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iPlanet Application Server 管理者ガイド



第 2 章   サーバの稼動状況の監視


この章では、iASAT によって提供される監視サービスについて説明します。このサービスを使うと、Executive Server、Java サーバ、C++ サーバ、およびブリッジサーバプロセスのさまざまな属性をチャートにできます。

この章には次のトピックがあります。



iPlanet Application Server の監視

iPlanet Application Server Administration Tool (iASAT) は、iPlanet Application Server を構成する Executive Server、Java サーバ、C++ サーバ、およびブリッジサーバの稼動状況をグラフにする監視サービスを提供します。その情報をファイルに記録することもできます。このようにサーバの稼動状況をグラフィカルに表示したり、ファイルにデータとして記録したりすることによって、1 つのアプリケーションサーバまたはサーバグループのパフォーマンスを追跡して確認し、向上させるように調整することができます。たとえば、アプリケーションサーバにメモリを追加する場合や、新しいアプリケーションを配置する場合は、アプリケーションサーバのパフォーマンスを監視して、これらの変更の影響について調査できます。

iPlanet Application Server の監視サービスでは、指定された間隔でアプリケーションサーバをポーリングします。サーバは監視している情報を常に更新するのではなく指定された間隔で更新するので、サーバリソースを節約できます。この間隔は「モニタ」ウィンドウで指定できます。間隔の設定については、「プロセスデータプロットを変更するには」を参照してください。

監視するプロセスをクリックすると、Administration Tool から「モニタ」ウィンドウが「ポップアップ」します。これによって、Administration Tool を使って他の管理タスクの実行を継続しながら、独立したウィンドウでサーバの稼動状況を監視できます。

この節では、次のトピックについて説明します。


プロセス属性の監視

チャートにできるサーバの状態つまり属性は、どのサーバ、つまりどのプロセスをモニタしているかによって異なります。

Executive Server (KXS) プロセスには、ロードバランスサービスなどのシステムレベルのサービスを管理しホスティングする役割やアプリケーションコンポーネントの作成言語に応じて Java サーバまたは C++ サーバのどちらかのアプリケーションプロセスの 1 つにリクエストを転送する役割があります。

次の表は、チャートにできる Executive Server プロセスの属性を示します。


表 2-1    Executive Server の監視属性  

Executive Server プロセス属性 (KXS)

説明

CPU 負荷  

ロードバランスサービスによって計算された、この Executive Server プロセスが実行している CPU 負荷の量  

ディスク入出力  

ロードバランスサービスによって計算された、この Executive Server が稼動しているシステムで発生した読み書き動作のレート  

メモリスラッシュ  

参照時にメモリになかったページへのメモリ参照を解決するために、ハードディスクドライブから読み込まれるかまたはそのドライブに書き込まれるページの数  

キューに入っているリクエスト  

処理のキューで待っている現在のリクエストの数  

キャッシュ結果  

結果キャッシュに保存されているエントリの数  

平均実行時間  

リクエストを実行する Executive Server プロセスの平均時間  

リクエスト/間隔  

最後のポーリングのあとに受信した新しいリクエストの数  

リクエスト数の合計  

起動時にプロセスが受信したリクエストの数の合計 (サーバまたはプロセスを起動するときはこの値を 0 にリセットする)。実行プロセスの場合、この値は、サーバがすべてのサーバプロセスで実行したリクエストの数の合計になる  

現在のリクエスト  

現在のサーバによって処理されているリクエストの数 (KJS/KCS エンジン内で分散され、処理されているすべてのリクエストを含む)  

リクエスト待機  

サービスを待っているキュー内のリクエストの数  

リクエスト準備完了  

サービスの準備ができたキュー内のリクエストの数  

現在のリクエストスレッド  

プロセスによって割り当てられるリクエストスレッド数 (アイドルスレッドとリクエストを処理中のスレッドの両方を含む)。この数は、このプロセスに設定されている最大数スレッドを超えたり、最小数スレッドより少なくなったりすることはない。これらの値は「一般」ウィンドウで設定する  

リクエストスレッド待機  

新しい受信リクエストを実行するために使用可能なリクエストスレッド数。この数は、現在のリクエストスレッドの監視属性のサブセットになる  

合計スレッド  

プロセスによって使われるスレッド数  

送信バイト/間隔  

最後にポーリングしてから送信した新しいバイト数  

受信したバイト/間隔  

最後にポーリングしてから受信した新しいバイト数  

現在のセッション  

現在処理されているセッションの数  



CPU 負荷、ディスク I/O、またはメモリスラッシュを監視する場合は、これらのプロセス属性の統計を更新する間隔を指定する必要があります。間隔を設定するには、「ロードバランス」ボタンを選択します。「ユーザ定義クライテリア (iAS 駆動)」を選択して、「変更の適用」タブをクリックします。



Java サーバ (KJS) および C++ サーバ (KCS) プロセスには、記述言語に応じて アプリケーション 要素をホスティングする役割があります。Java サーバは Java で書かれた アプリケーション コンポーネントを管理し、C++ サーバは C++ で書かれたコンポーネントを管理します。さらに、CORBA Executive Server (CXS) またはブリッジプロセスを使うと、独立した Java クライアント (リッチクライアント) は、Java サーバ上でホストされる Enterprise JavaBeans と直接通信できます。リッチクライアントについては、『開発者ガイド (Java)』を参照してください。

次の表は、チャートにできる Java サーバ、C++ サーバ、およびブリッジサーバのプロセスの属性を示します。


表 2-2    Java、C++、および IIOP ブリッジサーバの監視属性 

Java/C++、およびブリッジサーバのプロセス (KJS、KCS、および CXS) の監視属性

説明

平均実行時間  

リクエストを実行するプロセスの平均時間  

リクエスト/間隔  

時間間隔内に受信した新しいリクエストの数  

リクエスト数の合計  

最後の起動後にプロセスが受信したリクエストの数の合計。サーバまたはプロセスを起動するときはこの値を 0 にリセットする  

現在のリクエスト  

現在このプロセスによって処理されているリクエスト数  

リクエスト待機  

サービスを待っているキュー内のリクエストの数  

準備完了リクエスト  

サービスの準備ができたキュー内のリクエストの数  

現在のリクエストスレッド  

プロセスによって割り当てられるリクエストスレッド数 (アイドルスレッドとリクエストを処理中のスレッドの両方を含む)。この数は、このプロセスに設定されている最大数スレッドを超えたり、最小数スレッドより少なくなったりすることはない。これらの値は「一般」ウィンドウで設定する  

リクエストスレッド待機  

新しい受信リクエストを実行するために使用可能なリクエストスレッド数。この数は、現在のリクエストスレッド監視属性のサブセットになる  

アクティブデータコネクション  

現在アクティブなデータコネクションの数  

キャッシュされたデータコネクション  

現在キャッシュされているデータコネクションの数  

クエリ/間隔  

時間間隔内に実行されたクエリの数  

コミットされたトランザクション/間隔  

時間間隔内にコミットされたトランザクションの数  

ロールバックされたトランザクション/間隔  

時間間隔内にロールバックされたトランザクションの数  

合計スレッド  

プロセスによって使われるスレッド数  

送信バイト/間隔  

最後にポーリングしてから送信した新しいバイト数  

受信したバイト/間隔  

最後にポーリングしてから受信した新しいバイト数  

各プロセスに対して、1 つまたは複数の属性をチャートにできます。複数のサーバを備えた企業の場合は、いくつかのアプリケーションサーバの属性を同時にチャートにすることもできます。


プロセス属性を監視するには

プロセス属性を監視するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「モニタ」をクリックして「モニタ」ウィンドウを開きます。

  2. 「モニタ」ウィンドウの左側のペインで、次の図のように属性をチャートにするプロセスをクリックします。



    次の図のように、iASAT から別の監視パネルがポップアップします。



  3. iASAT の「モニタ」ウィンドウの右側のペインで、ウィンドウのいちばん下にある「プロットの追加」ボタンをクリックします。

    「プロットの追加」ダイアログが開き、強調表示されたプロセスについてどの属性を監視するかを指定します。



  4. 「属性」ドロップダウンリストからチャートにする属性を選択します。

  5. 「スケール」ドロップダウンリストから属性をプロットする割合 (スケール) を選択します。

    値の範囲は 10:11:1,000,000 です。10 : 1 のスケールは、「プロセスモニタ」ウィンドウで 10 ユニットが各属性カウントに対してプロットされることを示します。

  6. 「色」ドロップダウンリストからチャートでプロセス属性を表す色を選択します。

  7. チャートにする各プロセスまたは属性について、手順 2 〜 6 を繰り返します。

    チャートにするように選択した各プロセス属性が「モニタ」ウィンドウに表示されます。



  8. 「時間間隔」ドロップダウンリストから「iASAT プロセス モニタ」ウィンドウの更新間隔を選択します。

    この設定は「モニタ」ウィンドウに表示されるすべてのプロセス属性に適用されます。


プロセスデータをファイルに記録するには

プロセス属性の監視を開始すると、監視サービスによって収集されたデータをファイルに送信できます。

プロセスデータをファイルに記録するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「モニタ」をクリックして「モニタ」ウィンドウを開きます。

  2. 「モニタ」ウィンドウの左側のペインで、データをチャートにするプロセスをクリックします。

  3. 「モニタ」ウィンドウの右側のペインで「オプション」をクリックします。

    次のダイアログボックスが表示されます。



  4. 「ファイルにログ」チェックボックスをクリックしてロギングサービスを有効にします。

  5. 「ファイル名」テキストフィールドにデータの書き込み先のファイル名を入力します。

  6. 「OK」をクリックして変更を保存します。


プロセスデータプロットを変更するには

属性データプロットがプロセス (KCS、KJS、および KXS) に指定されると、「属性」、「色」、および「スケール」ドロップダウンボックスを使ってプロットを調整することができます。

プロセス属性のプロット方法を変更するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「モニタ」をクリックして「モニタ」ウィンドウを開きます。

  2. 「モニタ」ウィンドウの右側のペインで、属性を変更するプロセス行をクリックします。

  3. 属性を変更するには、「属性」カラムをクリックして、ドロップダウンリストからプロットする新しい属性を選択します。

  4. 同様に、「色」および「スケール」カラムをクリックして属性のプロット方法を変更します。


プロセスデータプロットを削除するには

プロセス属性のプロットが不要になった場合は、プロットからプロセスプロットを削除します。

プロセスプロットを削除するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「モニタ」をクリックして「モニタ」ウィンドウを開きます。

  2. 「モニタ」ウィンドウの左側のペインで、右側のペインにプロセス行を表示するプロセスを選択します。

  3. 「モニタ」ウィンドウの右側のペインで、属性を削除するプロセスをクリックします。

  4. 「プロットの削除」をクリックします。

    「モニタ」ウィンドウから属性が削除されます。



イベント通知の受信

iPlanet Application Server をアクティブに監視できないときにはイベント通知が役に立ちます。この受動モニタシステムは、プロセスが失敗したときなど、重大な状況のときだけ実行されます。

関係者の電子メールアドレスを入力することによって、重大な状況が発生したときに、1 人または複数の関係者に電子メールで警告するようにシステムを設定できます。さらに、特定のイベントが発生したときに、自動的に実行するスクリプトを指定できます。

この節には次のトピックがあります。


イベントについて

次の重大なイベントに関して、通知する関係者や実行するスクリプトを指定できます。

  • Executive Server (KXS) のダウン

  • Java サーバ (KJS) のダウン

  • C++ サーバ (KCS) のダウン

  • プロセス自動再起動数の超過

  • 異常なクラスタの検出

この節では次のトピックについて詳しく説明します。


サーバがダウンした場合は

1 つまたは複数の Executive Server、Java サーバ、または C++ サーバプロセスがダウンすると、Administrattive Server は各プロセスの再起動を試みます。Administration Server によってプロセスを再起動できないと、アプリケーションが実行を停止してトランザクションを失う可能性があります。

失敗を繰り返すのは通常、アプリケーションコード内に問題があるためですが、他の失敗も発生する可能性があります。プロセスの失敗原因に関係なくすぐに通知することをお勧めします。

プロセスが再起動したときは、失敗の原因を調べて今後の失敗を避けるための調整が可能かどうかを判別します。プロセスが再起動しないときは、ログを調べて失敗の原因を見つけてください。


再起動数を超えた場合は

Administration Server がプロセスを再起動する回数を超えた場合も通知できます。エンジンの最大再起動回数値は、「一般」ウィンドウの「サーバ」タブで設定されています。

Administration Server の再起動オプションの回数が少ないときは再起動の回数を増やして、プロセスが失敗した原因を調べてください。


異常なクラスタが検出された場合は

異常なクラスタ状態が検出された場合も通知できます。動作している通常のクラスタ内には、プライマリデータが格納される 1 つの Sync Primary iPlanet Application Server があります。この Sync Primary iPlanet Application Server を使って、すべてのクラスタメンバーが最新の分散データ情報を得ます。異常なクラスタはプライマリの重複またはプライマリなしの状態が検出された場所にあります。

「一般」ウィンドウの「クラスタ」タブにある「異常クラスタの場合は再起動」チェックボックスをオンにします。iPlanet Application Server は、クラスタ内に Sync Primary が 1 つだけ存在するように、適切なプロセスを再起動します。クラスタについては、「分散のデータ同期の管理」を参照してください。


イベントに関する電子メール通知を設定するには

イベントに関する電子メール通知を送信するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「イベント」をクリックして「イベント」ウィンドウを開きます。

  2. 「イベント」ウィンドウの左側のペインでイベントを設定するサーバを選択します。

  3. 「イベント」ウィンドウの右側のペインで、次の図のように対応するチェックボックスをクリックすることによって、通知するイベントを選択します。



  4. 「電子メールアドレス」フィールドでは、通知の送信先の電子メールアドレスを指定します。複数の電子メールアドレスを使用する場合は、各電子メールアドレスをセミコロン (;) で区切ります。

  5. 「メールサーバ」フィールドでは、通知がどのメールサーバを経由して送信されるかを指定します。次の形式を使います。

    mail.company.com

  6. このサーバに関して送信された最新のイベントを見るには、「イベントのポーリング」をクリックします。

    「イベントのポーリング」ダイアログボックスには、選択したサーバの最新のイベントが一覧表示されます。



    「イベントのポーリング」ボタンをクリックするとイベントが削除されます。つまり、ユーザが参照したイベントは、次にイベントセットを表示したときにはもう表示されません。



  7. 「変更の適用」をクリックして変更を保存します。


イベント起動スクリプトを指定するには

イベント通知サービスを設定してスクリプトを実行することができます。スクリプトはシステム管理者に問題点を通知して注意を促したり、重大なイベントに直面したときにシステムが引き続き円滑に稼動できるよう他の自動タスクを実行したりできます。

スクリプトは実行されると、引数を渡して発生したイベントのタイプを示します。たとえば、次のコマンドは Java サーバ (KJS) プロセスがクラッシュしたことを示しています。

/script location/ crash kjs

イベント通知サービスを設定してイベントに応じたスクリプトを実行するには、次の手順を実行します。

  1. iASAT ツールバーの「イベント」をクリックして「イベント」ウィンドウを開きます。

  2. 「イベント」ウィンドウの左側のペインからイベントを設定するサーバを選択します。

  3. 「イベント」ウィンドウの右側のペインで、スクリプトを起動するイベントのチェックボックスをクリックします。

  4. 「スクリプト名」フィールドでは実行するスクリプトのパスを指定します。次のようにします。

    /mydir/scripts/myscript.pl

  5. 「変更の適用」をクリックして変更を保存します。


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最新更新日 2002 年 3 月 6 日