Solaris PC NetLink 管理マニュアル

2.2.1 ローカルサーバーとリモートサーバーの管理

サーバーのコマンドプロンプトからサーバーを管理するときは、そのサーバーをローカルサーバーと呼びます。あるサーバーを別のサーバーのコマンドプロンプトから管理するときは、管理されるサーバーをリモートサーバーと呼びます。

ネットワーククライアントコンピュータユーザーの中には、アカウントオペレータ印刷オペレータサーバーオペレータなどの職務に従事するユーザーがいます。これらのユーザーがあるタスクのために実行できる管理権限やオペレータ権限は限られています。これらの権限は、SunLink Server のコマンドプロンプトからローカルサーバーを管理するための net コマンドを使用するには十分です。

しかし、リモートの SunLink Server コンピュータを管理するために net コマンドを使用するには、そのSunLink Server コンピュータに完全な管理権限を持つ管理者としてログインする必要があります。ネットワークの一部を担当する別のオペレータに完全な管理権限を与えたくない場合は、管理されるサーバーの SunLink Server コマンドプロンプトでだけ作業する必要があります。

ローカル SunLink Server コンピュータを管理する方法

net コマンドを使用してローカル SunLink Server コンピュータを管理するには、次の手順で操作を行います。

  1. SunLink Server ソフトウェアを実行している Solaris システムにログインします。

  2. Solaris システムプロンプトで次のコマンドを入力し、ネットワークに Windows NT 管理者または Windows NT 管理権限を持つユーザーとしてログインします。

    net logon ユーザー名 パスワード

  3. 適切な net コマンドを入力します。

    net コマンドオプションの詳しい一覧については、この節の 「2.2.4 SunLink Server net コマンドオプション」を参照してください。


    注 -

    SunLink Server コンピュータの管理作業が終了したら、net logoff コマンドを入力して必ずログオフしてください。


リモート SunLink Server コンピュータを管理する方法

net コマンドをリモートでサーバー管理タスクを実行するには、net admin コマンドと、そのタスクに対応する net コマンドを使用します (次の手順 2 では net admin コマンドを入力する方法を 2 つ説明しています)。

net コマンドをリモートで入力するには、次の手順で操作を行います。

  1. ネットワークに管理者または管理権限を持つユーザーとしてログインします。(この手順を実行するためには、オペレータ権限では不十分です。)

  2. 次の方法のうち 1 つを使い、適切な net admin コマンドを入力します。

    • 実行したい各 net コマンドに対して、個別に net admin コマンドを入力します。たとえば、account という名前のサーバーの統計情報を表示するには、次のように入力します。

      net admin ¥¥account /command net statistics server

    これは、バッチファイルに有効な方法です。

    • net admin コマンドの後に、複数の net コマンドを入力します。たとえば、payroll という名前のサーバーで、複数の net コマンドを実行するには、次のように入力します。

      net admin ¥¥payroll /command

      これで管理コマンドシェルが作成され、net コマンドを続けて実行することができます。プロンプトが変更され、¥¥payroll のように、リモートで管理するサーバー名が表示されるようになります。

      このプロンプトで入力するすべての net コマンドは、指定するサーバー上で実行されます。たとえば、プロンプトで次のように入力します。

      [¥¥payroll] net share

      [¥¥payroll] net print

      ¥¥payroll はプロンプト、 net sharenet print はコマンドです。

  3. コマンドシェルを終了してプロンプトに戻るには、 exit を入力するか、CTRL+D キーを押します。


    注 -

    リモートサーバーを管理するために、 net コマンドのオプションとしてドメインまたはコンピュータ名を使用することができます。このような管理は、net admin コマンドを入力せずに、Solaris システムコマンドプロンプトで直接実行できます。たとえば、market_dom という名前のリモートドメインのローカル グループを表示するには、net localgroup /domain:market_dom と入力します。


2.2.1.1 画面のページ送り

情報が複数の画面に渡って表示される場合もあります。たとえば、次のコマンドで、net share コマンドに関する情報が複数の画面に渡って表示されます。

net help share /オプション

1 度に 1 画面ずつ表示するには、次のように more コマンドを使います。

net help share /オプション | more

情報が表示されている画面を確認した後、次のテキスト画面に移動する場合は、スペースキーを押します。

2.2.1.2 コマンドでのパスワードの使用

コマンドの中には、オプションとしてパスワードが必要なものがあります。パスワードは、コマンドと同じ行に入力して、コマンドオプションとして渡すことができます。たとえば、 jim というユーザー名でパスワードが kahuna の場合、次のように入力します。

net logon jim kahuna

また、SunLink Server コンピュータがパスワードの入力を促すようにコマンドを指定することもできます。コマンドを入力する際にパスワードの部分にアスタリスク( * ) を指定します。


注 -

Solaris オペレーティング環境ではアスタリスク ( * ) は特殊文字であるため、バックスラッシュ ( ¥ ) の後に入力します。


たとえば、上記のものと同じ資源を使用するには、次のように入力します。

net logon jim ¥*

SunLink Server ソフトウェアは次のメッセージを表示します。

Type your password:

このプロンプトでパスワードを入力しても、入力中にパスワードは画面に表示されません。これによってパスワードの機密性が守られ、セキュリティーが保護されます。

パスワードの入力が必要なコマンドでパスワードを入力しないと、SunLink Server ソフトウェアからパスワードの入力を促されます。入力するコマンドによっては、SunLink Server ソフトウェアは、たとえばユーザー名など、そのコマンドに適当な情報を入力するように促します。

2.2.1.3 コマンド確認の使用

net コマンドの中には、確認が必要なものがあります。 /yes および /no オプションで、 netコマンドが迅速に処理されるようになります。SunLink Server ソフトウェアがこれらのオプションを受け取ると、処理を中断してプロンプトを表示することがなくなります。その代わり、ユーザーのプロンプトに対する応答として、 /yes または /no オプションを受け入れます。

net コマンドに /yes ( /y ) および /no ( /n ) オプションを付けて、バッチファイルやシェルスクリプトを作成する際に SunLink Server がプロンプトを表示しないようにすることができます。

たとえば、net logoff コマンドを使用して、リモート共有資源に接続しているローカルエリアネットワークからログオフする場合は、SunLink Server ソフトウェアは次のようなプロンプトを表示します。

You have the following remote connections:

LPT1

Continuing will cancel the connections.

Do you want to continue this operation? (Y/N) [Y]:

すべての net コマンドに対して /yes および /no オプションを使い、プロンプトへの応答を予測して対処することができます。たとえば、次のように入力すると、確認のプロンプトは表示されません。

net logoff /yes

2.2.1.4 省略名の使用

この章のコマンドリファレンスのページでは、コマンド名、コマンドオプション、サービス名を常に完全な形で使用しています。しかし SunLink Server ソフトウェアは省略名を認識します。

すべてのコマンドオプションでは、他のコマンドオプションと区別するのに最低限必要な文字を、省略形として使うことができます。たとえば、次は net accounts コマンドの構文です。

net accounts [/forcelogoff:{|no }] [/minpwlen:長さ] [/maxpwage:{|unlimited}][/minpwage:] [/uniquepw:]

次の例のように、オプションを省略形にすることができます。

net accounts /f:10 /minpwl:6 /ma:unlimited /minpwa:7 /u:3

オプションの値を省略形にすることはできません (たとえば、/maxpwageunlimited オプション値を与える場合など)。

2.2.1.5 コマンドでの特殊文字の使用

入力の必要な名前またはパスワードの中には、アンパサンド ( & ) などのような特殊文字を含むものがあります。Solaris コマンドプロンプトで作業をしている場合は、SunLink Server の特殊文字が含まれる名前を入力するために、それぞれの特殊文字を入力する前に、エスケープ文字 (バックスラッシュ [ ¥ ]) を入力しなければなりません。クライアントコンピュータで操作する場合は、特殊文字を含む文字列を二重引用符で囲むことができます。

たとえば、システムコマンド プロンプトから、ユーザー名が marksp、パスワードが mrkt&dev でログインする場合は、次のように入力することができます。

net logon marksp mrkt¥&dev

よく使用される Solaris システムの特殊文字は、アスタリスク (*)、セミコロン (;)、縦棒 (|)、角括弧 ([ ])、丸括弧 [( )]、疑問符(?) 、アンパサンド (&)、山型記号 (^)、バックスラッシュ (¥)、大なり括弧および小なり括弧 (< >)、空白( )、単価記号 (@) などがあります。

この他にも使用される Solaris 特殊文字があります。特殊文字の詳細については、Solaris システムのマニュアルを参照してください。

2.2.1.6 Solaris システムの net コマンドでのパス名入力

Solaris システムでは、パス内の名前を区分するのにスラッシュを使用します。これはバックスラッシュを使うクライアントコンピュータとは異なります。しかし、多くのコマンドは、スラッシュとバックスラッシュのどちらでも動作します

Solaris システムのコマンドプロンプトでパス名を入力する場合は、次の方法のいずれも使用することができます。

net share tmpshare=c:/tmp /us:10 /r:"Share for temporary use"

net share tmpshare=c:¥¥tmp /us:10 /r:"Share for temporary use"

net share 'tmpshare=c:¥tmp' r:"Share for temporary use"

値にスペースが含まれているため、その値を二重引用符で囲みたい場合があります。たとえば、domain guests グループへのコメントを変更するには、コマンドを次のように入力します。

net group "domain guests" /comment:"All domain guests"

2.2.1.7 クライアントコンピュータでのパス名の入力

Windows 95 や Windows NT などのクライアントコンピュータのオペレーティングシステムでは、パス内の名前を区切るために、次のようにバックスラッシュを使用します。

net use f: ¥¥product¥data