Solaris PC NetLink 管理マニュアル

5.3.1 WINS クライアントネットワークトラフィックに関する計画

WINS クライアントは以下のタイプのネットワークトラフィックを生成します。

WINS 対応のクライアントはネットワーク上で起動する際に、コンピュータ名、ユーザー名、ドメイン名、およびコンピュータ上で動作しているすべての Microsoft ネットワーククライアントサービスに関する名前登録要求を送ります。つまり、WINS クライアントがネットワーク上で起動すると、WINS データベースに最低 3 つの名前登録要求と 3 つのエントリが生成されます。

SunLink Server ベースの WINS クライアントは、一般に他の WINS 対応のクライアントに比べて多くの NetBIOS 名を登録します。SunLink Server プログラムで動作しているコンピュータに生成される名前登録要求には以下のものが含まれます。

5.3.1.1 ルーティングされたネットワーク上のWINS クライアントトラフィック

ルーティングされた大きなネットワーク上にある WINS クライアントトラフィックに関する計画を立てるときは、名前照会、登録、およびサブネット間でルーティングされる応答トラフィックについて考慮する必要があります。

毎日コンピュータの起動時に発生する名前要求や応答は、ルーター上のトラフィックキューを通過する必要があるため、ピーク時には遅延を引き起こす可能性があります。

5.3.1.2 毎日の WINS クライアントの起動

WINS サーバーデータベースにあるアクティブな WINS クライアント名の登録は、その WINS サーバー上で構成されているすべてのプルパートナー に複製されます (プルパートナーおよびプッシュ パートナーについては 「5.3.5 複製パートナーの構成」を参照)。その後しばらくして、アクティブな名前登録がネットワーク上のすべての WINS サーバーに複製されます。

WINS クライアントが一日の終わりに電源を切られるとき、その名前を解放します。コンピュータが翌朝起動するときに、WINS クライアントが WINS サーバーに再度その名前を登録して新しいバージョン ID を受け取ります。この新規のアクティブな名前登録エントリは、前日と同じように WINS サーバーのプルパートナーに複製されます。

そのため、毎日複製される名前登録エントリの数は、各コンピュータに登録されている NetBIOS 名の数に毎日起動するコンピュータの数を掛けたものにほぼ等しくなります。

大きなネットワーク (50,000 以上のコンピュータ) では、トラフィックの負荷が最大になるのは、WINS クライアントがネットワーク上で起動したときに名前登録要求が生成されるときになります。大きな企業ネットワークなどのタイムゾーンの相異はこの WINS クライアントの起動時の負荷を分散することになります。

5.3.1.3 移動するユーザー

ユーザーがコンピュータを停止して移動し、別のプライマリ WINS サーバーを使って異なるサブネット上でコンピュータを起動すると、名前チャレンジトラフィックが発生します。

通常、名前登録要求は「通知があるまでお待ちください」という意味のメッセージ (100 バイト) で応答され、新しい WINS サーバーはアクティブなエントリが複製されたと仮定して、現在データベースにあるその名前の IP アドレスにチャレンジします (名前照会パケット、92 バイト)。

この場合に予想されるように応答がないときは、WINS サーバーがあと 2 回チャレンジを繰り返した後、新規の IP アドレスと新規バージョン ID で名前登録エントリを更新します。新規バージョン ID は、新しく「所有する」WINS サーバーからネットワーク上の他の WINS サーバーにそのエントリを複製する必要があることを示しています。

5.3.1.4 WINS クライアントトラフィックの見積り

前の節で説明したように、WINS クライアントの動きに基づいて WINS クライアントトラフィックを見積ることができます。

ただし、WINS クライアントトラフィックを見積るときは、ネットワークトポロジやネットワークでのルーターの設計および構成についても考える必要があります。ルーターはトラフィックの負荷以外の要素に基づいて独自にトラフィックをルーティングするように設計または構成されている場合もあるので、一定のネットワークルーターのトラフィックの負荷を常に予測できるとは限りません。