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iPlanet Messaging Server 移行ガイド



第 2 章   移行の概要


この章では、移行プロセスの概要について説明します。 この章は、以下の節で構成されています。



移行の前提条件

これらの移行手順およびシナリオでは、次の条件が前提です。

  • 移行するシステムが、SIMS 4.0 または Netscape Messaging Server 4.x システムである。

  • システムで使用する LDAP ディレクトリが、Netscape Directory Server 4.12 である。

  • Netscape Messaging Server システムが、<LocalPart> または <LocalPart>@<FQDM> 書式の UID を使用している (「Netscape Messaging Server 4.x Directory のネームスペース制限」を参照)。



移行ツールキット

移行ツールキットは、本書で説明されている手順に必要です。 このツールキットは、次のもので構成されています。

  • 移行時のマルチスキーマサポートを提供するスキーマファイル

  • ディレクトリエントリを変換して、iPlanet Messaging Server スキーマを使用する imsdirmig コマンド。 このコマンドは、iPlanet Messaging Server がサポートされているすべてのプラットフォームで実行できます。

  • LDIF ファイルを作成して、iPlanet Delegated Administrator for Messaging をサポートする imsdaaci コマンド。 このコマンドは、iPlanet Messaging Server がサポートされているすべてのプラットフォームで実行できます。



移行プロセス

どの移行方法を選択するかは、次の 3 つの要素により異なります。

  • システムを、SIMS または Netscape Messaging Server のどちらから移行するか

  • メール システムの複雑性 (システムが単一のスタンドアロン システムで機能するか、またはさまざまな機能を実行し、それぞれが相互作用して機能するいくつかのシステムで構成されているか)

  • ダウンタイムの許容度 (カスタマがどのくらい、メールの送受信を行わないでいられるか)

どの方法を選択しても、基本的な目的および手順は同じです。 これらを簡単に説明します。

Netscape Messaging Server からの移行の場合、カスタマイズプラグインを再実装します。iPlanet Messaging Server では、メッセージング プラグインがサポートされていないので、新しい MTA の機能を使用して、プラグイン機能を再設計して、再コーディングする必要があります。 MTA の機能では、もっとも一般的なプラグイン機能が扱われます。 「Netscape Messaging Server 4.x MTA のサポート中止/変更」を参照してください。

ディレクトリサーバを Netscape Directory Server 4.12 にアップグレードします。 「SIMS/Netscape Messaging Server から Netscape Directory Server 4.12 へのアップグレード」を参照してください。

ディレクトリサーバでマルチスキーマがサポートされるようにします。 移行中、SIMS または Netscape Messaging Server スキーマと同時に、iPlanet Messaging Server スキーマをサポートする必要があります。 これには、SIMS の新規スキーマファイルおよび Netscape Messaging Server の LDAP マスターやそのレプリカへのインストールが関連します (「複数スキーマのサポート」を参照)。

マルチサーバ導入では、構成サーバをインストールします。構成サーバとは、iPlanet Messaging Server 構成データを含む LDAP サーバのことです。 iPlanet Messaging Server を既存の Netscape Messaging Server 構成サーバにインストールできるのは、A) 新規スキーマにアップグレードした後、および B) 構成サーバで新規 Admin Domain を作成した後ですので注意してください。

iPlanet Messaging Server をインストールします。 新しい iPlanet Messaging Server がインストールされたら、以前のディレクトリサーバからユーザエントリおよびグループエントリを取得するように、サーバを構成します (『iPlanet Messaging Server インストールガイド』を参照)。

メッセージストアを変換または移動します。 SIMS 環境の場合 : SIMS メッセージストアを iPlanet Messaging Server メッセージストアに変換します。 この作業は、オフライン、オンラインまたはユーザバッチで段階的に行われます (「SIMS メッセージストアの移行方法の選択」を参照)。 Netscape Messaging Server 環境の場合 : メッセージストアの移行は、システムがメッセージストアに指定されたときに、自動的にオンラインで行われます。

ユーザ、グループおよびドメインエントリをアップグレードして、iPlanet Messaging Server スキーマを使用します。 iPlanet Messaging Server コンポーネントでは、ユーザおよびグループが混合スキーマで扱われるので、この移行は、段階的に、また任意のサービスの介入なしで行うことができます。 しかし、新規スキーマへの移行を行うと、古いメッセージングサーバを実行しているホストに、グループやユーザを戻すのが困難になります。 ユーティリティ imsdirmig は、エントリを移行して新規スキーマを利用するときに使用されます。

Netscape Messaging Server 移行の場合、すべてのユーザおよびメーリングリスト エントリが、組織ツリーのドメインモードの下になるように、ディレクトリを修正する必要があります。 これは、ドメインだけでなく、iPlanet Delegated Administrator for Messaging GUI ツールおよびユーティリティのサポートに必要です。 これについては、「iPlanet Messaging Server での既存のディレクトリ情報ツリーの使用」で説明します。

iPlanet Delegated Administrator for Messaging がサポートされるように、システムを修正します。 Delegated Administrator Service Administrator エントリおよび Delegated Administrator Service Admin Group エントリを作成します。 適切な ACI を追加します。



SIMS メッセージストアの移行方法の選択



SIMS メッセージストアを iPlanet Messaging Server メッセージストアに移行する方法には、オフライン移行、オンライン移行、および段階的な移行の 3 種類があります。 どの方法を選択するかは、メッセージストアのサイズ、ダウンタイムの許容値、POP または IMAP を実行する場所により異なります。 この節では、これらの各方法を説明し、各方法の長所と短所、各方法のシステムシナリオを示します。 実際の段階的な移行手順は、後の節で説明します。


メッセージストアのオフライン移行

メッセージストアのオフライン移行には、SIMS のシャットダウン、iPlanet Messaging Server のインストール、古い SIMS メッセージストアデータのバックアップ、iPlanet Messaging Server メッセージストアデータへの復元や変換、iPlanet Messaging Server のオンライン起動が関係します。

メッセージストアのオフライン移行の長所

  • 移行方法の中でもっとも単純で簡単である

  • 必要に応じて、SIMS に戻すのがもっとも簡単である

  • メッセージ到着順序を正確に保守する

  • 移行に要する時間が短い

メッセージストアのオフライン移行の短所

  • 必要なサーバダウンタイム (クライントアクセスがない) がもっとも長い。 ダウンタイムは、20 G バイトのメッセージストアの移行にそれぞれ約 1〜2 時間、1および LDAP エントリのアップグレードにさらに 1〜2 時間です (エントリ数やメールホスト名を変更するどうかにより異なります)。

メッセージストアのオフライン移行のシナリオ

  • メッセージストア 20 G バイト、ユーザ 50K で、POP または IMAP のいずれかを使用する単一または複数のサーバシステム

    予測ダウンタイム: 2〜3 時間

  • メッセージストア 100 G バイト、ユーザ 200K で、POP または IMAP のいずれかを使用する単一または複数のサーバシステム

    予測ダウンタイム: 7〜12 時間

オフライン移行の詳細については、「メッセージストアのオフライン移行方法を使用したシングルサーバ SIMS システムからのアップグレード」または 「オフライン移行方法を使用した、バックエンドSIMS メールストアサーバの iPlanet Messaging Server への移行」を参照してください。


メッセージストアのオンライン移行

メッセージストアのオンライン移行には、iPlanet Messaging Server のインストール、および新規メッセージが新規メッセージストアで受信されるようにインストールサーバをデフォルト サーバとしてアクティブにする作業が関係します。 後で SIMS メッセージストアが、新しくインストールされたサーバがアクティブおよびオンラインになっている間に、この新規サーバに移行されます。

メッセージストアのオンライン移行の長所

  • ダウンタイムがもっとも短い

  • 移行方法が単純で簡単である

短所

  • メッセージストアを移行すると、メッセージストアキューの到着順序が不正確になることがあります。 より古いメッセージが、SIMS から移行されると、これらのメッセージは、iPlanet Messaging Server で受信された新規メッセージの上に追加されます。 新しく受信されたメッセージの順序が古いメッセージの順序と混合します。

  • sync を有効にする必要があるため、メッセージストアの移行が遅い (ハードウェアにより異なりますが、オフライン移行の場合 1 時間あたり 10〜20 G バイトで、オンライン移行では 1 時間あたり 2〜4 G バイト)。

  • ログインするユーザに、古いメッセージおよびフォルダが移行されるまで、一時的に空のメールボックスが表示される。 IMAP メールボックスの古いメッセージは、移行中には利用できません。 iPlanet Messaging Server メッセージストアに送信された新規メッセージは利用できます。

メッセージストアのオンライン移行のシナリオ

  • POP だけを使用するユーザコミュニティ

  • メッセージストア 20 G バイト、ユーザ 50K で、POP または IMAP のいずれかを使用し、A) ダウンタイムが最小であることが重要、B) 古いメッセージと新規メッセージの順序が重要でない、C) ユーザメールボックスのすべてのメッセージが一時的に表示されなくても構わない、単一または複数のサーバシステム。 IMAP の場合、ユーザは、移行が終了するまで、古い電子メールにアクセスできません。 予測移行時間: 5〜10 時間

  • メッセージストア 100 G バイト、ユーザ 200K で、POP または IMAP のいずれかを使用する単一または複数のサーバシステム。予測移行時間: 25〜50 時間

オンライン移行の詳細については、「メッセージストアのオンライン移行方法を使用したシングルサーバ SIMS システムからのアップグレード」および 「オンライン移行方法を使用した、バックエンドSIMS メールストアサーバの iPlanet Messaging Server への移行」を参照してください。


メッセージストアの段階的な移行

このシナリオでは、まだ移行されていないユーザの既存のマシンで SIMS がアクティブになっている間に、iPlanet Messaging Server が新規マシンにインストールされ、移行されたユーザ用にアクティブになります。 ユーザメールボックスのバッチは、古い SIMS システムから新規 iPlanet Messaging Server システムに階段的に移行されます。

段階的な移行の基本手順は次とおりです。 SIMS がアクティブなっている間にiPlanet Messaging Server がインストールされます。 ユーザのバッチは一時的にメール システムを使用できなくなり、SIMS から iPlanet Messaging Server に移行されます。 次に、iPlanet Messaging Server は、SIMS システムが移行されていないユーザに対してアクティブでありながら、移行されたユーザのメールホストとしてアクティブになります。 ユーザのバッチは、次々と SIMS から iPlanet Messaging Server に移行されます。 すべてのユーザが移行されると、SIMS のアクティブ状態を解除できます。 ダウンタイムは、移行されるユーザのバッチに制限されます。

メッセージストアの段階的な移行の長所

  • ダウンタイムが、移行されるユーザのバッチに制限される

  • 多くのユーザが使用する大規模なメッセージストアで、ダウンタイムを長くしたくない場合の移行に適している

  • ほかのユーザが SIMS システムを使用している間に、少数のユーザを新規システムに移行できる

段階的な移行の短所

  • 追加のハードウェアが必要

  • プロセスが複雑

  • 新規システムに移行されたユーザを SIMS システムに戻すのが困難。 すべてのユーザを移行する前に、少数のユーザで移行を行なってみることを推奨する

メッセージストアの増分移行のシナリオ

  • メッセージストア 500G バイト、ユーザ 500K、IMAP システム、最小のユーザ ダウンタイム

  • すべてのユーザを一度にではなく、段階的に移行する必要のある任意のシステム

移行パフォーマンスは、オンライン移行と同じくらいです。 詳細については、「メッセージストアの段階的な移行方法を使用したシングルサーバ SIMS システムからのアップグレード」および 「段階的な移行方法を使用した、SIMS メッセージストアサーバから iPlanet Messaging Server への移行」を参照してください。


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最終更新日時 2001 年 2 月 7 日