッダ ーフィールド値の最大の長さを、文字数 x に設定できる。また、ヘッダー内のパラメータについては、y の最大の長さを指定できる。値を結合すると、「x/y」のようになる。y を指定しない場合には、x の半分の値が使用される。デフォルト値は 0 であるため、値を指定しないと、確認が実行されない。このオプションは、メールユーザーエージェントをバッファーオーバーフロー攻撃から保護する目的で提供されている。推奨値の範囲は、256/128 から 1024/256。128/40 より小さい値を使用すると、警告が発行される。

MaxQueueChildren

m4 名: confMAX_QUEUE_CHILDREN

引数 : 数値

この新しいコマンドにより、同時にアクティブになるキューランナー処理の数を引数で指定した値に制限できる。このオプションを使用すると、キューの処理時に使用されるシステム資源を制限できる。複数のキューグループにおけるキューランナーの合計数が定義した引数を超えると、残りのキューグループは、後で実行される 

MaxRecipientsPerMessage

m4 名: confMAX_RCPTS_PER_MESSAGE

引数 : 数値

このオプションを設定すると、SMTP エンベロープ内の受信者が指定した数を超えないようにする。最小の引数は 100。このオプションは、コマンド行からも、構成ファイルからも宣言できる。ただし、通常のユーザーは、コマンド行からこのオプションを設定し、sendmail -bs を使って送信したメッセージの上書きを有効にすることができる。この場合でも、sendmail は、その root 権限を放棄しない

MaxRunnersPerQueue

m4 名: confMAX_RUNNERS_PER_QUEUE

引数 : 数値デフォルト値は 1。リソースについてよく考慮し、この値を高く設定しないように注意する

この新しいオプションにより、1 キューグループあたりのキューランナーの最大数を指定できる。複数のキューランナーは、キューグループのメッセージを並行処理する。この機能は、前のメッセージの処理が原因で次のメッセージの処理が遅れる可能性がある場合に便利である 

NiceQueueRun

m4 名: confNICE_QUEUE_RUN

引数 : number

この新しいオプションにより、キューランナーの優先順位を設定できる。nice(1) のマニュアルページを参照

PidFile

m4 名: confPID_file

引数 : PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数を参照

この新しいオプションにより、pid ファイルの場所を定義できる。ファイルを開く前に、そのファイル名がマクロで展開される。デフォルトの位置は /var/run/sendmail.pid

PrivacyOptions

詳細については、PrivacyOptions オプションの変更点を参照

ProcessTitlePrefix

m4 名: confPROCESS_TITLE_PREFIX

引数 : PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数を参照

この新しいオプションにより、/usr/ucb/ps auxww にリストされるプロセスのタイトルについて、接頭辞の列を指定できる。この文字列はマクロで処理される。Solaris オペレーティング環境のデフォルト値を変更する必要はない

QueueFileMode

m4 名: confQUEUE_FILE_MODE

引数 : number

この新しいオプションを使用すると、キューファイルのデフォルトアクセス権を 8 進数で指定できる。このオプションを設定しないと、sendmail0600 を使用する。ただし、オプションの実ユーザー ID と実行ユーザー ID が異なる場合には、sendmail0644 を使用する

QueueLA

m4 名: confQUEUE_LA

引数 : number

デフォルト値は、8 からシステム起動時にオンラインであるプロセッサ数の 8 倍に変更された。単一プロセッサマシンでは、このデフォルト値の変更による影響はない。この値を変更するとデフォルト値が無効になり、プロセッサ数を考慮しなくなる。そのため、値を変更することによる影響について、よく理解する必要がある 

QueueSortOrder

m4 名: confQUEUE_SORT_ORDER

このオプションにより、キューのソートに使用するアルゴリズムを設定する。デフォルト値は priority であり、キューをメッセージの優先順位でソートする。次の変更に注意してください。

host の引数は、ホスト名を逆にしてからソートを実行する。つまり、ドメインをグループ化して、キューを同時に実行する。このように改良されたため、接続キャッシュがある場合には、それをより有効に使用できる

新しい引数 filename は、キューをファイル名でソートする。この機能により、キューを実行する準備をする際に、各キューにあるファイルを開いたり読み込んだりすることを避けることができる

新しい引数 modification は、キューを変更日時でソートし、qf ファイルのエントリを古い順に実行する

新しい引数 random は、キューを無作為にソートする。こうすると、複数のキューランナーを手動で開始する際に、回線争奪を避けることができる

詳細については、sendmail(1M) のマニュアルページの「QueueSortOrder」を参照

RefuseLA

m4 名: confREFUSE_LA

引数 : number

デフォルト値は、12 からシステム起動時にオンラインであるプロセッサ数の 12 倍に変更された。単一プロセッサマシンでは、このデフォルト値の変更による影響はない。この値を変更するとデフォルト値が無効になり、プロセッサ数を考慮しなくなる。そのため、値を変更することによる影響について、よく理解する必要がある 

ResolverOptions

このオプションについては、2 つの点が変更された。 

ホスト名を正規化しようとする時、不具合が発生したネームサーバーが IPv6 T_AAAA 参照について一時障害メッセージ SERVFAIL を返すことがある。新しい引数 WorkAroundBrokenAAAA を使用して、このような動作を避けることができる

また、引数 RES_USE_INET6 は、新しいフラグ use_inet6 を使って制御できる。詳細は、resolver(3RESOLV) のマニュアルページを参照

RrtImpliesDsn

m4 名: confRRT_IMPLIES_DSN

引数 : true または false

この新しいオプションを設定すると、「Return-Receipt-To:」ヘッダーにより、DSN (delivery status notification) が要求される。この要求は、ヘッダーで指定されているアドレスではなく、エンベロープの送信側に送信される 

SendMimeErrors

m4 名: confMIME_FORMAT_ERRORS

引数 : true または false

デフォルトは true

SharedMemoryKey

m4 名: confSHARED_MEMORY_KEY

引数 : 数値

この新しいオプションを使用すると、共有メモリーがある場合に、それを使ってキューのファイルシステム用の容量を保存できる。このオプションにより、空き容量を確認するシステムコールの数を最小限にすることができる 

SuperSafe

m4 名: confSAFE_QUEUE

引数 : truefalse、または interactiveデフォルト値および推奨値は truefalse は使用しないこと

このオプションを true に設定すると、キューのファイルをすぐに配信する場合でも、それらは常にインスタンス化される。interactiveDeliveryMode=i を同時に使用して、このモード用に、コード実行パスで重複している同期コールをスキップすることができる

Timeout

詳細については、Timeout オプションの変更点を参照

TrustedUser

m4 名: confTRUSTED_USER

引数 : ユーザー名またはユーザー ID の数値

この新しいオプションを使用して、root の代わりに重要なファイルを所有するユーザー名を指定することができる。このオプションを設定すると、そのユーザーは、生成された別名データベースと、設定した場合には制御ソケットを自動的に所有する。このオプションには、HASFCHOWN を設定する必要がある。HASFCHOWN については、sendmail のコンパイルに使用できるフラグと使用できないフラグを参照

TrustedUserroot、およびクラス t ($=t) のユーザーだけが、別名マップを構築できる

UseMSP

m4 名: confUSE_MSP

引数 : true または false デフォルトは、false

この新しいオプションにより、グループが sendmail バイナリのグループ ID セットグループと同じ場合には、キューファイルをそのグループについて書き込み可能にすることが許可される。submit.cf では、このオプションを true に設定する必要がある

XscriptFileBufferSize

m4 名: confXF_BUFFER_SIZE

引数 : number

この新しいオプションを指定すると、ディスクベースのファイルを使用する前にメモリーに蓄積できるトランスクリプト (xf) ファイルの最大サイズを、バイトで制御できる。デフォルトは 4096 バイト。Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

sendmail の構成ファイルにおける推奨されないオプションまたはサポートされていないオプション

構成ファイルで推奨されないオプションについては、次の表を参照してください。この表には AutoRebuildAliases オプションが記載されていますが、このオプションは、sendmail バージョン 8.12 には含まれていません。

表 27-3 sendmail の構成ファイルにおける推奨されないオプションまたはサポートされていないオプション

オプション 

説明 

AutoRebuildAliases

このオプションを設定するとサービス妨害攻撃が実行されることがあるため、このオプションは sendmail バージョン 8.12 には含まれていない。ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートを参照。別名ファイルを構築中に、sendmail の処理を停止して、そのファイルを矛盾した状態のままにすることができる

さらに、AutoRebuildAliases を使用できないため、/etc/mail/aliases に加えた変更を適用するには、newaliases を手動で実行する必要がある。また、このバージョンでは、sendmailsetuid root ではないため、root だけが newaliases を実行できる。

MeToo

このオプションのデフォルトは True になっており、その使用を推奨されていない ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートを参照

UnsafeGroupWrites

このオプションは推奨されていない。必要に応じて、GroupWritableForwardFileSafe および GroupWritableIncludeFileSafe の引数を DontBlameSendmail オプションに使用する必要がある

UseErrorsTo

このオプションは推奨されていない。また、このオプションは RFC 1123 に違反するため、使用しないこと 

新しい ClientPortOptions オプション

新しく追加された ClientPortOptions オプションは発信接続に使用します。このオプションは、DaemonPortOptions オプションに似ています。このオプションにより、クライアントの SMTP オプションが設定されます。クライアントの SMTP オプションは、一連の key=value ペアです。このオプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。フォーマットのために、これらの例には 2 組のペアが含まれています。ただし、1 組以上のペアを適用できます。


O ClientPortOptions=pair,pair              # 構成ファイル
-OClientPortOptions=pair,pair              # コマンド行
define(`confCLIENT_OPTIONS',`pair,pair')   # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、このオプションの新しいキーについて説明しています。

表 27-4 ClientPortOptions の新しいキー

キー 

説明 

Addr

アドレスマスクを指定する。この値は、ドット表記した数値のアドレスにすることも、ネットワーク名にすることもできる。このペアが省略されると、デフォルトは INADDR_ANY となり、どのネットワークからの接続も受け入れる

Family

アドレスファミリーを指定する。AF_INET のキーのデフォルトは inet。他の値は、AF_INET6 には inet6AF_ISO には isoAF_NS には nsAF_CCITT には x.25 である

Listen

待機キューのサイズを指定する。キーのデフォルトは 10。Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

Port

待機ポートの名前および番号を指定する。キーのデフォルトは smtp

RcvBufSize

TCP/IP 送信バッファーのサイズを指定する。キーにはデフォルト値がないため、サイズが自動的に設定されることはない。このオプションを 0 より大きな値に設定すると、その値が使用される。Solaris オペレーティング環境では、このバッファーのサイズを制限する必要はない 

Modifier

次のような sendmail のフラグを指定する

h フラグは、HELO または EHLO コマンドに、送信インタフェースアドレスに対応する名前を使用する。これは、その名前が接続パラメータで選択されたものであっても、デフォルトのものであっても同様である

A フラグは、AUTH を無効にする。このフラグは、DaemonPortOptionsModifier キーに使用できる。DaemonPortOptions オプションの変更点を参照

S フラグは、電子メールの配信中または受信中に、STARTTLS を使用できないようにしたり、それを提供したりしないようにする

DaemonPortOptions オプションの変更点

次の表では、新しい機能について説明しています。

このオプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。この例では、pairkey=value を示します。フォーマットのために、これらの例には 2 組のペアが含まれています。ただし、1 組以上のペアを適用できます。


O DaemonPortOptions=pair,pair              # 構成ファイル
-ODaemonPortOptions=pair,pair              # コマンド行
define(`confDAEMON_OPTIONS',`pair,pair')   # m4 を使った構成記述 

注 -

セキュリティのリスクを少なくするために、このオプションをコマンド行から設定すると、sendmail はスーパーユーザーアクセス権を放棄します。


新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、DaemonPortOptions オプションの新しいキーおよび改訂されたキーについて説明しています。

表 27-5 DaemonPortOptions の新しいキーおよび改訂されたキー

キー 

説明 

Name

この新しいキーは、ユーザーが定義可能な sendmail の名前を指定する。このキーは、エラーメッセージおよびログに使用する。デフォルトは、MTA

Modifier

この新しいキーは、sendmail の値を指定する。この値は、区切り記号なしで、順番にリストすることができる。値のリストについては、表 27–6を参照

Family

DaemonPortOptions オプションで、Family を指定しないかぎり、inet だけがデフォルトとなる。また、IPv6 ユーザーが、IPv6 インタフェースに対しても待機するには、Family=inet6 設定を DaemonPortOptions オプションに追加して、追加ソケットを sendmail.cf に設定する

次の表では、新しい Modifier キーの値について説明しています。

表 27-6 新しい Modifier キーの値

値 

説明 

A

Modifier 値を a にして、AUTH を無効にする

ClientPortOptionsModifier キーに使用できる。新しい ClientPortOptions オプションを参照

C

ホスト名の正規化を実行しない 

E

ETRN コマンドを不許可にする

O

障害が発生したら、ソケットを無視する 

S

電子メールの配信中または受信中に、STARTTLS を使用できないようにしたり、それを提供したりしないようにする

ClientPortOptionsModifier キーに使用できる。

a

認証を要求する 

b

メールを受信するインタフェースに結合する 

c

ホスト名の正規化を実行する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する  

f

完全指定ホスト名を要求する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する  

h

送信 HELO コマンドに、インタフェース名を使用する

u

修飾されていないアドレスを使用する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する 

PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数

次の表では、PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションにおけるマクロ処理の引数について説明します。これらのオプションについては、表 27–2を参照してください。

表 27-7 PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションの引数

マクロ 

説明 

${daemon_addr}

0.0.0.0 などのデーモンアドレスを提供する 

${daemon_family}

inetinet6 などのデーモンファミリーを提供する

${daemon_info}

SMTP+queueing@00:30:00 などのデーモン情報を提供する 

${daemon_name}

MSA などのデーモン名を提供する 

${daemon_port}

25 などのデーモンポートを提供する 

${queue_interval}

キューを実行する間隔を提供する (00:30:00 など) 

PrivacyOptions オプションの変更点

次の表では、PrivacyOptions (popt) の新しい引数および改訂された引数を説明しています。このオプションは、sendmail がその root 権限を放棄することなく、コマンド行から宣言できます。この sendmail オプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。


O PrivacyOptions=argument                # 構成ファイル
-OPrivacyOptions=argument                # コマンド行
define(`confPRIVACY_FLAGS',`argument')   # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、PrivacyOptions オプションの新しい引数および改訂された引数について説明しています。

表 27-8 PrivacyOptions の新しい引数および改訂された引数

引数 

説明 

goaway

この引数には、フラグ noetrnrestrictmailqrestrictqrunrestrictexpand nobodyreturn、および noreceipts は使用できない

nobodyreturn

この引数は、元のメッセージの本文を DNS (Delivery Status Notifications) に含めないように、sendmail に指示する

noreceipts

この引数を設定すると、DSN (Delivery Status Notifications) が通知されない 

restrictexpand

この引数は、root でも TrustedUser でもないユーザーが -bv オプションを指定した場合に、権限を解除するように sendmail に指示する。ユーザーは、.forward ファイルまたは :include: ファイルなどの非公開の別名を読み込むことができない。また、この引数は、コマンド行オプションの -v を無効にする

Timeout オプションの変更点

次の表では、Timeout オプションの変更点について説明しています。具体的に言うと、この sendmail オプションには、ident における新しいキーワードおよび新しい値があります。Solaris オペレーティング環境では、この表に表示されているキーワードのデフォルト値を変更する必要はありません。ただし、変更する場合には、keyword=value の構文を使用してください。この value は、時間の間隔です。次の例を参照してください。


O Timeout.keyword=value   # 構成ファイル
-OTimeout.keyword=value   # コマンド行
define(`m4_name', value) # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。


注 -

セキュリティのリスクを少なくするために、このオプションをコマンド行から設定すると、sendmail はスーパーユーザーアクセス権を放棄します。


表 27-9 Timeout の新しい設定および改訂された設定

キーワード 

デフォルト値 

説明 

aconnect

0

m4 名: confTO_ACONNECT

1 回の配信について、すべての接続が成功するまでの合計時間を制限する。最大値は指定されていない 

control

2m

m4 名: confTO_CONTROL

制御ソケットの要求を完了するまでにかかる合計時間を制限する 

ident

5s

m4 名: confTO_IDENT

デフォルトでは、30 秒ではなく 5 秒。IDENT パケットを欠落させるサイトへのメール送信が原因で発生する通常の遅延を防止する。最大値は指定されていない

lhlo

2m

m4 名: confTO_LHLO

LMTP LHLO コマンドからの応答を待つ時間を制限する。最大値は指定されていない

queuereturn

5d

m4 名: confTO_QUEUERETURN

now を含める。こうすると、キューにあるエントリを配信しないで、すぐに戻すことができる

resolver.retrans

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRANS

リゾルバによる再伝送の間隔を秒で指定する。この間隔は、resolver.retrans.first および resolver.retrans.normal に適用される

resolver.retrans.first

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRANS_FIRST

リゾルバが、メッセージをはじめて配信する際の再送の間隔を秒で設定する 

resolver.retrans.normal

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRANS_NORMAL

リゾルバが、最初のメッセージ配信を除く、すべての参照を実行する際の再伝送の間隔を指定する 

resolver.retry

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRY

リゾルバクエリーを再送する回数を設定する。この回数は、Timeout.resolver.retry.first および Timeout.resolver.retry.normal に適用される

resolver.retry.first

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRY_FIRST

メッセージをはじめて配信する際にリゾルバクエリーを再送する回数を設定する 

resolver.retry.normal

状況により異なる

m4 名: confTO_RESOLVER_RETRY_NORMAL

最初のメッセージ配信を除く、すべてのリゾルバ参照を実行する際に、リゾルバクエリーを再送する回数を設定する