Sun N1 Grid Engine 6.1 管理ガイド

補正係数

比較では、場合によって、実際の利用量が目標使用率を大きく下回っていることが明らかになることがあります。このような場合は、ユーザーのリソースの配分またはプロジェクトのリソースの配分を調整することで、ユーザーがシステムを優先使用できます。このような調整は、目標の配分に到達するという目的に基づいています。ただし、この優先使用は望ましくない場合があります。

補正係数を使用すると、管理者は、ユーザーまたはプロジェクトが短期にリソースを優先使用できる度合いを制限できます。

たとえば補正係数 2 は、ユーザーまたはプロジェクトの現在の配分を目標配分の 2 倍に制限します。ユーザーまたはプロジェクトが、累積期間中にシステムリソースの 20% を受けられるようになっていると仮定すると、ユーザーまたはプロジェクトが現在受けている量がそれより非常に低い場合、短期に受け取れる最大量は、40% だけになります。

共有ベースポリシーは、共有ツリーに従ってユーザーまたはプロジェクトの長期のリソースエンタイトルメントを定義します。共有ベースポリシーと補正係数を組み合わせることによって、エンタイトルメントの自動的な調整が行われます。

ユーザーまたはプロジェクトが、定義された目標のエンタイトルメントを下回っている上回っている場合、Grid Engine システムは補正を行います。システムは、ユーザーまたはプロジェクトの短期のエンタイトルメントを長期目標よりも上げるか、下げることによって補正をします。この補正は、共有ツリーアルゴリズムにより計算されます。

補正係数は、Grid Engine システムが割り当てる補正量を制御するもう 1 つの仕組みを提供します。この追加の補正係数 (CF) 計算は、次の条件が真である場合にのみ行われます。

上記の条件の一方または両方が真ではない場合は、共有ツリーアルゴリズムによって定義および実装されている補正が適用されます。

CF 値が小さいほど、その効果は大きくなります。値が 1 より大きい場合、Grid Engine システムの補正は限られた効果しかありません。補正の上限は、長期エンタイトルメントと CF の積で計算されます。上記で定義されているように、補正係数に基づく操作が行われるには、短期エンタイトルメントがこの上限を超えている必要があります。

CF が 1 の場合、Grid Engine システムはそのままの共有ツリーアルゴリズムと同じ方法で補正をします。このため、値 1 は値 0 と似た効果になります。唯一の違いは、実装の詳細です。CF = 1 の場合は、CF 計算が行われますが、影響はありません。CF = 0 の場合は、CF 計算が抑止されます。

値が 1 より小さい場合、Grid Engine システムは過剰補正を行います。ジョブは、共有ツリーアルゴリズムに基づいて得られるよりも大幅に多くの補正量を受けます。また、補正の実施条件が低い短期エンタイトルメント値で満たされるため、ジョブは早期にこの過剰補正を受けることになります。実施条件は「短期エンタイトルメント > 長期エンタイトルメント * CF」です。