Solaris Bandwidth Manager 1.6 のシステム管理

Solaris Bandwidth Manager を使用する地点

ネットワーク内において Solaris Bandwidth Manager を使用する地点は、帯域幅の需要が利用できる帯域幅をときどきまたは常に超えているところや、海を渡るような長距離のリンクの起点や、LAN または WAN の境界など、潜在的にボトルネックとなるところです。Solaris Bandwidth Manager は着信トラフィックと発信トラフィックを調節します。ネットワークリンクが共有媒体を使用する場合は、そのリンクを介してトラフィックを送るすべての地点でトラフィックを調節する必要があります。

Solaris Bandwidth Manager は、IP トラフィックの発信元であるホスト、IP ルーター、または、LAN とルーターの間にあるホスト上で使用できます。LAN とルーター間にあるホスト上では、「IP 透過モード」で述べたとおり、Solaris Bandwidth Manager は IP 透過モードで動作します。


注 -

Solaris Bandwidth Manager は、le0:1 などの論理インタフェース上のトラフィックフローを調節できません。しかし、論理インタフェースを使用するトラフィックに対応するクラスを定義することによって、同じ結果が得られます。この例については、「論理インタフェース」を参照してください。


Solaris Bandwidth Manager は、ネットワーク内の特定の場所で着信トラフィックと発信トラフィックを調節します。ネットワークトポロジによっては、既知のボトルネックよりも前の場所で帯域幅を割り振る方が便利な場合もあります。

図 3-1 Solaris Bandwidth Manager を使用する地点の計画

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図 3-1 に示すネットワークがあると仮定します。図中の数字はリンクの容量を示します (単位は任意)。

ホスト C がトラフィックを生成しない場合、Solaris Bandwidth Manager を使用する必要はありません。リンク CD の容量が、リンク AC とリンク BC の両方で同時に配信できるトラフィックの合計に対して充分なためです。ただし、ホスト C がトラフィックを生成する場合、ホスト C で Solaris Bandwidth Manager を使用して、リンク CD 上のトラフィックフローを調節する必要があります。

リンク AC の容量が 10 に増えた場合、ホスト C はトラフィックを生成するかどうかに関わらず、潜在的なボトルネックとなります。リンク AC とリンク BC の両方で同時に配信できるトラフィックの合計がリンク CD の容量を超えるためです。この場合、ホスト C で Solaris Bandwidth Manager を使用しても問題は解決しません。ホスト C ではなく、ホスト A で Solaris Bandwidth Manager を使用して、トラフィックがホスト C の容量を超える可能性をなくす、または減らす必要があります。ホスト C がトラフィックを生成しない場合、ホスト A で Solaris Bandwidth Manager を使用するだけでおそらく十分です。ホスト C がトラフィックを生成する場合、ホスト A とホスト C の両方で Solaris Bandwidth Manager を使用してください。

利用するネットワークのある地点で Solaris Bandwidth Manager の設定を計画するときは、トラフィックフローの上流にある他の Solaris Bandwidth Manager の設定内容も考慮する必要があります。たとえば、ホスト A において、ftp-from-A クラスが、リンク AC の容量を 2 を超えて使用しないように設定されている場合、ftp-from-A クラスが、リンク CD の容量を 2 より多く使用することはありません。

また、トラフィックの制限を極端に低く設定しないようにして、リンクが十分使用されるように注意する必要もあります。すべてのリンクが完全に使用されるようにネットワーク内の Solaris Bandwidth Manager を設定します。そして、クラスの相対的な優先度を使用して、リンクがビジーの場合にどのパケットを破棄または遅延するかを決定します。

Solaris Bandwidth Manager をインストールする地点を計画するとき、特定の種類のトラフィックについて特性を考慮する必要があります。たとえば、HTTP トラフィックの場合、データ転送を要求したユーザーへ向かうトラフィックフローが多いほど、ユーザーのローカルマシン上よりも、Web サーバー上で帯域幅を管理する方が有効です。