ロンドンのサイトのネットワークユーザーは、ネットワークにおいてもっとも重要なものは、電子メール、カレンダへのアクセス、およびファイル転送であると考えています。図 3-12 に、実際の使用状況を示します。
ロンドンのサイト用にクラス階層を設計して、帯域幅と優先度をクラスに割り当てるには、次の項目を考慮する必要があります。
実際のネットワーク使用状況に関するデータ
ユーザーの好みに関する情報
パリとボンから発信されるトラフィックのパターン (それぞれの帯域幅管理の設定内容に従ったトラフィックのパターン)
パリおよびボンからロンドンに接続しているリンクの容量の違い (ボンからロンドンのリンクは、パリからロンドンのリンクの 3 倍の容量を持つ)
このような問題をすべて考慮して、ネットワーク管理者は、経路制御ソフトウェアを実行するホスト上で Solaris Bandwidth Manager ソフトウェアを実行することに決定し、図 3-13 のようなクラス階層を設計しました。
括弧内のクラスは実際のクラスではありません。これは、親クラスに帯域幅を残し、そのすべてのトラフィックを子クラスで占有しないことをネットワーク管理者に注意するものです。たとえば、http クラスには、米国とヨーロッパ用に 2 つの子クラスがあります。http クラスには、米国とヨーロッパ以外に送信される http トラフィックもあります。このようなトラフィックは http クラスに割り振られます。そのため
http クラスに割り振られているすべての帯域幅を米国とヨーロッパ用の 2 つの子クラスだけで共有するべきではありません。表 3-3 に、各クラスに割り当てられた帯域幅 (%) と優先度を示します。
クラスの説明 |
クラス名 |
親クラス |
割り振られる帯域幅 (%) |
|
---|---|---|---|---|
ルート |
root |
|
100 |
1 |
HTTP |
http |
root |
35 |
4 |
米国への HTTP |
http-to-US |
http |
20 |
2 |
パリから米国への HTTP |
http-Paris-to-US |
http-to-US |
4 |
4 |
ボンから米国への HTTP |
http-Bonn-to-US |
http-to-US |
10 |
2 |
英国から米国への HTTP |
http-UK-to-US |
http-to-US |
4 |
4 |
ヨーロッパへの HTTP |
http-to-europe |
http |
10 |
4 |
電子メール |
|
root |
30 |
3 |
パリからの電子メール |
email-paris |
|
5 |
3 |
パリからの電子メール (IMAP) |
email-paris-imap |
email-paris |
4 |
3 |
パリからの電子メール (SMTP) |
email-paris-smtp |
email-paris |
1 |
6 |
ボンからの電子メール |
email-bonn |
|
15 |
3 |
ボンからの電子メール (IMAP) |
email-bonn-imap |
email-bonn |
12 |
3 |
ボンからの電子メール (SMTP) |
email-bonn-smtp |
email-bonn |
3 |
5 |
IMAP を使用する電子メール |
email-imap |
|
7 |
3 |
SMTP を使用する電子メール |
email-smtp |
|
2 |
5 |
FTP |
ftp |
root |
15 |
7 |
システム管理 |
sysadmin |
root |
10 |
2 |
Telnet |
telnet |
sysadmin |
5 |
1 |
システム監視 |
snmp |
sysadmin |
2 |
2 |
システム管理コンソールから |
administrator |
sysadmin |
2 |
1 |
デフォルト |
default |
root |
5 |
7 |
パリまたはボンから発信されたトラフィックを含むクラスに割り当てられた帯域幅 (%) では、これらのサイトとロンドンのサイトの間のリンクの容量の違いを考慮しています。たとえば、ボンからの電子メール用のクラスには、パリからの電子メール用のクラスの 3 倍の帯域幅が割り振られています。