Solaris Resource Manager 1.1 のシステム管理

一般的なアプリケーションサーバー

前節の終わりで db1 に対し次のような liminfo を実行すると、下記の出力が得られます。

# liminfo db1

図 9-7 liminfo のリスト

Graphic

この節の後半では、図 9-7 で作成した liminfo の出力について説明します。次のフィールドの詳細は、liminfo(1SRM) または srm(5SRM) のマニュアルページを参照してください。

Login name

接続した l ノードのユーザー ID に対応するパスワードマップからのログイン名と初期グループ ID です。どの l ノードもシステムユーザー ID に対応付けられています。各 l ノードのユーザー ID にはシステムアカウントをできるだけ作成してください。ここでは、db1 の Database1 に管理専用ユーザー ID が使用されています。

Solaris Resource Manager の下のデフォルトの PAM 構成では、l ノードを持たないユーザーがログインすると l ノードを作成します。デフォルトでは、スーパーユーザーや、uselimadm フラグが設定されたユーザーが作成する l ノードは、ユーザー other の l ノードを親として作成されるか、これがない場合は、root l ノードを親として作成されます。管理フラグが設定されたユーザーが作成する l ノードは、そのユーザーを親として作成されます。l ノードの親を変更するには、l ノード属性を変更する limadm コマンドを使用します。

Uid

現在のプロセスに接続されている l ノードのユーザー ID です。通常、これは、そのプロセスの実ユーザー ID (ログインしたユーザー) と同じですが、状況によっては異なる場合があります。これについては、あとで説明します。

Gid

現在のプロセスに接続された l ノードのグループ ID です。

R,Euid and R,Egid

現在のプロセスの実ユーザー ID および実効ユーザー ID と実グループ ID および実効グループ ID です。これは、標準のシステムコマンド id(1M) で得られる情報と同じです。この情報は、厳密にいえば Solaris Resource Manager とは関係ありませんが、参考のために表示されます。これらのフィールドは、liminfo によって、デフォルト以外のユーザー (ログイン名かユーザー ID が引数として指定されている) の情報を表示するときには表示されません。

Sgroup (uid) [sgroup]

l ノードツリー階層における親 l ノードの名前とユーザー ID です。root l ノードの場合は空白です。Solaris Resource Manager の多くの機能は、l ノードがツリー階層のどこにあるかに依存します。したがって、親 l ノードを順番にツリーのルートまでたどることは意味があります。

Shares [cpu.shares]

当該ユーザーに割り当てられている CPU の使用権利の割当数です。これは、同じ親 l ノードを持つ他のユーザーや親 l ノード自体の「自割当数」値に対してのみ直接比較できます。通常、管理者は、特定のスケジューリンググループ内のすべてのユーザーの割当数を同じ値に設定します (これらのユーザーに同等の権利を与えます)。通常、この値には 1 より大きい値を設定し、必要なときには管理者が特定のユーザーの割当数を減らします。

Myshares [cpu.myshares]

この値は、当該ユーザーが動作中の (プロセスが接続されている) 子 l ノード (このユーザーの sgroup 値を持つ l ノードが他にある) を持っているときだけ使用されます。該当する場合には、この値は、この l ノードの子 l ノードに接続されているプロセスと比較した、この l ノードに接続されているプロセスの相対 CPU 割当率を示します。

Share

現在のユーザーが権利を持つシステム CPU 資源の割合を計算した割当率です。この計算には動作中のユーザーだけが含まれるため、他のユーザーがログインまたはログアウトするたびに、あるいは l ノードが動作中または非動作中になるたびに、この値は変わります。この計算には、現在のユーザーによる最近の使用量は含まれません。

E-share

当該ユーザーの実効割当率です。つまり、このユーザーが割当数を要求し、他のすべての動作中のユーザーも要求しているときに、このユーザーに短期的に与えられるシステム CPU 資源の実際の割合です。これは、Solaris Resource Manager が現在この l ノードにこれだけの CPU 資源を割り当てる予定であることを示します。この値は、ユーザーが CPU 資源を使用したり使用をやめたりすることで時間とともに変わります。l ノードが動作中であってもアイドル状態 (つまり、接続されているプロセスがスリープ状態) のため、使用量が少ない場合は、その l ノードに大きな実効割当率が与えられます。その結果、CPU を活発に使用するプロセスが接続されているユーザーには、非常に小さな実効割当率が与えられることがあります。

Usage [cpu.usage]

スケジューリングの優先順位を決めるときに使用されるシステム資源の累積使用量です。通常、この値は最近の CPU 使用量を表わしますが、他のパラメータが考慮に入れられることがあります。使用されているパラメータの組み合わせは、srmadm コマンドで参照できます。この値に対する各増分は時間とともに指数的に減少するので、Solaris Resource Manager はいずれこの資源使用量を無視します。この減少速度は半減期で表わすのが最も簡単です。これは、srmadm コマンドで参照できます。

Accrued usage [cpu.accrue]

これは「cpu.usage」と同じように資源の累積を表わしますが、減少しません。Solaris Resource Manager がこれを直接使用することはありませんが、管理者が課金の目的で使用することができます。Usage とは異なり、この値は、現在の l ノードだけでなく、グループのすべての l ノードの使用量の合計を表わします。

Mem usage [memory.usage][memory.myusage]

この l ノードに接続されているすべてのプロセスの合計メモリー使用量です。

2 つの値がスラッシュ (/) で区切られて表示されている場合は、この l ノードがグループヘッダーであることを示しています。最初の値がスケジューリンググループ全体の使用量で、2 つ目の値が現在のユーザーだけの使用量です。

Mem limit [memory.limit]

この l ノードとそのメンバー (存在する場合) に接続されたすべてのプロセスに許される最大のメモリー使用量です。つまり、グループ内のすべてのプロセスとグループヘッダーに接続されたすべてのプロセスの合計メモリー使用量がこの値を超えることはできません。この例の場合の「0」値は制限がないことを示します。

Proc mem limit [memory.plimit]

プロセス当たりのメモリー制限値は、この l ノードやそのメンバーに接続された 1 つのプロセスに許される最大のメモリー使用量です。

Mem accrue [memory.accrue]

memory.accrue 量はバイト秒で測定されたもので、ある期間に使用されたメモリー資源全体を表わします。

Term usage [terminal.usage]

現在グループに負担させている接続時間の秒数です。

Term accrue [terminal.accrue]

グループが使用している接続時間の秒数です。

Term limit [terminal.limit]

terminal.usage 属性の最大許容値です。この値が 0 である場合、継承によって制限を受けない限り、制限がないことになります。

Processes [process.usage][process.myusage]

この l ノードに接続されているプロセスの数です。これはプロセスだけの数で、プロセス内のスレッドは入っていません。

2 つの値がスラッシュ (/) で区切られて表示されている場合は、この l ノードがグループヘッダーであることを示しています。最初の値がスケジューリンググループ全体の使用量で、2 つ目の値が現在のユーザーだけの使用量です。

Process limit [process.limit]

この l ノードとそのメンバーに接続できるプロセス最大合計数です。

Current logins [logins]

当該ユーザーの Solaris Resource Manager で現在並行してログインしているセッションの数です。ユーザーが標準のシステムログイン機構 (login(1)rlogin(1)、基本的に PAM を使って認証を行い、utmp(4) エントリを作成するもの) のどれかを使ってログインすると、このカウンタが増加します。セッションが終了すると、カウンタが減少します。

flag.onelogin フラグが設定されていると、ユーザーは、1 つの Solaris Resource Manager ログインセッションしか持てません。

Last used [lastused]

最後に l ノードが動作中になっていた時間を示します。通常、ユーザーが最後にログアウトした時間です。

Directory

ユーザーのホームディレクトリです。便宜上、Solaris Resource Manager の項目ではなく、パスワードマップの項目が示されます。

Name

db1 (finger) 情報。通常、これはユーザー名です。便宜上、Solaris Resource Manager の項目ではなく、パスワードマップの項目が示されます。

Shell

ユーザーの最初のログインシェルです。便宜上、Solaris Resource Manager の項目ではなく、パスワードマップの項目が示されます。

Flags

評価され設定されたフラグ、または l ノードのグループがここに表示されます。各フラグのあとには値と、フラグがどのように設定されたかが示されます。たとえば、この l ノードから明示的に設定された場合は (+)、継承された場合は (^) が表示されます。