Sun ONE Message Queue 3.0.1 SP2 インストールガイド |
第 1 章
概要この章では、MQ 製品のインストールの概要を説明します。次の節が含まれています。
製品エディションSunTM ONE Message Queue 製品には、Platform および Enterprise の 2 つのエディションが用意されています。各エディションは、後続の節で説明するように、別々のライセンス機能に対応しています。MQ をいずれか一方のエディションから別のエディションにアップグレードするには、『MQ インストールガイド』を参照してください。
Platform Edition
このエディションは、Sun の Web サイトから無料でダウンロードできます。また、最新の Sun ONE Application Server プラットフォームにもバンドルされています。Platform Edition では、各 MQ メッセージサービスでサポートされる JMS クライアントの接続数に制限はありません。Platform Edition には、次の 2 つのライセンスが付属しています。
- 基本ライセンス。このライセンスには、基本的な JMS サポート (完全な JMS プロバイダ) が用意されていますが、ロードバランス (マルチブローカのメッセージサービス)、HTTP/HTTPS 接続、安全な接続サービス、スケーラブルな接続機能、複数キューの配信ポリシーなど、企業向けの機能は含まれていません。このライセンスには期限がないため、要件の緩い運用環境で使用できます。
- 90 日間の企業向けトライアルライセンス。このライセンスには、マルチブローカのメッセージサービス、HTTP/HTTPS 接続、安全な接続サービス、スケーラブルな接続機能、複数キューの配信ポリシーに対するサポートなど、基本ライセンスには含まれていない企業向けの機能がすべて含まれています。ただし、ソフトウェアのライセンスの有効期間は 90 日間です。そのため、Enterprise Edition の製品 (「Enterprise Edition」を参照) で提供される企業向けの機能を評価するのに適しています。
Enterprise Edition
このエディションは、運用環境でメッセージングアプリケーションを配備および実行するために使用されます。このエディションには、マルチブローカのメッセージサービス、HTTP/HTTPS 接続、安全な接続サービス、スケーラブルな接続機能、および複数キューの配信ポリシーに対するサポートが含まれています。また Enterprise Edition は、メッセージングアプリケーションやコンポーネントの開発、デバッグ、および負荷テストにも使用できます。Enterprise Edition のライセンスには有効期限がなく、マルチブローカのメッセージサービスにおけるブローカ数には制限がありませんが、サポートされる CPU の数は指定されています。
サポートされているプラットフォームと製品MQ 3.0.1, SP2 は、Solaris、Linux、および Windows の各オペレーティングシステムとプラットフォームをサポートしています。また、次の表に示すように、ほかのテクノロジにも依存しています。ほかのバージョンやベンダーの実装でも利用できますが、Sun Microsystems では、テストを実施していないため、サポートしていません。
表 1-1
MQ 3.0.1 製品サポート一覧プラットフォーム/製品
用途
サポートされているプラットフォーム/製品バージョン1
JRE (Java Runtime Environment)
(Sun Microsystems 製品バージョンのみ)MQ ブローカ (メッセージサーバー) および MQ 管理ツール
JDK/JRE 1.4.1_03 の場合:
JDK/JRE 1.4.1 の場合:
Java Software Development Kit (JDK)、Standard Edition
(Sun Microsystems 製品バージョンのみ)JMS クライアント開発
(SOAP メッセージングクライアントは JDK 1.4.1_03 でのみサポートされている)
バージョン 1.4.1_03 の場合2:
バージョン 1.3.1_05 の場合3:
バージョン 1.2.2_08 の場合:サポートされていないが動作する (以降のバージョンにアップグレードできないとき)
LDAP Directory Server
MQ ユーザーリポジトリおよび管理オブジェクトサポート
Sun ONE Directory Server バージョン 5.1
Web Server
HTTP および HTTPS サポート
Sun ONE Web Server、Enterprise Edition 6.0 SP4
データベース
プラグイン持続性サポート
Cloudscape (バージョン 3.0)
Oracle 8i、バージョン 8.1.7 および Oracle 9i、バージョン 9.0.1
JNDI
管理オブジェクトサポート
1サポートされているバージョンへの更新については、MQ リリースノートで確認してください。
2この JDK は http://java.sun.com/j2se/1.4/index.html からダウンロードできる
3この JDK は http://java.sun.com/j2se/1.3/index.html からダウンロードできる
MQ ソフトウェアモジュール次の表では、MQ 製品に含まれるソフトウェアモジュール一式を示します。モジュールのインストール場所については、表 1-2 を参照してください。
Web および CD-ROM からのインストールSun ONE Web サイトから MQ 3.0.1, SP2 製品をダウンロードするか、または CD-ROM からインストールするか、いずれかを選択できます。手順の詳細については、後続の章にあるプラットフォームごとの手順を参照してください。
インストールのディレクトリ構造次に示すインストールのイメージは、Solaris の完全インストール (全パッケージ) または Windows の完全 (「標準」) インストールを示しています。部分的インストールを実行する場合は、イメージが異なる場合があります。
表 1-3
インストールのディレクトリ構造ファイルとディレクトリ (Solaris)
ファイルとディレクトリ (Windows および Linux)1
内容
COPYRIGHT (インストールされない)
./COPYRIGHT
著作権テキストファイル
LICENSE (インストールされない)
./LICENSE
ライセンステキストファイル
README (インストールされない)
./README
README テキストファイル
/usr/bin ディレクトリ
./bin ディレクトリ
ブローカの実行可能ファイル (imqbrokerd) および次の MQ 管理ツールを含む
Windows では、上記ファイルの拡張子は.bat。このディレクトリには、ブローカを Windows サービスとしてインストールおよびアンインストールするためのユーティリティ (imqsvcadmin) と実行ファイル (imqbrokersvc) も含まれる
/usr/share/lib ディレクトリ
./lib ディレクトリ
MQ クライアントランタイムをサポートするファイルを含む
/*jar には、JMS クライアントアプリケーションの作成や実行に使用される jar ファイルが含まれる
/usr/share/lib/imq ディレクトリ
./lib ディレクトリ
MQ ツールおよびプロセスのサポートに使用されるファイルを含む
/ext/*jarはプラグイン持続機能に必要な、jar ファイルを配置する場所
/props サブディレクトリには、ブローカのデフォルトの設定ファイルが含まれる
/help サブディレクトリには、MQ ヘルプファイルが含まれる
/images
/etc/imq ディレクトリ
./etc ディレクトリ
ライセンスファイル、セキュリティ関連ファイル (パスファイル、アクセス制御ファイル、単層型ファイルユーザーリポジトリなど)、および自動起動するために使用される rc スクリプト設定ファイル ( Solaris のみ) が含まれる
/var/imq ディレクトリ
./var ディレクトリ
MQ の作業用格納ディレクトリ
設定ファイル、ログファイル、および各ブローカインスタンスのファイルベースの持続データ格納を含む /instances サブディレクトリ
/usr/share/javadoc/imq ディレクトリ
./javadoc ディレクトリ
Javadoc 形式 (HTML) の MQ および JMS API マニュアルを含む
/usr/demo/imq ディレクトリ
./demo ディレクトリ
クライアントのアプリケーション例を実行するためのソースコードと手順
./jre ディレクトリ
JRE 1.4 ファイル (Windows のみ)
1パスは IMQ_HOME を基準とする相対パスになります (「ディレクトリ変数の表記規則」を参照)。
バージョン 2.0 からのアップグレードMQ 3.0.1, SP2 は、MQ 3.0.1 および MQ 3.0.1 SP1 との互換性があるので、MQ 3.0.1 あるいは MQ 3.0.1 SP1 から MQ 3.0.1, SP2 へアップグレードする場合、ブローカ設定、管理対象オブジェクト、管理ツール、あるいはクライアントアプリケーションを変更する必要はありません。
しかし、MQ 3.0.1 で使用される内部データおよび外部データが変更されたため、MQ 3.0.1 は通常 iMQ 2.0 と互換性がありません。このため、MQ 3.0.1 をインストールする前に iMQ 2.0 をアンインストールすることを強くお勧めします。MQ 3.0.1 を iMQ 2.0 に上書きインストールしないでください。
iMQ 2.0 のアンインストール
iMQ 2.0 の Service Pack 1 を使用している場合は、『Service Pack インストールガイド』にあるアンインストールの手順に従って、Service Pack をアンインストールしてから『iMQ 2.0 インストールガイド』のアンインストール手順に従って、iMQ 2.0 をアンインストールします。
アンインストールの処理では、iMQ 2.0 の IMQ_VARHOME ディレクトリは削除されません。このディレクトリ (デフォルトでは、Solaris および Linux オペレーティングシステムで /var/opt/SUNWjmq、Windows システムで c:\Program files\iPlanetMessageQueue2.0\var) には、一時ファイルとセキュリティ関連ファイルが含まれます (表 1-4 を参照してください)。このデータの一部は、MQ 3.0.1 と互換性があり、次の節に記載された手順に従って保存できます。
互換性と非互換性
機能向上のために行われた変更により、MQ 3.0.1 には、通常 iMQ 2.0 との互換性がありません。特に、iMQ 2.0 から MQ 3.0.1, SP2 へのアップグレードを行う場合、次の点に注意が必要です。
ブローカの互換性
ブローカプロパティと持続格納スキーマを変更したので、MQ 3.0.1 ブローカは、iMQ 2.0 ブローカと相互動作しません。ただし、表 1-4 に示すように、一部の iMQ 2.0 データには MQ 3.0.1 との互換性があるので、MQ 3.0.1 にアップグレードするときに保持することができます。iMQ 2.0 から MQ 3.0.1 へアップグレードするときには、次の点を考慮する必要があります。
- iMQ 2.0 の config.properties ファイルは別の場所にコピーしておくことができます。ほとんどの場合、MQ 3.0.1 ブローカを構成するときに、そのファイルに含まれているプロパティ設定を参照することができます。
- メッセージ、送信先、永続サブスクリプションなど、iMQ 2.0 の持続的データは再利用できません。特に、MQ 3.0.1 ブローカでは、iMQ 2.0 の送信先を作成し直す必要があります。
- MQ 3.0.1 のインストール後も、iMQ 2.0 ユーザーリポジトリとアクセス制御プロパティファイルはそのまま利用できます。MQ 3.0.1 インストーラでは、これらのファイルは上書きされません。これらのファイルは MQ 3.0 の適切な場所に移動する必要があります。『MQ Administrator’s Guide』の付録 C を参照してください。
管理対象オブジェクトの互換性
MQ 3.0.1 管理対象オブジェクトは、改良されて新しい属性が追加され、iMQ 2.0 属性名が変更されました。したがって、iMQ 2.0 から MQ 3.0.1 へアップグレードするときには、次の点を考慮する必要があります。
- iMQ 2.0 で作成したものと同じオブジェクトストアや管理対象オブジェクトが使用できますが、MQ 3.0.1 のインストール後に管理対象オブジェクトをアップグレードするのが最善の方法です。管理コンソール (imqadmin) および ObjectManager コマンド行ユーティリティ (imqobjmgr) は、アップデート操作の実行時に、iMQ 2.0 管理対象オブジェクトを MQ 3.0.1 管理対象オブジェクトに変換します。
- MQ 3.0.1 クライアントランタイムは、iMQ 2.0 管理対象オブジェクトをローカルの MQ 3.0.1 管理対象オブジェクトに変換して、検索とインスタンス化を行います。これは、オブジェクトストアにある iMQ 2.0 管理対象オブジェクトを MQ 3.0.1 管理対象オブジェクトに変換するわけではありません。
- JMS プロバイダに依存している JMS クライアント (アプリケーションまたはコンポーネント、あるいはその両方) は、管理対象オブジェクトを直接インスタンス化するので、新しい管理対象オブジェクト属性名に対応するように書き換える必要があります。管理対象オブジェクト属性については、『MQ Developer’s Guide』の第 4 章および付録 A を参照してください。
- JMS クライアントを起動したり、コマンド行オプションを使用して管理対象オブジェクトの属性値を設定したりするスクリプトは、新しい管理対象オブジェクトの属性名に対応するように書き換える必要があります。管理対象オブジェクト属性については、『MQ Developer’s Guide』の第 4 章および付録 A を参照してください。
管理ツールの互換性
文字列「jmq」を「imq」に変更するなど、多くのファイルやディレクトリの名前が変更されたため、すべての MQ 3.0.1 コマンド行ユーティリティ、ブローカプロパティ、管理対象オブジェクト属性、および内部ファイル名が変更されました。したがって、iMQ 2.0 から MQ 3.0.1 へアップグレードするときには、次の点を考慮する必要があります。
- コマンド行ユーティリティ (imqbrokerd、imqcmd、imqobjmgr など) を使用するスクリプトは、以前のコマンドを新しい名前のコマンドに編集して、置き換える必要があります。特に、jmqbroker コマンドが imqbrokerd に変更されたことに注意してください。
- 管理コンソール (imqadmin) は、いくつものブローカやオブジェクトストアを同時に管理できるようにするとともに、画面の左側にあるナビゲーション区画に表示される管理エンティティのリストを保存します。したがって、管理コンソールを起動するたびに、管理エンティティのリストが再表示されます。iMQ 2.0 管理コンソールのユーザー設定が保存されているディレクトリの名前は、MQ 3.0.1 用に変更されました。iMQ 2.0 から MQ 3.0.1 へアップグレードする際、以前のコンソール設定を保持する必要がある場合は、brokerlist.properties ファイル、および objstorelist.properties ファイルが格納されているディレクトリの名前を、user.home/.jmq/admin から user.home/.imq/admin に変更する必要があります。この user.home には、java システムプロパティが表示されます。
クライアントの互換性
iMQ 2.0 から MQ 3.0.1 へアップグレードするときには、次の点を考慮する必要があります。
- MQ 3.0.1 のブローカは、iMQ 2.0 のクライアントランタイム (MQ 3.0.1 で追加されている機能を除く) をサポートしますが、iMQ 2.0 のブローカは、 MQ 3.0.1 クライアントランタイムをサポートしません。
- JDK 1.2、1.3、または 1.4 上に構成された JMS クライアントは、JRE 1.4 を実行するブローカと相互動作することができます。ただし、SSL ベースで安全にブローカに接続しているクライアントが JDK 1.4上に構成されていない場合は、追加の JSSE および JND ライブラリが必要になります。JDK 1.4にはこれらのライブラリが含まれています。
インストール準備後の作業MQ を特定のプラットフォームにインストールする準備ができたら、プラットフォーム (Solaris、Linux、および Windows) に対応した各章を参照してください。各章では、ハードウェア要件とソフトウェア要件、インストール手順、およびエディションのアップグレード方法やインストール後の手順など、その他の関連事項が説明されています。