Solstice AdminSuite 印刷管理ガイド

プリンタ設定リソース

SunSoft 印刷クライアントコマンドがプリンタ名やプリンタ設定情報を特定するために使用するリソースについて説明します。

SunSoft 印刷クライアントコマンドは、ネームサービスを使用できます。ネームサービスとは、ネットワーク上のすべてのプリンタの設定情報を格納するネットワーク共有リソースです。ネームサービス (NIS または NIS+) を使用すると、プリンタ設定の管理が簡単になります。プリンタをネームサービスに追加するだけで、ネットワーク上のすべての SunSoft 印刷クライアントがこのプリンタを利用できるようになります。

図 1-3 に、印刷プロセスの一部を示します。SunSoft 印刷クライアントコマンドは、プリンタ設定リソースを確認して、印刷要求の送信先を特定します。1. から 5. の各処理については、「印刷プロセス」を参照してください。

図 1-3 SunSoft 印刷クライアントコマンドによるリソースの確認とプリンタの特定

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SunSoft 印刷クライアントコマンドによるプリンタ特定の利点

プリンタ設定リソースは、SunSoft 印刷クライアントソフトウェアの主要構成要素です。このプリンタ設定リソースがプリンタ情報を特定することによって、印刷効率が向上します。ここでは、プリンタを特定する方法を Solaris 2.x と比較して、SunSoft 印刷クライアントソフトウェアの利点を説明します。

Solaris 2.x 印刷サービス (LP 印刷サービス) でのプリンタ特定

図 1-4 に示すように、Solaris 2.x (SunOS 5.x) の動作環境ではローカルのリソースだけを使用して、プリンタおよびプリンタ設定情報を特定します。

図 1-4 Solaris 2.x 印刷サービス (LP 印刷サービス) のプリンタ特定方法

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  1. ユーザーが、LP (SVR4) 印刷クライアントから lp コマンドまたは lpr コマンドを使用して印刷要求を発信します。以下の例のように、lp -d または lpr -P のコマンドとオプションを使用して、出力先のプリンタ名またはプリンタクラスを指定できます。


    % lp -d neptune
    % lpr -Ppluto
    
  2. 印刷コマンドは、次のようにプリンタとプリンタ設定情報を特定します。

    • 印刷要求の発信時に、出力先のプリンタ名またはプリンタクラスが指定されているかどうかを調べます。

    • プリンタ名やプリンタクラスが指定されていない場合は、印刷ソフトウェアは、LP (SVR4) 印刷クライアントの /etc/lp/default ファイルに記述されているデフォルトのプリンタ名を調べます。

    • プリンタ名またはプリンタクラスが指定されている場合や、デフォルトプリンタ名のいずれかが特定された場合は、印刷クライアントソフトウェアは、LP (SVR4) 印刷クライアントの /etc/lp/printers ディレクトリ内で、そのプリンタまたはプリンタクラスの設定情報を調べます。

Solaris 2.x 印刷サービス (LP 印刷サービス) のプリンタ特定方法には、次の欠点があります。

SunSoft 印刷クライアントソフトウェアでのプリンタ特定

図 1-5 に示すように、SunSoft 印刷クライアントコマンドは、より多くの方法でプリンタやプリンタ設定情報を特定します。

図 1-5 SunSoft 印刷クライアントソフトウェアのプリンタ特定方法

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  1. ユーザーが、SunSoft 印刷クライアントから lp コマンドまたは lpr コマンドを使用して印刷要求を発信します。次の 3 つのいずれかの名前で出力先プリンタ名またはプリンタクラスを指定できます。

    • アトミック名

      印刷コマンドとオプションの後に、プリンタ名またはプリンタクラスを入力します。


      % lp -d neptune
      
    • POSIX 名

      印刷コマンドとオプションの後に、サーバー名プリンタ名の順にコロンで区切って入力します。


      % lpr -P galaxy:neptune
      
    • コンテキストベース名

      詳細は、『Federated Naming Service Programming Guide』を参照してください。


      % lp -d thisorgunit/service/printer/printer-name
      
  2. 印刷コマンドは、次のようにプリンタとプリンタ設定情報を特定します。

    • 出力先のプリンタ名またはプリンタクラスが上記の 3 つの有効な形式のいずれかで指定されているかどうかを調べます。

    • プリンタ名やプリンタクラスが正しい形式で指定されていない場合、コマンドは、ユーザーの PRINTER 環境変数または LPDEST 環境変数のデフォルトのプリンタ名を調べます。

    • どちらの環境変数にもデフォルトのプリンタ名が定義されていない場合、コマンドはユーザーのホームディレクトリにある .printers ファイル中の _default プリンタエイリアスを調べます。

    • .printers ファイルに _default プリンタエイリアスがない場合は、SunSoft 印刷クライアントの /etc/printers.conf ファイルを調べて設定情報を特定します。

    • /etc/printers.conf ファイルにプリンタが記述されていない場合、コマンドはネームサービス (NIS または NIS+) があれば、それを調べます。

SunSoft 印刷クライアントソフトウェアのプリンタ特定方法には、以下の利点があります。

ネームサービスの使用

Solaris と SunSoft プリンタ設定リソースの比較によって、SunSoft 印刷クライアントソフトウェアで NIS または NIS+ を使用した場合の利点が示されました。ネームサービスを使用すると、ネットワークのプリンタ設定情報の追加、変更、削除を最も効率的に行うことができます。

通常は、ネームサービスを導入することによって管理効率が向上しますが、プリンタと印刷クライアントの数が少ない小規模のネットワークでは、例外となることもあります。