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iPlanet Application Server 管理者ガイド |
第 3 章 iPlanet Application Server をサードパーティツールを使って監視するよう SNMP を設定する
この章では、SNMP (Simple Network Management Protocol) を設定する方法について説明します。サードパーティの SNMP 管理ツールを使って iPlanet Application Server を監視できます。
SNMP について
SNMP は、ネットワークの状態に関するデータの交換のために使われるプロトコルです。SNMP によって、データはアプリケーションサーバと、ネットワーク管理ソフトウェアがインストールされているワークステーションの間で移動します。ワークステーションからリモートでネットワークを監視して、サーバ間のネットワークの稼動状況に関する情報を交換できます。たとえば、HP OpenView などのアプリケーションを使って、アプリケーションサーバが受信するエラーメッセージの数やタイプのほかに、どの iPlanet Application Server マシンが実行中かを監視できます。
注 iPlanet Application Server の SNMP サポートは、Windows プラットフォームでは使用できません。
ネットワーク管理ワークステーションは、サブエージェントおよびマスターエージェントの 2 つのタイプのエージェントを介して、企業内のアプリケーションサーバに関する情報を交換します。サブエージェントは、アプリケーションサーバに関する情報を収集してマスターエージェントにその情報を渡します。マスターエージェントは、各種のサブエージェントとネットワーク管理ワークステーションとの間で情報を交換します。マスターエージェントは、通信するサブエージェントと同じホストマシンで動作します。
図 3-1    SNMP エージェントサポートアーキテクチャ ![]()
SNMP 統計収集を有効にする
統計収集を有効にしない限り、iPlanet Application Server SNMP サブエージェントはネットワーク管理ワークステーションに SNMP 統計を報告しません。統計収集が無効の場合は、サブエージェントを起動できません。
注
SNMP データ収集プロセス (snmpcoll) が実行中でない場合は、iPlanet Administration Administration Console を確認して SNMP 有効フラグがオンになっているかどうかを確認します。詳細については、http://docs.iplanet.com/ の Managing Servers with iPlanet Consoleを参照してください。
起動サーバを無効にすると、この収集プロセスも無効になります。
iPlanet Application Server Administration Tool (iASAT ) のツールバーの「一般」ボタンをクリックして「一般」ウィンドウを開きます。
「一般」ウィンドウの右側のペインにある「SNMP」タブをクリックします。
「SNMP 管理と監視を有効にする」チェックボックスをオンにします。
マスターエージェントの接続に問題がある場合は、「SNMP デバックを有効にする」をオンにしてエラーメッセージを記録します。
「コネクション試行間隔」テキストフィールドで間隔を指定します。
MIB (Management Information Base) について
iPlanet Application Server はサーバの MIB (Management Information Base) と呼ばれるツリー状の階層構造で、ネットワーク管理に関する変数を格納しています。iPlanet Application Server はこれらの変数を含むメッセージを送信してネットワーク管理ワークステーションに重要なイベントを報告します。ネットワーク管理ワークステーションは、データに関するサーバの MIB のクエリを実行したり、MIB に保存されている変数をリモートで変更したりできます。
MIB エントリの書式設定
MIB ファイルには管理されたオブジェクト、つまり変数についての定義が含まれており、サーバに関するネットワーク情報を保存します。各変数の定義には、変数名、データ型、読み込み/書き込みアクセスレベル、簡単な説明、および永続オブジェクト識別子が含まれています。次のサンプルエントリは、nsmailEntityDescr 変数の定義を示しています。
nasKesMaxThread OBJECT-TYPE / オブジェクトタイプ SYNTAX INTEGER (SIZE (1..512)) / 構文
ACCESS read-write / 読み込み/書き込みアクセス
レベルDESCRIPTION / 説明
"The maximum number of threads used to serve requests."
オブジェクトタイプ :変数名を指定する。この例では、iasKesMaxThread
構文 : ASN.1 表記法で、さまざまなオブジェクトタイプの抽象データタイプを指定する。たとえば、nasKesMaxThread 変数の構文は INTEGER (SIZE (1..512))
アクセス : 変数のアクセスレベルを指定する。指定可能なアクセスレベルは、read-only (読み込み専用)、read-write (読み込み/書き込み)、write-only (書き込み専用)、または not-accessible (アクセス不可)
ステータス : 要素が必須か、オプションか、または古いかを知らせる
説明 : 二重引用符で囲まれた要素の説明テキスト。たとえば、nasKesMaxThread 変数の説明は、"The maximum number of threads used to serve requests." となる
オブジェクト ID : MIB 名前ツリー内で各管理対象オブジェクトの永続 ID として名前空間に割り当てられた名前。SNMP にあるオブジェクトは階層構造になっている。オブジェクト ID は、階層内のオブジェクトを表す一連のラベル。たとえば、nasKesMaxThread は kes 4 として識別される。これは、nasKesMaxThread がサブツリー kes ではラベル 4 であることを表す
サードパーティの SNMP 管理ソフトウェアを使って MIB を有効にする
MIB の有効化に関する詳しい手順については、SNMP 管理ソフトウェアを参照してください。通常は、iPlanet Application Server の MIB を Network Management マシンにコピーして、その後それを SNMP 管理ソフトウェアの MIB データベースに読み込みます。iPlanet Application Server の MIB データベースは次の場所から入手できます。
マスターエージェントおよびサブエージェントの設定
SNMP マスターエージェントは Solaris オペレーティングシステムにネイティブです。マスターエージェントの動作は、CONFIG という名前のエージェントコンフィグレーションファイルで定義されています。COMFIG ファイルは手動で編集できます。
注 この手順は、推奨パッチを適用した Solaris 2.6 が動作していることを前提とします。iPlanet Web Server がインストールされていることも前提とします。
SNMPマスターエージェントを設定するには
マスター SNMP エージェントを設定するには、次の手順を実行します。
root としてログインします。
カプセル化機能は、マスターエージェントからポート 1161 で現在待機している Solaris エージェントにリクエストを転送します。ポート 161 に実行中の Solaris SNMP デーモン (snmpdx) があることを確認します。
/etc/rc3.d にある Solaris SNMP デーモンの起動ファイル s76snmpdx を編集して、デーモンが待機するポートを変更します。
サーバのルートディレクトリの <iASInstallDir>/ias/snmp にある CONFIG ファイルを編集します。
- 開始セクションで、次のどちらかの行、
- /usr/lib/snmp/snmpdx -y -c /etc/snmp/conf
- または
- /usr/lib/snmpdx -p 161 -y -c /etc/snmpconf
- を
- /usr/lib/snmp/snmpdx -p 1161 -y -c /etc/snmp/conf に置き換えます。
- これで、デーモンが待機するポートが 161 から1161 に変更されました。
(オプション) CONFIG ファイルにある sysContact および SysLocation 変数を定義します。
- CONFIG ファイルでは、マスターエージェントとともに動作するコミュニティおよびマネージャを定義します。マネージャの値は、有効なシステム名または IP アドレスにしてください。基本的な CONFIG ファイルの例は次のとおりです。
- CONFIG ファイルを編集して、MIB-II 変数 sysContact および sysLocation を指定する、sysContact および sysLocation の初期値を追加できます。この例の sysContact および sysLocation の文字列が二重引用符で囲まれていることに注意してください。スペース、改行、タブなどが含まれている文字列は、二重引用符で囲む必要があります。16 進数の値を指定することもできます。
- この例の CONFIG ファイルでは、sysContract および sysLocation 変数が定義されています。
sysLocation "Server room 501 East Middlefield Road Mountain View, CA 94043 USA"
SNMP マスターエージェントを起動するには
SNMP マスターエージェントをインストールすると、手動または iPlanet Console を使って SNMP マスターエージェントを起動できます。マスターエージェントを手動で起動するには、コマンドプロンプトで次のように入力します。
INIT ファイルは、システムの場所や連絡先情報など、MIB-II システムグループからの情報が格納された不揮発性ファイルです。INIT が存在しない場合は、マスターエージェントを最初に起動したときに作成されます。CONFIG ファイルで無効なマネージャ名が指定されている場合は、マスターエージェントの起動に失敗します。
注 INIT にはローカルシステムに関する情報が格納されています。このファイルは、マスターエージェントを最初に起動するときに作成されます。このファイルをほかのマシンにコピーしないでください。
サーバを起動したときにマスターエージェントを自動的に起動するには、次の手順を実行します。
ファイル ias/snmp/k75snmpmagt および ias/snmp/s75snmpmagt を編集します。
マスターエージェントを標準以外のポートで手動で起動するには、次の2 つの方法のどちらかを使います。$GX_ROOTDIR 変数がまだルートの環境に定義されていない場合は、この変数を iPlanet Application Server インストールディレクトリパスに変更します。
k75snmpmagt を /etc/rc2.d に、s75snmpmagt を /etc/rc3.d にコピーします。
方法 1 : CONFIG ファイルに、マスターエージェントがマネージャからの SNMP リクエストを待機する各インターフェイスのトランスポートマッピングを指定します。トランスポートマッピングを使うと、マスターエージェントは標準ポートと標準以外のポートで接続を受け入れることができます。また、マスターエージェントは、標準以外のポートで SNMP トラフィックを受け入れることもできます。同時 SNMP の最大数は、1 プロセス当たりのオープンソケット数またはファイル記述子数に関するシステムの制限値によって決まります。トランスポートマッピングのエントリの例を次に示します。
方法 2 : /etc/services ファイルを編集して、マスターエージェントが標準ポートと標準以外のポートでもコネクションを受け入れることができるようにします。
SNMP 設定を確認するには
この章で説明されている手順を実行すると、SNMP セットアップを確認することができます。
iPlanet Application Server を終了します。iPlanet Application Server の起動と終了についての詳細は、「iASAT によるサーバの起動と終了を行うには」を参照してください。
Directory Server が動作していることを確認します。動作していない場合は、次のコマンドを実行して起動します。
iPlanet Web Server (iWS) (例 : https-servername) が動作していることを確認します。動作していない場合は、次のようにサーバを起動します。
UNIX の ps コマンドで、次のように、Solaris SNMP エージェント (snmpdx) が動作していることを確認します。
UNIX の ps コマンドで、次のように、iPlanet Application Server Master Agent (magt) および encapsulator/proxy subagent (sagt) が動作していることを確認します。
iPlanet Application Server を起動します。
サードパーティの SNMP 管理ソフトウェアの MIB ブラウザまたはテストユーティリティ (たとえば snmpwalk) を使って、SNMP データの収集中であることを確認します。
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最新更新日 2002 年 3 月 6 日