多数のユーザーがいるサイトでは、特殊なユーザー default を使用して、共有ツリーを保守する作業量を減らすことができます。共有ツリーポリシーにおいては、ジョブの優先順位は、ジョブが共有ツリー内で対応するノードに基づいて決定されます。共有ツリー内で明示的に名前が付けられていないユーザーは、(存在する場合) default ノードに割り当てられます。
1 つの default ノードを指定することで、シンプルな共有ツリーの作成が可能になります。このような共有ツリーにより、ユーザーに基づく公正な分配が可能になります。
また、大部分のユーザーに同じ共有エンタイトルメントが割り当てられている場合でも、default ユーザーを使用できます。同じ共有エンタイトルメントは、均等配分スケジューリングとも呼ばれます。
default ユーザーは、default ノードの下ですべてのユーザーエントリを構成し、各ユーザーに同じ配分量を与えます。ジョブを発行する各ユーザーは、default ユーザーに対して構成されているのと同じ共有エンタイトルメントを受け取ります。特定のユーザーに対してこの機能を有効にするには、Grid Engine ユーザーのリストにこのユーザーを追加する必要があります。
共有ツリーでは、default ノードに割り当てられているすべてのユーザーに関して、「仮想」ノードが表示されます。仮想ノードを表示することで、default ノードに割り当てられているユーザーに関して、使用率と、公正な配分スケジューリングのパラメータを調べることができます。
また、「ハイブリッド」の共有ツリーに対して default ユーザーを使用することもできます。このツリーでは、ユーザーは共有ツリー内のプロジェクトの従属下に置かれます。default ユーザーは、プロジェクトノードのリーフノードになることができます。
ユーザーの短期エンタイトルメントは、ユーザーが消費するリソース量の違いにより異なります。ただし、ユーザーの長期エンタイトルメントは同じままになります。
一部のユーザーにだけ低い、または高いエンタイトルメントを割り当てて、ほかのすべてのユーザーには同じ長期エンタイトルメントを維持したい場合があります。このためには、特別なエンタイトルメントを持つのユーザー用の default ユーザーの隣に、個別のユーザーエントリを含む共有ツリーを構成します。
例 A では、プロジェクト A に発行するすべてのユーザーが同じ長期エンタイトルメントを得ます。プロジェクト B に発行するユーザーは、プロジェクト B の累積リソース消費量に関係します。プロジェクト B のユーザーのエンタイトルメントは管理されません。
例 A と例 B を比較してください。
例 B では、プロジェクト A に対する扱いは、例 A のときと同じです。しかし、ユーザー A および B を除き、プロジェクト B にジョブを発行するすべてのデフォルトユーザーは、同等の長期のリソースエンタイトルメントを得ます。デフォルトのユーザーは 20 の配分を持ちます。ユーザー A の配分は 10 で、受けるエンタイトルメントはデフォルトユーザーの半分です。ユーザー B の配分は 40 で、受けるエンタイトルメントはデフォルトユーザーの 2 倍です。