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iPlanet Application Server 管理者ガイド |
第 6 章 サーバリソースの可用性の向上
この章では、効果的なシステムパフォーマンスを確保するために、iPlanet Application Server リソースの可用性を向上させる方法について説明します。スレッド数、プロセス数、再起動試行回数などの iPlanet Application Server のリソースを増やすと、サーバ上で実行するアプリケーションのパフォーマンスが向上し、アプリケーションのダウンタイムの発生頻度が減少します。
サーバリソースを増やす際は、iPlanet Application Server インスタンスのリソースを考慮する必要があります。たとえば、iPlanet Application Server インスタンスが最大能力で作業している場合に負荷を増やすと、アプリケーションのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。同様に、プロセスに追加のスレッドを割り当てると、システム全体のスレッドプールから使用可能なスレッドが削除され、データベースアクセスなどのスレッドを利用したほかのリクエストを処理するためのシステムの能力が制限されます。
Directory Server には、iPlanet Application Server の使用に必要な大量の情報が格納されています。このため、何らかの理由で Directory Server がエラーになってもこの情報が失われないようにする必要があります。大量の情報および設定データの高可用性を実現するため、プライマリ Directory Server がエラーになった場合にバックアップ Directory Server に引き継ぐように設定する必要があります。
この章では主に、iPlanet Application Server のリソースを効果的に構成し、データの可用性を向上させる方法について説明します。
サーバプロセスの追加と調整について
サーバプロセスの追加と調整について
Java サーバ (KJS) あるいはC++ サーバ (KCS) のプロセスを追加することによって、可用性を向上させることができます。1 つまたは 2 つのプロセスを追加すれば、アプリケーションはユーザのリクエストにより確実に応答するようになります。たとえば、1 つのプロセスがエラーになっても 2 番目、3 番目のプロセスが引き続き実行されるので、アプリケーションを使用できない時間が減ります。この方法は、プロセスエラーの原因となる問題が判明しているアプリケーションで特に効果的です。さらに、ブリッジプロセスを追加すると、RMI/IIOP を使用することにより、iPlanet Application Server 上の KJS プロセスでホストされるアプリケーションコンポーネントと直接通信できます。CORBA ベースクライアントからのリクエストは、ブリッジプロセスを経由して iPlanet Application Server に送られます。これにより、CORBA ベースクライアントは iPlanet Application Server 上のアプリケーションコンポーネントと直接通信できます。ブリッジプロセスの追加の詳細は、第 10 章「CORBA ベースクライアントサポートの有効化」を参照してください。
Java および C++ サーバプロセスの追加と調整
Java アプリケーションには KJS プロセスを、C++ アプリケーションには KCS プロセスを追加できます。どちらのタイプのアプリケーションにも、3 つ以上のプロセスを追加する必要はありません。1 つまたは 2 つのプロセス上でアプリケーションを実行できない場合は、コード内にエラーがある可能性があります。アプリケーション開発者に確認してください。Java サーバまたは C++ サーバプロセスを追加するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、KJS プロセスを追加する iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「ファイル」メニューから、「新規」>「プロセス」をクリックします。
「処理タイプ」ドロップダウンリストで、「KJS」または「KCS」を選択します。
「ポート」テキストボックスで、追加のプロセスを実行する未使用のポート番号を指定します。
このプロセスをシングルスレッド環境で使う場合は、次の手順を実行します。
「変更の適用」をクリックして変更を保存します。
リクエスト処理のスレッド数の調整
リクエストスレッドはアプリケーションコンポーネントへのユーザのリクエストを処理します。iPlanet Application Server はリクエストを受け取ると、利用可能なスレッドにそのリクエストを割り当てます。スレッドはシステムに対するリクエストのニーズを管理します。たとえば、現在ビジー状態のシステムリソースが必要な場合、スレッドはそのリソースが解放されるのを待ってからリクエストにそのリソースの使用を許可します。アプリケーションからのリクエスト用に確保するスレッドの最小数と最大数を指定することができます。スレッドプールはこれらの 2 つの値の間で動的に調整されます。アプリケーションリクエストに備えて、ユーザが指定した最小のスレッド数が維持されます。スレッドは、ユーザが指定した最大値まで増加します。
プロセスに使用可能なスレッドの数を増やすと、そのプロセスは同時により多くのアプリケーションリクエストに応答できるようになります。サーバレベルで、各プロセスのスレッドの追加や調整を行ったり、そのサーバのすべてのプロセスのスレッド数を定義したりできます。
デフォルトでは、各プロセスは iPlanet Application Server に割り当てられているスレッドを使います。たとえば、iPlanet Application Server が最小 8、最大 64 のスレッドを使う場合、個々のプロセスは最小 8、最大 64 のスレッドを使います。
サーバレベルでスレッドを調整するには
サーバレベルでスレッドを調整するには
サーバに対し、すべてのプロセス (KJS/KCS/KXS および IIOP) のリクエストスレッド数を調整するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、スレッドの数を調整するサーバを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「リクエスト マネージャ」タブをクリックします。
「デフォルト最小スレッド数」テキストボックスに、選択した iPlanet Application Server の各プロセスに使用可能な最小スレッド数を入力します。
「デフォルト最大スレッド数」テキストボックスに、選択した iPlanet Application Server の各プロセスに使用可能な最大スレッド数を入力します。
プロセスレベルでスレッドを調整するには
サーバの下にある各プロセスに別のスレッド設定を指定することもできます。プロセスに指定した数がそのプロセスのデフォルト値となることに注意してください。プロセスレベルの設定値はサーバレベルの設定値より優先されます。サーバの下にあるプロセスに使用可能なスレッド数を調整するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、プロセスを編集するサーバを選択します。サーバを展開してプロセスを表示します。サーバの階層ツリーはサーバの実行時だけ展開できます。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「リクエスト マネージャ」タブをクリックします。
「最小スレッド」テキストボックスに、選択したプロセスに使用可能な最小スレッド数を入力します。
「最大スレッド数」テキストボックスに、プロセスに使用可能な最大スレッド数を入力します。
実行プロセスのリクエスト数の指定
Web コネクタプラグインは、iPlanet Application Server アプリケーションへのユーザリクエストを実行プロセス (KXS) に送ります。これらのリクエストは実行プロセスのリクエストキューに記録されます。
Web コネクタプラグインがプロセスリクエストに対して使う最大スレッド数の制御。これにより、リクエストキューが処理能力以上のリクエストを受け付けないようにする
この節には次のトピックがあります。
サーバレベルでリクエストフローを制御するには
サーバレベルでリクエストフローを制御するには
サーバレベルでのリクエストフローを制御するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、リクエストフローを制御するサーバを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「リクエスト マネージャ」タブをクリックします。
「リクエスト フロー制御を有効にする」チェックボックスをオンにして、リクエスト フローの制御を有効にします。
「デフォルト リクエスト キュー低水位」テキストボックスで、リクエストログをトリガするキューのリクエスト数を指定します。
「デフォルト リクエスト キュー高水位」テキストボックスで、キューの最大リクエスト数を指定します。
- この数は、キューのリクエストが最大数に達した場合にのみ適用できます。次の手順を参照してください。
「変更の適用」をクリックして変更を保存します。
- この数値に達すると、リクエストキューが低水位として指定された数値に減少するまで、ユーザのリクエストは受け取られません。
プロセスレベルでリクエストフローを制御するには
プロセスに対してリクエストフローをカスタマイズすることもできます。プロセスに指定した数がそのプロセスのデフォルト値となることに注意してください。プロセスレベルの設定値はサーバレベルの設定値より優先されます。プロセスのリクエストフローを調整するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、リクエストフローを制御するサーバを選択します。サーバを展開してプロセスを表示します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「リクエスト マネージャ」タブをクリックします。
「リクエスト フロー制御を有効にする」チェックボックスをオンにして、リクエスト フロー制御を有効にします。
「リクエスト キュー低水位」テキストボックスに、ログを再開するキューのリクエスト数を入力します。
「リクエスト キュー高水位」テキストボックスに、キューの最大リクエスト数を入力します。
「変更の適用」をクリックして変更を保存します。
- これらの設定は、サーバレベルのデフォルト設定より優先されます。
Administration Server オプションの設定
Administration Server (KAS) は iPlanet Application Server 内のすべての管理プロセスとタスクを管理します。Administration Server について、サーバリソースの高可用性を実現する複数のオプションを設定できます。これらのオプションを設定することにより、サーバ上で実行するアプリケーションのパフォーマンスの向上や、アプリケーションダウンタイムの発生頻度を減らす対策が可能です。設定可能なオプションは次のとおりです。
実行時に EJB コンテナパラメータを指定する
実行時に EJB コンテナパラメータを指定する
iPlanet Application Server では、ユーザ独自の EJB コンポーネントおよびほかの提供者コンポーネントを使って、分散アプリケーションを構築できる EJB コンテナを提供します。企業向けに iPlanet Application Server を設定する場合は、EJB コンテナの宣言パラメータを設定する必要があります。たとえば、これらのパラメータは、EJB が指定された時間 (秒単位) アクティブでなかった場合に削除されるセッションタイムアウトを決めます。iASAT のエディタを使ってこれらのパラメータを設定します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの右側のペインで「EJB」タブをクリックして EJB コンテナ宣言パラメータエディタを開きます。
「デフォルトセッションタイムアウト」
「変更の適用」をクリックして変更を保存します。
「デフォルト不活性化タイムアウト」
- 指定した時間 (秒単位) EJB へのアクセスがないと EJB は削除されます。ステートフルセッション EJB に適用されます。
「メタデータのキャッシュサイズ」
- EJB のステートがディスクに書き込まれるまでの経過時間 (秒単位)。この値はセッションタイムアウトの値より小さくする必要があります。
「実装キャッシュサイズ」
- EJB のメタデータのキャッシュ。この値は EJB の数以内です。
「タイマー間隔」
- 最大キャッシュサイズは EJB の数以内です。
「フェールオーバー保存間隔」
- EJB プールが EJB を不活性化または削除する必要があるかどうかをチェックする間隔 (秒単位)。
- EJB ステートを保存する頻度 (秒単位)。サーバが失敗した場合、最後に保存された EJB のステートが復元されます。保存されたデータはクラスタ内にあるすべてのエンジンからアクセスできます。この値はサーバごとに設定され、Deployment Tool EJB 記述子エディタの「一般」タブで有効にしたフェールオーバーオプションで配置された EJB に適用されます。
最大エンジン再起動回数を指定する
Executive Server (KXS)、Java サーバ (KJS)、C++ サーバ (KCS)、CORBA Executive Server (CXS) などのプロセスが失敗すると、Administration Server によって再起動されます。再起動オプションを使うと、プロセスが再起動される回数を増減できます。フォールトトレランスとアプリケーションの可用性がすべてのプロセスがスムーズに実行されているときに向上します。Administration Server の再起動オプションを調整するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、再起動オプションを調整する Administration Server がある iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「サーバー」タブを開きます。
「最大エンジン再起動」テキストフィールドに新しい再起動回数値を入力します。
国際化サポートを有効にする
iPlanet Application Server が、さまざまな地域の言語でアプリケーションをサポートするように設定できます。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、国際化を有効にする iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「サーバー」タブをクリックします。
「I18N サポートを有効にする」チェックボックスをオンにします。
注 変更を有効にするには、サーバを停止して再起動する必要があります。詳細は、「iPlanet レジストリエディタによる管理タスクの実行」を参照してください。
JavaServer Pages (JSP) をキャッシュする
各 iPlanet Application Server インスタンスの各 KJS エンジンによってキャッシュされる JSP ページの数を指定できます。JSP をキャッシュすることにより、アプリケーションの応答時間が最適化されます。Administration Server の JSP キャッシュ値を設定するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、JSP キャッシュ値を設定する iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「サーバー」タブをクリックします。
「キャッシュサイズ」テキストフィールドに JSP キャッシュサイズを入力します。キャッシュサイズはページごとに設定されます。
サーバおよびエンジンの最大シャットダウン時間を指定する
Administrative Server のシャットダウン値は、iPlanet Application Server とエンジンプロセス両方に、設定できます。たとえば、エンジンシャットダウン時間を 60 秒に設定すると、処理中のアプリケーションタスクは処理を終了するのに 60 秒まで認められます。この期間の経過後は、新しいリクエストを受け付けません。シャットダウン値を指定することによって、クライアントにエラーを返す「ハード」シャットダウンを回避します。Administration Server のサーバおよびエンジンのシャットダウン時間を設定するには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの左側のペインで、シャットダウン時間を指定する iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「サーバー」タブをクリックします。
「最大エンジンシャットダウン時間」を入力します。
- 「サーバシャットダウン最大時間」を指定します。
- 「サーバシャットダウン最大時間」は、iPlanet Application Server をシャットダウンする最大時間です。この時間を過ぎると、実行中のすべてのエンジンが強制終了されます。通常、負荷が大きくない限り、サーバはすぐにシャットダウンされます。
「変更の適用」をクリックして変更を保存します。
- 「最大エンジンシャットダウン時間」は、iPlanet Application Server がエンジンのシャットダウンを待つ最大時間です。この時間を過ぎると、エンジンは強制終了され、次のエンジンがシャットダウンされます。
マルチプロセスのシングルスレッド環境の実現
Java サーバ (KJS) または C++ サーバ (KCS) プロセスを追加することにより、マルチプロセスのシングルスレッド環境を実現できます。全てがシングルスレッドリクエストモードの複数の KJS プロセスを実行することによって、ユーザのリクエストを同時に処理できる「マルチスレッド」環境を効果的に作成することができます。この環境を実現すると、各プロセスは一度に 1 つのリクエストしか受け取ることができなくなります。これは、サードパーティユーティリティを統合するときに効果的です。iPlanet Application Server マルチスレッドリクエスト環境でサードパーティユーティリティを実行すると、スレッドの安全性の問題など、アプリケーションサーバでは処理できないエラーが発生する場合があります。マルチプロセスのシングルスレッド環境を実現すれば、iPlanet Application Server を拡張したときでも、このような問題を回避することができます。
たとえば、スレッドに対して安全でないサードパーティのユーティリティを KJS プロセス内で実行する場合は、KJS のリクエストスレッドを 1 に調整して、ユーティリティの安全性の問題を解決できます。ただし、この方法では、KJS によってリクエストが 1 つずつ処理されるのをリクエストが待つ間に、リクエストのバックログが作成されます。シングルスレッドリクエストモードで KJS プロセスを実行することによってこの問題を回避し、ユーザのリクエストを同時に処理できる「マルチスレッド」環境を効果的に作成することができます。
Executive Server (KXS) は iPlanet Application Server に送られたすべてのリクエストを分散させるので、KXS プロセスの場合は複数のリクエストスレッドを管理する必要があります。
マルチプロセスのシングルスレッド環境を実現するには、次の手順を実行します。
KJS または KCS プロセスを追加します。
これらのプロセスに割り当てられたリクエストスレッドを 1 に調整します。
- 「Java および C++ サーバプロセスの追加と調整」を参照してください。
- 「リクエスト処理のスレッド数の調整」を参照してください。
Directory Server のフェールオーバーの設定
iPlanet Application Server インスタンスに接続されている Directory Server は、Directory Server のクラスタ内にあるすべてのアプリケーションサーバで共有されるグローバルな情報を保持します。Directory Server のクラスタは、1 台の Directory Server を共有する 1 つまたは複数の iPlanet Application Server インスタンスです。LDAP サーバの詳細は、「LDAP とは」を参照してください。このグローバルに共有される情報を保護するには、プライマリサーバが失敗した場合にバックアップとして機能するようにセカンダリ Directory Server を設定する必要があります。プライマリ Directory Server が設定されているマシン以外に、バックアップ用の Directory Server をインストールする必要があります。
フェールオーバー用にバックアップ Directory Server を設定するには、次の手順を実行します。
別のマシンに iPlanet Directory Server 5.0 をインストールします。インストールの詳細については、iPlanet Directory Server に付属のマニュアルを参照してください。
バックアップ Directory Server をコンシューマ (Consumer) として設定します。
バックアップ Directory Server のホスト名およびポート番号が含まれるように、プライマリ Directory Server の設定を変更します。
2 つの Directory Server 間のレプリケーション・アグリーメント (Replication Agreement) を作成します。
iPlanet Application Server の Web なしインストールの場合は、Web コネクタの iPlanet レジストリエントリを変更します。
サプライヤ開始レプリケーションの設定
サプライヤ開始レプリケーションは、ディレクトリツリーとサブツリーのマスターコピーを保持しているサーバが、コンシューマ Directory Server にディレクトリデータをレプリケートするレプリケーション設定です。サプライヤ開始レプリケーションを設定するには、まず、レプリケーション設定の更新を受け取るバックアップ Directory Server を設定する必要があります。次に、プライマリ Directory Server の特定のディレクトリツリーのレプリケーション・アグリーメントを設定する必要があります。バックアップ Directory Server が、レプリケーション設定を受け入れるように設定すると、プライマリ Directory Server に行った変更はバックアップ Directory Server にレプリケートされます。
バックアップ Directory Server を設定するには
プライマリ Directory Server を設定するには
バックアップ Directory Server を設定するには
バックアップ Directory Server (Consumer) を、サプライヤからのレプリケーションの更新を受け入れるように設定するには、次の手順を実行します。
バックアップ Directory Server がインストールされているマシン上で iPlanet Console を起動します。
次の図に示すように、Directory Server を選択します。
- Windows システムでは、「スタート」メニューを開き「プログラム」>「iPlanet Server Products」>「iPlanet Console 6.5」を選択します。
- Windows システムでも Solaris システムでも、パス <iASInstallDir> に移動し、コマンドラインプロンプトに「startconsole」と入力します。
図 6-1    iPlanet Console 画面 ![]()
図 6-2    バックアップ Directory Server ![]()
図 6-3    「バックアップ Directory Server の設定」 ![]()
「Enable Replica」を選択します。
「Dedicated Consumer」を選択して、この Directory Server をバックアップ Directory Server に設定します。
「Replica ID」に番号を入力します。1 〜 255 の間の番号を入力できます。
バックアップ Directory Server のエントリが期限切れになるまでの日数を入力します。
「Supplier DN」テキストフィールドに有効な識別名を入力します。たとえば、「cn=Directory Manager」のように入力します。
- サプライヤが作成したエントリを保存しない場合は、「違う」を選択します。
「保存」をクリックして変更を確定します。
- サプライヤ Directory Server で 4.x バージョンの iPlanet Directory Server を使用している場合は、「Updatable by a 4.X Replica」を有効にします。その場合、「Legacy Consumer Settings」タブで追加設定を行う必要があります。
- これで、バックアップ Directory Server が設定されました。次に、ここで設定したコンシューマに更新情報を送信するためにプライマリ Directory Server、あるいは サプライヤを設定する必要があります。
プライマリ Directory Server を設定するには
プライマリ Directory Server (サプライヤ) がバックアップ Directory Server を更新するように設定するには、次の手順に従います。
バックアップ Directory Server がインストールされているマシン上で iPlanet Console を起動します。
「Directory Server」を選択して「開く」をクリックします。
- Windows システムでは、「スタート」メニューを開き、「プログラム」>「iPlanet Server Products」>「iPlanet Console 6.5」を選択します。
- Windows システムでも Solaris システムでも、パス <iASInstallDir> に移動し、コマンドラインプロンプトに「startconsole」と入力します。
- 次のダイアログが表示されます。
図 6-4    「プライマリ Directory Server」 ![]()
「Enable Changelog」をクリックします。
変更ログデータを保存するディレクトリを選択します。
- レプリケーション・アグリーメントの処理を行うには、このオプションを選択する必要があります。
「保存」をクリックして変更を確定します。
- これは、この Directory Server の設定値に対するすべての変更が記録されるディレクトリです。「Changelog database directory」テキストフィールドに変更ログデータベースディレクトリを指定します。ディレクトリを選択するには「Browse」をクリックし、デフォルトの変更ログディレクトリを設定するには「Use default」をクリックします。
- デフォルトのディレクトリは iASInstallDir/slapd-machine_name/changelogdb に設定されます。
左側のペインで、「Replication」を展開して「NetscapeRoot」を選択します。
- 次のダイアログが表示されます。
図 6-5    「プライマリ Directory Server の設定」 ![]()
「Enable Replica」を選択します。
これで、プライマリ Directory Server のサプライヤとしての設定は完了です。次に、サプライヤ Directory Server とコンシューマ Directory Server の間のレプリケーション・アグリーメントを作成する必要があります。「Single Master」を選択して、この Directory Server をプライマリ Directory Server (サプライヤ) に設定します。
「Replica ID」に番号を入力します。1 〜 255 の間の番号を入力できます。
- 1 つのコンシューマに対して複数のサプライヤ Directory Server を設定し、それぞれが同じサブツリーを保持する場合は、「Multiple Master」オプションを選択します。複数マスターによるレプリケーション設定の詳細については、iPlanet Directory Server のマニュアルを参照してください。
バックアップ Directory Server のエントリが期限切れになるまでの日数を入力します。
「Supplier DN」テキストフィールドに有効な識別名を入力します。たとえば、「cn=Directory Manager」のように入力します。
- サプライヤが作成したエントリを保存しない場合は、「違う」を選択します。
「保存」をクリックして変更を確定します。
- Supplier Directory Server で 4.x バージョンの iPlanet Directory Server を使用している場合は、「Updatable by a 4.X Replica」を有効にします。その場合、「Legacy Consumer Settings」タブで追加設定を行う必要があります。
レプリケーション・アグリーメントを作成するには
2 つの Directory Server 間のレプリケーション・アグリーメントを作成するには、次の手順に従います。
プライマリ Directory Server のコンソールで 「NetscapeRoot」>「New Replication Agreement...」を右クリックします。
図 6-6    レプリケーション・アグリーメントの設定 ![]()
このレプリケーション・アグリーメントを識別するための名前と説明を入力します。
バックアップ (コンシューマ) Directory Server の URL と認証証明書を入力します。
- たとえば、「Name」に「ReplicaOne」と入力し、「説明」に「iAS LDAP failover」と入力します。
- 「次へ」をクリックします。
図 6-7    Consumer とユーザ証明書の指定 ![]()
「Consumer」テキストフィールドに、バックアップ Directory Server がインストールされているマシンのホスト名を入力します。
「Other」をクリックします。次の図のように、「Consumer Server Information」ポップアップウィンドウが開きます。
「Host name」テキストフィールドに、バックアップ Directory Server がインストールされているマシンのホスト名を入力します。
「OK」をクリックして確認します。これで、「Source and Destination」ウィンドウに Consumer 名が表示されます。
- 「Port number」テキストフィールドのポート番号がプライマリ Directory Server のマシンのポート番号と異なる場合は、ポート番号を入力します。
簡単で直接的な認証の場合は、「Simple authentication」を選択します。
注 より高レベルのセキュリティが必要な場合は、暗号化された SSL コネクションを選択できます。このオプションを選択すると、ユーザは SSL (Secure Socket Layer) プロセスによって認証されます。認証サーバのサブジェクト DN の指定が必要になります。詳細については、iPlanet Directory Server のマニュアルを参照してください。
「Bind as」テキストフィールドに有効な識別名を指定します。プライマリサーバでは、これを使ってバックアップ Directory Server にバインドします。
「Password」テキストフィールドに、iPlanet Application Server のインストール時に使ったパスワードを入力します。
注 Solaris システムでは、iPlanet Application Server の複数のインスタンスを保持できます。入力したパスワードが、設定するバックアップ Directory Server の iPlanet Application Server インスタンスのパスワードであることを確認してください。
必要なレプリケーションスケジュールを選択します。
図 6-8    レプリケーションスケジュールの指定 ![]()
コンシューマへの接続の起動に使用する方法を選択します。
図 6-9    コンシューマ初期化オプション ![]()
この時点でレプリケーションを中止するには、「Do not initialize consumer」を選択します。このオプションを選択すると、データはバックアップ Directory Server にレプリケートされません。
「Initialize consumer now」ラジオボタンをオンにします。このオプションによって、バックアップ Directory Server がただちに初期化されます。これでバックアップ Directory Server のレプリケーションの準備ができました。
ファイルにデータを書き込む場合は、「Create consumer initialization file」を選択します。データを保存するための .ldif ファイルを選択します。このファイルはあとでバックアップ Directory Server にコピーされます。詳細は、「LDIF による Directory Server へのエントリの追加」を参照してください。
選択した値が summary 画面に表示されます。
「完了」をクリックしてレプリケーション・アグリーメントの手順を完了します。変更がある場合は、「戻る」をクリックします。
レプリケーションが正しく完了すると、確認メッセージが表示されます。
- 「Initialize Consumer」画面で「initialize consumer now」オプションを選択した場合は、この時点でバックアップ Directory Server がプライマリ Directory Server によって更新されます。
注 cn=iasRoot をレプリケートする必要があります。このノードもレプリケーションスキーマに追加するには、「レプリケーション・アグリーメントを作成するには」の手順に従ってください。
iASAT でバックアップ Directory Server を設定するには
バックアップ Directory Server をインストールしてレプリケートしたら、iASATで、プライマリ Directory Server の設定を変更し、バックアップ Directory Server の名前とポート番号を入力する必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。
iASAT ツールバーの「一般」をクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
これでバックアップ Directory Server が設定できました。iPlanet Application Server と連動するように設定した Directory Server が、常に 1 つ以上必要であることに注意してください。バックアップ Directory Server を設定する iPlanet Application Server インスタンスを選択します。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「LDAP」タブを開きます。次のウィンドウが表示されます。
プライマリ Directory Server を選択し、「変更」をクリックします。次のダイアログボックスが表示されます。
- 使用している iPlanet Application Server インスタンスに関連付けられている Directory Server がウィンドウに表示されます。
上の図に示すように、「ホスト名」フィールドで、既存のホスト名の後ろに空白を挿入し、バックアップ Directory Server がインストールされているマシンの名前を入力します。バックアップ Directory Server マシンのポート番号が異なる場合は、ホスト名の隣にコロン (:) を挿入し、ポート番号を指定します (bozo viper:399 など)。
「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。
- ポート番号の指定が必要なのは、ホストのポート番号と異なる場合だけです。
注 Directory Server を削除するには、iASAT の「一般」ウィンドウの右側のペインで削除する Directory Server を選択し、「削除」をクリックします。
Web コネクタプラグインのレジストリエントリを設定するには
バックアップ Directory Server を設定すると、iPlanet Application Server によって、iPlanet レジストリに必要なバックエンドエントリが作成されます。ただし、iPlanet Application Server の Web なしインストールの場合、つまり iPlanet Application Server および Web コネクタが別のマシンにインストールされている場合は、iPlanet レジストリのインスタンスを 2 つの持っていることになります。バックアップ Directory Server がインストールされているマシンのホスト名とポート数で、Web コネクタ上の iPlanet レジストリエントリを更新する必要があります。バックアップの Directory Server の詳細で iPlanet レジストリを更新するには、次の手順を実行します。
Web コネクタがインストールされているマシン上で iPlanet レジストリを起動します。
Host=<hostname> 値を選択します。
既存のホスト名の後ろに空白を挿入し、バックアップ Directory Server がインストールされているマシン名を入力します。バックアップ Directory Server マシンのポート番号が異なる場合は、ホスト名の隣にコロン (:) を挿入し、ポート番号を指定します。
- この値をダブルクリックして開くか、または、「編集」メニューから「値を変更」を選択します。「値を変更」ダイアログボックスが表示されます。
図 6-10    コンシューマDirectory Server のレジストリへの追加 ![]()
変更を有効にするには、iPlanet レジストリエディタを停止して、再起動します。
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最新更新日 2002 年 3 月 6 日