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第 9 章

Sun WorkShop TeamWare におけるプログラムの構築

Sun WorkShop TeamWare では、一度に 1 つの構築ジョブを実行することも、同時に複数の構築ジョブを実行することもできます。この章では、1 つのアプリケーションを短時間で構築する方法、構築のカスタマイズ方法、および「構築」ウィンドウと任意の Sun WorkShop エディタを使用して構築エラーを修正する方法について説明します。この章は、次の節で構成されています。

「構築」ウィンドウ

「構築」ウィンドウには、プログラムのコンパイルに関する情報が表示されます。このウィンドウを開くには、「ワークスペース管理」ウィンドウから「TeamWare」 「構築」を選択します。


注 - Sun WorkShop から利用できるものと同じ構築ツールが起動されます。Sun WorkShop のメインウィンドウから「ウィンドウ」 「構築ウィンドウの表示」を選択して起動できます。

「構築」ウィンドウでは、次の作業を行うことができます。

図 9-1 に「構築」ウィンドウを示します。


図 9-1   「構築」ウィンドウ

「構築」ウィンドウには、表 9-1 に示す項目があります。

表 9-1   「構築」ウィンドウの項目  
項目 説明
「構築」メニュー ターゲットの指定、構築パラメタの設定、構築の起動と停止、構築出力の保存を行うためのコマンドがあります。
「編集」メニュー 構築出力表示区画に表示する内容を変更するためのコマンドがあります。
「表示」メニュー 「分散メークのジョブグラフ」ウィンドウに構築エラーを表示したり、dmake による構築の進行状況をグラフィカルに表示したりするためのコマンドがあります。
「構築」ボタン 現在の Sun WorkShop ターゲットの構築を開始します。
「構築を中止」ボタン 現在実行中の構築を中止します。
「前のエラー」ボタン 構築出力表示区画で、前の構築エラーにカーソル移動し、そのエラーの発生場所をテキストエディタに表示します。
「次のエラー」ボタン 構築出力表示区画で、次の構築エラーにカーソル移動し、そのエラーの発生場所をテキストエディタに表示します。
「ジョブグラフ」
ボタン
「分散メークのジョブグラフ」ウィンドウを開きます。複数のジョブの構築時間を確認できます。
「ディレクトリ」フィールド 現在の構築ディレクトリのパス名が表示されます。
「ターゲット」
フィールド
現在の構築ターゲットの名前が表示されます。
構築出力表示区画 構築の出力が読み取り専用で表示されます。
構築情報表示領域 現在実行中の構築に関する情報が表示されます。


WorkShop ターゲットの構築

Sun WorkShop プログラミング環境における構築に関係するターゲットは、Sun WorkShop ターゲットとユーザーメークファイルターゲットの 2 種類があります。

Sun WorkShop ターゲット

Sun WorkShop ターゲットは、構築ディレクトリ、構築コマンド、メークファイル、構築ターゲットで構成されるオブジェクトです。

構築された Sun WorkShop ターゲットは、「構築」メニューのピックリストと「構築」 「ターゲットを編集」コマンドの Sun WorkShop ターゲットのピックリストに追加されます。構築を開始すると、Sun WorkShop ターゲットのリストの先頭にあるターゲットが構築されます。

プロジェクトには、複数のターゲットを含むことができます。実行可能ファイル、静的ライブラリ / アーカイブ、共有ライブラリ、Fortran アプリケーションの場合は、実行可能ファイル / ライブラリが 1 つのターゲットで、特殊な clean ターゲットがもう 1 つのターゲットということになります (「構築」メニューのピックリストにある)。clean ターゲットは、プロジェクトで作成されたすべてのファイル (たとえば .o ファイル)、ソースブラウズ用データベース、C++ テンプレートデータベース、実行可能ファイルそのもの、およびその他の構築関係のファイルを削除します。

複雑なプロジェクトの場合は、「構築」メニューのピックリストに複数のターゲットが含まれることがあります。たとえば、プロジェクトで、5 つのライブラリと 1 つの実行可能ファイルを作成し、まとめてリンクできます。この場合、それぞれのライブラリおよび実行可能ファイルは 1 つの Sun WorkShop ターゲットになり、「構築」メニューのピックリストから選択することで個別に構築できます。

ユーザーメークファイルターゲット

ユーザーメークファイルターゲットは、make が特定のメークファイルに含まれる指示 (規則) からその構築方法に関する情報を得るオブジェクトです。通常、メークファイルは、最も一般的なターゲットがデフォルトターゲット (ターゲットを指定しなかったときに構築されるターゲット) になるように設計されています。

メークファイルには、依存関係に基づいて構築ターゲットを最新にする方法を記述した項目が含まれています。1 つの依存関係が 1 つの構築ターゲットであるため、依存関係自体が複数の依存関係を持つことがあります。構築ターゲットを再構築するかどうかを決定するときに、ターゲットとファイル間の依存関係と下位の依存関係によって make がトレースするツリー構造が形成されます。

ユーザーメークファイルプロジェクトの場合、「構築」メニューのピックリストに含まれるターゲットは、メークファイルか構築するメークファイルターゲットになります。

プログラムの構築

Sun WorkShop TeamWare では、構築コマンド、メークファイル、構築ターゲットを指定しなくても構築を開始できます。これらのうちの 1 つまたはすべてを指定して構築を開始することもできます。構築オプションの指定、構築モードの指定、メークファイルマクロの変更、環境変数の編集などの構築のカスタマイズも可能です (「構築のカスタマイズ」を参照)。

構築パラメータは、「ターゲットの新規定義」ダイアログおよび「ターゲットの編集」ダイアログを使用して指定します。この 2 つのダイアログの基本的な構成は同じです。新しい WorkShop ターゲットの指定には「ターゲットの新規定義」ダイアログを使用し、既存の WorkShop ターゲットの編集には「ターゲットの編集」ダイアログを使用します。図 9-2 は「ターゲットの新規定義」ダイアログです。


図 9-2   「ターゲットの新規定義」ダイアログ

「ターゲットの新規定義」および「ターゲットの編集」ダイアログボックスには、表 9-2 に示す項目があります。

表 9-2   「ターゲットの新規定義」ダイアログボックスの項目  
項目 説明
「ディレクトリ」フィールド 構築ディレクトリのパスを入力します。ブラウズボタンをクリックしてディレクトリを選択することもできます。
「メークファイル」フィールド メークファイルを指定します (デフォルトのファイル名は makefile) 。ブラウズボタンをクリックしてメークファイルを選択することもできます。
「ターゲット」フィールド ターゲットを指定します。ブラウズボタンをクリックすると「ターゲット選択」ダイアログボックスが開きます。
「コマンド」
フィールド
構築コマンドを入力します。デフォルトのコマンドは dmake です。
「名前」フィールド 指定したディレクトとメークファイル、ターゲットの組み合わせに名前を付けることができます。指定した名前は、メニューピックリスト上でターゲットを示すために使用されるだけです。ターゲットに名前を付けなかった場合、メニューピックリストには、「ディレクトリ: makefile 中のターゲット」と表示されます。名前を付けることによって構築ターゲットを区別することができ、同じディレクトリとメークファイル内に複数の構築ターゲットがある場合に便利です。
「オプション」ボタン 構築パラメータを変更できます。
「マクロ」ボタン 構築に渡すマクロの追加、変更、書き換え、削除を行うことができます。
「環境変数」ボタン 構築に渡す環境変数の追加、変更、削除できます。
「了解」ボタン 構築パラメータを適用してダイアログを終了します。
「構築」ボタン 構築パラメータを適用してターゲットを構築します。
「取消し」ボタン 変更内容を適用せずにダイアログを終了します。
「ヘルプ」ボタン ダイアログに関するオンラインヘルプが表示されます。


デフォルト値を使用した構築

Sun WorkShop には、デフォルトの構築ターゲットとデフォルトの make コマンド (dmake) があります。このため、構築コマンドや構築ターゲットを指定しなくても構築を開始できます。ただし、ユーザーメークファイルプロジェクトを構築する場合や、プロジェクトが読み込まれていない場合は、メークファイルを指定する必要があります (Sun WorkShop は、makefile または Makefile という名前のファイルを検索して、make がどちらのファイルを使用するか決定できるようにします)。

Sun WorkShop のこのプロジェクト機能によって、「新規プロジェクト作成」ウィザードや「現在のプロジェクトを編集」ウィンドウからメークファイルを作成するように指示できます。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。

Sun WorkShop には、構築コマンドとして dmake が用意されています。dmake コマンドはメークファイルを解析して、並行して構築可能なターゲットを判断し、ターゲットの構築ジョブを分散します。dmake は、次のいずれかの構築モードで動作します ( 構築モードの設定については、「構築のカスタマイズ」を参照 )。

これらのどのモードで dmake を実行して、「ジョブグラフ」ウィンドウを使用して、その処理の進行状況を監視したり、各構築ジョブの状態を表示したりできます。「構築」ウィンドウから「ジョブグラフ」ウィンドウを開くには、「表示」 「分散メークのジョブグラフ」を選択します。

「ターゲットの新規定義」と「ターゲットの編集」ダイアログボックスには、デフォルトの構築値が表示されます。特定のメークファイルや構築ターゲットが指定されなかった場合、Sun WorkShop は、構築ディレクトリの makefile という名前のファイルを探し、そのファイル内の最初の構築ターゲットを使用します。ただし、makefile ファイルよりも新しい SCCS 履歴ファイル (s.makefile) を検出した場合、Sun WorkShop は最新の s.makefile を使用します。メークファイルが存在しない場合は、Makefile というファイルを探します。

デフォルトの構築値を使用してプログラムを構築する手順は次のとおりです。

1. 「構築」ウィンドウの「ディレクトリ」フィールドに適切な構築ディレクトリが設定されていることを確認します。

構築ディレクトリは、構築プロセスを実行するディレクトリで、メークファイルのデフォルトのディレクトリでもあります。「ディレクトリ」フィールドに構築ディレクトリが表示されていないか、構築ディレクトリを変更する場合は、「構築」 「新規ターゲット」を選択して、「ターゲットの新規定義」ダイアログボックスを開き、「ディレクトリ」テキストボックスに構築パスを入力します。

2. 「構築」 「Start Build」を選択して、構築を開始します。

「構築」ウィンドウの構築出力表示区画に構築出力が表示されます。構築を中止するには、「構築」ウィンドウから「構築を中止」ボタンをクリックするか、「構築」 「構築を中止」を選択します。


注 - 次に「構築」ウィンドウを開いたときは、最後に構築ジョブを実行したディレクトリが構築ディレクトリとして設定され、「ディレクトリ」フィールドにそのパス名が表示されます。

独自の構築値を使用した構築

一意の名前を持つメークファイル、独自の構築ターゲット、または独自の構築コマンドがある場合は、「ターゲットの新規定義」ダイアログボックスや「ターゲットの編集」ダイアログボックスでその構築値を指定できます (この指定ができるのは、ユーザーメークファイルプロジェクトに対してか、プロジェクトが読み込まれていない場合です)。たとえば、独自の構築コマンドを指定することによって、make の出力をフィルタにかけ、不要な警告を排除できます。少なくとも構築ディレクトリを指定する必要があります。Sun WorkShop は make コマンドを使用し、make の検索順序に従ってメークファイルを検索します。詳細は、make(1S) のマニュアルページと、オンラインヘルプを参照してください。

独自の構築値を指定する手順は次のとおりです。

1. 「ディレクトリ」フィールドに、構築に使用するディレクトリの名前を入力します。

構築ディレクトリが指定されない場合、Sun WorkShop は現在表示されているディレクトリで構築に行おうとします。ディレクトリが表示されていない場合は、エラーを示すポップアップウィンドウが表示されます。

2. 「メークファイル」フィールドに、使用するメークファイル名を入力します。

3. 「ターゲット」フィールドに、使用する構築ターゲット名を入力します。

4. 「コマンド」フィールドに、使用する構築コマンド名を入力します。

make または dmake 以外の構築コマンドを使用する場合は、「コマンド」フィールドにそのコマンドと引数を指定します。PATH 環境変数にその構築コマンドへのパスを指定していない場合は、フルパスで指定する必要があります。
構築コマンドは、「環境変数」ダイアログボックスで指定された環境変数に対する setenv コマンドを前に追加し、「メークオプション」と「メークのマクロ」ダイアログボックスで指定された構築オプションを後ろに付加することによって形成されます。

5. 「構築」ボタンをクリックます。ダイアログボックスで指定された設定に基づいて構築が開始されます。

「構築」ウィンドウの構築出力表示区画に、構築の出力が表示されます。構築を中止するには、「構築」ウィンドウの「構築を中止」ボタンをクリックするか、「構築」 「構築を中止」を選択します。

既存の WorkShop ターゲットの編集

既存の WorkShop ターゲットを編集する手順は次のとおりです。

1. 「構築」ウィンドウから「構築」 「ターゲットを編集」を選択します。

2. リストから WorkShop ターゲットを選択します。

「ターゲットの編集」ダイアログボックスが開き、構築ディレクトリとメークファイル、構築ターゲット、構築コマンドの現在の設定値が表示されます。

3. 必要に応じて、これらの設定を編集します。

詳細は、「独自の構築値を使用した構築」を参照してください。

4. 「構築」ボタンをクリックします。新しい設定で WorkShop ターゲットが再構築されます。

構築出力の収集

「構築」ウィンドウの構築出力表示区画の構築出力は、構築ジョブを実行するたびに消去されます。

前の構築出力を残す手順は次のとおりです。

1. 「編集」 「前の結果を消去しない」を選択します。

構築出力表示区画は消去されず、前の構築の出力に続けて、以降の構築出力が表示されます。

2. 「構築」 「構築」を選択します。

3. 各構築の出力を確認するには、構築出力表示区画をスクロールします。

各構築ジョブの出力の先頭には、構築パスと構築ターゲット名が表示されます。
構築出力表示区画の内容を消去するには、「編集」 「結果を消去」を選択します。

構築出力の保存

出力をファイルに保存し、構築出力情報の履歴を作成できます。

構築出力を保存する手順は次のとおりです。

1. 「構築」 「結果を別名で保存」を選択します。

2. 「構築結果保存」ダイアログを使用して、出力を保存するファイルを選択または作成します。

構築出力のログが、テキストファイルとして保存されます。

WorkShop ターゲットの削除

「構築」メニューの「ターゲットを編集」のリストからターゲットを削除できます。

ターゲットを削除する手順は次のとおりです。

1. 「構築」ウィンドウから「構築」 「メニューからターゲットを削除」を選択します。

2. 「メニューからターゲットを削除」ダイアログのリストからターゲットを選択します。

Control キーを押しながらクリックすることによって、複数のターゲットをまとめて選択できます。

3. 「了解」ボタンをクリックします。

構築のカスタマイズ

構築オプションの変更、構築モードの指定、メークファイルマクロの使用、環境変数の使用により、構築をカスタマイズできます。構築をカスタマイズするには、「構築」 「ターゲットを編集」を選択して、リストからターゲットを選択します。「ターゲットの編集」ダイアログが開きます。

構築オプションの指定

構築オプションは、「構築オプション」ダイアログボックスで指定できます。「構築オプション」ダイアログボックスを開くには、「ターゲットの編集」ダイアログボックスから「オプション」ボタンをクリックします。必要なオプションを選択したら、「了解」をクリックして、「ターゲットの編集」ダイアログボックスに戻ります。

次のコマンドおよびオプションについての詳細は、dmake および make のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ: 基本

カテゴリ: コマンドの実行と表示

カテゴリ: 実行せず表示だけするためのオプション

カテゴリ: その他

カテゴリ: 分散メーク

このカテゴリでは、make プロセスを実行するモードを指定できます。表 9-3 は、dmake オプションと選択したモードで行う必要がある操作をまとめています。

表 9-3   dmake のオプション  
項目 説明
モード 構築の実行モードを選択します。

逐次 このモードを選択した場合、フィールドへの入力は必要ありません。

並列 「最大ジョブ数」フィールドに、実行する最大構築ジョブ数を指定します。

分散 1. 「最大ジョブ数」フィールドに、実行する最大構築ジョブ数を指定します。


2. 「実行時の構成ファイル」フィールドに、.dmakerc ファイルの名前またはパスを指定します。


3. 「構築サーバーグループ」フィールドに構築サーバーグループを指定します。


4. 「一時出力ディレクトリ」フィールドに、出力ディレクトリのパス名を入力します。
最大ジョブ数 構築サーバーに分散する最大ジョブ数を入力します。省略された場合は、グループのサーバーに指定されたジョブ数の合計が適用されます。
実行時の構成ファイル 実行時構成ファイルを指定します。デフォルトでは、~/.dmakerc が使用されます。
構築サーバーグループ ジョブの分散先のサーバーグループ名を入力します。デフォルトでは、.dmakerc ファイル内の最初のグループが使用されます。
一時出力ディレクトリ 一時的な出力を書き込むディレクトリ名を指定します。デフォルトでは、~/.dmake が使用されます。


初めて分散メークを行う場合は、dmake 構築サーバーとして参加するマシンを指定した .dmakerc 実行時構成ファイルを作成する必要があります。このファイルには、構築サーバーのグループ (リスト) と各構築サーバーに分散するジョブ数を含めます。dmake ユーティリティは、dmake ホストからこのファイルを検索することによって、ジョブを分散する場所の情報を取得します。一般に、.dmakerc 実行時構成ファイルは、作成した人のホームディレクトリに置きます。実行時構成ファイルを検索できなかった場合、dmake はローカルホストに 2 つのジョブを割り当てます。実行時構成ファイルの作成については、dmake(1) のマニュアルページを参照してください。

マシンを構築サーバーとして使用するには、そのマシンにジョブを割り当てられるように設定する必要があります。構築サーバーには、dmake ホストと同じアーキテクチャで、同じバージョンのオペレーティングシステムが動作しているホストを使用します。デフォルトでは、構築サーバー上の dmake 実行可能ファイルへのパスは、dmake ホストと同じであるとみなされます。構築サーバー上の dmake 実行可能ファイルへのパスが異なる場合は、そのサーバーに対するパス属性を変更する必要があります。

マシンを構築サーバーとして設定するには、そのマシンのファイルシステムに /etc/opt/SPROdmake/dmake.conf という構成ファイルを作成する必要があります。このファイルが存在しない場合、dmake はそのマシンにジョブを割り当てるのを拒否します。dmake.conf ファイルには、そのマシン上で同時に実行可能なジョブ (全ユーザーからのジョブ) の最大数を指定します。dmake の詳細については、第 10 章dmake(1) のマニュアルページを参照してください。

メークファイルマクロの使用方法

「メークのマクロ」ダイアログボックスでメークファイルマクロを指定できます。メークファイルマクロを使用することによって、記述ファイル内で使用されているファイルやコマンドオプションを参照できます。「メークのマクロ」ダイアログボックスでは、WorkShop ターゲットの「持続的構築マクロ」リストに対してメークファイルマクロを追加、削除したり、マクロに対する値を変更したりできます。また、メークファイルで現在定義されているマクロをリストに追加し、メークファイルで定義されている値を無視して代わりにこのリストで設定した値を使用することもできます。マクロの定義については、『Sun WorkShop の概要』の付録 B を参照してください。

マクロの追加

「持続的構築マクロ」リストにマクロを追加する手順は次のとおりです。

1. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「マクロ」をクリックします。

2. 「名前」フィールドにマクロ名を入力します。

3. 「値」フィールドに、追加するマクロに対する値 (または定義) を入力します。

4. 「追加」ボタンをクリックし、新しいマクロをリストに追加します。

5. 必要に応じて、上記の手順を繰り返して他のマクロも追加します。

6. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

マクロの削除

「持続的構築マクロ」リストからマクロを削除する手順は次のとおりです。

1. 「持続的構築マクロ」のリストから削除するマクロを選択します。

2. 「削除」ボタンをクリックします。リスト内のすべてのマクロを削除するには「すべてを削除」ボタンをクリックします。

3. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

マクロの変更

「持続的構築マクロ」リスト内のマクロの値 (マクロ名によって実際に表される値) を変更する手順は次のとおりです。

1. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスで「マクロ」をクリックします。

2. 「メークのマクロ」ダイアログボックスで「詳細」をクリックします。

3. 「メークファイル中のマクロ」リストから変更するマクロを選択します。

4. 「<<追加」をクリックし、選択したマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。

5. 「値」フィールドに新しい値を入力します。

6. 「変更」ボタンをクリックします。

7. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

8. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。

メークファイルマクロの表示と置き換え

「持続的構築マクロ」リストにあるマクロ定義が、メークファイル内の同名のマクロに置き換えられます。

現在のマクロ定義を表示するには、「詳細」ボタンをクリックして「メークファイル中のマクロ」リストを開きます。このリストには、現在の構築ターゲットに対するメークファイルで定義されているすべてのマクロが表示されます。「フィルタ」フィールドを使用してリストにフィルタをかけることができます。

メークファイルマクロの値を置き換える手順は次のとおりです。

1. 「メークファイル中のマクロ」リストからマクロを選択します。

2. 「<<追加」ボタンをクリックし、選択したマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。

3. 「値」フィールドに新しい値を入力します。

4. 「変更」ボタンをクリックします。

5. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

「持続的構築マクロ」リスト内のマクロ定義が、メークファイル内の同名のマクロ定義の代わりに使用されるようになります。

6. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。

環境変数の使用方法

「環境変数」ダイアログボックスで、構築のための環境変数を指定できます。WorkShop ターゲットの「持続的環境変数」リストに対して環境変数を追加、削除したり、環境変数に対する値を変更したりできます。構築を開始すると、環境変数を設定するための setenv コマンドが構築コマンドの前に付加されます。

環境変数の追加

「持続的環境変数」リストに環境変数を追加する手順は次のとおりです。

1. 「ターゲットの編集」ダイアログボックスから「環境変数」をクリックします。

2. 「名前」フィールドに環境変数名を入力します。

3. 「値」フィールドに変数の値を入力します。

4. 「追加」ボタンをクリックし、入力した環境変数を「持続的環境変数」リストに追加します。

5. 必要に応じて、上記の手順 2 〜 4 を繰り返して他の環境変数も追加します。

6. 「了解」ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

環境変数の削除

「持続的環境変数」リストから環境変数を削除する手順は次のとおりです。

1. 「持続的環境変数」リストから変数を選択します。

2. 「削除」ボタンをクリックします。リスト内のすべての環境変数を削除するには「すべてを削除」ボタンをクリックします。

3. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

環境変数の値の変更

「持続的環境変数」リスト内のマクロの値を変更する手順は次のとおりです。

1. 「持続的環境変数」リストから環境変数を選択します。

2. 「値」フィールドに新しい値を入力し、「変更」ボタンをクリックします。

3. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

4. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい構築環境で構築が開始されます。

環境変数の表示と置き換え

「持続的環境変数」リストにある環境変数定義が、現在の構築プロセス環境の同名の環境変数の代わりに使用されます。現在の構築プロセス環境変数の定義を表示するには、「詳細」ボタンをクリックして「現在の環境」リストを開きます。このリストには、現在の構築プロセス環境で定義されているすべての環境変数が表示されます。「フィルタ」フィールドを使用してリストにフィルタをかけることができます。

環境変数の値を置き換える手順は次のとおりです。

1. 「現在の環境」リストから環境変数を選択します。

2. 「<<追加」ボタンをクリックし、選択した環境変数を「持続的環境変数」リストに追加します。

3. 「値」フィールドに新しい値を入力し、「変更」ボタンをクリックします。

4. 「了解」ボタンをクリックし、変更内容を適用してダイアログを閉じます。

5. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。

構築エラーの修正

構築プロセスにテキストエディタを統合することにより、構築エラーの修正プロセスが容易になります。構築が失敗した場合は、「構築」ウィンドウの構築出力表示区画に構築エラーメッセージが表示されます。構築エラーメッセージには、そのエラーが含まれているファイルへのハイパーテキストリンク (下線付きで強調表示されます) があります (図 9-3 参照)。「構築」ウィンドウ内の下線付きのエラーをクリックするとテキストエディタが開き、そのエラーを含むソースファイルが表示されます。

各エラー行には、そのエラーが存在しているファイル名、エラーが発生した行番号、エラーメッセージが示されます。


図 9-3   構築出力表示区画に表示された構築エラー

C コンパイラによって出力されたエラーメッセージの構築エラーメッセージ部分には、情報アイコン ( ) が表示されます。このアイコンをクリックすると、そのエラーに関する情報を示すポップアップウィンドウが表示されます


注 - 出力をハイパーテキストリンクに変換して生成できるのは、サンのコンパイラだけです。サンのコンパイラを呼び出さない構築コマンドを使用した場合、「構築」ウィンドウに表示された構築エラーからソースファイルへのリンクは作成されません。

エラーのソースの表示

下線が付いているエラーをクリックすると、テキストエディタが起動され、エラーが存在しているソースファイルが表示されます。ソースファイルのエラー行は強調表示され、その行の左側にエラーグリフが表示されます (図 9-4 参照)。

キーボードショートカットの F4 (次のエラー) および Shift+F4 (前のエラー) を使用することによって、テキストエディタのウィンドウにフォーカスを置いたまま構築エラー間を移動できます。


図 9-4   エラーが存在するソースファイルをテキストエディタのウィンドウに表示

エラーの修正

「構築」ウィンドウとエディタを使用して構築エラーを修正する手順は次のとおりです。

1. 「構築」ウィンドウの出力表示区画で強調表示されているエラーをクリックします。

エディタのウィンドウが開き、エラーが存在するソースファイルが表示されます。エラー行は強調表示され、カーソルがその行に置かれています。黄色で強調表示されているのが、現在のエラーです。

2. エラーのあるソースファイルを編集します。

3. 「構築」ウィンドウで「次のエラー」ツールバーボタンをクリック (または、キーボードショートカット F4 を使用) し、テキストエディタの次の構築エラーの場所に移動します。

「次のエラー」ボタンをクリックすると、構築出力の次のエラーが強調表示され、同時にテキストエディタ内の対応するソース行も強調表示されます。

4. 編集したファイルを保存します。

5. エディタウィンドウのツールバーの「構築」ボタンをクリックして、再構築します。

構築処理の進行状況は、構築の出力表示区画で監視できます。

構築の終了

現在の構築プロセスを強制終了して、すべての構築ウィンドウを閉じるには、「構築」ウィンドウから「構築」 「構築終了」を選択します。

現在の構築処理を強制終了しないで構築ウィンドウを閉じるには、「構築」 「閉じる」を選択します。


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