この章では、Open HA Cluster 2009.06 構成に固有の計画情報およびガイドラインを提供します。Open HA Cluster 2009.06 構成でサポートされている機能については、この章の情報で第 1 章Open HA Cluster 構成を計画するのガイドラインを補足または置換します。Open HA Cluster 2009.06 構成でサポートされていない、または制限されている Sun Cluster の機能については、『Open HA Cluster 2009.06 リリースノート』を参照してください。
Open HA Cluster 構成のハードウェアおよびソフトウェアの要件またはデフォルトは、次のとおりです。
オペレーティングシステム - Open HA Cluster 2009.06 構成は OpenSolaris 2009.06 ソフトウェア でのみ動作します。
ハードウェアプラットフォーム - Open HA Cluster 2009.06 構成は、SPARC ベースのプラットフォームと、32 ビットまたは 64 ビットの x86 ベースのプラットフォームのいずれかで動作します。
クラスタ内のすべてのノードは、同じプラットフォームで実行する必要があります。x86 ベースのプラットフォームの場合は、同じクラスタ内で 32 ビットマシンと 64 ビットマシンの両方を使用できません。
ハードウェアトポロジ - Open HA Cluster 2009.06 構成は、次のハードウェアコンポーネントで構成されます。
同じサブネットで実行している正確に 2 台の物理クラスタノード
ノードごとに 1 つ以上のネットワークアダプタ
共有ストレージはオプション
ルートファイルシステム - デフォルトのルートファイルシステムは ZFS です。
グローバルデバイス名前空間として使用する globaldevices パーティションを作成することは、ZFS ルートファイルシステムとの互換性がありません。グローバルデバイス名前空間をホストするには lofi デバイスを構成するか、または UFS ルートファイルシステム上に globaldevices パーティションを作成する必要があります。
管理者ロール - デフォルトでは、初期ユーザーアカウントは「主管理者」プロファイルを持っています。
ネットワークインタフェースマネージャー - デフォルトのネットワークインタフェースマネージャーは Network Auto-Magic (NWAM) です。ただし、NWAM は Open HA Cluster 2009.06 ソフトウェアとの互換性がないため、Open HA Cluster 2009.06 ソフトウェアを構成する前に無効化する必要があります。
DHCP - Open HA Cluster ソフトウェアでは、IPMP を使用した DHCP クライアントの実行との互換性がない方法で、特定のネットワーク構成ファイルが使用されます。したがって、クラスタノードを DHCP クライアントにすることはできません。DHCP を無効化し、その代わりにパブリックネットワークの静的 IP アドレスを構成する必要があります。
Open HA Cluster 構成での IPMP グループについては、次のガイドラインを参照してください。
リンクベースの IPMP グループ - クラスタのインストール時に、自動的に作成された IPMP グループがリンクベースのグループとして構成されます。IPMP グループをプローブベースにする場合は、各ノード上で etc/hostname.adapter ファイルを手動で編集してテストアドレスを追加します。
LogicalHostname および SharedAddress リソース - 単一のアダプタを使用するホスト名を含む LogicalHostname または SharedAddress リソースを構成する場合は、そのアダプタに対して自動的に作成された IPMP グループが、リンクベースの監視用に構成されます。後で、これらの IPMP グループの /etc/hostname.adapter ファイルを変更して、プローブベースにすることができます。
Open HA Cluster 構成でのプライベートインターコネクトについては、次のガイドラインを参照してください。
オプションのプライベートインターコネクト - 物理プライベートインターコネクトの使用はオプションです。その代わりに、仮想ネットワークインタフェース (Virtual Network Interface、VNIC) を構成すると、クラスタトラフィックでパブリックネットワークを使用できます。
VNIC の作成 - クラスタトランスポートで VNIC を使用するには、事前に VNIC を構成するか、またはクラスタを確立するときに「カスタム」モードで scinstall ユーティリティーを使用して VNIC を作成します。VNIC の手動作成については、「仮想ネットワークインタフェース (Virtual Network Interface、VNIC) を作成する」を参照してください。
「カスタム」モードで scinstall ユーティリティーを使用して新しい VNIC を作成する場合は、次の情報を指定します。
使用する物理アダプタまたは NIC の名前
物理アダプタの MAC アドレス、または自動選択 (auto) を選択する
VNIC を付与する名前 (命名規則 vnicN を使用)
VNIC は、クラスタの構成および確立が行われるときに作成されます。
アダプタの自動検出 - 「カスタム」モードで scinstall ユーティリティーを使用して、最初に構成するクラスタノードで使用する VNIC を作成する場合は、残りのクラスタノードでアダプタの自動検出は使用できません。自動検出を使用するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら、「No」と入力します。
物理アダプタと仮想アダプタの共存 - クラスタまたは単一のノードでは、物理アダプタと仮想アダプタの組み合せを使用できます。ただし、さまざまな NIC および VNIC で帯域幅が大幅に異なる場合は、最大負荷時に低い速度の NIC によってパフォーマンスが影響を受ける可能性があります。同じクラスタで使用する NIC および VNIC の帯域幅は比較できることを確認します。
IP セキュリティーアーキテクチャー (IPsec) – キー管理には、インターネットキー交換 (Internet Key Exchange、IKE) を使用した IPsec のみを使用します。Open HA Cluster 構成で IPsec を構成する場合は、手動キー形式のキー管理は使用しないでください。
iSCSI とは、イニシエータというクライアントが SCSI コマンドを、リモートサーバー上のターゲットという SCSI ストレージデバイスに送信できるプロトコルです。ストレージエリアネットワーク (Storage Area Network、SAN) を使用すると、ホストがディスクにローカル接続されているように見せながら、ストレージをデータセンターストレージアレイに統合できます。iSCSI を使用するために、特別な目的の配線は必要ありません。その代わりに、長距離の通信は、既存のネットワークインフラストラクチャーを使用して実行されます。
Open HA Cluster 構成での iSCSI ストレージの構成については、次のガイドラインを参照してください。
COMSTAR - COMSTAR ベースの iSCSI ターゲットの実装は、Open HA Cluster 2009.06 構成でサポートされています。
iSCSI ターゲットの場所 - iSCSI ターゲットとしてエクスポートされるディスクは、iSCSI ターゲットをホストするクラスタノードに直接接続されているローカルホストである必要があります。ディスクが複数のノードでホストされていたり、クラスタノードに直接接続されていない場合は、iSCSI ターゲットとして使用できません。
トポロジ - 次の図に示すように、ハードウェア接続を構成します。この図は、COMSTAR およびフェイルオーバー ZFS ストレージプールを使用して高可用性を実現する 2 ノードの Open HA Cluster 2009.06 構成を示しています。矢印は iSCSI 接続を表します。1 つ以上の接続には、各ノードから「ノード 1」上の同じディスクへのパスが 1 つあります。クラスタ DID 名前空間では、これは両方のノードからのパスを持つ単一の DID になります。同様に、1 つ以上の接続には、各ノードから「ノード 2」上の同じディスクへのパスが 1 つあります。これにより、2 番目の DID デバイスが作成されます。これらの 2 つの DID デバイスを ZFS ストレージプールを使用してミラー化すると、Open HA Cluster 構成にフェイルオーバー ZFS ファイルシステムが作成されます。