Sun Directory Services 3.1 管理ガイド

複製の設定

マスターサーバーやスレーブサーバーで複製の構成を始める前に、次の点を決めておく必要があります。

複製する情報の定義では、次の内容を指定します。

複製するエントリの選択では、次の操作を実行できます。

複製する属性の選択では、次の操作を実行できます。

さらに、複製同期スケジュールを定義できます。このスケジュールによって、すべての更新を複製にいつ送るかが決まります。同期には次の 3 種類があります

管理コンソールの「更新を直ちに送信 (Send updates now)」コントロールを使うと、未処理の変更を直ちに複製に送信できます。更新トラフィックが予測できない場合や、リモートサーバーがダイヤルアップ回線で接続されている場合には、同期を「無効 (Disabled)」に設定し、「更新を直ちに送信 (Send updates now)」コントロールを使って複製の更新を手動で開始する方がよいこともあります。

マスターサーバーで行う操作

マスターサーバーでは、次の作業が必要です。

複製を作成するには

  1. 「データ格納の作成 (Create Data Store)」ウィンドウか「データ格納の変更 (Modify Data Store)」ウィンドウの「作成 (Create)」メニューから「複製... (Replica...)」を選択します。

    「複製の追加 (Add Replica)」ウィンドウが表示されます。

  2. 複製の種類 (サブツリーまたはオブジェクト) を指定します。

  3. 「サブツリー (Subtree)」または「オブジェクト (Object)」フィールドに、複製するサブツリーかオブジェクトの識別名を指定します。

    データ格納全体の複製を作成する場合は、データ格納を識別する名前付きコンテキストの識別名を指定します。

  4. 複製する属性を選択します。

    すべての属性を選択したり、一定の属性を含めたり除外したりできます。「属性(Attributes)」ポップアップメニューから「除外する属性 (Exclude attributes)」か「含める属性 (Include attributes)」を選択する場合は、複製から除外するまたは複製に含める特定の属性を指定します。

  5. 次のパラメータを指定します。

    • 複製を格納するターゲットホスト名 (複製サーバー名)

    • 複製デーモン dspushd が使用する、複製サーバー上の dsservd サーバーのポート

    • 認証を要求するときにマスターが指定する識別名とパスワード

    • バインド方式 (「なし (Simple)」、「SASL/CRAM-MD5 (SASL with CRAM-MD5)」、または「SASL/外部 SASL (SASL with the EXTERNAL mechanism)」)

    • セキュリティモード (「セキュリティ保護なし (Insecure)」、「TLS」、または「SSL」)、およびセキュリティモードに「TLS」か「SSL」を選択する場合は SSL キーパッケージ

    たとえば図 9-1 は、boston サーバー (ここには示されていない) から名前付きコンテキスト ou=People, o=XYZ, c=US を london スレーブサーバーに複製する例を示しています。

    図 9-1 「複製の追加 (Add Replica)」ウィンドウ

    Graphic

  6. 「了解 (OK)」をクリックして複製の定義を保存し、「複製の追加 (Add Replica)」ウィンドウを終了します。

    この複製に関する情報が、「データ格納の作成 (Create Data Store)」か「データ格納の変更 (Modify Data Store)」ウィンドウの「複製 (Replicas)」のリストに追加されます

  7. 「了解 (OK)」をクリックして、ウィンドウを閉じます。

    管理コンソールメインウィンドウの「データ格納 (Data Store)」セクションで、このデータ格納のフォルダアイコンをクリックして、作成した複製が「複製 (Replicas)」フォルダの下に表示されているか確認します。

    たとえば図 9-2 は、boston サーバーの名前付きコンテキストと london スレーブサーバー用に定義した複製を示しています。

    図 9-2 「データ格納 (Data Store)」セクション

    Graphic

マスターサーバーの複製同期スケジュールを設定するには

  1. 管理コンソールの「データ格納 (Data Store)」セクションへ移動します。

  2. 「更新を複製に送信 (Send Updates to Replica)」メニューボタンから「遅延 (Delayed)」を選択します。

    「日付 (Day)」と「時刻 (Time)」メニューボタンが表示されます。

  3. 複製を行う日付と時刻を選択します。

  4. 管理コンソールメインウィンドウの「適用 (Apply)」をクリックして、変更を保存します。

マスターサーバーから複製を開始するには

    管理コンソールメインウィンドウの「データ格納 (Data Store)」セクションで、マスターと同期させたい複製を強調表示し、「更新を直ちに送信 (Send updates now)」ボタンをクリックします。

スレーブサーバーで行う操作

スレーブサーバーでは、次の作業が必要です。


注 -

スレーブサーバーがサポートするスキーマは、複製するエントリに適合していなければなりません。マスターサーバースキーマの変更が、複製されるエントリに影響する場合は、同じ変更をスレーブサーバーのスキーマにも行わなければなりません。マスターサーバーのスキーマからサブスキーマのオブジェクトクラスをスレーブサーバーのスキーマにコピーするだけでは十分ではありません。


受信複製を構成するには

  1. 複製の名前付きコンテキストを作成します。

    この手順は、「データ格納を作成するには」の手順の一部です。この複製名前付きコンテキストが存在する場合は、管理コンソールの「データ格納 (Data Store)」セクションでこのコンテキストをダブルクリックします。

  2. 「名前付きコンテキストの追加 (Add Naming Context)」か「名前付きコンテキストの変更 (Modify Naming Context)」ウィンドウの「受信複製を設定 (Configure Pull Replication)」ボタンで「はい (Yes)」を設定します。

    追加の複製パラメータフィールドが表示されます。

  3. 複製する属性を選択します。

    「含める属性 (Include attributes)」か「除外する属性 (Exclude attributes)」を選択する場合は、複製に含める、または複製から除外する属性のリストを指定する必要があります。

  4. マスターサーバーに対する次のパラメータを指定します。

    • 認証を要求するときにスレーブサーバーが指定する識別名とパスワード

    • バインド要求での LDAP タイムアウト

    • バインド方式、セキュリティモード、およびセキュリティモードに SSL を選択する場合は SSL キーパッケージ

  5. 「了解 (OK)」をクリックして変更を保存し、「名前付きコンテキストの追加 (Add Naming Context)」ウィンドウを終了します。

    管理コンソールメインウィンドウの「データ格納 (Data Store)」セクションに追加のコントロールが表示されます。これらのコントロールでは、スレーブサーバーの同期スケジュールを設定したり、任意の時にスレーブから複製を開始したりできます。

スレーブサーバーの複製同期スケジュールを設定するには

  1. 管理コンソールの「データ格納 (Data Store)」セクションに移動します。

  2. 「マスターからの更新要求 (Request Updates from Master)」メニューボタンから「有効 (Enabled)」を選択します。

    「日付 (Day)」と「時刻 (Time)」メニューボタンが表示されます。

  3. 複製を行う日付と時刻を選択します。

  4. 管理コンソールメインウィンドウの「適用 (Apply)」をクリックして、変更を保存します。

    これで dspulld コマンドを使用できます。

スレーブサーバーから複製を開始するには

    管理コンソールメインウィンドウの「データ格納 (Data Store)」セクションで、マスターと同期させたい複製を強調表示し、「更新を直ちに要求 (Request updates now)」ボタンをクリックします。