優先スケジューリングでは、Grid Engine システムの管理者またはオペレータは、ユーザー、部署、プロジェクト、ジョブクラスに関連付けられている、1 つまたはすべてのジョブの相対的な重要性を動的に調整することができます。この調整では、指定されたジョブ、ユーザー、部署、プロジェクト、またはジョブクラスにチケットを追加します。優先チケットを追加すると、優先スケジューリングでは、ユーザー、部署、プロジェクト、またはジョブが受け取るチケットの合計数が増加します。その結果、リソースの全体配分が増加します。
また、優先チケットを追加すると、システムのチケットの合計数も増加します。こうした追加のチケットによって、あらゆるジョブのチケットの価値が低下します。
優先チケットは、次の 2 つの用途に使用できます。
共有ベースポリシーや機能ポリシーの構成を変更しないで、それらのポリシーよりも一時的に優先させる。
関連付けられた一定量のチケットを有するリソースエンタイトルメントレベルを確立する。エンタイトルメントレベルの確立は、高、中、低のジョブクラス、または高、中、低の優先順位クラスなどのシナリオに適しています。
ジョブに直接割り当てられた優先チケットは、そのジョブが完了すると消滅します。ほかのすべてのチケットは元の価値に戻ります。ユーザー、部署、プロジェクト、ジョブクラスに割り当てられた優先チケットは、管理者が明示的にチケットを削除するまで、システムに留まります。
「Policy Configuration」ダイアログボックスには、システムでアクティブな優先チケットの現在の数が表示されます。
優先エントリは「Override」ダイアログボックスに残ります。不必要になった時点で管理者がこれらのエントリを明示的に削除しなかった場合、以降の運用に影響が出ることがあります。
「QMON Policy Configuration」ダイアログボックスの下部にある「Override Policy」をクリックします。「Override Policy」ダイアログボックスが表示されます。
優先チケットを定義する対象である業務優先カテゴリ (ユーザー、プロジェクト、部署、またはジョブ) を選択します。
優先テーブルはスクロール可能です。次の情報が表示されます。
チケットを定義する対象であるカテゴリのメンバーのリスト。カテゴリには、ユーザー、プロジェクト、部署、ジョブ、およびジョブクラスがあります。
カテゴリの各メンバーの優先チケットの数。このフィールドは編集可能です。
QMON は、「Override Policy」ダイアログボックスに表示される情報を定期的に更新します。ただちに表示を更新させるには、「Refresh」をクリックします。
行なった優先に関するすべての変更を保存するには、「Apply」をクリックします。変更を保存することなくダイアログボックスを閉じるには、「Done」をクリックします。
優先テーブルの上にある曲がった矢印をクリックして、構成ダイアログボックスを開きます。
「User」の優先チケットの場合、「User Configuration」ダイアログボックスが表示されます。Grid Engine ユーザーの構成を変更するために、「User」タブを使用して適切なモードに切り替えます。「QMON を使用したユーザーオブジェクトの構成」を参照してください。
「Department」の優先チケットの場合、「User Configuration」ダイアログボックスが表示されます。ユーザーセットとして表示されている部署の構成を変更するために、「Userset」タブを使用して適切なモードに切り替えます。「プロジェクトおよび部署としてのユーザーセットの定義」を参照してください。
「Project」の優先チケットの場合、「Project Configuration」ダイアログボックスが表示されます。「QMON を使用したプロジェクトの定義」を参照してください。
「Job」の優先チケットの場合、「Job Control」ダイアログボックスが表示されます。『Sun N1 Grid Engine 6.1 ユーザーズガイド』の「QMON を使用したジョブの監視と制御」を参照してください。
QMON を使用する場合にのみ優先チケットをジョブに割り当てることができます。この機能に関してはコマンド行インタフェースは使用できません。
コマンド行から優先ポリシーを構成するには、適切なオプションを指定した qconf コマンドを使用します。
ユーザーカテゴリを構成するには、qconf -muser コマンドを使用します。-muser オプションは、ユーザーエントリファイルの oticket パラメータを変更します。ユーザーエントリファイルの詳細については、user(5) のマニュアルページを参照してください。
部署カテゴリを構成するには、qconf -mu コマンドを使用します。-mu オプションは、アクセスリストファイルの oticket パラメータを変更します。部署を表すために使用されるアクセスリストファイルの詳細については、access_list (5) のマニュアルページを参照してください。
プロジェクトカテゴリを構成するには、qconf -mprj コマンドを使用します。-mprj オプションは、プロジェクトエントリファイルの oticket パラメータを変更します。プロジェクトエントリファイルの詳細については、project(5) のマニュアルページを参照してください。
ジョブクラスカテゴリを構成するには、qconf -mq コマンドを使用します。-mq オプションは、キュー構成ファイルの oticket パラメータを変更します。ジョブクラスを表すために使用されるキュー構成ファイルの詳細については、queue_conf (5) のマニュアルページを参照してください。