Sun Directory Services 3.1 管理ガイド

アクセス制御

ディレクトリ情報のアクセスは一連の規則によって制御されます。この規則によって、ユーザーが特定のエントリや属性に対しどのような操作ができるかが決まります。ユーザーに与えられるアクセス権のレベルは、ユーザーが指定する認証情報によって異なります。さらに、このレベルは、特定のエントリや属性に対してディレクトリ管理者が定義する特定の規則によっても異なります。

アクセス権のレベル

ディレクトリ情報のアクセス権には 5 つのレベルがあります。このレベルは、特権の低い順に次のようになります。


注 -

あるレベルの操作に対するアクセス権が与えられた場合、それより下のレベルのすべてのアクセス権がデフォルトで与えられます。たとえば、読み取りアクセス権は、デフォルトでは検索と比較のアクセス権を含みます。


エントリと属性の定義規則

アクセス制御規則は、あるエントリと属性群に対しどのユーザーにどのアクセス権を与えるかを定義するものです。たとえば、すべてのエントリにおけるパスワードを除くすべての属性の読み取りアクセス権と、パスワード属性に対する比較アクセス権をユーザーに与えることができます。

アクセス制御規則を適用するエントリまたは属性のセットは、次の機能を使用して定義できます。

たとえば、次のアクセス制御規則を定義できます。

アクセス制御規則は順番に適用されるので、それらをリストする順序が重要になります。つまり、特定の規則を前に記述し、一般的な規則をそれより後に記述する必要があります。構成ツールを使ってアクセス制御規則をどのように定義し、それらの順序をどのように指定するかについては、「アクセス制御の構成」を参照してください。

ディレクトリとのバインド

ディレクトリに対して定義されているアクセス制御規則によっては、一定の操作の際にディレクトリに「バインドする」必要があります。「バインド」とは、識別名とパスワードを指定することによって認証を受けることです。この処理によって、接続されている間のアクセス権のレベルが決まります。

たとえば、デフォルトのアクセス制御規則では、自身のディレクトリエントリのパスワードに対し書き込みアクセス権があります。エントリの識別名とパスワードを使ってバインドすると、そのユーザーは、そのエントリのキーワード「ユーザー自身 (self)」で識別されます。匿名のバインドでは、パスワード属性を除くすべてのエントリと属性に対し検索と読み取りのアクセス権があります。パスワード属性に対しては、比較アクセス権が与えられます。キーワード「全ユーザー (everyone)」または * が指定されているユーザーには、これらのアクセス権が与えられます。

デフォルトのアクセス制御規則

デフォルトのアクセス制御は、インストール時に次のように定義されます。

これらの規則は、特定のものから一般的なものへ順番に適用されます。

例 1-1 は、ディレクトリサーバー構成ファイル /etc/opt/SUNWconn/ldap/current/dsserv.acl.conf に定義されているデフォルトのアクセス制御です。


例 1-1 デフォルトのアクセス制御

access to attrs=userPassword	by self write
	by * compare

# Radius ACLs
access to attrs=chapPassword, radiusLoginPasswd, radiusPppPasswD,
radiusSlipPasswd
	by self write
	by * compare

access to attrs=sharedKey
	by self write
	by * compare

# dsyppasswdd ACLs
access to attrs=userPassword
	by self write
	by * compare

access to attrs=gecos,loginShell
	by self write

# SIMS ACLs
access to attrs=cn, dataSource, homeDirectory, mail, mailHost,
mailQuota, objectStatus, preferredRfc822Recipient, rfc822Mailbox,
uid
	by self read
	by * read

# Default ACLs
access to filter="joinable=TRUE" attrs=member,entry
	by dnattr=member selfwrite

access to * by self read

Sun Directory Services のアクセス制御規則の構成方法については、「アクセス制御の構成」を参照してください。