ネットワークリンクの帯域幅とは、同時に転送できるデータの最大量のことです。帯域幅は毎秒ビット、またはより多くの場合に毎秒メガビット (Mb/s) で測定されます。リンクの最大帯域幅は、リンクの一方の端にある装置と使用中のリンクの種類によって決定されます。また、リンクに使用されている材質の物理的な特性によっても帯域幅が制限されます。ただし、制限を決定する主な要因はネットワーク装置です。
ネットワークサービスをプロバイダから購入している企業の場合、より大きな帯域幅を使用するには通常、より高いコストがかかります。ネットワークプロバイダで、より大きな帯域幅を使用するには、より高性能のネットワーク装置を使用しなければなりません。そのためには一般的に余分なコストがかかります。
ほとんどすべてのネットワークリンクは複数のユーザーまたはアプリケーションによって使用されます。これは、ユーザーまたはアプリケーション間で帯域幅を共有しなければならないことを意味します。帯域幅管理ツールを使ってどのように共有するかを管理できます。
ネットワークリンクが絶えず混雑している場合、より大きな容量を提供できるようにリンクをアップグレードする必要があります。ただし多くの場合、リンクが混雑するのは一時的で、通常の負荷はリンクの容量内に収まっています。一時的な混雑は予測できる場合もあります。たとえば、一日のうち特定の時間だけ混雑するとか、特別なイベントのあとに混雑するなどです。しかし、大きなファイルを転送するときなど、混雑が予測できない場合もあります。
平均的なリンクの使用率がリンクの容量内に収まっている場合、帯域幅の容量の使われ方を管理することで、ネットワークリンクの性能がかなり改善できます。特定の種類のトラフィックに帯域幅を割り振ることによって、利用可能な帯域幅を最大限に使用できます。
Solaris Bandwidth Manager 1.6 を使って、IP トラフィックで使用する帯域幅を管理できます。次の作業を行います。
アプリケーションの種類、発信元と着信元のアドレス、および URL グループ、または、これらの組み合わせに基づいて、トラフィックをクラスに割り振り、各クラスに個々の制限を割り当てます。たとえば、次のように割り当てます。
エンジニアリング用のトラフィックは少なくともリンクの 50% は必要である
HTTP 用のトラフィックはリンクの 10% を超えてはならない
トラフィックに優先順位を付けます。たとえば、telnet や rlogin の使用時に生成される対話的なトラフィックでは、応答時間が短くなければなりません。Solaris Bandwidth Manager では、このようなトラフィックに高い優先順位を割り当てます。FTP によるファイル転送など、応答時間が長くてもかまわないトラフィックには、低い優先順位を割り当てることができます。
ネットワークトラフィックの種類別に帯域幅を割り振ったり、相対的な優先順位を割り当てることによって、ネットワーク性能を最適化できます。
サービスプロバイダからネットワーク接続をリースしている LAN の所有者の場合、Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、リースしている容量をもっとも効率的に使用できます。帯域幅を管理すると、リースしている容量を最大限使用しながら、高い優先順位のトラフィックを優先的に送信できます。従来のように、優先順位の高いトラフィックを送信するために、要件を高く見積もる必要はありません。したがって、リースする容量を減らすこともできます。
多くのクライアントにネットワークサービスを提供している WAN の所有者の場合、Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、ネットワーク内のトラフィックを調整できます。Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、保証した最低限の帯域幅をクライアントに提供でき、他のクライアントで必要とされない場合には、追加の帯域幅を提供できることもあります。保証した帯域幅がわかっているため、容量の計画がより簡単で正確になります。
企業の代わりに Web サイトをいくつか運営している Web サービスプロバイダの場合、Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、クライアントの企業に対して、各企業の Web サイトを訪れる顧客が一定の帯域幅を提供されることを保証できます。今日、多くの Web プロバイダの料金を決定するのは、ディスク容量の使用率か、サイトを訪れる回数です。プロバイダの料金の指針としては、ディスク容量の使用率はあまり適していません。小さくても顧客が頻繁に訪れるサイトは、大きくても顧客がほとんど訪れないサイトと同等の費用がかかる可能性があるためです。顧客がサイトを訪れる回数の方がプロバイダの料金の指針としては適していますが、クライアントにとってはかかるコストが無制限に大きくなる可能性があります。Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、このような Web サイトに対する保障帯域幅について、クライアントに料金を請求できます。
多くの顧客にサービスを提供する ISP の場合、Solaris Bandwidth Manager を使用すれば、顧客ごとに異なるクラスのサービスを提供できます。たとえば、顧客の必要性と予算に合わせて、保証される最低アクセスレベルが異なる、Premium サービスや Standard サービスを提供できます。