Solaris 9 12/03 オペレーティング環境の概要

第 1 章 Solaris 9 リリースの新機能

この章では、以下の Solaris リリースで新しく追加または拡張された機能について説明します。

2002 年 5 月に配布が開始された Solaris 9 リリースで利用可能となった機能拡張の概要については、第 2 章「Solaris 9 リリースの機能」を参照してください。

また、この章には重要な発表も含まれています。Sun Java Enterprise System の Solaris への統合を参照してください。Sun Java Enterprise System には、 SunTM Open Net Environment (Sun ONE) 製品が含まれています。

この章で説明する機能のほとんどは、SPARC プラットフォームおよび特定の x86 プラットフォーム上で動作します。1 つのプラットフォームに固有の機能については、説明のタイトルに SPARC または x86 という表示が付きます。

Solaris リリース別の新機能

ここでは、この章で説明するすべての新機能のリストを示します。このリストは、参照しやすいようにリリース別に分類されています。各機能の説明は、この章の残りの節に記載されています。

Solaris 9 12/03 リリース

次の機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

Sun ONE Application Server の統合は、Solaris 9 12/03 リリースで機能拡張されました。

Solaris 9 8/03 リリース

次の機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

次の機能は、Solaris 9 8/03 リリースで機能拡張されました。

Solaris 9 4/03 リリース

次の機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

次の機能は、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

Solaris 9 12/02 リリース

次の機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

Solaris 9 9/02 リリース

次の機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Sun Java Enterprise System の Solaris への統合

Sun JavaTM Enterprise System は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

Solaris ソフトウェアに、Sun Java Enterprise System の製品群が追加されました。Sun Java Enterprise System は、Solaris ソフトウェアのインストール時に一緒にインストールできます。Sun Java Enterprise System には、インフラストラクチャやクラスタ用の Sun ONE ソフトウェアが、単一のオープンネットワークコンピューティングパッケージとして含まれています。Sun Java Enterprise System は、Web アプリケーション、Web サービス、および従来型アプリケーションを統合する完全なサービスセットを、企業に対して提供します。Sun Java Enterprise System ソフトウェアは、一貫性のあるユーザー操作を実現します。このソフトウェアには、共通の言語サポート、一貫性のあるマニュアル、標準化されたコンポーネント、共通のインストールプログラムなどといった、機能の統合に役立つさまざまな特徴が含まれています。Sun Java Enterprise System に含まれるコンポーネント製品は、次のとおりです。

通信および共同作業に関するサービス

Web およびアプリケーションに関するサービス

ディレクトリおよび認証に関するサービス

可用性に関するサービス

Sun Java Enterprise System の詳細は、http://docs.sun.comSun Java Enterprise System 2003Q4 を参照してください。

* これらの製品は、Solaris オペレーティングシステム内で利用可能です。詳細は次の説明を参照してください。

Sun ONE Directory Server 5.2 は、Sun Java Enterprise System のコンポーネント製品として利用可能です。Sun ONE Directory Server 5.1 は、Solaris オペレーティングシステム内で利用可能です。Sun ONE Directory Server 5.1 の詳細は、Sun ONE Directory Serverを参照してください。

ネットワークの機能拡張

この Solaris ソフトウェアには、ネットワークの機能拡張が含まれています。Sun ONE Application Server の統合は、Solaris 9 12/03 リリースで機能拡張されました。以前の Solaris 9 リリースからのネットワークの機能拡張は、次のとおりです。

Sun ONE Application Server の統合

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。Solaris 9 12/03 リリースでは、x86 プラットフォーム上でも利用可能になりました。

Sun ONE Application Server 7, Platform Edition (旧名称は iPlanetTM Application Server) は、Solaris オペレーティングシステムに統合されました。Application Server の Platform Edition は、エンタープライズクラスのアプリケーションサービスおよび Web サービスの基盤になります。このサーバーは、高性能、省メモリーの JavaTM 2 Platform, Enterprise Edition (J2EETM) を提供します。J2EE を使用して、エンタープライズアプリケーションや Web サービスの開発、配備、および管理が、広範なサーバー、クライアント、およびデバイス上で実現可能となります。

Sun ONE Application Server を使用することにより、新しい Java アプリケーションや XML (Extensible Markup Language) アプリケーションの移植性が高まり、開発期間の短縮を図ることができます。これらの新しいアプリケーションは、J2EE 1.3 プラットフォームと互換性があります。Sun ONE Application Server を使用して、開発者は、JavaServer PagesTM (JSPTM)、Java サーブレット、および Enterprise JavaBeansTM (EJBTM) の各テクノロジをベースにするアプリケーションを構築できます。これらのテクノロジは、小規模の部門内アプリケーションからエンタープライズ規模の基幹サービスに至るまで、広範なビジネス要件をサポートします。

主な特徴は、次のとおりです。

次の名称が変更されています。

詳細は、『Sun ONE Application Server 7 Update 1 Collection (Solaris Edition) - Japanese』を参照してください。このコレクションの詳細は、以下の Solaris 9 8/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアルを参照してください。http://www.sun.com/software/products/appsrvr/home_appsrvr.html も参照してください。

それぞれの使用許諾権については、バイナリコードライセンスを参照してください。

Sun ONE Message Queue

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。Solaris 9 8/03 リリースでは x86 プラットフォーム上でも利用可能になりました。

Solaris ソフトウェアでは、Java Messaging Service (JMS) アプリケーションをサポートしています。今回の Solaris リリースでは、JMS プロバイダとして Sun ONE Message Queue (旧名称は iPlanet Message Queue for Java) を使用します。

JMS のメッセージングにより、アプリケーションおよびアプリケーションコンポーネントの非同期メッセージ交換および信頼性を実現しています。異なるプラットフォーム上および異なるオペレーティングシステム上で実行されるプロセスが共通のメッセージサービスに接続して、情報の交換ができます。

Sun ONE Message Queue, Platform Edition は、JMS 仕様の完全な実装を提供します。Message Queue では、次のような機能を提供しています。

詳細は、『Sun ONE Message Queue 3.0.1 管理者ガイド』および『Sun ONE Message Queue 3.0.1 開発者ガイド』を参照してください。Sun ONE Message Queue のバージョンと機能については、次の Web サイトも参照してください。


http://www.sun.com/software/products/message_queue/home_message_queue.html

SPARC: TCP マルチデータ転送

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

マルチデータ転送 (MDT) では、ネットワークスタックから同時に複数のパケットをネットワークデバイスドライバに送信できます。この機能を使用すると、ホストの CPU 使用率やネットワークのスループットが改善され、パケットあたりの処理コストが削減されます。

マルチデータ転送 (MDT) 機能を利用できるのは、この機能をサポートするデバイスドライバのみです。

MDT パラメタを使用するには、/etc/system ファイルを編集して、次のパラメタを有効にする必要があります。

set ip:ip_use_dl_cap = 0x1

デフォルトの設定では、MDT は無効になっています。次のコマンドを実行すると、TCP/IP スタックにより、MDT が有効になります。

# ndd -set /dev/ip ip_multidata_outbound 1

MDT を有効にする前に、次の点を確認してください。

詳細は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』および ip(7P) のマニュアルページを参照してください。

インターネットプロトコルバージョン 6 (IPv6、Internet Protocol Version 6) 6to4 ルーター

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

6to4 トンネルをサポートするルーターを 1 個以上構成することにより、IPv6 ネットワークからインターネットプロトコルバージョン 4 (IPv4) ネットワーク経由でパケットを転送できるようになりました。システム管理者は、6to4 トンネルを使って、IPv4 ネットワークから IPv6 ネットワークへ移行できます。この機能は、RFC 3056 および 3068 を実装しています。

IPv6 の詳細は、『IPv6 の管理』を参照してください。

IPv6 経由のパケットトンネリング

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

この機能により、IPv6 経由の IPv4 トンネリング、および IPv6 経由の IPv6 トンネリングという IPv6 経由のパケットトンネリングが可能になります。IPv4 パケットまたは IPv6 パケットは IPv6 パケットでカプセル化できます。

詳細は、『IPv6 の管理』を参照してください。

単体 Solaris マシン上での Web サイトのマルチホスト

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

Solaris Network Cache and Accelerator (NCA) カーネルモジュールは、Web サーバーのマルチインスタンスをサポートします。これにより、Solaris マシン上で IP アドレスベースの仮想 Web ホスティングを行うことができます。Solaris は、/etc/nca/ncaport.conf という名前の単一の構成ファイルを使って、NCA ソケットを IP アドレスに割り当てます。

詳細は、ncaport.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

IP サービス品質 (IPQoS)

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

システム管理者は IP サービス品質 (IPQoS) により、顧客や重要なアプリケーションに対して異なるレベルのネットワークサービスを提供できます。IPQoS を使用することによって、管理者はサービスレベルに関する条項を設定できます。これらの条項により、ISP (インターネットサービスプロバイダ) のクライアントに対して、価格に基づいて異なるレベルのサービスを提供できます。企業も IPQoS を使用することによって、アプリケーション間で優先順位をつけることができます。これにより、アプリケーションの重要度に応じて、より高い品質のサービスを提供できます。

詳細は、『IPQoS の管理』を参照してください。

IP サービス品質 (IPQoS) のユーザーセレクタ

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris IPQoS 機能に、これまでの uid セレクタを補うユーザーセレクタが追加されました。このユーザーセレクタでは、ipqosconf ファイルの filter 節に、条件としてユーザー名またはユーザー ID を指定できます。これまでの uid セレクタでは、ユーザー ID しか指定できませんでした。以下は、ユーザーセレクタを使用する場合の ipqosconf ファイルの filter 節の抜粋です。


filter {
        name myhost;
        user root;
}

フィルタとセレクタの詳細は、『IPQoS の管理』および ipqosconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

Routing Information Protocol Version 2 (RIPv2)

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Solaris システムソフトウェアは、Routing Information Protocol Version 2 (RIPv2) をサポートします。

RIPv2 では、クラスレスドメイン間ルーティング (CIDR) および 可変長サブネットマスク (VLSM) 拡張機能が RIPv1 プロトコルに追加されています。MD5 (Message Digest 5) 拡張機能により、悪意のあるユーザーによって故意に引き起こされる誤った転送からルーターを保護します。新しい in.routed 実装には、組み込みの Internet Control Message Protocol (ICMP) ルーター発見 (RFC 1256) 機構も含まれています。

RIPv2 は、ポイントツーポイントのリンクがマルチキャストで有効になる場合には、マルチキャストをサポートします。RIPv2 では、ユニキャストもサポートします。/etc/gateways ファイルを使用してブロードキャストアドレスを構成した場合は、RIPv2 でブロードキャストをサポートします。

RIPv2 の構成方法については、in.rdisc(1M)in.routed(1M)、および gateways(4) のマニュアルページを参照してください。

インストールの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれるインストールの機能拡張は、次のとおりです。WAN ブートによるインストール方式は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。以前のリリースからのインストール機能は、次のとおりです。

WAN ブートによるインストール方式

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

この Solaris ソフトウェアでは、HTTP による WAN (広域ネットワーク) 経由でのソフトウェアの起動およびインストールが可能となりました。WAN ブートによるインストール方式を使用すると、ネットワーク基盤の信頼性が低い (と思われる) 大規模な広域ネットワーク内のシステム上に、Solaris ソフトウェアをインストールすることができます。また、WAN ブートでは、データの機密性とインストールイメージの完全性を確保するための新しいセキュリティ機能が使えるようになりました。

WAN ブートによるインストール方式を使用すると、暗号化された Solaris フラッシュアーカイブを広域ネットワーク経由で特定のリモートクライアントに送信できます。次に、WAN ブートプログラムは、カスタム JumpStartTM インストールを実行してクライアントシステムをインストールします。非公開鍵を使ってデータの認証や暗号化を行うことで、インストールの完全性を確保することができます。また、デジタル証明書を使うようにシステムを設定することで、インストール用のデータやファイルをセキュリティ保護された HTTP 接続経由で送信することもできます。

この機能の詳細は、『Solaris 9 12/03 インストールガイド』を参照してください。

Solaris Live Upgrade 2.1

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris Live Upgrade を使用すると、稼働中のシステムを停止することなくシステムをアップグレードできます。現在のブート環境を動作させたまま、ブート環境のコピーを作成し、それをアップグレードできます。アップグレードする代わりに、フラッシュアーカイブをブート環境にインストールすることもできます。環境をアップグレードしても、アーカイブをインストールしても、元のシステム構成は影響を受けずに支障なく機能します。準備ができたところでシステムをリブートすると、新しいブート環境がアクティブになります。万一障害が発生しても心配はありません。リブートするだけで元のブート環境に戻ることができます。このように、テストや評価処理のためにサービスを停止する必要がなくなります。

Solaris Live Upgrade 2.1 の新機能には、次のものがあります。

詳細は、『Solaris 9 12/03 インストールガイド』を参照してください。

Solaris フラッシュアーカイブ

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加され、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

Solaris フラッシュインストール機能を使用すると、マスターシステムと呼ばれるシステム上に Solaris ソフトウェアの単一のリファレンスインストールを作成し、そのインストールをクローンシステムと呼ばれる多数のシステムに複製できます。このインストールは、クローンシステム上のすべてのファイルを上書きする初期インストールです。

Solaris フラッシュ差分アーカイブと構成スクリプト

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加され、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

この Solaris リリースでは、Solaris フラッシュインストール機能に関して、次の機能強化が図られています。

詳細は、『Solaris 9 12/03 インストールガイド』を参照してください。このマニュアルには、Solaris Live Upgrade を使って差分アーカイブをインストールする方法も記載されています。

Solaris フラッシュアーカイブの内容のカスタマイズ

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加され、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

flarcreate コマンドは、Solaris フラッシュアーカイブを作成するコマンドです。この Solaris リリースでは、このコマンドに新しいオプションが追加され、アーカイブ作成時にアーカイブ内容をより柔軟に定義することが可能になりました。複数のファイルやディレクトリを除外できます。除外したディレクトリからでも、そのサブディレクトリやファイルをアーカイブ内容に追加することが可能です。この機能は、複製の必要がない、サイズの大きなデータファイルを除外するのに便利です。

このオプションの使用方法については、『Solaris 9 12/03 インストールガイド』を参照してください。

次の名称が変更されています : Solaris フラッシュ (旧名称は Web Start Flash)

Solaris Product Registry のコマンド行インタフェースの拡張

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

prodreg コマンドに、Solaris Product Registry のグラフィカルユーザーインタフェースと同様の機能が追加されました。コマンド行または管理スクリプト内で、次の prodreg サブコマンドを使って、さまざまなタスクを実行できます。

詳細は、prodreg(1M) のマニュアルページおよび『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。

LDAP バージョン 2 プロファイルのサポート

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

Solaris インストールプログラムは、LDAP バージョン 2 プロファイルをサポートします。このプロファイルにより、システムを資格レベルのプロキシに設定することが可能になります。Solaris Web Start や suninstall などのプログラムの実行時に、LDAP プロキシバインド識別名とプロキシバインドパスワードを指定できます。どちらのインストール方法でも、sysidcfg ファイルに proxy_dn キーワードおよび proxy_password キーワードを記述することで、インストール前に LDAP をあらかじめ設定しておくことができます。

詳細は、『Solaris 9 12/03 インストールガイド』を参照してください。

システム管理ツール

この Solaris ソフトウェアに含まれるシステム管理の機能拡張は、次のとおりです。署名付きのパッケージおよびパッチおよび NIS から LDAP への移行サービスは、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。以前のリリースからのシステム管理機能は、次のとおりです。

署名付きのパッケージおよびパッチ

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

この Solaris リリースで更新された pkgadd コマンドおよび patchadd コマンドを使用すると、デジタル署名を含む Solaris パッケージおよびパッチを安全にダウンロードできます。特定のパッケージまたはパッチに含まれるデジタル署名が有効であった場合、署名後にそのパッケージまたはパッチが改変されていないことが保証されます。

以前の Solaris リリースでは、署名付きパッチをシステムに追加するには、Solaris パッチ管理ツールと PatchPro 2.1 を使用する必要がありました。

この Solaris リリースで追加されたその他のソフトウェア管理機能は、次のとおりです。

署名付きパッケージは、署名が付いている点以外は、署名なしパッケージとまったく同一です。このパッケージのインストール、照会、または削除は、既存の Solaris パッケージツールを使って行うことができます。また、署名付きパッケージと署名なしパッケージは、バイナリレベルで互換性があります。

デジタル署名を含むパッケージまたはパッチをシステムに追加するには、信頼された証明書をキーストアに前もって格納しておく必要があります。これらの証明書は、パッケージまたはパッチ上のデジタル署名が有効かどうかを確認する際に使用されます。

パッケージキーストアの設定方法および署名付きパッケージまたはパッチのシステムへの追加方法については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「署名付きパッケージの追加と削除 (作業マップ)」を参照してください。

Solaris インストールイメージを HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーから起動および取得する方法については、WAN ブートによるインストール方式を参照してください。

NIS から LDAP への移行サービス

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

NIS から LDAP への移行サービスを使用すると、ネットワークの主要ネーミングサービスを NIS から LDAP へ切り替えることができます。この移行サービスを使うことで、管理者は、LDAP ネーミングサービスクライアントと連携動作する、バンドルされた Sun ONE Directory Server を活用できるようになります。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

BIND 8.3.3

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

この Solaris リリースに含まれる BIND のバージョンは 8.3.3 です。DNS クライアントは、IPv6 トランスポートを使用して IPv6 DNS サーバーに接続できます。

SPARC: Solaris ボリュームマネージャによるマルチテラバイトボリュームのサポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris ボリュームマネージャの機能が拡張され、マルチテラバイトボリュームを使用できるようになりました。この機能では、1T バイトを超える大容量の RAID-0 (ストライプ) ボリューム、RAID-1 (ミラー) ボリューム、RAID-5 ボリューム、およびソフトウェアパーティションボリュームを作成、管理、または削除できます。EFI ラベル付きの大容量ボリュームを構成し、LUN (論理ユニット番号) を割り当てることもできます。

Solaris ボリュームマネージャによる大容量ボリュームサポートは、32 ビットの Solaris カーネルを実行するシステムでは使用できません。たとえば、x86 プラットフォーム版の Solaris ソフトウェアや SPARC 32 ビットカーネルを搭載した Solaris ソフトウェアが稼働するシステムでは、大容量ボリュームサポートを使用することはできません。

詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

SPARC: EFI ディスクラベルによるマルチテラバイトボリュームのサポートも参照してください。

Solaris ボリュームマネージャの RCM サポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris ボリュームマネージャは、RCM (Reconfiguration Coordination Manager) をサポートします。この機能により、DR (動的再構成) 要求に適切に応答できます。また、Solaris ボリュームマネージャの制御下にある使用中のデバイスを削除しようとすると、警告メッセージが表示されて削除できません。これは、デバイスの使用を停止するまで続きます。このようにして、システム管理者が DR 構成のシステムからアクティブなボリュームを誤って削除することを防ぎます。

詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

Solaris パッチ更新機能

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris 管理コンソールのパッチツールの Update オプションを使って、SunSolve OnlineSM Web サイトの推奨パッチを分析、ダウンロード、およびインストールできます。また、smpatch update コマンドを使っても同じことができます。

これまで、この更新機能は、Solaris 2.6、Solaris 7、または Solaris 8 のいずれかのリリースを実行するシステムでしかサポートされていませんでした。

更新機能を使用するには、システムに PatchPro 2.1 ソフトウェアをインストールする必要があります。 http://www.sun.com/PatchPro から PatchPro 2.1 パッケージをダウンロードします。それから、所定の手順に従ってシステムにソフトウェアをインストールします。

詳細は、smpatch(1M) のマニュアルページを参照してください。

単一 IP ネットワークマルチパスグループのためのデータアドレスとテストアドレスの連結

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

単一アダプタの IP ネットワークマルチパスグループ上で障害が検出された場合に、テスト専用 IP アドレスを使う必要はもうありません。IP ネットワークマルチパスグループ上に 1 つしか NIC (Network Information Center、ネットワーク情報センター) がないためにフェイルオーバーを実行できないことがあります。この場合は、テストアドレスとデータアドレスを連結できます。テストアドレスが定義されていないときは、in.mpathd デーモンがデータアドレスを使って障害を検出します。

Solaris IP マルチパスの詳細は、『IP ネットワークマルチパスの管理』を参照してください。

ファイルシステムの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれるファイルシステムの機能拡張は、次のとおりです。NFS クライアントの機能拡張は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。以前のリリースからのファイルシステム機能は、次のとおりです。

NFS クライアントの機能拡張

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

次の機能拡張により、NFS クライアントのパフォーマンスが向上しています。

SPARC: マルチテラバイト UFS ファイルシステム

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

今回の Solaris リリースでは、64 ビット Solaris カーネルを実行するシステム上で、マルチテラバイト UFS ファイルシステムがサポートされます。これまで、UFS ファイルシステムの容量は、64 ビットシステムでも 32 ビットシステムでもおよそ 1 テラバイト (T バイト) に制限されていました。今回、マルチテラバイト UFS ファイルシステムをサポートするため、すべての UFS ファイルシステムコマンドとユーティリティが更新されました。

newfs -T コマンドを使用していれば、1T バイト未満の UFS ファイルシステムを作成したあとでも、ファイルシステムを 1T バイト以上に拡張できます。このコマンドにより、マルチテラバイトファイルシステムに適切な i ノードとフラグメントの密度が設定されます。

マルチテラバイト UFS ファイルシステムのサポートは、マルチテラバイト LUN が利用可能であることを前提にしています。これらの LUN は、Solaris ボリュームマネージャまたは Veritas VxVM のボリュームとして提供されるか、1T バイトを超える物理ディスクとして提供されます。

以下に、マルチテラバイト UFS ファイルシステムの機能の一部を紹介します。

以下は、マルチテラバイト UFS ファイルシステムのいくつかの制限事項です。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris 9 8/03 リリースの新しいファイルシステム機能」を参照してください。

SPARC: EFI ディスクラベルによるマルチテラバイトボリュームのサポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

今回の Solaris リリースでは、64 ビット Solaris カーネルを実行するシステム上で 1T バイト以上の大容量ディスクを使用できます。

EFI (Extensible Firmware Interface) ラベルは、物理ディスクボリュームと仮想ディスクボリュームをサポートします。UFS ファイルシステムには EFI ディスクラベルとの互換性があり、1T バイトを超えるサイズの UFS ファイルシステムを作成できます。今回のリリースに付属している更新されたディスクユーティリティでは、1T バイト以上の大容量ディスクを管理できます。

EFI ディスクラベルには、VTOC ディスクラベルにはない次の特徴があります。

EFI ディスクラベルの詳しい使用方法については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。このマニュアルには、重要な情報や制限が記載されています。この情報は、既存のソフトウェア製品と EFI ディスクラベルの併用に関するものです。

今回の Solaris リリースでは、Solaris ボリュームマネージャでも 1T バイト以上のディスク管理が可能です。これについては、SPARC: Solaris ボリュームマネージャによるマルチテラバイトボリュームのサポートを参照してください。

セキュリティの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれるセキュリティの機能拡張は、次のとおりです。sadmind セキュリティレベルの上昇Kerberos の機能拡張、および Sun Crypto Accelerator 4000 ボードでのインターネット鍵交換 (IKE) による鍵の格納は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。以前のリリースからのセキュリティ機能は、次のとおりです。

sadmind セキュリティレベルの上昇

sadmind コマンドのセキュリティ向上のため、デフォルトのセキュリティレベルが 2 (DES) に上がりました。sadmind が不要な場合は、inetd.conf ファイルでエントリをコメントアウトします。

詳細は、sadmind(1M) のマニュアルページを参照してください。

Kerberos の機能拡張

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

Solaris の Kerberos 鍵配布センター (KDC) が、MIT の Kerberos バージョン 1.2.1 に基づいて変更されました。KDC では、現在のハッシュベースのデータベースよりも高い信頼性を備えた btree ベースのデータベースがデフォルトで使用されるようになりました。

詳細は、kdc.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

Sun Crypto Accelerator 4000 ボードでのインターネット鍵交換 (IKE) による鍵の格納

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

IKE が、IPv4 ネットワークに加え、IPv6 ネットワーク上でも動作するようになりました。IPv6 実装に固有のキーワードについては、ifconfig(1M)ike.config(4) のマニュアルページを参照してください。

SunTM Crypto Accelerator 4000 ボードがマシンに搭載されている場合、IKE は大量の計算を必要とする処理をそのボードを使って負荷分散できるため、オペレーティングシステムはほかのタスクに資源を振り向けることができます。また、IKE は、公開鍵、非公開鍵、および公開証明書をそのボード上に格納することもできます。独立したハードウェア上に鍵を格納すれば、さらにセキュリティが向上します。

詳細は、『IPsec と IKE の管理』および ikecert(1M) のマニュアルページを参照してください。

IKE (Internet Key Exchange) ハードウェアアクセラレーション

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Sun Crypto Accelerator 1000 カードを使って、IKE の公開鍵処理時間を短縮できます。実行する処理がカードにオフロードされます。このため、暗号化処理が高速化され、オペレーティング環境の消費リソースも少なくて済みます。

詳細は、『IPsec と IKE の管理』を参照してください。

監査機能の拡張

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

今回の Solaris リリースでは、監査機能の拡張により、監査トレール内のノイズが削減されます。また、管理者は監査トレールの解析時に XML スクリプトを使用できます。具体的な拡張内容は次のとおりです。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。

スマートカード端末インタフェース

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris スマートカードインタフェースは、スマートカード端末用の公開インタフェースです。スマートカードインタフェースを参照してください。

crypt() 関数の拡張

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

パスワードの暗号化により、侵入者が不正にパスワードを解読することを防ぎます。このソフトウェアでは、次の 3 つのパスワード暗号化強化モジュールが利用可能です。

新しい暗号化モジュールを使ったユーザーパスワードの保護方法については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。モジュールの強化については、crypt_bsdbf(5)crypt_bsdmd5(5)、および crypt_sunmd5(5) のマニュアルページを参照してください。

pam_ldap のパスワード管理機能

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

pam_ldap パスワード管理機能により、Sun ONE Directory Server (旧名称は iPlanetTM Directory Server) と連動して使われる LDAP ネームサービスのセキュリティ全体が強化されます。特に、パスワード管理機能により以下のようなことが行われます。

Solaris ネーミングとディレクトリサービスについては、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。Solaris セキュリティ機能については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。

PAM (Pluggable Authentication Module) の拡張

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

PAM フレームワークの機能が拡張されて、新しい制御フラグが追加されました。新しい制御フラグにより、追加のスタック処理をスキップできます。このスキップは、現在のサービスモジュールが成功し、それ以前の必須モジュールで障害が発生していない場合に利用可能です。

この機能変更については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。

システムリソースの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれるシステムリソースの機能拡張は、次のとおりです。資源上限デーモンによる物理メモリーの制御は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。拡張アカウンティングサブシステムは、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

資源上限デーモンによる物理メモリーの制御

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

資源上限デーモン rcapd は、資源上限が定義されたプロジェクト内で動作するプロセスが消費する物理メモリーを制御します。また、このデーモンを管理したり、関連する統計情報を報告したりするメカニズムを持つ関連ユーティリティが用意されています。

詳細については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「資源上限デーモンによる物理メモリーの制御」を参照してください。また、rcapstat(1)rcapadm(1M)project(4)、および rcapd(1M) の各マニュアルページも参照してください。

拡張アカウンティングサブシステム

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加され、Solaris 9 4/03 リリースで機能拡張されました。

拡張アカウンティングプロセスを IP サービス品質 (IPQoS) のフローアカウンティングモジュールと併用できるようになりました。IPQoS については、『IPQoS の管理』を参照してください。

拡張されたアカウンティング機能については、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「拡張アカウンティング」を参照してください。

Solaris 9 4/03 リリースには、libexacct の Perl インタフェースが用意されています。このインタフェースを使って、exacct フレームワークによって生成されたアカウンティングファイルを読み取る Perl スクリプトを作成できます。exacct ファイルを作成する Perl スクリプトも作成できます。

この新しい Perl インタフェースは、基盤となる C API と機能的に同等です。

この Perl インタフェースでは、タスク単位、プロセス単位、または、IPQoS の flowacct モジュールによって提供されたセレクタ単位で、システムのリソース消費量を記録することができます。

libexacct の Perl インタフェースについては、『Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「拡張アカウンティング」の章を参照してください。

以下のマニュアルページも参照してください。

開発ツールの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれる開発ツールの機能拡張は、次のとおりです。SPARC: ローカリティグループは、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。Sun ONE Application Serverは、Solaris 9 12/03 リリースで機能拡張されました。以前のリリースからの開発機能は、次のとおりです。

SPARC: ローカリティグループ

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

プログラミングインタフェース』に、ローカリティグループ (lgroups) とやり取りするインタフェースについて説明した章が追加されました。これらのインタフェースを使用すると、アプリケーションが CPU 資源とメモリー資源の割り当てを効率的に行えるようになります。この機能を使うと、システムによってはパフォーマンスが向上する可能性があります。

リンカーとライブラリの更新

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。最新情報については、『リンカーとライブラリ』の「リンカーとライブラリの新機能および更新された機能」を参照してください。

Solaris リリースには、文字列テーブルの圧縮、参照されていないセクションの削除、参照されていない依存関係の検出など、新しいリンカー/エディタ機能が含まれています。各 Solaris リリースの新しいリンカー/エディタ機能の最新情報については、『リンカーとライブラリ』の「リンカーとライブラリの新機能および更新された機能」を参照してください。

スマートカードインタフェース

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris スマートカードインタフェースは、スマートカード端末用の公開インタフェースです。カード端末ベンダーは、これらのインタフェースをユーザーレベルの共有ライブラリに実装し、Solaris 環境のスマートカード端末にデバイスレベルのサポートを提供できます。Solaris スマートカード端末インタフェースは、Linux Smartcard フレームワークの一部として提供されるカード端末インタフェースに基づいています。Linux のカード端末サポートライブラリは、Solaris に簡単に移植できます。

スタック検査 API

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

スタック検査 API は、スタック検査コンパイラとの高度なやりとりのために用意されたものです。スタック検査コンパイラは、ForteTM 7.0 に付属しています。スタック検査 API は、スタック検査対応のコンパイル済みアプリケーションで使用します。このようなアプリケーションには、固有のスタックを管理したり、そのオーバーフローを検出したりする機能があります。

固有のスレッドライブラリを管理する開発者は、setustack インタフェースを使って、ライブラリの消費者がスタック検査対応のコンパイルを実行できるようにする必要があります。

stack_getbounds(3C)stack_setbounds(3C)stack_inbounds(3C)、および stack_violation(3C) のマニュアルページを参照してください。

libumem によるメモリー割り当て

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

libumem は、ユーザーモード (非カーネルモード) のメモリー割り当てライブラリです。libumem では、メモリーリークやメモリーの使用に関するその他の問題をデバッグできます。

この機能は、malloc() などの標準アプリケーションバイナリインタフェース (ABI) アロケータと同様の方法で使用します。ユーザーモードのアプリケーションが、メモリーに対して任意のバイト数を要求すると、割り当てられたメモリーのアドレスのポインタが返されます。

詳細は、libumem(3LIB) のマニュアルページを参照してください。

Solaris Memory Placement Optimization and Sun Fire Servers」についてのテクニカルホワイトペーパーは、次の Web サイトから入手できます。

http://www.sun.com/servers/wp/docs/mpo_v7_CUSTOMER.pdf

Sun ONE Application Server

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。この機能は、Solaris 9 12/03 リリースでは x86 プラットフォーム上でも利用可能になりました。詳細は、Sun ONE Application Server の統合を参照してください。

Sun ONE Message Queue

Sun ONE Message Queue は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。Solaris 9 8/03 リリースでは x86 プラットフォームでも利用できるようになりました。

Solaris 9 12/02 リリースでは、JMS メッセージングアプリケーションをサポートしています。これらのアプリケーションは、JMS プロバイダである Sun ONE Message Queue をベースにしています。詳細は、Sun ONE Message Queueを参照してください。

crypt() 関数の拡張

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

この Solaris リリースには、crypt() 関数の新しい拡張と、新しい crypt_gensalt() 関数が含まれています。これらの拡張により、管理者はユーザーの UNIX ログインパスワードをわからなくするためのアルゴリズムを変更できます。

モジュールには、MD5 向けと Blowfish 向けがあります。MD5 のモジュールは、crypt_sunmd5crypt_bsdmd5 に入っています。Blowfish のモジュールは crypt_bsdbf に入っています。

開発者は、パスワードをあいまいにするどちらのアルゴリズムに対しても、新しいモジュールを作成することができます。アプリケーション開発者は、crypt() 関数に渡す salt 文字列を手動で生成する代わりに、crypt_gensalt() 関数を使う必要があります。

どちらのアルゴリズム用のモジュールも crypt.conf(4) ファイルに記述します。module_path フィールドには、以下の必要な関数を実行するための共有ライブラリオブジェクトへのパスを指定します。

詳細は、crypt(3C) および policy.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

madvise() 関数の新しいフラグ

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

madvise() 関数を使うことにより、ユーザーが定義したメモリー領域へのカーネルのアクセスを最適化します。この Solaris リリースでは、madvise() 関数用に 3 つの新しいフラグが用意されています。

madvise() 関数の詳細は、madvise(3C) のマニュアルページを参照してください。

Smartcard ミドルウェア API

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Solaris Smartcard フレームワークでは、低レベルのミドルウェア API を提供しています。これらの API により、スマートカードリーダーを使用してスマートカードとの間でデータを交換することが可能になります。この API は、Sun BladeTM や Sun RayTM システムなどのプラットフォームで使用できます。Java 言語または C 言語で記述されたアプリケーションで、これらのインタフェースを使用できます。

詳細は、libsmartcard(3LIB) のマニュアルページおよび /usr/share/javadoc/smartcard の JavaDocs を参照してください。

言語サポートの拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれる言語サポートの機能拡張は、次のとおりです。すべてのインド系言語に共通の音訳ベースの入力方式は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。以前のリリースからの言語サポート機能は、次のとおりです。

すべてのインド系言語に共通の音訳ベースの入力方式

この機能は、Solaris 9 12/03 リリースで追加されました。

Solaris ソフトウェアの任意の Unicode (UTF-8) ロケール内で作業するユーザーは、インド地域の諸言語で使われる文字を、簡単かつ直感的に入力できるようになりました。CDE アプリケーション、StarSuiteTM、Mozilla のいずれかを使用するユーザーは、インド系言語スクリプトの処理をより簡単に行えるようになりました。音訳ベースの入力方式 (IM) を選択すると、ユーザーは、インド系言語スクリプトと音声的に等価な文字列を英語で入力できます。入力された等価な文字列は、選択されたスクリプトで表示されるとともに、基盤となるレイアウトモジュールおよび整形モジュールの助けを借りて描画処理および整形処理が正しく実行されます。音訳は、インド系言語の入力用としてもっとも一般的に使用される入力方式であるため、このサポートにより、Solaris ソフトウェアに付属する 8 種類のインド系言語スクリプトの有用性が格段に高まります。

Unicode バージョン 3.2 のサポート

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris Unicode ロケールで、Unicode バージョン 3.2 がサポートされるようになりました。Unicode バージョン 3.2 には、新たに 1016 文字が追加されています。バージョン 3.2 には標準化する変更および有益な変更が追加されています。その変更点の詳細については、次の Web サイトにある『Unicode Standard Annex #28: UNICODE 3.2』を参照してください。

http://www.unicode.org/unicode/reports/tr28/

Unicode バージョン 3.2 の条件に合わせて、UTF-8 文字表現の安全性も向上しました。Unicode バージョン 3.2 は、UTF-8 の iconv コード変換において、より安全性の高い UTF-8 文字表現、形式、およびバイトシーケンスを実現します。あらゆる OS レベルのマルチバイト機能とワイド文字機能が実装されています。

サポート対象キーボードの追加

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris 9 4/03 リリースでは、エストニア語キーボード (Type 6)、カナダ (フランス語) キーボード (Type 6)、ポーランド語プログラマ向けキーボード (Type 5) のソフトウェアサポートが追加されました。カナダ、エストニア、ポーランドのユーザーは、このソフトウェアを使って、標準の米国キーボードのキー配列をそれぞれの言語の必要性に合わせて変更できます。これにより、キーボード入力の柔軟性が向上します。

キー配列の変更手順については、『Solaris 9 12/03 ご使用にあたって』を参照してください。

Wubi 入力方式のサポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Wubi は、中国で広く使用されている IM (入力方式) です。Wubi IM のエンコーディング規則は、中国語文字の「字根」に基づいています。この方式では、標準キーボードで、「字音」による入力方式よりも速く中国語文字列を入力できます。

インド系言語の入力方式のサポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris ソフトウェアでは、インド系言語のキーボード入力がサポートされます。インド系言語のユーザーは、Solaris ソフトウェアで好みのキーボード配列を使用して、インド系言語の文字列を入力できます。

Unicode ロケールでインド系言語 7 種のスクリプトを追加サポート

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

今回の Solaris リリースでは、以前からサポートされていたヒンディー語スクリプトのほかに、次のインド系言語のスクリプトがサポートされます。

これらのインド系言語ユーザーは、Solaris でサポートされている任意の Unicode ロケール環境の Solaris ソフトウェアで言語サポートを得ることができます。

Solaris マニュアルの変更

Solaris ソフトウェアに含まれるマニュアル変更は、次のとおりです。最新の変更は、Solaris 9 12/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアルです。

Solaris 9 12/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル

Solaris 9 12/03 リリースにおける新規マニュアルと改訂マニュアルは、次のとおりです。

Solaris 9 8/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル

Solaris 9 8/03 リリースで改訂されたマニュアルは次のとおりです。

Solaris 9 8/03 リリースで新しく追加されたコレクションおよびマニュアルは次のとおりです。

Solaris 9 4/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル

Solaris 9 4/03 リリースで改訂されたマニュアルは次のとおりです。

Solaris 9 4/03 リリースで追加された新しいマニュアルは次のとおりです。

新しい『Solaris WBEM 開発ガイド

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

新しい『Solaris WBEM 開発ガイド』は、『Solaris WBEM SDK 開発ガイド』および『Solaris WBEM Services の管理』の 2 冊を統合した内容です。この変更により、WBEM の開発および配置に関わるタスクを順番に参照できるようになりました。その他の変更点は次のとおりです。

Solaris 9 12/02 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル

Solaris 9 12/02 リリースで改訂されたマニュアルは次のとおりです。

Solaris 9 12/02 リリースで追加された新しいマニュアルは次のとおりです。

NIS+ から LDAP への移行に関するマニュアル

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)』の「NIS+ から LDAPへの移行」の章が、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』に移されました。また、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の LDAP に関連する章に、さまざまなコンポーネントの説明と例が追加されました。ただし、新しい機能については説明されていません。

Solaris 9 9/02 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル

Solaris 9 9/02 リリースで追加された新しいマニュアルは次のとおりです。

Solaris 9 9/02 リリースで改訂されたマニュアルは次のとおりです。

システムパフォーマンスの向上

この Solaris ソフトウェアに含まれるパフォーマンスの改善点は、次のとおりです。

UFS ロギングパフォーマンスの向上

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

UFS ロギングにより、システムのリブートをより迅速に行うことが可能です。ファイルシステムのトランザクションはすでに保存されているので、ファイルシステムに整合性があれば、ファイルシステム検査が不要となるためです。

さらに、UFS ロギングのパフォーマンスは、Solaris リリースのロギングのないファイルシステムのパフォーマンスレベルを向上させることができます。SPECsfs (Standard Performance Evaluation Corporation システムファイルサーバー) のベンチマークの結果から、NFS マウントされたロギングの有効なファイルシステムのパフォーマンスは、UFS ロギングの有効でないファイルシステムパフォーマンスと同等のレベルであることがわかっています。入出力境界の構成によっては、UFS ロギングされたファイルシステムのほうが、ロギングされていないファイルシステムより、パフォーマンスが約 25 パーセント高くなります。また、あるテスト結果では、ロギングされた UFS ファイルシステムは、ロギングされていないファイルシステムの 12 倍のパフォーマンスが得られています。

UFS ファイルシステム上でロギングを有効にする方法については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』、または mount_ufs(1M) のマニュアルページを参照してください。

SPARC: メモリー配置の最適化 (Memory Placement Optimization、MPO)

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Solaris ディスパッチャおよび仮想メモリーサブシステムは、アプリケーションのメモリーへのアクセス時間を最適化するように拡張されました。この拡張機能により、多くのアプリケーションのパフォーマンスを自動的に向上させることができます。現在、この機能は、Sun FireTM 3800–6800、Sun Fire 12K、および Sun Fire 15K などの特定のプラットフォームをサポートするよう実装されています。

Solaris Memory Placement Optimization and Sun Fire Servers」についてのテクニカルホワイトペーパーは、次の Web サイトから入手できます。

http://www.sun.com/servers/wp/docs/mpo_v7_CUSTOMER.pdf

SPARC: Dynamic Intimate Shared Memory (DISM) の大規模ページのサポート

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Dynamic Intimate Shared Memory (DISM) の大規模ページがサポートされるようになりました。大規模ページをサポートすることにより、共有メモリーサイズの動的な調整が可能なアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。

DISM については、システムパフォーマンスの向上を参照してください。

Web ブラウザの機能拡張

この Solaris ソフトウェアに含まれるブラウザの機能拡張は、次のとおりです。

Netscape 7.0

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

NetscapeTM 7.0 は、Web サイトの閲覧、仲間とのコミュニケーション、グループディスカッションへの参加、および動的な Web ページの作成機能を統合したクロスプラットフォームブラウザです。Netscape 7.0 には次の機能があります。

Netscape 7.0 の注目すべき特長は次のとおりです。

Netscape 7.0 の詳細は、次の Web サイトを参照してください。

http://www.sun.com/software/solaris/netscape

Netscape 6.2.3

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。Solaris 9 4/03 リリースには、Netscape 7.0 が組み込まれています。Netscape 7.0を参照してください。

デスクトップ機能

この Solaris ソフトウェアに含まれるデスクトップの機能拡張は、次のとおりです。

GNOME 2.0 デスクトップ

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

GNOME 2.0 デスクトップは、Solaris ソフトウェアを対象とする、直感的で高度なデスクトップです。GNOME 2.0 デスクトップは、これまでの Solaris リリースに付属していた共通デスクトップ環境 (CDE) に代わるものです (注: CDE も引き続き使用可能)。

GNOME 2.0 デスクトップでは、慣れ親しんだ環境でデスクトップ上のアプリケーションや文書を簡単に操作できます。GNOME 2.0 デスクトップの機能は次のとおりです。

GNOME 2.0 デスクトップを構成する重要なコンポーネントとして、次のものがあります。

  1. Nautilus は、アプリケーションや文書の配置および検索に使用する高度なファイルマネージャです。Nautilus は、ファイルマネージャ内のテキストファイルや画像ファイルの内容を直接表示することもできます。

  2. デスクトップ上のパネルバーには、次のものが表示されます。

    • アプリケーションランチャー

    • システムメニュー

    • パネル引き出し (サブパネル)

    • アプレット

    パネルからすばやくアプリケーションを起動でき、また、システムの状態を一目で確認できます。パネルは、必要な数だけいくつでも作成できます。

  3. アプリケーションは、日常的に実行するさまざまな作業をサポートします。GNOME 2.0 デスクトップには、次のアプリケーションが付属しています。

    • テキストエディタ

    • 電卓

    • 文字選択

    • 画像ビューア

    • PostScriptTM/PDF ビューア

    • Media Player

    • サウンドレコーダ

    • パフォーマンスメータ

    • 印刷マネージャ

    • 端末

  4. アプレットは、パネルで動作するユーティリティ群です。GNOME 2.0 デスクトップには、次のアプレットが付属しています。

    • 時計

    • Inbox モニタ

    • CD プレーヤー

    • ボリュームコントロール

    • 文字パレット

    • コマンドライン

    • キーボード配列切り替え

    • ウィンドウリスト

    • ワークスペーススイッチ

GNOME 2.0 デスクトップの詳細は、GNOME 2.0 Desktop 12/03 Collection - Japanese を参照してください。このコレクションの詳細は、以下の Solaris 9 8/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアルを参照してください。

X11 ウィンドウ機能

この Solaris ソフトウェアに含まれる X11 ウィンドウの機能拡張は、次のとおりです。

Xscreensaver プログラム

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Xscreensaver プログラムは、ユーザーが席を外して一定の時間が経過すると、ほかのユーザーが勝手にシステムにアクセスできないようにモニタ画面をロックします。Xscreensaver では画面をロックしている間、さまざまなアニメーションを表示することもできます。Xscreensaver プログラムは、GNOME 2.0 デスクトップで使用されます。

XEvIEX (X Event Interception Extension)

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

XEvIE は、キーボードイベントとマウスイベントをすべて遮断し、これらのイベントを必要に応じて読み取り、消費、または変更できるようにする低レベルのインタフェースです。この X 拡張機能を利用すれば、将来的に GNOME 2.0 デスクトップで採用されているテクノロジなど、多くの補助テクノロジを有効に統合することができます。

FreeType 2.1.x

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

FreeType 2.1.x は、単純な API (アプリケーションプログラミングインタフェース) を提供するオープンソースライブラリの 1 つです。この API は、ファイル形式にとらわれず一定の方式でフォントコンテンツにアクセスできます。フォントファイル内の特殊なデータにアクセスする際は、ファイル形式固有の API を使用できます。

Xserver 仮想画面の拡張機能

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

Xserver 仮想画面の拡張機能により、Solaris ソフトウェア用の GNOME 2.0 デスクトップのユーザー補助機能を使用することが可能です。この機能により、システム上でフレームバッファを 1 つしか持たないより多くのソフトウェアがサポートされます。

Xrender 拡張機能

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

新しい Xrender 機能により、Solaris ソフトウェア上で動作する、StarSuite パッケージのようなアプリケーションのパフォーマンスが向上しました。Xrender 機能により、アプリケーションの外観を最新の手法で見せることが可能です。Xrender は、アルファ合成効果および透過効果に対応したハードウェア処理を利用しています。

フリーウェアの機能拡張

Solaris リリースに含まれるフリーウェアの機能拡張は、次のとおりです。


注 –

これらのフリーウェアパッケージの使用許諾権、帰属、および著作権を確認するには、以下で説明するライセンスパスを参照してください。Solaris ソフトウェアをデフォルト以外の場所にインストールした場合は、インストールした場所に合わせてパス名を変更します。

Solaris 9 リリースに付属しているフリーウェアの一覧については、フリーウェアの機能拡張を参照してください。


Ghostscript 7.05

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

この Solaris リリースには、Ghostscript 7.05 フリーウェアパッケージが含まれています。Ghostscript 7.05 は、PostScript ファイルと PDF ファイルを読み取った後、それらのファイルを、画面上に表示するか、多くのプリンタに対応した形式に変換します。/usr/sfw/share/mangs(1) のマニュアルページを参照してください。


注 –

Ghostscript の使用許諾権、帰属、および著作権を確認するためのライセンスパスは、/usr/sfw/share/src/<フリーウェア名> です。


新しいフリーウェアパッケージ : libxml2 2.4.16 および libxslt 1.0.19

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

Solaris 9 4/03 リリースで新しく追加または改訂されたフリーウェアパッケージは次のとおりです。


注 –

これらのパッケージの使用許諾権、帰属、および著作権を確認するためのライセンスパスは、/usr/share/src/<フリーウェア名>/<ファイル名> です。


ANT 1.4.1 フリーウェアパッケージ

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

この Solaris リリースには、次の新しいフリーウェアパッケージが含まれています。ANT 1.4.1 – これは、Jakarta ANT による Java および XML ベースのビルドパッケージです。


注 –

ANT の使用許諾権、帰属、および著作権を確認するためのライセンスパスは、/usr/sfw/share/src/<フリーウェア名> です。