この手順を実行して、クラスタの各ノードを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。この手順では、必要な Sun Java Enterprise System 共有コンポーネントもアップグレードします。
また、別のマーケティングリリースへのアップグレード (Solaris 8 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど) のあとにも、この手順を実行する必要があります。
Solaris 10 OS では、すべての手順は大域ゾーンからのみ実行してください。
この手順は、複数のノードで同時に行えます。
次の作業を実行します。
「アップグレード用にクラスタを準備する (標準)」の手順がすべて完了していることを確認します。
Solaris 8 から Solaris 10 ソフトウェアへのアップグレードなど、Solaris OS の新しいマーケティングリリースへのアップグレードを行なった場合、「Solaris OS およびボリュームマネージャーソフトウェアをアップグレードする (標準)」の手順をすべて完了していることを確認してください。
Solaris ソフトウェアのすべての必須パッチとハードウェア関連パッチがインストールされていることを確認します。
各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。
/usr/java/ ディレクトリが最小または最新バージョンの Java ソフトウェアへのシンボリックリンクであることを確認します。
Sun Cluster ソフトウェアには、バージョン 1.5.0_06 以上の Java ソフトウェアが必要です。旧バージョンの Java をインストールするバージョンの Solaris へとアップグレードした場合、アップグレードによって、Sun Cluster 3.2 ソフトウェアの最小要件を満たさないバージョンの Java をポイントするよう、シンボリックリンクが変更される場合があります。
/usr/java/ ディレクトリがシンボリックリンクで接続されているディレクトリを調べます。
phys-schost# ls -l /usr/java lrwxrwxrwx 1 root other 9 Apr 19 14:05 /usr/java -> /usr/j2se/ |
インストールされている Java ソフトウェアのバージョンを判別します。
Java ソフトウェアの関連リリースのバージョンを表示するために使用するコマンドの例を下に示します。
phys-schost# /usr/j2se/bin/java -version phys-schost# /usr/java1.2/bin/java -version phys-schost# /usr/jdk/jdk1.5.0_06/bin/java -version |
/usr/java/ ディレクトリが、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアに、シンボリックリンクによって接続されていない場合は、サポートされているバージョンの Java ソフトウェアにリンクするよう、シンボリックリンクを作り直します。
次の例は、Java 1.5.0_06 ソフトウェアを含む /usr/j2se/ ディレクトリへのシンボリックリンクの作成を示しています。
phys-schost# rm /usr/java phys-schost# ln -s /usr/j2se /usr/java |
DVD-ROM ドライブに Sun Java Availability Suite DVD-ROM を挿入します。
ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行され、CD-ROM または DVD デバイスを管理するように設定されている場合、このデーモンは自動的にメディアを /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントします。
DVD-ROM の インストールウィザードディレクトリに移動します。
SPARC プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。
phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_sparc |
x86 プラットフォームにソフトウェアパッケージをインストールする場合は、次のコマンドを使用します。
phys-schost# cd /cdrom/cdrom0//Solaris_x86 |
インストールウィザードプログラムを開始します。
phys-schost# ./installer |
画面の指示に従って、ノード上の共有コンポーネントソフトウェアを選択して、アップグレードします。
Sun Cluster ソフトウェアパッケージのインストールには、インストールウィザードプログラムを使用しないでください。
インストールウィザードプログラムは、インストールの状況を表示します。インストールが完了すると、プログラムはインストールのサマリーとインストールログを表示します。
インストールウィザードプログラムを終了します。
Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools/ ディレクトリ (arch は sparc または x86 (Solaris 10 のみ)、ver は 9 (Solaris 9) または 10 (Solaris 10)) に移動します。
phys-schost# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_arch/Product/sun_cluster/Solaris_ver/Tools |
phys-schost# ./scinstall |
ノードにすでにインストールされている /usr/cluster/bin/scinstall コマンドは使用しないでください。Sun Java Availability Suite DVD-ROM にある scinstall コマンドを使用する必要があります。
scinstall のメインメニューが表示されます。
「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
*** Main Menu *** Please select from one of the following (*) options: * 1) Create a new cluster or add a cluster node 2) Configure a cluster to be JumpStarted from this install server * 3) Manage a dual-partition upgrade * 4) Upgrade this cluster node * 5) Print release information for this cluster node * ?) Help with menu options * q) Quit Option: 4 |
「アップグレードメニュー」が表示されます。
「このノード上で Sun Cluster フレームワークをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
メニュープロンプトに従って、クラスタフレームワークをアップグレードします。
Sun Cluster のアップグレード中、scinstall によって次のような構成の変更が生じることがあります。
NAFO グループを IPMP グループに変換しますが、元の NAFO グループ名はそのまま維持します。
IPMP のテストアドレスについては、次のいずれかのマニュアルを参照してください。
『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「複数の物理インタフェースで構成されたマルチパスグループの管理」の「検査用 IP アドレスの構成」 (Solaris 9)
『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「検査用 IP アドレス」 (Solaris 10)
Sun Cluster ソフトウェアのアップグレード中の NAFO グループから IPMP への変換の詳細については、scinstall(1M) のマニュアルページを参照してください。
ntp.conf.cluster がノードにない場合は、ntp.conf ファイルの名前を ntp.conf.cluster に変更します。
アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster フレームワークのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。
scinstall ユーティリティーを終了します。
DVD-ROM ドライブから Sun Java Availability Suite DVD-ROM を取り出します。
データサービスパッケージをアップグレードします。
すべてのデータサービスを Sun Cluster 3.2 バージョンにアップグレードする必要があります。
Sun Cluster HA for SAP Web Application Server の場合、J2EE エンジンリソース、Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソース、またはその両方を使用している場合は、リソースを削除して、新しい Web アプリケーションサーバコンポーネントのリソースでもう一度作成する必要があります。新しいWeb アプリケーションサーバコンポーネントのリソースの変更には、J2EE 機能の統合が含まれます。詳細は、『Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server Guide for Solaris OS』を参照してください。
アップグレードされた対話型の scinstall ユーティリティーを開始します。
phys-schost# /usr/cluster/bin/scinstall |
データサービスパッケージのアップグレードには、インストールメディア上の scinstall ユーティリティーを使用しないでください。
scinstall のメインメニューが表示されます。
「このクラスタノードをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
「アップグレードメニュー」が表示されます。
「このノード上で Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレード」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
メニュープロンプトに従って、このノードにインストールされている Sun Cluster データサービスエージェントをアップグレードします。
アップグレードに使用できるデータサービスのリストから選択するか、またはインストールされたデータサービスをすべてアップグレードできます。
アップグレード処理が完了すると、システムは「Sun Cluster データサービスエージェントのアップグレードが完了しました」というメッセージを表示し、Enter キーを押して操作を続けるように求めるプロンプトを表示します。
「Enter」を押します。
「アップグレードメニュー」が表示されます。
scinstall ユーティリティーを終了します。
高可用ローカルファイルシステムで Sun Cluster HA for NFS を構成した場合は、ループバックファイルシステム (LOFS) が無効になっていることを確認してください。
非大域ゾーンを設定している場合、LOFS は有効のままにしておく必要があります。LOFS の使い方、および LOFS の無効化を代替する手段については、「クラスタファイルシステム」を参照してください。
Sun Cluster 3.2 リリースでは、LOFS は Sun Cluster ソフトウェアのインストールまたはアップグレード中にデフォルトでは無効にならなくなりました。LOFS を無効にするには、/etc/system ファイルに次のエントリが含まれていることを確認してください。
exclude:lofs |
この変更は、次のシステム再起動後に有効になります。
必要に応じて、製品メディアで提供されないカスタムのデータサービスを手動でアップグレードします。
データサービス用の更新がすべて正常にインストールされていることを確認します。
アップグレード出力メッセージの最後に示されるアップグレードログを参照します。
Sun Cluster 3.2 のフレームワークとデータサービスソフトウェアパッチをインストールします。
パッチおよびインストール手順の場所については、『Sun Cluster 3.2 ご使用にあたって (Solaris OS 版)』の「パッチと必須ファームウェアのレベル」を参照してください。
クラスタにインストールされているソフトウェアアプリケーションをアップグレードします。
アプリケーションレベルが Sun Cluster および Solaris ソフトウェアの現在のバージョンと互換性があることを確認します。インストール方法については、各アプリケーションのマニュアルを参照してください。
(省略可能) プライベートネットワークのアドレス範囲を再構成します。
プライベートインターコネクトで使用される IP アドレス範囲のサイズを増減させる場合に、この手順を実行します。構成する IP アドレス範囲は、最低限、クラスタ内のノードとプライベートネットワークの数をサポートするように構成する必要があります。詳細については、「プライベートネットワーク」を参照してください。
1 つのノードから clsetup ユーティリティーを開始します。
非クラスタモードで実行している場合は、clsetup ユーティリティーで非クラスタモード操作のメインメニューが表示されます。
「クラスタトランスポート用のネットワークアドレス指定と範囲の変更」というオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
clsetup ユーティリティーにより、現在のプライベートネットワーク構成が表示され、この構成を変更するかどうかを聞かれます。
プライベートネットワーク IP アドレスを変更する場合は、 yes と入力して、Return キーを押します。
clsetup ユーティリティーによりデフォルトのプライベートネットワーク IP アドレス (172.16.0.0) が表示され、このデフォルト値を受け入れるかどうかを聞かれます。
プライベートネットワーク IP アドレスを変更するか、または受け入れます。
デフォルトのプライベートネットワーク IP アドレスを変更するか受け入れます。
デフォルトのネットマスクは 255.255.248.0 です。このデフォルトの IP アドレス範囲は、クラスタ内で最大 64 ノードおよび10 プライベートネットワークをサポートしています。
デフォルトの IP アドレス範囲を受け入れるには、yes と入力して、Return キーを押します。
その後、次の手順に進みます。
IP アドレス範囲を変更するには、次の手順を実行します。
clsetup ユーティリティーによりデフォルトのアドレス範囲を受け入れるかどうかを聞かれたら、no と入力して、Return キーを押します。
デフォルトのネットマスクを使用しない場合、clsetup ユーティリティーからクラスタで構成するノードおよびネットワークの数を入力するように求められます。
クラスタで構成する予定のノードおよびネットワークの数を入力します。
これらの数から clsetup ユーティリティーが 2 つの推奨ネットマスクを計算します。
1 番目のネットマスクは、指定したノードとプライベートネットマスクの数をサポートする最小ネットマスクです。
2 番目のネットマスクは、指定したノードとプライベートネットマスクの数の 2 倍の数をサポートし、将来の拡張に対応します。
計算されたネットマスクを指定するか、予定されるノードとプライベートネットワークの数をサポートする別のネットマスクを指定します。
clsetup ユーティリティーから更新を続けるかどうかを聞かれたら、yes と入力します。
完了後 clsetup ユーティリティーを終了します。
クラスタ内のすべてのノードをアップグレードしたあと、アップグレードしたノードを再起動します。
各ノードを停止します。
phys-schost# shutdown -g0 -y |
各ノードをクラスタモードで起動します。
SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。
ok boot |
x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。
GRUB メニューが表示されたら、該当する Solaris エントリを選択して、Enter キーを押します。GRUB メニューは、次のように表示されます。
GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory) +-------------------------------------------------------------------------+ | Solaris 10 /sol_10_x86 | | Solaris failsafe | | | +-------------------------------------------------------------------------+ Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted. Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the commands before booting, or 'c' for a command-line. |
GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。