Sun Cluster HA for Netscape HTTP は、Sun Cluster の制御の下に動作する Netscape Web/HTTP Server です。この節では、ns-setup コマンドを使用して Netscape Web/HTTP Server をインストールし、Sun Cluster HA for Netscape HTTP データサービスとして実行できるようにする手順を説明します。
いくつかある Netscape の web サーバー製品のどれでもインストールできます。標準的なインストール方法については、Netscape のマニュアルを参照してください。Sun Cluster や Solaris によって予約されているポート番号は割り当てないでください。詳細は、101 ページの「Sun Cluster の予約済みデフォルトポート番号」を参照してください。
Sun Cluster Manager (SCM) 用に Sun Cluster HA for Netscape HTTP サービスと HTTP サーバーを実行する場合は、HTTP サーバーがそれぞれ異なるポートで待機するように構成してください。異なるポートで待機するように構成しないと、2 つのサーバーの間でポートの衝突が発生します。Sun Cluster や Solaris によって予約されているポート番号は割り当てないでください。詳細は、「Sun Cluster の予約済みデフォルトポート番号」を参照してください。
web サーバーに対する URL マッピングの設定では、いくつかの取り決めに従う必要があります。たとえば、可用性を維持するには、CGI ディレクトリを設定するときに、マッピングされる側のディレクトリを、そのマッピングに対する HTTP 要求を処理する論理ホストに関連付けられた多重ホストディスク上に配置する必要があります。たとえば、/logicalhost/commerce/ns-home/cgi-bin に CGI ディレクトリをマッピングできます。CGI プログラムがバックエンドデータにアクセスする状況では、データもまた、HTTP 要求を処理する論理ホストに関連付けた多重ホストディスク情報に配置するようにしてください。CGI プログラムが RDBMS などのバックエンドサーバーにアクセスする状況では、バックエンドサーバーもまた Sun Cluster によって制御されるようにしてください。サーバーとして、Sun Cluster がサポートする RDBMS を使用する場合は、高可用性に対応した RDBMS パッケージを使用してください。その他のパッケージを使用した場合は、『Sun Cluster 2.2 API 開発ガイド』で説明している API を使用して、サーバーを Sun Cluster の制御下に置くことができます。
Netscape Web/HTTP Server では、デフォルトのインストールパラメータとは異なる設定がいくつか必要になります。 特に次の点に注意してください。
物理ホスト名ではなく、論理ホスト名を指定する。
プロンプトに対してデフォルトのサーバーのルートディスクを使用しない。ファイルは多重ホストディスク上に存在する必要があります。
インストール先のベースディレクトリのパスとして、起動および停止スクリプトの格納場所を指定する。
この手順を開始する前に、表 8-2 に示した適切な前提作業を終了しておいてください。
この手順では、ns-setup コマンドと対話しながら作業を進めます。ただし、ここで説明するのは、Sun Cluster HA for Netscape HTTP に関連する部分だけです。その他の部分については、適宜デフォルト値を選択するか、変更してください。
この章の手順はすべて、スーパーユーザーで行う必要があります。
それぞれの論理ホストがそのデフォルトマスターのサービスを受けていることを確認します。
各 Netscape アプリケーションは、論理ホストのデフォルトマスターである物理ホストからインストールします。必要に応じて、それぞれのデフォルトマスターからサービスを受けるように、論理ホストをスイッチオーバーします。
この後の手順の Netscape アプリケーションのインストールと構成では、サーバー名として、Sun Cluster 構成内で使用している論理ホスト名を使用してください。Netscape サーバーのフェイルオーバーが正しく行われるようにするには、論理ホスト名を使用する必要があります。
1 つのノードだけで CD 上の Netscape Commerce のインストールディレクトリから ns-setup コマンドを実行します。
phys-hahost1# cd /cdrom/commerce/solaris/us/https/install phys-hahost1# ./ns-setup |
CD 上の Netscape ディレクトリが、この例で示すディレクトリと異なることがあります。実際の場所については、Netscape のマニュアルを参照してください。
使用許諾契約書に続いて、次の画面が表示されます。
Netscape Communications Corporation Netscape SuiteSpot Server Installation --------------------------------------------------------------- This program will extract the server files from the distribution media and install them into a directory you specify. This directory is called the server root and will contain the server programs, the Administration Server, and the server configuration files. Server root [/usr/netscape/suitespot]: To accept the default in brackets, press return. |
Netscape Web サーバー用の論理ホスト名と適切な DNS ドメイン名を入力します。
完全名は、hahost1.sun.com というような hostname.domainname の形式になります。データサービス用のディレクトリを作成している場合は、そのディレクトリ名を入力することもできます。
Sun Cluster HA for Netscape HTTP が正しくフェイルオーバーするには、この問い合わせだけでなく、他のすべての問い合わせに対しても、物理ホスト名ではなく、論理ホスト名を使用する必要があります。
たとえば、次のようになります。
Machine's name [phys-hahost1]: hahost1 |
画面に表示される指示に従って、サーバーのインストール作業を進めてください。多くの場合、デフォルト値をそのまま使用できます。
問い合わせが表示されたら、サーバーの管理者 ID とパスワードを入力します。
システムのガイドラインに従ってください。
デフォルトの管理ポートは、データサービスが待機するポートではないため、デフォルト値をそのまま使用できます。今後のために、ポート番号は書き留めておいてください。
次のメッセージが表示されると、インストールが完了したことになり、構成に進むことができます。
Your parameters are now entered into the Administration Server configuration files, and the Administration Server will be started. Writing configuration files ... |
Netscape ブラウザを起動します。
Web browser [netscape]: |
Netscape ブラウザが表示されます。
サーバーをインストールした論理ホストの URL を入力します。たとえば、次のようになります。
logicalhostname:admin_port_# |
プロンプトが表示されたら、正しいユーザーID とパスワードを入力します。
割り当てた論理ホスト名と管理ポート番号の入ったページが表示されます。
インストールする Netscape 製品とバージョンに対し「Create」をクリックします。
表示されたページの末尾にある「OK」をクリックします。
新しいサーバー名と対応するポート番号の入った「Success」ページが表示されます。
この手順では、手順 2 で指定したサーバールートにディレクトリ https-hostname が作成されます。たとえば、このサーバールートが /netscape-1/vol01/nshttps で、作成済みのサーバーの名前が hahost1 の場合、作成されるディレクトリは /netscape-1/vol01/nshttps/https-hahost1 になります。
(Netscape HTTP Secure 4.0 のみ) 手順 9 で作成したディレクトリに keyPass というファイルを作成します。
通常、このファイルにはサーバー管理者のパスワードを入れます。これによって、HA データサービスは暗号化をオンにしてサーバーを実行できます。暗号化をオンまたはオフにして実行するためのサーバーの構成方法については、Netscape Enterprise Server のマニュアルを参照してください。
(Netscape HTTP Secure 4.0 のみ) Enterprise Server が暗号化モードで動作するために必要な証書は、そのサーバーが実行される可能性がある物理ホストごとに作成されなければなりません。これは、物理サーバーとは関係なしに 1 つの証書をインストールすればよかった Netscape HTTP 3.6 以前のバージョンとは異なります。この変更は、Enterprise OS バージョン 4 の Enterprise 証書管理モデルによって必要になったものです。
まだサービスを登録していない場合は、hareg(1M) コマンドを使用して登録してください。
論理ホスト上でだけデータサービスを登録するには、-h オプションを使用して、論理ホスト名を指定します。
# hareg -s -r nshttp [-h logicalhost] |
物理ホストから hadsconfig コマンドを実行します。
phys-hahost1# hadsconfig |
プロンプトに対して「nshttp」のメニュー項目番号を入力します。
インストールしたサービスによって、メニューの内容が異なることがあります。
プロンプトに対して「Create a new instance」の項目番号を入力します。
Name of the instance [?] Logical host [?] Base directory of product installation [?] Server Port Number [?] Time between probes (sec) [60] [?] Time out value for the probe (sec) [60] [?] Take over flag [y] [?] |
インスタンス名を入力します。
論理ホスト名を入力します。
ベースディレクトリの位置として、論理ホストへのパスを入力します。
ここでは、起動および停止スクリプトの格納場所を指定します (例: /netscape-1/vol01/nshttps/https-hahost1)。実際には、論理ホストとサービスのディレクトリの間に他のディレクトリが作成されている可能性があります。
サーバーを待機させるサーバーポート番号を入力します。
デフォルト値をそのまま使用するか、適切な情報を入力することによってデフォルト値を変更します。
ここでは、必要に応じてデフォルト値を変更できます。必要な入力を終えると、確認メッセージが表示されます。
このインスタンスを追加します。
「instance added to workfile」というメッセージが表示されます。
適切なメニュー項目番号を入力して、Main Menu に進みます。
「Configuration has changed in workfile」というメッセージが表示されます。
ワークファイルの情報に基づいて構成情報を更新します。
「checking node status...」というメッセージが表示されたら、適切な情報を入力します。
「Quit」のメニュー項目番号を入力します。
物理ホストのルートプロンプトに戻ります。
hareg(1M) コマンドを使用して、サービスを登録し、起動します。
1 つのホスト上でだけ hareg(1M) コマンドを実行してください。
# hareg -y nshttp |
サービスが待機している論理ホストに telnet 接続することによって、HTTP サーバーが動作していることを確認します。
たとえば、次のようにします。
# telnet logicalhost port# |
サーバーの動作が確認できたら、インストール作業は完了です。