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第 5 章

Fortran 用ライセンスについて

この章では、Fortran 用ライセンスとその使用方法について説明します。

Fortran 用ライセンスについて

Sun WorkShopTM 6 には、Fortran に使用できる新しいタイプのライセンスがあります。この新しいライセンスは、制限付きライセンスで、ForteTM Fortran Desktop Edition 6 でしか利用できません。このライセンスは、Sun WorkShop の他のライセンスと同じように申請してインストールします。ライセンスの申請方法については第 2 章、インストール方法については第 4 章をそれぞれ参照してください。

制限付きライセンスではコードを並列化させる機能が使用できなくなり、実行可能プログラムの拡張性を 1 個の CPU (中央処理装置) に制限します。制限付きライセンスは、複数の CPU が動作しない個人用アプリケーションや内部アプリケーションの作成に最適です。

Fortran は無制限のライセンスでも利用でき、ForteTM Developer University Edition と ForteTM for High Performance Computing 6 で出荷されています (Sun WorkShop のFortran のマニュアルでは HPC と呼ばれます)。無制限のライセンスを使用すると、コードを並列化させることができるので、実行可能プログラムの拡張性は制限されません。

Fortran の制限付きライセンスはノードロックライセンスで、フローティングライセンスは無制限のライセンスです。ノードロックライセンスは、ライセンスファイルに指定されたノードロックワークステーションで動作し、フローティングライセンスはいかなる ワークステーションでも動作できます。ノードロックライセンスとフローティングライセンスの詳細については、第 2 章を参照してください。

表 5-1 は、3 つのFortran 用製品で利用できるライセンスの一覧です。

表 5-1   Sun WorkShop のFortran 用製品およびライセンストークン

      有効なライセンストークン
Sun WorkShop Fortran 製品 制限なし 制限あり
ForteTM Fortran Desktop Edition 6
workshop.f901.sparc
workshop.f771.sparc
ForteTM Developer University Edition workshop.f90.sparc
workshop.f77.sparc

ForteTM for High Performance Computing 6 workshop.f90.sparc
workshop.f77.sparc


Fortran 用ライセンスの使い方

Forte Fortran Desktop Edition 6 のコンパイラで利用できるライセンストークンは workshop.f901.sparc と workshop.f771.sparc で、 どちらも制限付きライセンスです。Fortran の制限付きライセンスでは、コンパイル時に並列化をいっさい利用できません。制限付きライセンスで機能しない 3 つの並列化フラグは次のとおりです。

並列化する機能は、Fortran 用ライセンスを利用できるかどうかによって異なります。無制限のライセンスを使用できる場合は、並列化フラグを使用できます。制限付きライセンスにしかアクセスできない場合は、並列化フラグを使用できません。ただし、制限付きライセンス と無制限のライセンスの両方を使用できる場合は、並列化オプションを使用できます。

Fortran 用の制限付きライセンスまたは無制限のライセンスの使い方

表 5-2 では、制限付きライセンスや無制限のライセンスで並列化フラグが使用されるときと使用されないときに生じるさまざまなシナリオやコンパイル結果を一覧表示しています。この表の中のシナリオでは、制限付きライセンスまたは無制限のライセンスの両方ではなく、い ずれか一方を利用できるときのライセンスの役割を示します。

表 5-2   並列化フラグを使用するまたは使用しない制限付きまたは無制限のライセンスの機能

      コンパイル結果
シナリオ 制限付きライセンストークン 無制限のライセンストークン
1. 並列化フラグ
ノードロックワークステーション
Error
no a.out
parallelized a.out
2. 並列化フラグ
その他のワークステーション
Error
no a.out
parallelized a.out
3. 並列化フラグ無し
ノードロックワークステーション
non-parallelized a.out non-parallelized a.out
4. 並列化フラグ無し
その他のワークステーション
Error
no a.out
non-parallelized a.out



注 - 表 5-2 のシナリオ欄にある「ノードロックワークステーション」とは、制限付き (ノードロック) ライセンスファイルで示しているワークステーションです。「その他のワークステーション」とは、制限付きライセンスにノードロックされていないワークステーションです。

シナリオ 1

シナリオ 1 (表 5-2) では、ノードロックワークステーションから制限付きライセンスで並列化フラグを使用する場合に受け取る結果を示します。制限付きライセンスではコンパイルできないので、エラーメッセージを受け取ります (図 5-1)。

riscjr{impact}11 f90 -parallel -loopinfo f90.f
f90: Warning: Optimizer level changed from 0 to 3 to support 
parallelized code

 
License Error : Licensing product (Sun WorkShop Compiler FORTRAN 
90 SPARC).
	 License File: 7588@riscjr
License server does not support this feature
Feature:workshop.f90.sparc
Server name
FLEXlm error:-18,147.

図 5-1   ライセンスエラーメッセージ

この license_log エントリでは、UNSUPPORTED メッセージを示します (図 5-2)。

7:56:36 (sunwlicd) UNSUPPORTED: "workshop.f90.sparc" 
(PORT_AT_HOST_PLUS   ) 
impact@anyhost  (License server does not support this feature 
(-18,327))

図 5-2   license_log への UNSUPPORTED エントリ

無制限のライセンスを使用している場合、ライセンスサーバーはそのライセンスを調べて確認するので、並列化オプションを使用できます 。

シナリオ 2

シナリオ 2 (表 5-2) では、ノードロックワークステーション以外のワークステーションから制限付きライセンスで並列化フラグを使用する場合に受け取る結果を示します。制限付きライセンスの使用を試みると、エラーメッセージを受け取り (図 5-1)、コンパイルされません。また、license_logUNSUPPORTED メッセージ (図 5-2) も受け取ります。無制限のライセンストークンを使用している場合は、コンパイル時に並列化できます。

シナリオ 3

シナリオ 3 (表 5-2) では、ノードロックワークステーションから並列化フラグを使用しない場合に受け取る結果を示します。制限付きライセンストークンを使用している場合は、エラーメッセージを受け取りませんし、コンパイルも完了します。無制限のライセンストークンを使用している場合も、エラーメッセージは受け取りませんし、コンパイルも完了します。License_logUNSUPPORTED メッセージ (図 5-2) を受け取ります。

シナリオ 4

シナリオ 4 (表 5-2) では、ノードロックワークステーション以外のワークステーションから並列化フラグを使用しない場合に受け取る結果を示します。制限付きライセンスを使用している場合は、エラーメッセージを受け取り (図 5-1)、コンパイルは完了しません。並列化オプションが使用されないと、ライセンスサーバーはまず制限付きライセンスを検索するので、license_logUNSUPPORTED メッセージ (図 5-2) を受け取ります。しかし、無制限のライセンスを使用している場合は、コンパイルは完了します。この場合、license_logUNSUPPORTED メッセージ (図 5-2) を受け取ります。

無制限のライセンスによるFortran の制限付きライセンスの使い方

Fortran の制限付きライセンスと無制限のライセンスの両方を使用している場合は、コンパイル時に並列化オプションを使用できます。両方のライセンスを使用すると、ライセンスを利用できなくなる可能性があります。ソフトウェアをライセンス供与する際の標準処理として、ユーザーは待ち行列に入れられ、ライセンスが利用できるようになるまで待つ必要があります。ライセンスが利用できるようになると、コンパイルは続行されます。表 5-3 では、各シナリオでのライセンス機能を示します。


注 - 表 5-3 のシナリオ欄にある「ノードロックワークステーション」とは、制限付き (ノードロック) ライセンスファイルで示しているワークステーションです。「その他のワークステーション」とは、制限付きライセンスにノードロックされていないワークステーションです。

表 5-3   並列化フラグを使用するまたは使用しない制限付きまたは無制限のライセンスの機能

両方のライセンストークンを備えている場合のコンパイル結果
シナリオ ライセンストークンが両方とも使用可 制限付きライセンストークンが使用不可 無制限のライセンストークンが使用不可 ライセンストークンが両方とも使用不可
1. 並列化フラグ
ノードロックワークステーション
parallelized
a.out
parallelized
a.out
queue
parallelized
a.out
queue
parallelized
a.out
2. 並列化フラグ
その他のワークステーション
parallelized
a.out
parallelized
a.out
queue
parallelized
a.out
queue
parallelized
a.out
3. 並列化フラグ無し
ノードロックワークステーション
non-
parallelized
a.out
queue
non-
parallelized
a.out
non-
parallelized
a.out
queue
non-
parallelized
a.out
4. 並列化フラグ無し
その他のワークステーション
non-
parallelized
a.out
non-
parallelized
a.out
queue
non-
parallelized
a.out
queue
non-
parallelized
a.out


シナリオ 1

シナリオ 1 (表 5-3) では、ノードロックワークステーションから並列化フラグを使用する場合のライセンス機能を示します。無制限のライセンスを使用できる場合は、コンパイル時に並列化フラグを使用できます。無制限のライセンスを使用できない場合は、queue メッセージを受け取ります。無制限ライセンスが使用できるようになると、コンパイルは続行されます。並列化フラグを使用しているので、制限付きライセンスはこのシナリオで呼び出されません

シナリオ 2

シナリオ 2 (表 5-3) では、ノードロックワークステーション以外のワークステーションから並列化フラグを使用する場合のライセンス機能を示します。無制限のライセンスを使用できる場合は、コンパイル時に並列化できます。無制限のライセンスを使用できない場合は、queue メッセージを受け取ります。無制限ライセンスが使用できるようになると、コンパイルは続行されます。並列化フラグを使用しているので、制限付きライセンスはこのシナリオで呼び出されません。

シナリオ 3

シナリオ 3 (表 5-3) では、ノードロックワークステーションから並列化フラグを使用しない場合のライセンス機能を示します。並列化フラグを使用しないと、ライセンスサーバーは制限付きライセンスのみを検索するので、ノードロックライセンスを使用できない場合は queue メッセージを受け取ります。ライセンスを両方とも使用できない場合は、queue メッセージを受け取ります。制限付きライセンスが使用できるようになると、コンパイルは続行されます。

シナリオ 4

シナリオ 4 (表 5-3) では、ノードロックワークステーション以外のワークステーションから並列化フラグを使用しない場合のライセンス機能を示します。無制限のライセンスを使用できない場合、またはライセンスをどちらも使用できない場合は queue メッセージを受け取ります。無制限のライセンスが使用できるようになると、コンパイルは続行されます。いかなるインスタンスでも次のメッセージを受け取ります。

5:58:02 (sunwlicd) DENIED: "workshop.f90l.sparc" avitar@anyhost  
(Invalid host (-9,333))


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